月別アーカイブ: 2018年11月

第8回秋田県骨粗鬆症学術セミナー(齋藤光)

2018年11月30日に第8回秋田県骨粗鬆症学術セミナーが開催されました。

一般演題1として、市立秋田総合病院の赤川学先生より、「糖尿病モデルラットにおける低強度有酸素運動と活性化ビタミンD製剤が血糖値・骨密度・筋に及ぼす影響」のテーマでご講演いただきました。この内容は赤川先生が大学院で行われた基礎研究の研究成果であります。ビタミンDと運動療法が糖尿病の治療、骨や筋肉にどのような影響を与えるのかについて、非常にわかりやすく発表いただきました。特に筋肉に与える影響については遺伝子の観点からもご考察いただき、レベルの高い研究内容に感銘いたしました。基礎研究を行っている大学院生の我々にとって、大変刺激となるご講演でした。

一般演題2として秋田労災病院の奥山幸一郎先生より、「転倒、筋力低下とビタミンDの関連性の疫学調査―北鹿地方のミステリー―」のテーマでご講演いただきました。ビタミンDに関した疫学調査について、先生が行われている大規模な疫学調査についてご講演いただき、ビタミンDを中心にその充足率や、サルコペニア、筋力、転倒との関連について詳細な調査結果をお示し頂きました。日常診療を行いながら素晴らしい研究を行われる先生の姿勢は見習うべきであり、研究者の観点をもって日常診療にあたって行く重要性を再認識しました。

特別講演は札幌医科大学医学部、整形外科学講座准教授の射場浩介先生より、「骨代謝異常と運動器の疼痛―変形性関節症からCRPSまで―」のテーマでご講演いただきました。先日札幌医科大学に国内留学された湯浅先生との対話形式の講義となり、射場先生の質問に湯浅先生が的確に解答する非常にエキサイティングな特別講演となりました。骨代謝が全身に及ぼす影響について、実際の症例を交えて検討いただきました。骨代謝亢進状態が骨格の疼痛を引き起こすメカニズムについて遺伝子・細胞レベルからご講演いただき、なぜ痛むのかについて最新の知見をお示しいただきました。骨が痛む患者さんを診察した際に、その疼痛改善のためにどのような薬剤が、どのように作用するのか理解することができ、明日からの日常診療に大変参考になりました。

本セミナーでは骨代謝に関する最新の治験、ビタミンDの重要性について学ぶことができました。これからの基礎研究や臨床にご講演いただいた内容を活かし、邁進していこうと思います。

第45回日本臨床バイオメカニクス学会(三田基樹)

11月16,17日に秋田大学主催のもと、第45回日本臨床バイオメカニクス学会が開催されましたのでご報告いたします。この学会は整形外科的な目線と工学的な目線からバイオメカニクスを考える、まさに医工連携の会でした。

 

秋田厚生医療センター阿部栄二名誉院長からは、成人脊椎変性症(ASD)についてご講演いただきました。ASDの原因として起立筋の萎縮などが原因となることやその形態分類といった基本知識から、ASD手術の合併症の多さや、その反面満足度が高いこと等臨床での実際をご講演いただきました。

 

東京工業大学小池康晴教授からは、物を持ってgoalまで運ぶ軌道・関節の動き・筋張力の変化を研究する計算論的神経科学の話から、FESについて、将来的には脳波と健常側筋電図を用いることで運動開始のタイミングをトリガーし、どの筋肉を動かそうとしているかまで確認し刺激することができる、という夢のようなご講演をいただきました。筋シナジーを用いることでここの筋活動の分析が出来る、といったトピックスまで教えていただきました。

 

東京工業大学鈴森康一教授からは、ロボット工学者の考え方や東工大式空気圧人工筋のご紹介をいただきました。精密で力がありスピードもある最新のロボットも重要だが、柔軟性や適応性を持った好い加減のロボットも必要なのでは、というお話もいただき発想の切り口に感動しました。

 

特別講演では、かの有名なMayo Clinic・Johns Hopkins大学Edmund Chao教授からご講演いただきました。ご自身のOrthopaedic Biomechanicsの出会いから、研究に対する熱意の重要性を教えていただきました。御歳80歳とは思えない程お若くパワフルな教授でした。世界のトップレベルの思想を肌で感じれました。

 

