月別アーカイブ: 2016年2月

第3回しらかみ疼痛セミナー (木村竜太)

2月25日(木)に秋田ビューホテルで第3回しらかみ疼痛セミナーが開催されました。平日にもかかわらず、特別講演2題ということもあり、多くの先生方にご参加いただきました。

 

特別講演1は札幌医科大学整形外科講師の加谷光規先生「股関節内病変から考える股関節疾患の病態」です。5年前から取り組んでおられる股関節鏡を中心にお話しいただきました。手術動画を交えながらFAI、寛骨臼形成不全(境界型など)、股関節弛緩症の治療方針をご説明いただき、股関節鏡の有効性を再認識しました。また後半でお話しいただいた円靭帯についてのお考えはとても刺激的でした。人工骨頭置換術やTHAで、なぜこの靭帯は切りっぱなしでいいのだろうか?なんのためにあるのか?の疑問に答えをいただくことができました。90歳でも残っている人、40歳でも消失しているOAの人、膝のACLのような存在、圧センサー等とても興味深いお考えで今後のこの分野の発展にわくわくしました。

来年度からは羊ヶ丘病院へ異動されるということで、秋田大学整形外科からも研修に行かせていただいていることから、直接ご指導いただけることを楽しみにしています。

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特別講演2は横須賀市民病院関節外科診療部長兼人工関節センター長の竹内良平先生「変形性膝関節症に対する膝周囲骨切り術の治療戦略」です。膝OAに対する手術の第一選択はHTOである、というイントロから、closed wedgeからopen wedge、そしてhybrid HTO、double osteotomyへの進化の過程をご説明いただきました。また合併症である外側ヒンジ骨折、感染、骨癒合不全の具体的な予防・対策や、術後リハビリで翌日にはcalf raises、歩行時に荷重を内側にかけるだけで歩容がガラッと変わるなど、外科医として手術成績を上げるために術前後の取り組みの重要性も教えていただきました。OAの程度で骨切り術を使い分けられるというストラテジー、また最高齢87歳の実績は益々発展する分野であることを確信させられました。ぜひ秋田県でも、膝OAの第一選択手術として、そして身内に勧められる手術として発展していければと思います。

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第13回秋田県骨軟部腫瘍セミナー (土江博幸)

2月20日(土)に秋田ビューホテルにて第13回秋田県骨軟部腫瘍セミナーが開催されました。毎年冬に行われる本研究会も今年で13回目を迎え、今回は1時間の講演が3題という、とても中身の濃いセミナーとなりました。

 

1演題目は私土江が「骨腫瘍おける骨代謝と治療」というタイトルで、主に転移性骨腫瘍に関する基礎的な事や治療に関して、主に骨代謝に関連が深い事に焦点を置き発表させて頂きました。また、ビタミンDと骨腫瘍に関する近年の知見も併せて発表もさせて頂きました。

2演題目は、当科永澤博幸講師が「脂肪細胞分化と脂肪腫・脂肪肉腫」というタイトルで、軟部腫瘍で診察する事が多い、脂肪系腫瘍に関してお話頂きました。脂肪腫・異型脂肪腫など頻繁に診察する事の多いものから、各種脂肪肉腫に関する基礎的な内容、また今後の新しい研究に関する事など、とても興味深いお話をして頂きました。

 

特別講演では、帝京大学医学部整形外科学講座 教授 河野博隆先生より、「がん診療科としての整形外科-がん時代の運動器診療科の役割-」というタイトルで御講演をいただきました。整形外科医が避けてしまう癌腫の骨転移に対して、とても積極的に治療に介入をされ、キャンサーボードの必要性など、これまでの骨転移に対する我々の考え方を改めさせる、とても内容の濃いお話を聞く事が出来ました。

 

今後、さらによりよい診療を行っていけるように、がんの骨転移に関してもさらに理解を深めていきたいと感じました。当日は、たくさんの方々にご参加いただき有難うございました。

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第2回足部領域関節エコーセミナー (柏倉 剛)

2016年2月20日に第2回となる、AFG、AIMG合同足部領域関節エコーセミナーを開催しました。場所は前回同様、市立病院外来で行いました。今回は骨軟部腫瘍研究会と日程が重なり、時間的制約もあったため、下肢神経ブロックを中心に行いました。

最初にスライドを用いたミニレクチャーを行い、神経の描出の基本、こつ、安全に施行するためのテクニックなどについて概説しました。現在、下肢のエコー下ブロックでは膝関節以下のものであれば確実に手術可能ですが、今後、より近位の手術を目指すためには後大腿皮神経、伏在神経などの個別の神経のブロックの精度を上げていく必要があります。そのため、今回は実習として下腿での伏在神経の描出を参加者の皆さんに徹底的に行っていただきました。講師として参加してくれた青沼先生の伏在神経はとても太くて立派なので、是非、一度みなさんもご覧になってください。

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第9回秋田県運動器リハビリテーション研究会 (鈴木真純)

