月別アーカイブ: 2016年9月

第65回東日本整形災害外科学会若手優秀講演賞の報告(渡邉基起)

この度,9月22・23日に箱根で開催された,第65回東日本整形災害外科学会にて若手優秀講演賞を受賞致しました(演題名『リング型創外固定器に対する足底装具の有効性:渡邉基起 野坂光司 畠山和利 高橋裕介 斉藤公男 松永俊樹 島田洋一』).今までいろいろな学会発表をしてきましたが,今回はじめて受賞することができました.

近年,秋田県では四肢の重度外傷や外傷後の変形治癒・偽関節に対してリング型創外固定器を用いる手術が増え,同様にリハビリテーションを行う機会も増えました.正直に言うと,初めて目にした時は「ワイヤーが刺さってるから,当然痛みがあるだろうな」と恥ずかしながら,あまり考えもせずに思っていました.まさに学会のメインテーマであった『素心深考』をないがしろにしていました.しかし,数例経験していると荷重痛の強さに個人差があり,多くの症例は踵部のワイヤー刺入部に痛みがあることに気づきました.踵のワイヤー刺入部にかかる負荷として,踵部脂肪体の変位によるメカニカルストレスとではないかと考え,この脂肪体を変位させないような装具が作成できれば痛みが軽くなるかもしれないと考えるようになりました.当時,尖足予防用の装具として使用していたものが原型となり,現在の形になるまで2-3年間は研究というよりは,ほぼ趣味のように楽しみながら自分で装具を削ってみたり,義肢装具士と相談して材質を変えてもらったり,簡単に調整できるようにパーツに分けてもらうなどをしてきました.このように,何気なくやってきたことでしたが,振り返ってみると大きな仕事をしてきたのではと受賞して改めて気づかされました.今後もコツコツと小さな積み重ねを続けていきたいと思います.

最後に,このような発表の機会を与えて下さった島田洋一教授ならびに野坂光司先生,その他ご協力を賜りました多くの先生方に,厚く御礼申し上げます.

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第65回東日本整形災害外科学会 フットサル大会(尾野祐一)

平成28年9月22〜23日に箱根で開催された第65回東日本整形災害外科学会スポーツ親善プログラムフットサル大会に秋田大学整形外科サッカー部(エスパニョーレ秋田)として参加しました。参加メンバーは小林孝先生、堀川明先生、嘉川貴之先生、高橋靖博先生、湯浅悠介先生、私に加え、研修医の石橋恭太先生(中通総合病院)、佐々木吉寛先生(秋田厚生医療センター)、西澤光洋先生(横浜労災病院 *10月〜秋田労災病院)の9人です。昨年は一勝もできなかった大会でしたが、今回は若手3人の強力な助っ人を加え、過去最強とも言える布陣でのぞみました。大会はトーナメント形式で、参加チームは8チーム。9月22日の朝7時から1回戦が行われました。

初戦の対戦相手はToyooka Japan。初戦とあって動きは硬めでしたが、なんなく先制に成功。しかし、油断からすぐに失点。そこから相手ペースになりかけましたが、石橋先生、西澤先生が躍動し、次々に点を奪い、気づけば4-1。佐々木先生も交代で出場し、主力を温存できるような余裕の展開にもちこみました。試合終盤には小林先生も出場し、コート脇のバケツに突っ込むという珍プレーが飛び出ましたが、片方しかない健常なアキレス腱を死守したまま試合を終えることができました。

翌9月23日には準決勝が行われました。対戦相手はNCC(国立がん研究センター)。島田教授も見守る中、手堅く試合を進めていき、結果は4-1。この試合では堀川先生も出場し、場を大いに盛り上げました。

そして、初優勝がかかった決勝の相手は日本大学整形外科。フィジカルを活かしたプレーにかなり苦戦し、なかなか点をとれない展開が続きましたが、会場内で誰よりも声(ヤジ?)を出し、試合に出ている選手よりも目立ちがちな湯浅先生の応援をうけ、同学年の高橋先生がついに先制点を奪取!その後は、キーパーの嘉川先生を中心に堅い守りをみせ、1-0で勝利。初優勝となりました!