今回、過去最多演題数・参加人数を記録する歴史的な学会になり、Yahoo Newsに掲載される程大盛況の中幕を閉じることが出来ました。この学会に携われた事を光栄に思いますし、私自身AMAG(Akita Motion Analysis Group)に所属しておりますので、今後の研究の糧にしていこうと思います。

第33回秋田市剣道愛好者大会個人優勝(三田基樹)

11月11日秋田県立武道館で開催されました秋田市剣道愛好者大会に参加したためご報告いたします。

 

この大会は、名前こそ穏やかな雰囲気を醸し出しておりますが、蓋を開けてみますと市内の10近い道場の猛者達が自分の道場のプライドをかけて集うものでした。後から聞いた話では、全中やインターハイ経験選手も参加していたそうです。

私は昨年この大会に出場し、ベスト8で敗北し涙を飲みました。今まで感じた事のない程の悔しさを感じた事を今でも鮮明に覚えております。この敗北を期に、1年間出来る限りの時間を剣道に注いで参りました。

 

結果として今年は個人優勝を勝ち取る事が出来ました。喜びと共に、多くの支えて下さった方々に心より感謝しております。そして、この一年あらゆる道場に稽古に伺う事で多くの先生方と知り合うことが出来ました。この出会いは私にとって素晴らしい財産です。

 

さて、本大会のテーマは「交剣知愛」です。これは剣道によく用いられる言葉で、竹刀を交えることでお互いに理解しあい人間的に向上する事を説いています。私はこの1年間勝つために稽古をして参りました。しかし、剣道の修行とは技術的な面だけでなく人間力の向上も意味する事を考えさせられました。技術面はさることながら、内面もまだまだ未熟な事を再認識致しました。

来年も連覇すべく気を引き締め直します。しかしそれだけでなく、人としても成長出来るようこれからも剣の道を修行して参りたいと思います。今後とも応援いただけますと幸いです。

 

 

余談ではありますが、アップの際に左第4趾PIP関節を脱臼し自己整復・バディテーピングして試合に挑みました。整形外科医で良かった、と心から感じた瞬間でした。

 

秋田大学整形外科剣道部 烈風会 三田基樹

第9回秋田県足の外科・創外固定研究会(村田昇平)

2018年11月24日に第9回秋田県足の外科・創外固定研究会が開かれました.一般演題からは9題,そして特別講演として奈良県立医科大学救急医学・高度救命センター講師前川尚宣先生から「重度四肢外傷に対する初期治療・再建の実際〜安全確実な再建を目指して〜」という内容で,また獨協医科大学埼玉医療センター第一整形外科主任教授大関覚先生から「Ilizarov法を応用した下肢機能再建術」という演題にてご講演いただきました.

一般演題では県内の重度外傷や,変性疾患に関する治療への専門的な治療の発表があり,各病院の先生から活発な討論がありました.秋田大学整形外科の得意とするIlizarov創外固定の有用性や神経ブロックをまとめた発表などとても勉強になりました.
またミニレクチャーとして「足関節果部骨折」という内容で男鹿みなと市民病院の柴田暢介先生にご講義いただきました.果部骨折に対する様々な最新の知見,具体的な技術をご教示いただき,これからの診療に非常に役立つ内容でした.

特別講演Ⅰの前川尚宣先生からは数々の衝撃的な重度四肢外傷,見事な治療や再建術をこれでもかというくらい多数ご教授いただきました.前川先生はマイクロサージャリー,Ilizarov創外固定など多数の分野に極めて精通されており,大変刺激的な内容でした. 前川先生が後輩の指導で大事にされていることは「プランニング」であることや,「本当にトレーニングをつんだ外科医にしかできない重症な症例は多くない. 基本事項の積み重ねで多くの症例に対応できる.」という言葉には,大変感銘を受け,今後の自分の症例との向き合い方に是非とも活かして行きたいと思いました.

特別講演Ⅱでは大関覚先生が,股関節,膝関節,足関節,距骨下関節,足部の高度変性疾患をIlizalov創外固定を用いて,達人技で加療された症例を多数ご教示いただきました.直立2足歩行には「等張性 ,アライメント ,関節の可動性,安定性」が大事であるという言葉からご講演は始まり,患者さんに満足した歩行をしてもらうためには何が大事なのかということを大変熱心にご講義いただきました.先生の豊富な経験や,知識によって立案されたIlizalov創外固定のストラテジーは,興味深い内容ばかりで,非常に勉強になりました.Ilizalov創外固定の盛んな秋田大学整形外科の一員として,今後の加療に是非とも活かしていきたいです。

最後になりますが,本研究会で学んだたくさんのことを今後の日常診療に役立て,より邁進していきたいと思います.

