月別アーカイブ: 2022年3月

日本四肢再建・創外固定学会 若手研究者賞受賞のご報告(三田基樹)

この度,私の論文”Open tibial shaft fracture in a boy with autism spectrum disorder treated using a ring external fixator: A case report” Trauma Case Rep2021につきまして,日本四肢再建・創外固定学会の若手研究者賞を頂くことが出来ましたのでご報告させていただきます.

この受賞は宮腰尚久教授,野坂光司先生,AIMGの皆様初め秋田大学整形外科医局の皆様に日々ご指導いただいたからこそ叶ったものであり,非常に嬉しく思います.この場をお借りして皆様に心より感謝申し上げます.

本論文は,自閉症を有する6歳男児の脛骨骨幹部開放骨折Gustilo1に対し,Ilizarov創外固定を用いて加療したケースレポートになります.一般に,小児脛骨骨幹部骨折の手術加療は成長板の温存が重要になりますので弾性髄内釘が用いられます.弾性髄内釘は低侵襲で有用な手術ではありますが,免荷期間が必要となります.本症例は自閉症の既往があることから安静が保てない可能性があった為,即全荷重可能なIlizarov創外固定を選択致しました.その結果,安静度制限を設ける必要も無く良好な経過を辿ることが出来ました.以上より自閉症などにより安静を保てない可能性のある小児脛骨骨幹部骨折にIlizarov創外固定は有用である,と考えられました.

 Ilizarov創外固定の強固な固定力により早期に除痛が得られた事が,患者様の離床に加え精神的な安定に繋がった,と強く感じた症例でした.

 今後も目の前の患者様一例一例に全力で取り組み,より良い治療を提供できる外科医を目指して参りたいと思います.また,その成果をoutputする場として積極的な学会発表・論文執筆に繋げて参りたいと思います.若輩者ではございますが,精進して参りますので今後ともご指導ご鞭撻の程何卒よろしくお願い申し上げます.

第5回骨と腫瘍セミナー(岡本憲人)

2022年3月11日に「第5回骨と腫瘍セミナー」がZOOMによりオンライン開催されました。

教育講演では秋田大学医学部附属病院整形外科助教の土江博幸先生より、「転移性骨腫瘍へのアプローチ」と題してご講演いただきました。

日常診療において患者数が増えている転移性骨腫瘍について、治療戦略などを解説して下さいました。実際に経験した症例を提示して頂き、病的骨折や麻痺をきたす前の早期発見、早期対策が重要であること、全身状態を踏まえた手術術式の決定が難しいことが非常に良く分かりました。また、土江先生が開設された骨転移専門外来が、患者さんだけでなく医療者側においてもプラスに働いており、先生の活動に感動を覚えました。今後も先生にご指導いただき、転移性骨腫瘍の早期発見、早期対策に協力できるよう精進して参りたいと思います。

特別講演では、兵庫医科大学整形外科教授の麩谷博之先生より、「これだけは知っておきたい骨腫瘍の知識」と題し、頻度の多い骨腫瘍を中心に解説いただきました。

良性病変は単純X線写真で正しく診断することが必要と改めて痛感致しました。また、関節近傍の類骨骨腫が関節炎症状をきたす、など日常診療にすぐに活かせるポイントも多く、私を含めて若手の医師において非常に勉強になる講演でした。内軟骨腫に対する骨髄鏡手術動画も提示いただき、低侵襲であり患者さんにとっても満足度が高いものと思われました。悪性骨腫瘍についても臨床症状や画像所見などを解説いただきました。骨肉腫などは珍しい疾患ではありますが、臨床症状を大切にし、悪性を疑う所見を見逃さないようにしていきたいと思います。

非常に内容が濃く、時間があっという間に経過した、充実したセミナーでした。明日からの診療に今回の内容を活かしていきたいと思います。

第59回秋田県脊椎脊髄病研究会(笠間史仁)

2022年3月5日に第59回秋田県脊椎脊髄病研究会がオンライン開催されました。

「研修医・若手整形外科医のための脊椎外科基礎講座vol.10」として、今回は「脊椎のリハビリテーション」をテーマとし、秋田大学PT渡邊基起先生から「肩こりと日本人」、市立秋田総合病院PT川越厚良先生から「体幹筋としての呼吸筋」、城東整形外科PT渡部裕之先生から「脊髄神経後枝障害に対する理学療法」についてご講演いただきました。

いずれもリハビリからの目線で、患者さんの病態を深堀りし改善に至るための戦略を学べる素晴らしい内容でした。

ミニレクチャーとして秋田大学木村竜太先生より「秋田のMIST」についてご講演いただき、秋田の最小侵襲脊椎治療のこれまでの発展と現状、そして今後の展望についてご教授いただきました。

現状秋田県には脊椎内視鏡下手術・技術認定医が少なく、今後の手技の発展・拡散に若手脊椎外科医が積極的に関わっていく必要があると感じました。

一般演題6題は貴重な経験症例や椎体終板貫通スクリューに関する発表など多岐にわたり、熱い質疑応答が行われました。

最優秀演題賞は初期研修1年目にして「椎間関節が癒合している変性後側弯症に対して側方侵入法を併用して矯正固定術を行った1例」を発表し、質疑応答でも素晴らしい対応をされた秋田厚生医療センターの秋山美穂子先生が受賞されました。整形外科入局確率99.9%とのことで、今後のご活躍も期待されます。

本当におめでとうございました!

特別講演では、亀岡市立病院脊椎センター長の成田渉先生より「脊椎手術に対するデジタルトランスフォーメーション(DX) -映像配信・メタバース(仮想空間)の試み-」についてご講演いただきました。

30歳頃から一人医長として多くの症例をご経験なさっていたことに驚いたのとともに、安全に手術を行うために様々な映像技術・システム開発を自ら行うという異色さが非常に興味深かったです。またこれらのDXがスタッフなどの教育に効果的であり、実際に木村竜太先生がオンラインで手術見学を行ったお話もスゴイ時代だと感じました。「整形外科的視点」だけではなく、他分野からの視点を持つことも重要ではないかと感じ、非常に勉強になりました。

次回は記念すべき第60回となります。

若手が秋田県の脊椎外科をさらに盛り上げられるよう、本研究会で学んだ内容を診療に役立てていきたいと思います。

脊椎ハンズオンセミナー(木村竜太)

2022年3月5日、秋田県脊椎脊髄病研究会にあわせて、脊椎ハンズオンセミナーを開催しました。

ここ2年ほど、対面式の会が開催できずにおりましたが、感染対策を行った上、若手整形外科医の手技取得のためボーンモデルを用いたハンズオンセミナーを行うことができました。

Openでの椎弓根スクリューの刺入、経皮的椎弓根スクリューの刺入、PLIFの基本手技、頚椎スクリュー各種の刺入などなかなか若手のうちには自分一人でやることは少ない手技ですが、実際に器械を触ることで、脊椎手術を身近に感じてもらえれば嬉しいです。

今後もこのようなハンズオンはぜひ定期開催したいと思います。