月別アーカイブ: 2023年7月

第41回日本骨代謝学会学術集会(岡本憲人)

7月27日から29日に第41回日本骨代謝学会学術集会が開催されました。

会場は東京都の都市センターホテルでした。連日報道されている通り、災害級の暑さであり、あまりの暑さに蜃気楼が見えるかと思いました。

当教室からは宮腰教授、粕川准教授、大屋先生と岡本が参加致しました。

現地で合流した大屋先生は、冷感マスク、冷感タオルにサングラスと暑さ対策万全の状態で登場され、大屋先生の石橋を叩いて渡る慎重な性格が遺憾無く発揮されておりました。

大屋先生は一般口演で「腎癌局所骨転移モデルに対するアクリジンオレンジとゾレドロン酸の効果」について発表されました。本学会は基礎系の先生からの発表も多い中、大屋先生の発表に対してはたくさんの質問が飛び交い、さらに大屋先生の回答も非常に流暢であり、同僚ながら感服致しました。また、宮腰教授からも大絶賛をいただいておりました。流石です!

粕川准教授と岡本はポスターでの発表でした。岡本は「アデニン誘発性慢性腎臓病モデルラットにおける骨格筋萎縮の特徴」について発表させていただきました。基礎の先生から内容について質問いただき、改めて考えさせられるところが多くありました。今後に生かしていきたいと思います。

学会の合間にはささやかですが、会場近くの居酒屋で同門会を開催し、みんなで食事を楽しみました。今回のお店は、昼は蕎麦屋、夜は蕎麦居酒屋という形態のお店でしたが、宮腰教授は蕎麦がお好きとのことで、蕎麦談義に花を咲かせながら江戸の蕎麦を堪能いたしました。

来年は沖縄開催とのことです。基礎と臨床を両立できるように来年も演題採択を目指して頑張りたいと思います。

第49回日本骨折治療学会学術集会(三田基樹)

2023/6/29から7/1まで静岡で第49回日本骨折治療学会学術集会が開催されましたのでご報告いたします。当教室からは、ハンズオンセミナー講師やPilon骨折のシンポジストを担当されていました野坂光司准教授を筆頭に、岩本洋輔先生・長幡樹先生・湯浅悠介先生・笠間史仁先生・阿部寛道先生・中西真奈美先生・森下耀先生・長岡佑樹先生・東條元旗先生と私三田基樹で参加して参りました。

本学会はあらゆる骨折に対する最新のディスカッションが繰り広げられるため、骨折治療に関する知識のアップデートが出来る最高の学会です。

「Pilon骨折のアプローチやplatingの考え方」「脛骨高原骨折後外側骨片の視認・整復方法」「踵骨骨折の基本からインプラント選択」「寛骨臼骨折前方アプローチの特徴とピトフォール」「脆弱性骨盤輪骨折の固定理論」「不安定型骨盤輪骨折の不安定性評価と固定の考え方」など、近年のトピックスがふんだんに盛り込まれておりました。私自身日々の疑問を解決出来て、とても有意義な時間を過ごさせて頂きました。

そして今回特筆すべきは、整形外科を考えてくれている研修医の先生が3人も参加してくれた事だと思います。中通総合病院から間杉健輔先生・小紫友也先生、由利組合総合病院から白崎陽一先生が参加して下さいました。皆さん非常に熱意あふれており、人柄も素晴らしく、是非将来一緒に働きたい先生方でした。アテンドして下さいました長幡樹先生・湯浅悠介先生・笠間史仁先生初め、日々研修医や学生の勧誘を頂いております皆様にこの場をお借りして感謝申し上げます。

私自身は若手セッション「真剣勝負!?骨折プロレス」に登壇し、幸い会長特別賞を頂く事が出来ました。このセッションは転子下骨折や開放骨折のエビデンスに基づいた治療理論を、寸劇のように面白おかしく、でも真面目に議論するものでした。貴重な機会を頂けた事、そしてこのセッションを通じで貴重な出会いに恵まれた事を心より嬉しく思います。これからも日々知識をアップデートし、秋田県の外傷治療に貢献して参りたいと思います。