朝野球大会 (阿部和伸)

野球いつやるの?
朝でしょ!!

やや埃のかぶった書き出しとなったが、秋田大学医学部準硬式野球部が主催する朝野球2018は、霜が降りる季節となった11月6日の朝、われらが整形外科チームの優勝で幕を閉じた。

初戦は5月29日。泌尿器科チーム相手に7-0と快勝し最高のスタートを切ると、次いで6月8日VSスキー部6-0、6月20日VS陸上部4-1と勝ち星を重ね、予選を突破。
決勝トーナメントでは準決勝7月17日VS軟式テニス部6-0と勝利し、決勝に駒を進めた。
ここで大学の夏休みを迎え、約3か月のトレーニング期間を経て11月6日いよいよ決勝戦に臨んだ。

ここで今シーズンの登録メンバーを簡単に紹介する。
医局からは秋田が誇る打点王本郷先生、世界のホームラン王齊藤先生、中通からの刺客杉村先生、打ってから速い長幡先生、キャッチーな内野手高橋先生、意外性井上先生、そして元野球部のゴリこと村田先生、阿部(筆者)が参戦。
コメディカルから昨年心に傷を負った剛腕菅生君、ライト方向にホームラン狙い夏井さん、漢の中の漢須田、助っ人外国人相原さん、ほぼプロ木元さんがその才能を惜しみなく発揮した。

決勝のハイライトはこうだ。打点王本郷先生の先生タイムリー、齊藤先生のナイスファースト&選球眼、杉村先生のナイス出塁、菅生君の素晴らしすぎるピッチング、夏井さんの2点タイムリーツーベース&キャッチング、相原さんのナイスバッティング、須田君のナイスショート、阿部のナイスな日程調整。
終わってみれば4-0と完封勝利し、悲願の優勝を勝ち取った。

これをもって今季はシーズンオフとなる。冬の間は肉体改造に専念し、来シーズンに向けて刃を研いでいきたい。
最後に、朝野球にご理解、ご協力いただいた方々、朝早いところ応援に駆けつけてくれた方々に心から感謝申し上げ、朝野球大会のご報告とする。

(文責:阿部和伸)

第28回日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会に参加して(河野哲也)

H30.11.17〜11.18 北海道大学学術交流会館にて開催されました「第28回日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会」に参加しました.参加者は,市立秋田総合病院:柏倉剛先生,平鹿総合病院:小林志先生,櫻場乾先生,中通総合病院:杉村祐介先生,私の5人で口演1題,ポスター4題でした.
本会より,若手リウマチ医奨励賞が設けられ,杉村祐介先生が見事受賞されました!「生物学的製剤使用関節リウマチ患者における手術後感染の検討」の題でご発表され,AORA registry内の生物学的製剤使用患者において,PSL使用によるさらなる免疫能低下や糖尿病の合併が術後感染に影響を与える可能性があり,注意が必要なことをご発表されました.杉村先生誠におめでとうございます!
抄録集を見ますと,リウマチ関連の発表において,内科・整形外科・リハビリテーション科と多岐に渡る科からの発表があり,やはりリウマチ診療は総合的な視野が必要であり,臨床的な面に限らず基礎的な面に関しても勉強が必要と強く感じました.今後も研鑽を積んでいきたいと思います.

