この度,9月22・23日に箱根で開催された,第65回東日本整形災害外科学会にて若手優秀講演賞を受賞致しました(演題名『リング型創外固定器に対する足底装具の有効性:渡邉基起 野坂光司 畠山和利 高橋裕介 斉藤公男 松永俊樹 島田洋一』).今までいろいろな学会発表をしてきましたが,今回はじめて受賞することができました.
近年,秋田県では四肢の重度外傷や外傷後の変形治癒・偽関節に対してリング型創外固定器を用いる手術が増え,同様にリハビリテーションを行う機会も増えました.正直に言うと,初めて目にした時は「ワイヤーが刺さってるから,当然痛みがあるだろうな」と恥ずかしながら,あまり考えもせずに思っていました.まさに学会のメインテーマであった『素心深考』をないがしろにしていました.しかし,数例経験していると荷重痛の強さに個人差があり,多くの症例は踵部のワイヤー刺入部に痛みがあることに気づきました.踵のワイヤー刺入部にかかる負荷として,踵部脂肪体の変位によるメカニカルストレスとではないかと考え,この脂肪体を変位させないような装具が作成できれば痛みが軽くなるかもしれないと考えるようになりました.当時,尖足予防用の装具として使用していたものが原型となり,現在の形になるまで2-3年間は研究というよりは,ほぼ趣味のように楽しみながら自分で装具を削ってみたり,義肢装具士と相談して材質を変えてもらったり,簡単に調整できるようにパーツに分けてもらうなどをしてきました.このように,何気なくやってきたことでしたが,振り返ってみると大きな仕事をしてきたのではと受賞して改めて気づかされました.今後もコツコツと小さな積み重ねを続けていきたいと思います.
最後に,このような発表の機会を与えて下さった島田洋一教授ならびに野坂光司先生,その他ご協力を賜りました多くの先生方に,厚く御礼申し上げます.