部の発足以来、負け続けてばかりでしたが初のタイトル獲得となりました。バスケ、駅伝部の陰に隠れて、今大会も周囲の期待は薄かったと思いますが、下馬評を覆す結果を出すことができ、大変満足しております。島田教授はじめ応援に来ていただいた先生方、また関連病院の先生方、誠にありがとうございました。今後もよい結果を届けられるよう精進してまいります。よろしくお願いいたします。%e3%83%95%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%b5%e3%83%ab%ef%bc%91 %e3%83%95%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%b5%e3%83%ab2 %e3%83%95%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%b5%e3%83%ab3 %e3%83%95%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%b5%e3%83%ab4 %e3%83%95%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%b5%e3%83%ab5

The 55th ISCoS Annual Scientific Meeting inVienna帰朝報告(高橋靖博)

2016年のISCoS Annual Scientific Meetingがオーストリアのウィーンにて、9月14日~16日の3日間にわたり開催されました。当科のグループであるAkita Motion Analysis Group(AMAG)からは、水谷先生、木村先生、飯田先生、岩本先生、高橋の計5演題を発表してまいりました。演題内容は、上肢リハビリロボット、超音波ガイド下頚椎神経根ブロック、座位バランス型、FES cycling、髄腔内バクロフェン療法など基礎から臨床まで多岐にわたり、秋田大学整形外科の研究成果を世界にアピールすることができたと思います。このような機会を与えていただいた島田教授・引率してくださった工藤先生にはこの場をお借りして感謝申し上げます。

まず初めに驚いたことは、学会が開催される国際会議場がホーフブルク王宮という王宮にあったことです。会議場内部も王宮の敷地内には国際会議場以外に、オーストリア大統領府、礼拝堂、博物館、乗馬学校といった様々な施設がありました。

学会場の外観です。王宮の庭園はほぼ公園で誰でも敷地内に入れました。conv0019

王宮の周囲も歴史的建築物が多く、朝ランニングがてら名所を訪問しました。

 

学会場の内部です。レッドカーペット・シャンデリアがあり、豪華な造りでした。conv0010

 

大きな学会での機器展示は最新技術を備えた機器に触れることができるので、非常に興味があります。学会では脊髄損傷用の歩行アシストロボットの展示がありました。conv0022

 

総重量は10kg弱で従来よりもかなり軽く、かつスムーズに歩行できます。実際に歩行している様子も見ることができましたが、付き添いも要らないくらい安定した歩容でした。

 

 

ポスターをバックに参加メンバーの集合写真を撮りました。conv0009

 

ポスター発表ではつたない英語で質疑応答しました。英語学習の必要性を痛感させられました。

 

海外学会といえば、日本では味わえない料理を堪能できることも醍醐味の一つです。img_8194

写真はシュニッツェルという洋風カツです。発祥の店で注文したものは直径30cm大のサイズでしたがなんとが全員完食しました。

今回は天候にも恵まれて非常に有意義で刺激的な学会でした。この刺激を今後の基礎・臨床研究のエネルギーに変えて精進していきたいと思います。お世話になった先生方、本当にありがとうございました。

 

東日本整形災害外科学会 箱根de駅伝大会 (長幡 樹)

2016年9月22日に箱根プリンスホテル芦ノ湖にて東日本整形災害外科学会で今年も恒例行事である駅伝大会が開催されました。1区間3キロのアップダウンのきつい遊歩道でのレース。台風の直撃は避けられたため、好天に恵まれるかと思いきや雨…。朝7時30分のスタート時には土砂降りの嵐のような悪天候の中での駅伝大会でした。今年は駅伝の聖地である箱根での開催とあり、参加チームも8大学11チームと過去最多、そしてなんと箱根駅伝常連、優勝候補の一角である東洋大学が特別出場してくださるという、さながら箱根駅伝本番のような盛り上がりと熱気でした。

我々秋田大学駅伝部は東日本整災の第1回大会から負け知らずの4連覇を成しています。今大会ではあのオリンピックの伊調馨選手をも超える5連覇に挑戦する大会でした。この日のために胃に穴が開くほどのプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも耐えて耐えて1年間練習を積み重ねてきました。