2018年 全学駅伝大会に参加してきました(長幡 樹)

2018年11月3日に毎年恒例の秋田大学主催、全学駅伝大会に参加しました。天気が心配されましたが日中は驚くほどの晴天であまり寒くもなく、絶好の駅伝日和となっていました。今年は日本リハビリテーション秋季学会と重なってしまったため、メンバーが思ったように集まらず苦労しましたが無事に参加することができました。

メンバーは1区から大屋先生、成田先生、井上先生、長幡、村田先生、笠間先生、木村先生、齋藤先生、佐々木先生、千馬先生での参加でした。あまり長い距離が得意でない自分はとても不本意なタイムとなってしまいましたが、大屋先生が1区を陸上部に次ぐ2位と好順位でスタート。新(?)戦力の村田先生、井上先生はお互いにライバルとして意識し合いながらパワフルな走りでタスキをつないでくれました。毎年、全学駅伝に参加してくれる笠間先生も昨年より1分近くタイムを伸ばして1年間の成長を見せてくれました。最後は佐々木研先生、千馬誠悦先生という整形外科駅伝部の誇るランナーが安定感のある走りでゴールまでタスキをつなぎました。医学部陸上部には足元にも及ばない結果となってしまいましたが、2位という順位は過去最高タイの順位であり全員が力を出し切った結果でした。今年最後の大会となり、締めくくりとしては満足のいく結果だったのではないかと思います。

今年は与次郎駅伝部門別7位、東日本整形災害外科学会駅伝プログラム優勝(7連覇)、全学駅伝2位とどの大会でも好成績を収めることができました。新戦力も加入しながらこれからもいい結果を残せるように頑張っていこうと思います。

4th Annual Congress of Asia-Pacific Wrist Association (APWA)参加報告(伊藤博紀)

2018年11月10、11日の両日、4th Annual Congress of Asia-Pacific Wrist Association (APWA) & 11th Japanese Wrist Surgery Workshop (JWSW)が国際医療福祉大学(成田市)において開催されました。会長は国際医療福祉大学教授 中村俊康先生です。中村教授は手関節鏡視下手術、特にTFCC治療の世界的なエキスパートです。

今回のテーマはUnsolved problems of the wristをテーマとして、TFCC injury、手根不安定症、橈骨遠位端骨折など様々な病態について、日本、韓国、台湾、中国を中心として欧米等各国から参加した各演者の発表とDiscussionが行われました。2008年頃より手外科領域では手関節鏡による診断と治療が本格化し、現在では、橈骨遠位端骨折に対する鏡視下整復が普及し、さらには1.9mmのscopeを用い遠位橈尺関節の鏡視下診断・治療が求められているなど、この10年で進化している領域と言えます。

手関節鏡のワークショップも開催され、香港大学教授Pc Hoによる関節鏡の実演の後に、手関節モデルを用いた関節鏡視や、中村先生が開発された鏡視下TFCC縫合用のガイドを用いた縫合を実際に行ってまいりました。
2日間を通して、『手関節外科の国際標準』を感じることができました。この領域におけるお自己研鑽とAHGスタッフの育成等、今後も継続していきたいと考えております。

第43回日本足の外科学会学術集会(青沼宏)

11月1日,2日の2日間,千葉県の木更津市で行われた第43回日本足の外科学会学術集会に参加しました.足・足関節の外傷・変形に限らず幅広い分野での発表がありました.特に,リウマチ足,超音波診断・評価についてのセッションが充実しており,RA足治療のニーズの広さや,関節エコー評価の期待・有用性を再認識しました.

秋田からは自分を含め4名が参加し,柏倉剛先生が,シンポジウムとパネルディスカッションでそれぞれ,「小児足関節裂離骨折に対する運動器エコーを用いた重症度評価」,「関節エコーを用いたリウマチ足部変形評価」を,野坂光司先生が,Rising Stars Sessionで「高齢者果部骨折におけるIlizarov 創外固定の適応と有用性」を講演されました.更に,千田秀一先生が,「超音波を用いた解剖学的位置関係―Anterocentral portal とmedial

midline portal の比較―」でBest Poster Awardに選ばれています.

学会ではイリザロフ創外固定の研修の際にお世話になった獨協医科大学埼玉医療センター整形外科主任教授の大関覚先生の基調講演を拝聴する機会に恵まれました.足の外科学会の将来の展望について,30歳代の学会員がとても増えていること,学会主導で教育体制の充実を図っていることなど,熱のこもったご講演が印象に残りました.

また,1日の夜には,足の外科の研修でお世話になった札幌羊ヶ岡病院の倉秀治先生と,渡邉耕太先生、寺本篤史先生をはじめとする札幌医科大学足の外科グループの先生方の会食にお誘いいただきました.来年、第44回日本足の外科学会学術集会は、倉秀治会長のもと9月に札幌で行われることになっています.ぜひ,多くのAFGメンバーが足の外科学会に参加できることを期待しています.