月別アーカイブ: 2018年5月

平成30年度阿仁健診(井上純一)

本年度は5月16日、17日、18日に北秋田市阿仁地域で運動器健診を行いました。

平均寿命が長くなってきている現在、今度は健康寿命をいかに伸ばしていくかが課題となっております。運動器症候群と訳されるロコモティブシンドローム(以下ロコモ)は、運動器の障害により要介護になるリスクの高い状態を指します。その原因としては運動器自体の疾患によるものと加齢による運動器機能不全によるものがあると言われております。

阿仁健診は毎年受診している方が多く、経年的に結果を知ることが出来るという特徴があります。今回の健診を通して、阿仁地域の方には自分の現時点での運動機能がどのくらい保たれているのかを知っていただき、その後対策することでロコモを未然に防ぐことができます。将来的に阿仁健診と同様の運動器検診が県内の他の地域でも実施出来れば、秋田全体で元気な高齢者が増えていけばと考えています。普段の診療の現場でもロコモ予防につながるように整形外科医として今後も貢献していきたいと思います。

第67回秋田県整形外科医会(湯浅悠介)

2018年5月19日、ビューホテルにて第67回秋田県整形外科医会が開かれました。

一般演題から7題、Young Doctors Sessionから10題の発表がありました。各発表に対して白熱した討論が繰り広げられました。最優秀演題賞は、一般演題からは能代厚生医療センター伊藤博紀先生が、Young Doctors Sessionからは町立羽後病院の益谷法光先生が受賞されました。本当におめでとうございます。

その後、教育研修講演1として、国際医療福祉大学医学部整形外科学主任教授石井賢先生より「脊椎脊髄疾患治療における合併症―出血・神経損傷・感染症の予防と対処法―」と題しご講演いただきました。椎骨動脈損傷や腸管損傷など、脊椎手術における合併症を実際の動画を用いてお示しいただき、そのピットフォールをご教示いただきました。また、脊椎手術にvirtual realityを導入した新しい技術についてもご紹介いただきました。今後より高度な手術がより安全に行えるように、医療と工学の連携が大切なのだと感じました。

教育研修講演2として、島根大学医学部整形外科学教室教授内尾祐司先生より「スポーツに伴う関節軟骨障害の病態と治療~疼痛管理と機能回復に向けて~」と題しご講演いただきました。関節軟骨障害としてOCD、骨軟骨骨折、軟骨損傷について、実際の症例を用いて具体的にお示しいただきながらご説明いただきました。また島根大学で行われている研究「自家骨から作成するScrew」についてご教示いただきました。新しいもの作成し、世に発信するためには、多くの基礎研究を行い、その一つ一つを論文化し証明していく必要があることを学びました。

本日勉強させていただいたことをしっかりと吸収し、明日からの臨床・研究に努めていきたいと思います。

留学報告㉗あとがき(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

留学ブログ あとがき

2018年3月26日に無事帰国し,4月から復職させて頂いております.いない間に変わっていた電子カルテシステムにも慣れ,仕事のペースも思い出し始めました.バタバタしていて投稿できていなかったブログ原稿の残りを全てアップして,留学ブログを終了しようと思います.

 

実は,2017年9月にセットアップのためにサンフランシスコに行ったのが,自分1人だけで行った初めての海外でした.おかげさまで学会や旅行などで何度か海外に行く機会はあったのですが,必ずそばに誰かがいる状況でした.降り立ったときは楽しみと言うより,どちらかというと呆然とか絶望とかに近いモノで,ものすごく不安だったことを今でも鮮明に覚えています.飛行場から鉄道に乗ってダウンタウンに出ることすら一苦労で,1人でレストランに入ったりはできず,買い物するのもいちいち緊張を強いられる作業でした.

9月中旬に家族が合流してからは更にまた不安が増えます.娘の学校が決まり,家具が揃って生活が落ち着くまで1ヶ月ほどかかりました.その間は不安感で悪夢を見ながら動悸をして朝起きるという日が続きました.