最後になりますが、日々ご指導頂いております宮腰尚久教授はじめ、不在の期間に業務を代行して下さいました先生方に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

第35回秋田県ボディビル選手権大会(浅香康人)

当講座の筋肉担当、浅香です。

7月17日に開催された第35回秋田県ボディビル選手権大会において昨年に引き続き優勝することができましたので、ご報告させていただきます。

今回の大会は青森秋田岩手の3県合同開催という形で盛岡市にて行われました。秋田県からは6名のエントリーがあり、その中で1位という評価をいただくことができました。

運動器の専門家である整形外科医として、自らの筋肉を限界まで鍛え上げその美しさを追及することに妥協の念はありませんでした。

この大会は非常に歴史のある大会で、大先輩の畠山雄二先生が第16回大会で優勝されて以来、整形外科医としては2人目のミスター秋田(大会王者のことをそう呼びます)となります。

ボディビルのコンテストはただ筋肉があれば勝てるというものではありません。脂肪が少なくて筋肉の輪郭がより鮮明に見えていることや、美しく見せるためのポージングの技術なども要求されます。規定ポーズは7種類ありますが、ここでいくつか紹介させていただきます。1つはフロントダブルバイセップス。その名の通り上腕二頭筋を強調する最もボディビルらしいポーズです。しかし腕だけでなく、広背筋の広がりや大腿四頭筋の溝の深さなど、体表から確認できる全ての筋肉が審査の対象となります。したがって全身に力を入れた状態を維持するためにポーズをとるだけで非常に疲れます。もう1つ規定ポーズを見てみましょう。バックダブルバイセップスというポーズです。先ほどと似たポーズですが、今度は背面から審査します。これも文字通り上腕二頭筋を強調するポーズですが、僧帽筋や大円筋、広背筋といった背筋群の隆起や広がりも重要な要素になります。また大殿筋やハムストリングスなど下半身の筋肉も当然評価されるため、これも体の隅々まで気が抜けないポーズになります。

ボディビルは比較的マイナーな競技ですが、健康な体と精神力さえあれば誰でもできる競技ですので、ご興味をお持ちの方はご連絡ください。

文武両道、文字通り最強の整形外科医を目指して精進いたしますので、皆様今後ともご指導をよろしくお願い申し上げます。

第56回日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍学術集会(笠間史仁)

2023年7月13~14日に第56回日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍学術集会が新宿で開催され、当教室からは永澤講師、土江講師、雄勝中央病院の村田先生、笠間が参加しました。会場は新宿駅から地下道で直通の京王プラザホテルでアクセス抜群でしたが、気温30度超えで地下道は蒸し暑く、一足早く夏を感じました(秋田県民にとっては暑すぎました)。

私は本学会に初めて参加させていただきましたが、骨軟部腫瘍診療の難しさを少し垣間見ることができました。発表に対する討議は全体的に温かいご指導が多いと感じ、若手でも発表がしやすい学会のように感じました。また脊椎転移に関する講演を中心に拝聴いたしましたが、腫瘍整形外科医目線からの発表は脊椎関連学会の発表とは少し異なる印象を持ち、私にとって非常に刺激になる学会でした。

本学会で学んだことを日常診療に活かし精進したいと思います。

第14回小児整形外科研究会(渡辺学)

2023年7月8日秋田市のアトリオンで第14回秋田県小児整形外科研究会が行われました。ハイブリッド開催でしたが、コロナも落ち着き現地参加者が多数見られました。今後は現地のみの開催が増えてくるでしょうか。

一般演題では、成人ではなかなか見ることのない足根骨癒合症や上腸間膜動脈症候群など小児特有の疾患に関する報告が多くあり、活発な質疑応答が行われました。今回自分は「ダウン症児における足部変形への対応-運動発達との関連も含めて」という演題で発表させていただき、優秀演題賞をいただくことができました。この場をお借りして、ご指導いただいた先生方に感謝いたします。

その後のミニレックチャーでは、今年度から秋田県立医療療育センターで勤務となった河野哲也先生から「当センターにおける最近の小児股関節疾患の動向」という題名で講義いただきました。秋田県の小児股関節疾患の疫学や各疾患に関しての診察、診断、レントゲンの見方などレクチャーいただきました。

