ヨーロッパ手外科学会(FESSH 2025) 参加報告(佐藤貴洋)

2025年6月25日から28日まで,フィンランド・ヘルシンキにて開催されたヨーロッパ手外科学会(FESSH 2025)に参加してまいりました.北欧の初夏は日が長く,23時を過ぎても空が明るい時間が続いているのが印象的でした(残念ながら緯度が足りず白夜とまではなりませんでした).滞在期間の半分は雨が降り,晴れても気温は上がらず,肌寒さを感じる気候でもありました.

今回の学会には,湯浅悠介先生と一緒に参加いたしました.会場に着いてまず目に入ったのは,日本ではまだ導入されていない医療機器の並ぶ展示ブースでした.CM関節に対するTHAのような人工関節や,遠隔操作のロボット顕微鏡など,日本の学会では見たこともない機器が展示されておりました.そんな中,日本企業であるMitakaも出展しておりました.そのブースでは,Mitakaのマイクロ顕微鏡のほかに,日本製のマイクロ器械も用意されており,実際に血管吻合の体験もさせていただきました.日本人の緻密なものづくりの精神を異国の地で改めて実感する機会となりました.

日本からの参加者も多く見られ,その中でも札幌医科大学の花香恵先生と現地で交流させていただきました.一方で,やはり言語の壁は依然として高くそびえ立っていることを実感しました.講演の内容は聞いても理解できず,今後の課題と感じました.しかし,ワークショップやウェルカムレセプションへ参加し,短時間ながらも異国のドクターたちと直接コミュニケーションを取ることができたのは非常に貴重な経験でした.言葉を越えて共有できる「手」の情熱に,改めて国際学会の意義を感じました.

学会の合間には,フィンランドの観光も楽しむことができました.フィンランド文化の象徴でもある本場のサウナを体験し,世界遺産であるスオメリンナ島を散策し,タンペレ市にあるムーミン美術館も訪れることができました.また,現地の食文化にも触れることができ,ヘルシンキ名物のサーモンスープや,ラップランド地方のトナカイ料理を味わうなど,まさに五感でも北欧を堪能できる滞在となりました.

今回の国際学会の参加は,整形外科専攻医になる前に医局で連れて行ってくださったAAOS以来であり,整形外科医となってからは初めてのものでした.その頃よりは主体性を持って学会参加ができたかなと思っておりますが,言語の未熟さにより,まだまだと感じる部分もありました.やはり,国際学会を通して英語力の大切さを再認識することができました.

今回得られた学びを今後の診療や研究に還元できるよう,引き続き精進してまいります.最後に,長期間の不在になるにもかかわらず快く送り出してくださった相澤俊朗先生,小滝優平先生,いつもご指導頂いている宮腰教授はじめ医局の先生方,AHGメンバーの先生方に深謝申し上げます.