OTIに行って,ミーティングに参加してもまわりが話している2割も分からずついていけませんでした.でも,毎日顔を合わせる研究助手さんと,朝にどうでもよい世間話を30分ほどするようになり,だんだんなんとなく聞き取りができるようになってきました.何よりもサンフランシスコという土地柄,英語とスペイン語と広東語が入り乱れる外来を見ているうちに,多少変な英語を恥じらう必要性が全くないことを悟りました.英語は単なるコミュニケーションツールに過ぎないとわりきり,どんな形でも発音でも相手の言うことを理解して,自分の言いたいことを理解してもらうことが重要だということに少しずつ気づいてきました.

少し会話が成り立ち始めるとだんだん楽しくなってくるもので,いつの間にか朝の悪夢や動悸も無くなり,感謝祭やクリスマスなどの休暇には家族で旅行などもする気持ちの余裕もでてきました.ベイエリアの日本人医師の先生や整形外科の先生との交流することができて,今までに無いほどの刺激を受けることができました.

12月まではOTIでリハビリテーションを中心に見学していましたが,1月からは自分の希望する他病院の見学やラボ見学を多数させてもらうことができました.3月になりようやくIRB(日本の倫理委員会)が通り,最後の2週で臨床研究のデータ取りを行っていました.最小限のデータは取れたので今後論文化するように尽力しますし,知り合えた先生方やスタッフとまた共同研究が行えればうれしいと考えています.

留学中,言葉や文化,システムの違いに戸惑い,驚き,羨望し,日本を顧みて日本の良いところ(悪いところも)を思い出し,今後の改善策や試してみたいことを考えていました.そんな繰り返しをしているうちに,今までは考えなかったような広い視野を頂いた気がします.米国の医療システムと日本は根本的に違うし,今の時代インターネットで十分わかると言われるかもしれませんが,生活して肌で経験することで分かったことが多かった気がします.本当にこの経験をさせてもらえて良かったです.今後はこの貴重な経験を少しでも還元していけるよう尽力したいと考えております.

不在の間,医局,外勤先の先生方,スタッフの方々には大変ご面倒ご迷惑をおかけしました.また,留学中は秋田大学のみならず,他大学の先生方,UCSFの先生方やスタッフに多大なるご助力を頂きました.この場を借りて御礼申し上げます.

最後に,この留学を御裁可御高配頂いた島田洋一教授,快く受け入れて下さったUCSF長尾正人先生に深く御礼申し上げます.ありがとうございました.今後ともよろしくお願い申し上げます.

留学報告㉖テック企業回り(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はテック企業巡りについて.

サンフランシスコを含めたベイエリアと呼ばれる地域はシリコンバレーとして有名で,テック企業の本社が目白押しです.一部旅行会社ではこの企業を巡るツアーも開催されているようです.休日,買い物や会合などのついでに立ち寄ったテック企業を掲載します.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

UBER:簡単に言えば白タクサービスです.サンフランシスコに本社があり,いろいろ世間を騒がせています.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Twitter:個人的には使っていませんが….テンダーロインと呼ばれる治安の悪い地域の近くに本社を構えることで,多額の助成金を受け取ることができるらしいです.

 

 

 

 

 

 

Dropbox:自宅から歩ける距離のところにDropboxの本社がありました.野球場のすぐそばで開放感のある場所です.

 

 

 

 

 

 

 

 

(旧)Yahoo!:日本のYahoo!とは色が違います.既に事実上,事業が解体されているため,もうすぐこの看板もなくなるのかもしれません.そこらかしこに関連ビルが沢山ありました.

 

 

 

 

 

 

Apple旧本社:ここに併設されているApple storeでしか買えないグッツがあるため,好きな人は訪れたい場所です.

 

 

 

 

 

 

Apple 新本社:旧本社から車で10分かからないところに巨大な宇宙船の様な建物が.一般客用にビジターセンターが開放されています.

 

 

 

 

 

 

 

 

ガレージ:Apple発祥の地と呼ばれるところ.ここのガレージで初代のApple製品が開発されたということです.今も誰かが住んでいるので写真だけ.

 

 

 

 

 

 

 

 

Google:一つのビルだけでなく,辺り一帯がgoogleというイメージです.

 

 

 

 

 

 

 

スタンフォード大学:広すぎてなにがなんだか….敷地内に美術館やショッピングモールがあったりします.