特別講演では、国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部 統括部長 関敦仁先生から「こどもの上肢疾患の診かた 手肘の先天異常を中心に」というテーマでご講演をいただきました。今までの聞いたことのないような先天性疾患に合併する手肘の変形や異常に関する内容でした。通常あるゴールドスタンダードな治療では対応が難しく、ケースバイケースで一つ一つの症例に治療を行っていく必要がありとても勉強になる講演でした。

小児は日常診療でなかなか出会う機会は多くありませんが、それゆえに診察が難しいことも多くあると思います。今回学んだことを生かし今後さらに成長していけるよう励んでいければと思います。

第43回日本骨形態計測学会(大屋敬太)

2023/6/29から7/1まで札幌で第43回日本骨形態計測学会が開催され、当教室からは宮腰教授と本郷教授、大学院生の私、岡本先生、富永先生、渡辺先生が参加いたしました。

このうち、富永先生と渡辺先生は初日のハンズオンから参加し、骨形態計測の基礎や、標本作成の仕方や評価方法など、研究に必須の知識を濃厚に学び、非常に実りある一日になったとのことです。2日目の午前のシンポジウムでは本郷教授が「脊柱の骨格形態計測-痛みやQOL低下を引き起こす姿勢異常と治療-」のご講演をなされ、その雄姿を富永先生と学先生が見届けてくれました。

午後の発表に合わせて現地入りした岡本先生と私と宮腰教授は、事前に打ち合わせていないものの飛行機の座席が密集しており、機内ですらも秋田の団結力を発揮しておりました。

会場の北海道大学は、構内の移動に自転車を要すると言われるほど広大な敷地を有しており、その巨大さにただただ圧倒されました。演題登録後に時間が余ったため、皆で現地のスープカレーを嗜みました。おもてなしを感じるそのボリュームで、その後しばらく空腹感を感じることはありませんでした。

岡本先生と私は一般演題で、それぞれ「アデニン誘発慢性腎臓病モデルラットにおける骨格筋萎縮の特徴」、「新しい腎癌局所骨転移モデルの作成」の題で講演をしました。岡本先生の発表では、話し終えるや否やその道の著名な先生方が殺到して岡本先生を質問漬けにしており、会場はその穂一番の大盛り上がりとなっておりました。

その後は大役を終えた疲れを癒すべくジンギスカンを食べ、さらに翌朝は二条市場に徒歩やランニングで出向いて海鮮を嗜みました。

最終日は宮腰教授が「骨折治癒・骨癒合からみた骨形成促進薬」のテーマでご講演をされました。百戦錬磨のその講演は、他のどの演者の方よりもすんなりと耳に入り、勉強になる内容だけでなくその話し方も大変参考になりました。

私にとっては久しぶりの学会かつ、ようやく自分の研究が陽の目を浴びる機会でもあり、大変充実した研究会となりました。なお余談にはなりますが、図らずも私と岡本先生がHOKAのシューズを買ってしまったのは、逃れられぬ陸上部の性ですね。

ご参加の機会をくださった先生方に感謝を申し上げます。

第60回日本リハビリテーション医学会学術集会(佐藤貴洋)

6月29日から7月2日の期間で日本リハビリテーション医学会学術集会が博多にて開催されました。梅雨明けまっしぐらの九州ということで、みんなクールビズでの参加でした。私はAMAGですが、実は日本リハの現地参加は初めてでした。会場は医師や療法士、看護師など多職種にわたり非常に新鮮でした。

私の目的は発表はもちろんのことですが、リハビリテーションロボットの体験です。トヨタのWelwalkを体験したのですが、そのスペックの高さに圧倒されました。また、逆にAkita Trainerの今後の伸びしろにも気付くこともできました。

今度は日本リハ秋季大会にも参加予定です。そこでは、Akita Trainerの演題をもって是非Akita Trainerの名前を全国に発信したいと思います。

第65回秋田県美術展覧会 書道の部 「特賞(県教育委員会教育長賞)」を受賞して(齊藤英知)

