第14回秋田県股関節研究会(阿部寛道)

2025年11月8日(土)、第14回秋田県股関節研究会がホテルメトロポリタン秋田で開催されました。

秋田県股関節研究会会長の木島泰明先生からの毎年恒例の開会挨拶、活動報告から始まり、特別講演1では「股関節研究会でしか聞けない”再手術”を防ぐ方法」と題して、森下耀先生、筆者(阿部寛道)から発表させていただきました。

私からは「ステム周囲骨折を防ぐには!?」というテーマでお話しさせていただきました。Akita Hip Research Groupの貴重なデータからセメントレスステムにおけるステム周囲骨密度変化についてステム機種ごとの違いの研究報告、そしてステム周囲骨折の頻度の解析を行い、術後早期ステム周囲骨折のリスクについての報告と最新の論文からより良いステム選択について紹介させていただきました。ステムデザインを考慮したステム選択をすること、最適な骨粗鬆症治療介入が重要と考えます。

森下先生からは「カットアウトを防ぐには!?」というテーマで、AHRG、そして札幌医大との多施設研究のビッグデータから、エリア分類Type1-2,1-2-3(-4)の大腿骨近位部骨折に対する治療として、髄内釘による固定だと良好な整復位を得られたとしてもカットアウト率が高く、人工物置換が望ましいことを示していただきました。また「カットスルー」の概念についてもお話いただき、非常に勉強になるご講演でした。

特別講演2では横浜市立大学整形外科准教授崔 賢民先生より「股関節感染性疾患の病態と治療~神経障害性疼痛治療も踏まえて~」と題してご講演を賜りました。 人工関節外科医にとって最も治療に苦慮する感染に対する治療について、最新の知見を踏まえながらご教示いただきました。人工関節における細菌感染の基礎的なお話からDAIRの適応、Repeat DAIRやDouble DAIRといった概念、MICではなくMBEC(最小バイオフィルム破壊濃度)がPJIにおいては重要であることなど、非常にたくさんの知識が詰まったご講演でした。今後の感染治療に役立ていければと思います。

会の終了後には、崔先生を囲み、焼肉・お酒を楽しみながら親睦を深めました。超スペシャルゲストの小西薫子先生にも参加いただき大変盛り上がりました。崔先生にはぜひまた秋田へお越しいただければと思います。

研究会に先立ち行われた秋田県股関節研究会幹事会にて、藤井昌先生の副会長ご就任、久田朱里先生の幹事ご就任が決定いたしました。お二人の今後の益々の活躍を願っております。