 

 

 

 

 

 

 

 

Facebook:ひっきりなしに観光客が来ていました.

 

 

 

 

 

 

有名な話ですが,以前の企業の看板に布をかぶせただけです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IntelとAMDはハイウェイを挟んで向かい合っています.

 

 

 

 

 

 

Adobe でかいです.

 

 

 

 

 

 

 

 

あんな事件が起こるとは….

つづく

留学報告㉕リハビリ専門医(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はリハビリ医について

日本のリハビリテーション医の定義は「病気や外傷の結果生じる障害を医学的に診断治療し、機能回復と社会復帰を総合的に提供することを専門とする医師(日本リハビリテーション医学会HPより)」です.

米国のリハビリテーション医はPhysical medicine and rehabilitation (PM&R)の専門教育を終了した医師(Physiatrist)であり,「物理医学とリハビリテーション(PM&R)の医師は、脳、脊髄、神経、骨、関節、靭帯、筋肉、腱に影響を及ぼす様々な病状を治療する(PM&R HPより)」と定義されています.

日米の違いは,日本は病気や外傷の結果の障害に対する治療を目的にしているのに対し,アメリカでは筋骨格神経系の保存療法とリハビリテーション含めた治療を行います.このため,アメリカのリハ医 ≈ Physiatristの治療範囲は,日本の整形外科の保存療法もその範囲に含まれます.そのためリハ医 ≈ Physiatristといっても,入院患者を専門に診るFung先生のように内科系による医師や,長尾正人先生のようにneedle specialistとしてinjectionを中心に外来専門に行う医師や,Lisa先生のように脳梗塞痙性麻痺に対する,テトロドトキシンinjectionや,装具処方など幅広く行う医師,Kazuko先生のように脊損を中心に診療する医師など,医師の意識や勤務されている病院のニーズなどで決まり,典型的な勤務スタイルはありません.しかし,全員に共通するのはそのバックグラウンドにPM&RのレジデンシーというPM&Rを基礎から学ぶ教育プログラムを受けていることで,どの分野に進んでも問題ないような下地ができています.

さらなるSubspecialityフェロープログラムとしてNeuromuscular medicine,Pain medicine,Pediatric rehabilitation medicine,Spinal cord injury,Sports medicine,Brain injury,Hospice and palliative medicineがあり,より専門性の高い治療領域に進む医師もいるということです.

日本では回復期リハビリテーション病棟の急激な増加にともない,リハビリテーション専門医の不足が指摘されています.

元来リハビリテーション自体の概念が幅広いものであり,医学的リハビリテーションだけを絞っても,今後Subspecialityが必要になることは日本でも十分に考えられます.逆に言えば,もともとSpecialtyを持った他科からの参入される医師が力を発揮しやすい科と言えるかもしれません.新専門医制度が始まり,そのプログラムの中で総合的なリハビリテーションをベースとして学ぶことができるシステムが構築されれば,自分の長所を活かすことができるリハビリテーション科専門医は,どの医師にとっても非常に魅力的な専門医であると思います.

 

つづく

留学報告㉔Santa clara valley medical center(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はSanta clara valley medical center見学

サンノゼ近郊にあるサンタクララバレーメディカルセンターという病院を見学させて頂きました.創設100年以上の歴史のある公立病院です.スタンフォード大学に御留学中の前田俊恒先生とご一緒させて頂きました.

つい最近まで以前は100年以上前に建てられた病棟を使用していたようですが,2017年12月から新病院に移転したそうです.今回はその新病棟の見学をしてきました.

 

 

 

 

 

見学の案内をして下さった先生はSham Kazuko先生というSpine injury center(日本でいう脊損センター)のチーフで,日本語が非常に堪能な先生です.

リハビリテーションセンターのリハ医は10人程在籍しており,そのうち4人が脊損専門,5人が脳梗塞系専門とのことでした(もう1人の専門は忘れてしまいました…).また,セラピストはPT,OT,ST合わせ100人を超えているそうですが,女性の比率が高く実際に働いているのはその8割程度とのことでした.それでも十分なスタッフの人数です.

