月別アーカイブ: 2014年12月

2014年整形外科市民公開講座(粕川雄司)

2014年11月29日土曜日整形外科市民公開講座が、秋田魁新報社「さきがけホール」で開催されました。

今年のテーマは、「サルコぺニア(加齢性筋肉減少症)~筋肉が減るサルコぺニアを知って高齢社会を乗り切ろう~」です。開会にあたり、秋田魁新報社小笠原直樹社長と穂積 志秋田市長よりご挨拶を頂戴しました。お忙しいなか、ご挨拶いただき誠にありがとうございました。

秋田テレビ株式会社石塚真人様に総合司会をしていただき、はじめに今年のテーマである「サルコぺニア」について、松永俊樹准教授より基調講演をいただきました。少し耳慣れない言葉であるサルコぺニアについて、さらにロコモティブシンドローム(ロコモ)との関連についてわかりやすく御講演いただきました。

引き続き、渡部英敏先生と粕川雄司がコーディネーターとなり、パネルディスカッションをおこないました。パネリストは、今村記念クリニック田村康樹先生、秋田赤十字病院田澤 浩先生、中通総合病院土江博幸先生、秋田大学佐藤千恵先生、そして高橋整形外科の高橋秀彦先生です。サルコぺニアの診断や筋肉減少の特徴についてディスカッションし、その対策としてアミノ酸摂取を中心とした栄養とロコトレなどの運動が重要であることをみんなでわかりやすく解説しました。

最後に会場より質問を受け、パネルディスカッション終了後には、参加いただいた方々からの医療相談を受けて市民講座を閉会しました。

あいにくの天気のなか150名程度の方にご参加いただきました。さらに、市民講座の準備から開催にあたり非常に多くの方々のご協力を頂き、この場を借りて深く感謝申し上げます。

この市民講座は、2000年から開催され今回で第20回となりました。引き続き市民講座を開催していけるように活動したいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

第5回秋田県骨粗鬆症PTH治療研究会報告(大内賢太郎)

2014年11月13日、第5回秋田県骨粗鬆症PTH治療研究会が秋田市ビューホテルで開催されました。骨粗鬆症に対する治療は昨今の高齢化社会ではますます重要になってきており、当日は整形外科医はもちろん開業されている先生方も数多く参加されていました。

まず一般演題として北秋田市民病院の相澤俊朗先生から、「Atypicalな非定型骨折に対してPTHを使用した2例」の発表がありました。2例とも骨粗鬆症の内服治療を数年続けておりましたが、転倒し大腿骨の骨折を受傷。X-rayの所見から非定型骨折の診断となり、手術後にPTH製剤を使用し良好な骨癒合が得られたという症例でした。骨密度や骨代謝マーカーの変化も提示して頂き、大変参考になりました。骨強度の増加だけではなく、骨癒合促進効果もあると言われているPTH製剤の効果を再認識した症例でした。

次に特別講演として、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター長の川口浩 先生に御講演頂きました。演題は「骨粗鬆症治療薬ラッシュの中での各製剤の最新レビュー:骨形成促進剤の役割」です。骨リモデリングの機序や骨代謝回転と骨折リスクの関係、骨強度について、さらには現在使用されている骨粗鬆症治療薬それぞれのレビューなど、非常に盛り沢山な内容でした。自分は大学院で骨代謝グループに属して研究を行っており、知識の再確認になるところや新しい知見などあり興味をもって勉強させて頂きました。質疑応答では、ビス剤使用後の薬選択や骨代謝マーカーの使い分けなどについて川口先生の方法を教えて頂き、大変参考になりました。

今回の研究会で学んだことを日々の臨床に役立てていこうと思います。

秋田県骨粗鬆症学術セミナー報告(木下隼人)

2014年11月19日、特別講演の講師として、北海道大学整形外科の高畑雅彦講師をお招きして、秋田ビューホテルで開催されました。自分も一般演題を出させていただきました縁にて講師控室でご挨拶をする機会を得ました。物静かで控えめな印象を受け、穏やかな方でした。脊椎を専門とされており、秋田オリジナルとされるPAVRECを非常に高く評価して頂きました。

一般演題では、最初に自分の拙い学位研究について述べさせて頂きました。

次に、山本組合総合病院の伊藤博紀先生より『橈骨遠位端骨折治療のピットフォール』という題にて御講演頂きました。橈骨遠位端骨折のプレート適応が、関連病院で手術全体の96%に達したとの報告や、術中に肘を20°屈曲することで橈骨手根関節面がきれいに抜けて見え、スクリューが関節面に突出しているかどうか確認しやすいなど、実臨床に役立つ内容で、大変勉強になりました。

高畑雅彦講師におかれましては、『関節リウマチおよび類縁疾患患者に発生する骨質異常と脊椎再建手術における問題点』について御講演を賜りました。高畑講師は骨質に関する構造面からの解析に非常に造詣が深く、また、関節リウマチおよび類縁の自己免疫疾患の頸椎変性疾患をご専門とされており、この度は、これら基礎研究から臨床研究までの幅広い範囲にわたり学ばせて頂きました。その中で特に印象に残ったのは、脊椎変性の一環で生じる骨棘が、実は脊椎の安定化に寄与することがあり、自己免疫疾患でステロイドを内服すると、この骨棘形成が抑制されるために、脊椎の不安定性がより生じやすくなる危険性があるというお話でした。また、このような患者さんに対しての手術には、力学的に椎体間固定が有利であることを、実例を交え示して頂きました。この際にも、推奨される手術の一つとしてPAVRECを加えて頂いたご配慮に、只々感銘を受けるばかりでした。

今回、残念ながら講演の模様をおさめた写真はございませんが、拙い基礎研究しかやっていない自分は、高畑講師のように基礎・臨床いずれの研究においても深く追求できるような人間になりたいと思いました。

第8回秋田県整形外科RAトータルマネージメントフォーラム(杉村祐介)

11月7日、第8回秋田県整形外科RAトータルマネージメントフォーラムが開催されました。今回は特別講演に、東京大学整形外科講師の門野夕峰先生にお越し頂きました。

「関節リウマチと骨粗鬆症」のご講演では、基礎学術的な内容から、臨床の話題まで幅広い内容を分かりやすくお話してくださいました。特に日本最大級のRAコホートである「NinJa」からもたくさんのデータをご紹介いただきました。

関節リウマチ患者では、その疾患自体による骨粗鬆症、また治療薬の影響による骨粗鬆症を避けて通ることはできず、骨粗鬆症治療も早期から並行して行う必要性を説明してくださいました。

一般演題1では南秋田整形外科、杉村祐介が「AORA関節リウマチ患者における骨粗鬆症の検討」を発表しました。AORA関節リウマチ患者の椎体骨折の有病率を調査し、骨折患者は年齢が高くステロイド使用が多いことを報告しました。

一般演題2では由利組合総病院、野口英明先生が「関節リウマチ患者の大腿骨転子部骨折骨接合術後の歩行能力について」を発表しました。関節リウマチ患者の術後の歩行能力獲得は、非関節リウマチ患者に劣らないと報告しました。

今後、我々AORAも活動をさらに発展させていけるよう、頑張りたいと思います。