秋田大学からは2チームが参加しました。

Aチームは1区 竹島正晃先生(本荘第一病院)、2区 自分長幡樹、3区 千馬誠悦先生(中通総合病院)、4区 佐々木研先生(中通総合病院)、5区 三浦隆徳先生(北秋田市民病院)と今までのメンバーに加え、三浦先生という若い力を加えた5人で参加しました。またBチームは1区 阿部和伸先生(秋田労災病院)、2区 小林志先生(平鹿総合病院)、3区 佐藤雅洋先生(中通・研修医)、4区 成田裕一郎先生(中通総合病院)、5区 山田晋先生(秋田大学)とAチームも油断の出来ない布陣で臨みました。

特別参加の東洋大学には5分のハンディキャップをもらいました。東洋大学は駅伝部監督酒井俊幸監督とともに主将、副将を初め、2016年の箱根駅伝で8区を走った山本修二選手など1軍メンバーに、ハンデとして男子マネージャーを加えた、かなり本気に近いメンバーでの参戦となりました。周囲の予想は「5分のハンデじゃもっても2区か3区できっと東洋の圧勝だよ」そんな声ばかりが聞こえてきます。

東洋大学駅伝部監督の酒井監督の号砲でレースはスタートしました。1区は千葉大学が1分以上の差をつけて先行する中、秋田大学は3位。2区で前2チームを抜きトップに立つものの、筑波大学のエース選手に抜き返され2位で3区へとタスキをつなぎます。東洋大学はこの時点で4位まで順位を上げてきていました。本当に速い!ただ秋田大学も負けていません。千馬先生が年齢を感じさせない走りで1位に順位を上げ、佐々木先生が大きくリードをつけてきました。きっと4−5区の中継では東洋大学が1位だろう。誰もがそう思っていたでしょう。しかし、最初に姿を見せたのは青と白のユニフォームの佐々木先生、秋田大学でした。会場が「まさか!」と驚きに包まれていました。心なしか東洋大学の選手たちも焦っていたように感じます。最終走者にタスキが渡った時点で東洋と5秒程度の差をつけてトップでのタスキリレーとなりました。惜しくも最終走者で東洋大学には抜かれてしまいましたが、他大学に約4分の差をつけての堂々の1位、前人未到の5連覇を達成しました。またBチームも3位と大健闘をし、秋田大学全体としてのチーム力、決断力の高さをみせつけてくれました。

優勝を決めた時の島田洋一教授の安堵と喜びの顔は心に刻みこまれ、忘れられないものとなりました。

東日本整災に際して、応援してくださった先生方、本当にありがとうございました。最高の結果を持って帰ることができました。

またとても楽しいそして緊張感のある駅伝大会を開催していただいた日本医科大学整形外科の先生がたには本当に感謝をしています。ありがとうございました。また大会を盛り上げてくださった東洋大学の選手の皆様ありがとうございました。箱根駅伝、応援します。

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American Society for Bone and Mineral Research (ASBMR) 2016 Annual Meeting in Atlanta (湯浅悠介)

2016年9月16日からの4日間、米国骨代謝学会がジョージア州アトランタで開催されました。ジョージアワールドコングレスセンターという巨大施設に世界各国から骨の研究に携わる研究者が集い、秋田からは佐々木聡先生、粕川雄司先生、河野哲也先生、尾野祐一先生、長幡樹先生、そして私が参加してきました。

最新の基礎から臨床に至るまでの骨代謝に関する発表が、オーラルとポスターに分かれて行われており、そのどれもがハイレベルな内容ばかりでした。同門からは佐々木聡先生、粕川雄司先生、木下隼人先生、河野哲也先生、鈴木真純先生の5演題が通り、17、18日に分かれて発表がありました。佐々木聡先生はAdherence to Osteoporosis Treatment in Patients with Lifestyle Related Diseasesのタイトルで発表され、7人からの質問に対して英語でディスカッションされておりました。粕川雄司先生はAge-related Changes and Sex-related Differences in Spinal Kyphosis Angles and Spinal Mobility in an Elderly Japanese Population、河野哲也先生はEffects of Alendronate and Low-intensity Pulsed Ultrasound Therapies on Bone Mineral Density in Cancellous Osteotomy Sites in the Proximal Tibias of Rats with Glucocorticoid-induced Osteoporosisのタイトルで発表され、海外の方と骨代謝について英語で討論されておりました。また、自分の研究テーマに関連した発表から刺激を受けることもできました。