 

 

 

 

 

まだ使用して3ヶ月の新病棟は,1階がリハビリ,2階はICU,3階は脊損リハ病棟,4階は脳梗塞病棟,といった配置です.部屋は個室と2人部屋で,脊損病棟の部屋には前室リフトがあり,風呂場,トイレまでつながっていて早期リハビリの手助けをしています.各病棟に小さな訓練室があり,急性期で移動が大変な時は1階まで降りずにその場所を使うそうです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後,外来棟も見学しました.外来にもリフトがついている部屋が2つあり,褥瘡などの診療の手助けになるそうです.特にこちらの患者さんは大きな人が多いのでリフトがないと辛いようです.

 

 

 

 

 

Sham Kazuko先生は臨床とともに臨床研究も活発に行っている先生で,数々のグラントを取得されています.その中には遠隔リハビリテーションのグラントもあるそうで,実際にipadを使用して指示を出すなどの診療をされていました.スタンフォード大学が近いこともあり,再生治療の治験も行われているそうです.

帰国直前でしたが,見学できて大変勉強になりました.Sham Kazuko先生,御紹介下さった森岡和仁先生にこの場を借りて感謝申し上げます.大変ありがとうございました.

 

 

 

 

 

 

 

 

左から筆者,Sham先生,前田先生.

留学報告㉓シャスタ山とAko先生(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はシャスタ山観光とAko先生

クリスタルカイザーという水をご存じでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マウントシャスタはサンフランシスコから車で北に約4時間半の場所にある山で,ここの麓にある湧き水がクリスタルカイザーの採水地になっています.

バックの山がシャスタ山です.マウントシャスタの湧水という説明書きまで.

風光明媚な場所として有名で,かつてはネイティブアメリカンの聖地として,現在日本ではパワースポットとして崇められている山です.留学も終わりに近づいてきたので,少しパワーをもらいに行くことにしました.

 

 

 

 

 

 

シャスタ山

 

宿泊地のレディングはシャスタ山から約1時間の街で,以前セットアップ時に大変お世話になったAko先生(留学ブログ①参照)が勤務されており,夕食をご一緒させて頂きました.

日本の外科で勤務されていた先生は10年程前に渡米し,アメリカの医師免許を取得され,現在は入院患者を中心に診療されています.

Ako先生の第一印象は,とにかく生気に満ちあふれている格好良い先生という印象です.いろいろお話を伺うと,ここまで来るのに相当な厳しい御経験をされており,アメリカで医師をする上でのシビアな状況を乗り越え,自立して米国医師としての人生を送られています.しかし,凜とした佇まいからはその大変な状況を微塵も感じさせません.パワースポットに話が及ぶと,「パワーは人や物からもらうモノではなく,自分で捻出するモノ.何かからパワーをもらおうとしている時点でパワーがでる期待は薄い」ときっぱり.その通りです.勉強になります….

秋田ご出身ということもあり,2月にご帰国された際にも秋田大学で御講演されたと伺いました.もしかしたら拝聴された方もいらっしゃるかもしれません.今後また日本にご帰国の際には御講演もあるかもしれませんので,その際には是非とも参加してみて下さい.お名前先のリンクも御参照下さい.

Ako先生,家族ともども大変有意義な時間を過ごさせて頂き大変ありがとうございました.今後ともよろしくお願い申し上げます.

留学報告㉒医療職の種類(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.

ZSFGHで病院見学しているといろいろな職業の名札を見かけます.「DOCTOR」という名札の人が診察している風景は日本と変わりありませんが,「NP」という名札の人が同じように診察して処方したり,専門医と治療方針についてディスカッションしているところを見かけます.

彼女(見学しているときにいたのが女性だったので)の職業はNurse Practitioner;NPで,日本語では診療看護師と略されます.看護師なのですが,外来でやっていることはほぼ医者そのもので,診察し,診断し,処方します.手術はできません.NPは開業権を持ち,その給与は平均時給で約45$と報告されています.レジデントの職務範囲と重なるため,外来や病棟に数名配置されているようです.

歴史をたどると,第二次世界大戦後の医師不足から始まっているようで,時代を変遷する毎にそのニーズと職務範囲が拡大してきた背景があります.近年では医療費抑制という政策や,医師の専門化の促進,レジデントの勤務時間の抑制による人手不足で,プライマリケアを担うNPの存在感が更に高まってきているという流れです.

