秋田県骨粗鬆症学術セミナー報告(木下隼人)

2014年11月19日、特別講演の講師として、北海道大学整形外科の高畑雅彦講師をお招きして、秋田ビューホテルで開催されました。自分も一般演題を出させていただきました縁にて講師控室でご挨拶をする機会を得ました。物静かで控えめな印象を受け、穏やかな方でした。脊椎を専門とされており、秋田オリジナルとされるPAVRECを非常に高く評価して頂きました。

一般演題では、最初に自分の拙い学位研究について述べさせて頂きました。

次に、山本組合総合病院の伊藤博紀先生より『橈骨遠位端骨折治療のピットフォール』という題にて御講演頂きました。橈骨遠位端骨折のプレート適応が、関連病院で手術全体の96%に達したとの報告や、術中に肘を20°屈曲することで橈骨手根関節面がきれいに抜けて見え、スクリューが関節面に突出しているかどうか確認しやすいなど、実臨床に役立つ内容で、大変勉強になりました。

高畑雅彦講師におかれましては、『関節リウマチおよび類縁疾患患者に発生する骨質異常と脊椎再建手術における問題点』について御講演を賜りました。高畑講師は骨質に関する構造面からの解析に非常に造詣が深く、また、関節リウマチおよび類縁の自己免疫疾患の頸椎変性疾患をご専門とされており、この度は、これら基礎研究から臨床研究までの幅広い範囲にわたり学ばせて頂きました。その中で特に印象に残ったのは、脊椎変性の一環で生じる骨棘が、実は脊椎の安定化に寄与することがあり、自己免疫疾患でステロイドを内服すると、この骨棘形成が抑制されるために、脊椎の不安定性がより生じやすくなる危険性があるというお話でした。また、このような患者さんに対しての手術には、力学的に椎体間固定が有利であることを、実例を交え示して頂きました。この際にも、推奨される手術の一つとしてPAVRECを加えて頂いたご配慮に、只々感銘を受けるばかりでした。

今回、残念ながら講演の模様をおさめた写真はございませんが、拙い基礎研究しかやっていない自分は、高畑講師のように基礎・臨床いずれの研究においても深く追求できるような人間になりたいと思いました。