朝は有志を募ってのランニングが行われました。アトランタは温かく、とても気候が良いためランニングに適した地域でした。ホテルからスタートし、隣接するオリンピック公園を抜け、CNNや水族館、観覧車といった建造物を観ることで「アトランタ」という街をランニングと共に楽しみました。また、アトランタ周囲を巡り、アメリカの歴史を学ぶ機会もありました。実際にキング牧師が演説した教会などを直接訪問することで、かつては色濃く在った人種差別という問題を目の当たりにしました。

ASBMRに参加し、非常に多くのことから刺激を受けました。まだまだ自分が不足していること、今後の進むべき方向を改めて考える機会になったと思います。このような機会を与えてくださった島田洋一教授、宮腰尚久准教授にはこの場をお借りし、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

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第53回 秋田県脊椎脊髄病研究会 (水谷 嵩)

2016年9月10日第一会館本館で第53回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。

まず初めに、研修医、若手整形外科医のための整形外科基礎講座vol.6として、今回は小児の脊椎疾患に焦点を当てたご講演をいただきました。秋田労災病院の木戸忠人先生からは日常診療で触れることの多い分離症について、診断のポイントや治療についてお話ししていただきました。秋田大学の粕川雄司先生からは腫瘍について、秋田大学での手術記録をもとに疫学的な内容や画像診断についてなど、文献的な考察を含めてお話しされました。同じく秋田大学の本郷道生先生からは側弯症について、診断から健診、フォローアップについてなど多岐にわたる内容をお話ししていただきました。

ミニレクチャーは今回の当番幹事の三澤晶子先生から神経筋疾患に基づく小児脊柱変形という内容でご講演いただきました。脳性麻痺やダウン症の脊椎疾患など、三澤先生の専門分野とも言える内容が中心で、過去の大変な症例なども御呈示いただき大変興味深かったです。

一般演題は4題で、どの演題も独自性が高く今後の診療につながる素晴らしい演題でした。秋田厚生医療センターの井上純一先生は仙骨脆弱性骨折の検討、秋田労災病院の阿部和伸先生は健常日本人における脊柱骨盤アライメントの基準値の計測、佐藤千晶先生は頚椎症性脊髄症に合併したRS3PE症候群の二例、秋田大学の鈴木真純先生は外側ヘルニアを合併した腰部脊柱管狭窄症の1例を発表されました。一般演題の中から最優秀演題賞に選ばれたのは秋田労災病院阿部和伸先生の発表でした。

特別講演1は順天堂大学整形外科准教授の米澤郁穂先生から『側弯症の診断と治療〜難治症例にどう対応するか』と題してご講演いただきました。20歳以降に側弯症手術を行った場合は出血や手術時間が増える傾向があり、なるべく思春期のうちにすべきだとお話しされていました。Lenke type 2 curveに対する側弯症強制固定術をもとにShoulder balanceの重要性について述べられており、遠位近位固定端の決定についても言及され、側弯症手術の治療計画の難しさを感じました。神経原性疾患に合併した側弯症の治療として、Chiari奇形を合併した側弯症では30度以下で大後頭孔減圧術を行なうべき、空洞症の残存例には要注意とのことでした。術後の合併症についてもお話ししていただきました。矯正を行う手術の際はやはりMEPは頻回にチェックし、脊髄血流障害の評価が不可欠のようです。

 