この流れを見ると,日本でもこの制度が導入されてもおかしくはなく,実際に看護協会でもその働きかけをしています.

もしこのような制度が導入されると,外来診療も病棟業務も少し楽になるかもしれません,そのかわり,整形外科医として,より専門的な知識と技術,手術手技を持たないと働けないという時代になってくると考えられます.われわれ医師は,常にアップデートを繰り返す必要があり,身が引き締まる思いです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NPさんと.やっていることはがっつり医者です.

つづく

留学報告㉑ 森岡先生(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回は脊損の基礎研究を行っているUCSF Ferguson Lab見学です.

森岡和仁先生の御高配で,UCSF Ferguson Labを見学させいただきました.

森岡先生は,東京大学整形外科大学院を卒業後,国立障害者リハビリテーションセンター研究所で脊髄損傷の研究の立ち上げに携わられた後,2012年からUCSF Ferguson Lab で研究されている先生です.研究のコラボレーションが幅広く,私のお世話になっているOTIやUCサンディエゴ,Red BullやNASAに至るまで,幅広くコラボした研究をされています.

脊損に関して最先端で研究されている先生ですので,アメリカでの脊損研究の最近のトレンドについて大変造詣が深くいらっしゃいます.また,サンフランシスコ在住も長く,SNSを用いたUCSFおよびサンフランシスコベイエリアの日本人留学生のためコミュニティを構築されていて,私は非常に助けられました.先生の研究者としての軌跡は2018年発売の実験医学Vol.36 No3(2月号) p466-に詳しく記載されていますので御参照下さい.大変勉強になる内容です.

 

 

 

 

 

 

Wet labとDry labが混在した研究室.

 

 

 

 

 

 

Dry側.こちらで統計解析を行っているそうです.

 

 

 

 

 

 

 

 

左が森岡先生,右が筆者

このような機会を与えて頂いた森岡和仁先生にこの場を借りて御礼申し上げます.ありがとうございました.

 

留学報告⑳Day surgery center(斉藤公男)

長崎大学 千葉恒先生の御高配により,モントレーにあるDay surgery centerを見学してきました.

モントレーはサンフランシスコから南に車で約2時間半ほどのところにある海辺の綺麗な街です.ゴルフをされる方は,ペブルビーチという海岸沿いの綺麗なコースがあることでご存じかもしれません.2019年は全米オープンが開催されるそうです.

今回お世話になったのはRichard Dauphine先生です.御年75歳,モントレーの海に魅せられて,30歳代で東海岸から移住したそうです. 趣味はスキューバダイビングで,今でも夏場には週3回くらい潜っていらっしゃいます.

Day surgery centerは,現在周辺に5施設あるそうで,年間合計20000件を超える手術を行っています.今回見学した施設だけでも整形外科以外を合わせて4000件以上の手術を行っているそうです.患者アンケートを必ず行っており,9割以上の人から非常に満足しているという回答を得ているそうです.逆に,この回答を得られない医師はこの施設を使えないという面もあるようで….

手術の内容は,肩や膝の関節鏡手術の他に,TKA,THAもDay surgeryで行っているとのことでした.手術手技自体はこれといって目新しいことはなかったのですが,術前投薬から,術中カクテル,術後ブロック,術後オピオイドの処方など,疼痛対策にかなり気を遣っていたのが印象的でした.また,手術の入れ替えが早く,5〜10分程度で入れ替えを行います.手術件数の分だけボーナスが出る仕組みのようで,スタッフもキビキビ動いていました.

手術見学の後,17マイルドライブの中にあるクラブ会員限定のようなレストランで昼食をごちそうになり,日米の医療の違いや趣味などざっくばらんに会話して下さり,楽しい時間を過ごさせて頂きました.75歳を超えてなお,仕事も人生も楽しまれている先生の姿が印象的でした.

Richard先生を御紹介頂きました長崎大学 千葉恒先生にこの場を借りて御礼申し上げます.ありがとうございました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手術所見をディクテーションで記載するRichard先生

 

 

 

 

 

 

 

Richard先生と.