ただいまミュンヘンは9月9日の午前8時です。これからチェックアウトをして日本への帰路につきます。
Akita Hip Research Group (AHRG)のメンバーは日々、股関節の診療・研究に勤しんでおりますが、その素晴らしい成果を秋田や日本だけでなく世界にも発信していこうということで定期的に海外学会で発表しております。前回は2014年にハワイ島で行われたInternational Congress of Joint Reconstruction (ICJR)で発表しましたが、今回はEuropean Hip Societyで様々な秋田発の成果を発表しました。
AHRG最若手の河野哲也先生は人工股関節置換術後の雪かきや草取りも含めた活動性についての演題を発表されました。座長のドイツ人の先生にも相当気に入っていただけた内容だったようで、次のフランス人の人工股関節後のスポーツ活動についての演題の紹介の時にも雪かきに言及してくださったりしていました。佐々木研先生はHip-Spine syndromeのセッションで秋田のお家芸の一つでもある動作解析の演題を発表されました。座長の先生からは股関節伸展可動域だけでなく屈曲も含めたtotal rangeを考えると臨床に応用されやすくなるのではないかという具体的なアドヴァイスも頂けました。奥寺良弥先生は症例報告にもかかわらずオーラルプレゼンテーションで発表されました。ロシアとウクライナの座長というホットな2人に翻弄されることを心配しながら発表に臨みましたが、堂々とした受け答えでした。肩関節脱臼におけるHill-Sachs損傷が股関節に起こった症例でしたが、人工関節だけでなく骨頭回転骨切りという治療の選択肢も指摘してくださり、やはり人工関節優位のアメリカとは違った、日本に近いヨーロッパの文化も感じることができました。私は、Arthroscopic Labral repair and Open Capsular Plication (ALOCAP)の演題、変形性股関節症の痛みの原因と保存治療の演題、そして大腿骨近位部骨折に対するAkita分類の演題を発表してきました。特にAkita分類に関しては非常に良い分類だとほめてくださり、今後世界に広がっていく分類だと確信できました。今回のAkita分類の発表は転子部骨折に焦点を絞ったものですが、ちょうどその内容が私の誕生日に合わせたように本日publishされましたので興味のある方は下記よりPDFをダウンロードするなどしてお読みいただければ幸いです。URL: http://www.springerplus.com/content/5/1/1512
そしてオーバーエージ枠として参加してくださった久保田均先生は精神的・経済的なサポートをしてくださっただけでなく、すべての演題に対して的確なアドヴァイスをしていただき、本当に心の支えになりました。どうもありがとうございました!
もちろん国際学会参加の意義はもう一つあります。その土地の文化や雰囲気に触れることで世界を知ることも大事な勉強です。今回もセッションの合間を縫って、ミュンヘンの観光名所であるフラウエン教会、レジデンツ博物館、ドイツ博物館、ピナコテーク、ニンフェンブルグ城、オリンピックパークなどを訪れることができましたし、股関節外科医としてははずせない人工股関節置換術のOCMアプローチが生まれたという病院にも訪問することができました。本当にこのような貴重な経験をさせていただき、島田洋一教授、山田晋AHRG会長をはじめ、留守を預かっていただいている皆様に心から感謝いたします。
それではドイツでの最後の朝食を食べて日本に向かいます。
木島泰明 拝