特別講演2 は関西医科大学総合医療センター整形外科病院教授の齋藤貴教先生から『脊椎手術におけるMISt手技 この十年の歴史と今後の展望』と題してご講演されました。齋藤先生からはMISt発足の成り立ちからお話ししていただき、脊椎小侵襲手術の歴史から学ぶことができました。小侵襲固定手術の必要性、脊椎固定術におけるパラダイムシフト、PLIFの小侵襲化の過程などについてご紹介いただき、MIS-TLIF やMantis手術手技は動画をご提示いただきました。MIS TLIFとPLIFの長期成績の比較についても自験例の結果をもとに小侵襲か手術の有用性をお話していただきました。椎間関節の温存、背筋群の温存がいい結果につながるのでは、とのことで今後より発展していく可能性を感じることができました。また、PPSの応用例について、感染や、腫瘍、外傷などに応用した症例をご提示いただきました。最後にOLIF、XLIFについて問題点も踏まえ現在の課題、今後の展望などをお話しいただきました。

今回も様々な演題で勉強することができ、今後の診療に役立つ研究会となりました。

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ヨーロッパ股関節学会(木島泰明)

ただいまミュンヘンは9月9日の午前8時です。これからチェックアウトをして日本への帰路につきます。

Akita Hip Research Group (AHRG)のメンバーは日々、股関節の診療・研究に勤しんでおりますが、その素晴らしい成果を秋田や日本だけでなく世界にも発信していこうということで定期的に海外学会で発表しております。前回は2014年にハワイ島で行われたInternational Congress of Joint Reconstruction (ICJR)で発表しましたが、今回はEuropean Hip Societyで様々な秋田発の成果を発表しました。

AHRG最若手の河野哲也先生は人工股関節置換術後の雪かきや草取りも含めた活動性についての演題を発表されました。座長のドイツ人の先生にも相当気に入っていただけた内容だったようで、次のフランス人の人工股関節後のスポーツ活動についての演題の紹介の時にも雪かきに言及してくださったりしていました。佐々木研先生はHip-Spine syndromeのセッションで秋田のお家芸の一つでもある動作解析の演題を発表されました。座長の先生からは股関節伸展可動域だけでなく屈曲も含めたtotal rangeを考えると臨床に応用されやすくなるのではないかという具体的なアドヴァイスも頂けました。奥寺良弥先生は症例報告にもかかわらずオーラルプレゼンテーションで発表されました。ロシアとウクライナの座長というホットな2人に翻弄されることを心配しながら発表に臨みましたが、堂々とした受け答えでした。肩関節脱臼におけるHill-Sachs損傷が股関節に起こった症例でしたが、人工関節だけでなく骨頭回転骨切りという治療の選択肢も指摘してくださり、やはり人工関節優位のアメリカとは違った、日本に近いヨーロッパの文化も感じることができました。私は、Arthroscopic Labral repair and Open Capsular Plication (ALOCAP)の演題、変形性股関節症の痛みの原因と保存治療の演題、そして大腿骨近位部骨折に対するAkita分類の演題を発表してきました。特にAkita分類に関しては非常に良い分類だとほめてくださり、今後世界に広がっていく分類だと確信できました。今回のAkita分類の発表は転子部骨折に焦点を絞ったものですが、ちょうどその内容が私の誕生日に合わせたように本日publishされましたので興味のある方は下記よりPDFをダウンロードするなどしてお読みいただければ幸いです。URL: http://www.springerplus.com/content/5/1/1512

そしてオーバーエージ枠として参加してくださった久保田均先生は精神的・経済的なサポートをしてくださっただけでなく、すべての演題に対して的確なアドヴァイスをしていただき、本当に心の支えになりました。どうもありがとうございました!