2023年6月23日(金)から28日(水)まで秋田市のアトリオンにて第65回秋田県美術展覧会が開催されました。この展覧会は、秋田美術展として昭和初期から開催され、太平洋戦争による休止期を経て、現在まで続く歴史ある秋田の美術愛好家の作品を展覧する歴史ある会です。展示作品はすべて入選以上であります。展覧される美術は、日本画、洋画、彫刻、工芸、書道、写真、デザインの全7部門で、展示作品は、受賞作品のみとかなり展示されるには高き門と感じておりました。受賞には5種の賞があり、上から、特賞、奨励賞、入選、賛助、招待とあります。招待は読んで字の如く、本県の美術界に特に貢献した作家や特賞を3回以上受賞した中で委員会から推挙された方の展示ということになります。4月下旬に作品のお手本を長沼雅彦先生からいただき、たくさんのご指導を頂きました。なかなか不出来な生徒で、大変なご苦労をおかけいたしました。この場をお借りして深謝申し上げます。5月2日付の魁新聞では審査員からのメッセージとして中村伸夫先生からのメッセージが掲載されました。以下、抜粋「書は文字の表現にかかわる芸術ですが、表現方法はさまざまであり、作者の工夫次第で、いろいろな作品を生み出すことができます。ただし、どのような表現であれ、書としての技術を無視することはできません。(中略)自分も作品に評価されるつもりで審査に臨みます。」メッセージを読んで真剣に取り組みました。時間が限られるので少しだけ早起きして練習し、出来が悪い生徒でしたので長沼先生に直接、筆法書法のご指導を直接頂きながら、作品を完成させました。6月17日に裏打ち(作品の裏に糊のついた厚紙をはって皺を伸ばす)作業も無事終わり、6月18日に搬入となりました。審査は6月19日で、せっかくがんばって2か月書いたので、せめて展示されればいいと願っておりましたところ(入選しないと展示されません)、当初、6月20日の紙面で発表ということでしたので、完全に油断しておりましたが、6月19日の昼時に魁新報の文化部の担当の方から電話をもらい、特賞(最優秀賞)を知りました。まさに晴天の霹靂で、脳天まで震撼が走りました。6月20日の朝刊には審査員の中村伸夫先生より評が掲載されておりました。

魁新報より抜粋「心をつかむ強さがある。豪快な隷書体であるが、柔らかい筆使いで深みを出すことに成功している。かすれが文字の形に動きと立体感を与えた。」

今回の題材は、「四体書勢の一節」でした。西晋(西暦265-316年)代では、漢代に生まれた章草(と草書もそのまま用いられ、楷行草書の実用化が進展したといわれている年代です。以下、ウィキペディアより抜粋『「四体書勢」(したいしょせい)は、西晋衛恒撰。古文・篆書・隷書(八分・行書・楷書の3書体を含む)・草書の4書体について名筆家を列挙したあとに、各書体の起源・書法・逸話などの内容を記述したもの。草書が篆書・隷書と並んで一体をなし、重要な書体としての地位を確立していることが分かる。また、曹喜邯鄲淳韋誕蔡邕の漢代の名人の書の特徴と優劣を論じている[28][38][67][70][71]


書道展示は6月23日(金)から6月28日(水)の期間、賑わい交流館AUで行われました。 他の受賞された方々は、雅号をもつ秋田県を代表する先生がたであり、展示も立派な作品に囲まれてドキドキでした(図1)。6月24日(土)の14:00からは、受賞者を一同に集めて表彰式が行われました。実際の映像です(表彰式の映像)。 授賞式に参列し、改めて本賞を受賞して、感激しました。まだまだ、ぽっと出なので、伸び代は大きいとおもって、引き続き書道の道も精進して行きたいと感じました。

図1 にぎわい交流館AUにて

整形外科では宮腰尚久教授も書道を極めた方で、教授就任後さっそく秋田大学整形外科書道部を作り、教室の方針として、スポーツ一辺倒でない文化部のある整形外科を目指し、臨床整形外科にも「書道のすすめ」をご寄稿されております。最近は、若手の入部も随分と増え、今後の活動の高まりが楽しみです。この活動が、「心を研ぎ澄まし、筆をメスに替え」人間力のある素晴らしい繊細な手術ができる若手の育成の一助になることを願っています(図2)。

図2 表彰式を終えて