もちろん国際学会参加の意義はもう一つあります。その土地の文化や雰囲気に触れることで世界を知ることも大事な勉強です。今回もセッションの合間を縫って、ミュンヘンの観光名所であるフラウエン教会、レジデンツ博物館、ドイツ博物館、ピナコテーク、ニンフェンブルグ城、オリンピックパークなどを訪れることができましたし、股関節外科医としてははずせない人工股関節置換術のOCMアプローチが生まれたという病院にも訪問することができました。本当にこのような貴重な経験をさせていただき、島田洋一教授、山田晋AHRG会長をはじめ、留守を預かっていただいている皆様に心から感謝いたします。

それではドイツでの最後の朝食を食べて日本に向かいます。

 

木島泰明 拝

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第12回 秋田県運動器疾患セミナー (粕川雄司)

9月8日木曜日 秋田キャッスルホテルで第12回秋田県運動器セミナーが開催されました。台風の影響で雨が降る悪天候でしたが、とても多くの方々にご参加いただきました。

はじめに秋田赤十字病院 人工関節センター長の田澤 浩先生から「人工股関節置換術前の股関節可動域が術後満足度・術後機能に及ぶす影響」と題したミニレクチャーを頂きました。ご自身の10年以上の人工関節手術の変遷についてお話しいただき、さらに人工股関節置換術の術後満足度と機能をSF-36などで評価した結果をご講演いただきました。運動器疾患の治療では、患者さんの満足度と機能に乖離が出ることがあり、その対策や治療が重要となることを改めて認識しました。また、田澤先生の毎年のSF-36の変化も楽しみにしたいと思いました。

続いて、福岡大学医学部 整形外科 教授 山本卓明先生より「股・膝関節疾患における新知見-軟骨下脆弱性骨折の観点から-」と題した特別講演を頂きました。軟骨下脆弱性骨折の診断がなされた経過や高齢者と若年者の画像所見と手術所見は大変勉強になりました。また、両側性であれば骨壊死、一方MRIにおいて中枢に凸で蛇行・途絶する低輝度バンドで造影される場合は軟骨下脆弱性で骨壊死と鑑別することや、軟骨下脆弱性骨折と骨壊死や他の鑑別疾患について詳細にレクチャーいただき、日々の診療にとってとても有意義なご講演しでした。遠路はるばる秋田にお越しいただきご講演いただきました山本卓明教授、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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韓国St Marry Hospital (齊藤英知)

Thank you professor In for inviting us to Early osteoarthritis symposium in Catholic University Medical College 2016 in Seoul. I could present our works on knee joint preserving surgery for advanced knee osteoarthritis in Akita University. Professor Nakamura from Yawata medical center also presented ” Various osteotomy around the knee” . I hope the joint preserving surgery will be accepted all over the world at least in young active age.

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第24回日本腰痛学会 (工藤大輔)

2016年9月2日から9月3日の日程で甲府にて第24回日本腰痛学会(会長:波呂浩孝教授)が開催されました。椎間板や痛みに関する基礎研究から疫学、診断、保存療法、手術まで幅広い分野の発表があり、現在の日本における最新の腰痛研究について聴講できたと思います。特に今回はサルコペニアに関する研究が多く発表され、最近特に関心が集まってきている分野だと思われました。

秋田からは一般演題として本郷講師から職業歴と脊柱変形・腰痛の関連、菊池先生から多椎間PLIFとLLIFの比較、鵜木先生から固定下端レベルによる仙腸関節障害発生頻度、そして私からは下肢を含めた姿勢・筋力とQOL・腰痛の関連について発表させていただきました。2日目は島田洋一教授より高齢者腰痛への総合的取り組みと題してモーニングセミナーが開催されました。運動療法、特に背筋運動の重要性、さらに成人脊柱変形手術に伴って得られるQOL、逆に失うADL動作も多いことなど大変印象深い内容のご講演でした。また同じ日には宮腰准教授からも骨折予防のための骨粗鬆症対策-運動療法と薬物療法のエビデンス-と題して以前から秋田大学で推奨してきた背筋運動の効果についてエビデンスとともに大変分かりやすくご講演いただきました。治療手段としての手術療法ももちろん大切ですが、運動療法がいかに重要かということが聴講されていた先生方に伝わったのではないでしょうか。

シンポジウムでは疼痛は脳にも変化をもたらし、痛みの慢性化やうつ病との関連性も科学的に証明されてきていることなど、最新の研究について紹介されていました。しかし、腰痛の診断、治療は現在もなお未解決の問題が山積みです。今後もよりいっそう運動療法、手術ほか様々な観点から腰痛診療、研究を発展させていきたいと考えさせられた会でした。

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