2月13日に開催されました、秋田県運動器リハビリテーション研究会のレポートです。リハビリテーションという整形外科医のみに限らず幅広い分野、職種の関係するテーマという事もあり、会の開始前から会場は超満員の状態でした。会場後方のパーテーションをずらしてそこに応急的に椅子を並べて対応しなくてはならないほどでした。

一般演題1題目は秋田大学の木村竜太先生から御講演頂きました。先生の臨床研究テーマであるリハビリテーション用パートナーロボットに関する内容で、TOYOTAが藤田保健衛生大学と共同開発した歩行練習アシストロボット:GEARの概要、有用性について分かりやすくお話して頂きました。特に、strokeの40代男性患者の症例では、GEARを導入したリハビリプロトコルによりストライド・歩行速度の増加がみられ、劇的に歩容・歩行能力が改善した様子の実際の動画が衝撃的でした。その他、長下肢装具から短下肢装具への移行への時間短縮効果、脊髄損傷対麻痺への応用の可能性などもお話頂き、今後の更なる発展が楽しみな研究テーマでした。2題目は北秋田市民病院の冨手貴教先生の、コンポーネントの形状によってACLの機能を再現しているという特性を持つBCS TKAと従来型(決して古いという意味ではありません)conventional TKAの加速度センサーを用いた比較のご発表でした。加速度センサーを用いることで、双方のTKAの安定性を定量化し比較考察できる点が非常に有用であると感じました。ROM,満足度はともに改善傾向にありましたが、PCS TKAの脛骨、大腿骨センサーの加速度が低下したのに対し、Conventional TKAでは速度が増加したという結果で、ACL機能を再現しているため、膝の安定性に関わっているのかもしれないという非常に興味深い内容でした。

 

特別講演は、東海大学医学部専門診療学系リハビリテーション科学教授、正門由久 先生より「転倒とその予防」を御講演頂きました。なぜ転ぶのか→長生きするようになったから、というシンプルですが深い導入から、地域高齢者の転倒頻度・転倒恐怖を有する割合など大規模なデータまで、実際の先生のご家族の事例を要所要所に実例として織り交ぜてお話頂きました。特に、先生がご専門とされいていることに関連し、電気生理学的な運動単位数の変化(60歳を境に単位数減少)のこと、そしてそれに対応するように歩行速度も低下していることなど実際の基礎研究のデータの解説も、転倒という実際の臨床のoutcomeにつながる内容は非常に興味深かったです。秋田大学でも今後のテーマとしている運動療法介入に関しても、転倒予防のためのプログラム導入によりデータで20%は転倒抑制になるということはとても参考になりました。下肢伸展筋力、片脚起立時間の延長などの効果だけでなく鬱の改善の可能性もあるということで、自殺率N0.1(最近は返上したようですが)の我が県が問題に抱えるうつ状態と関連した自殺予防効果の可能性もあるかもしれません。あくまで個人的な見解ですが。

今後さらに増加してゆく高齢者に備えて、転倒予防は最重要課題の一つになります。今回の講演を是非参考にさせて頂きたいと思いました。

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ついに開催!秋田大学イリザロフ法セミナー(野坂光司)

島田洋一教授のご高配により,2月14日,秋田大学イリザロフ法セミナーを開催することができました.

秋田県内に広く浸透したイリザロフ創外固定を,基本から学ぶ機会として,若手医師,手術室看護師を対象に行いました.『若手医師は全員イリザロフを使えるようにさせる』という,全国で最もIlizarov愛を持つ教授と呼ばれる島田教授の熱い思いに応えるかのように,会場には多くの若武者たちが,所狭しと集結,イリザロフワイヤーを刺しまくっていました.模擬骨を使用し,実際にワイヤー,ハーフピンを刺入しまくり,固定するという,臨床さながらの熱気に包まれたハンズオンセミナーとなりました.

参加最年長の阿部栄二院長先生は,『組織のトップとして,自分のところの若手が使いこなすデバイスを理解する義務がある』と述べられ,非常に感銘を受けました.

休日に集まってくれた参加者のみなさん,準備,テーブル講師,後片付けを手伝ってくれたAIMGメンバー,開催に多大なるご協力いただきましたSmith & Nephewの皆様,源川医科の佐々木さん,本当にありがとうございました.

秋田のイリザロフ,まだまだ伸びしろあり,を実感することができた貴重な一日でした.アドバンスコースも計画中ですので,次回もぜひよろしくお願い申し上げます.

 

AIMGから学ぶILIZAROV法 (BASIC COURSE)   【日時】2016年2月14日(日)

【会場】北臨床棟2階 カンファランスルーム

【内容】イリザロフの基礎.外傷で使うために.

【対象】イリザロフ法に興味のある医師,手術室看護師

プログラム

12:00~12:05  島田洋一教授ご挨拶

12:05~12:50  レクチャー(野坂)

12:50~15:00 ハンズオンセミナー

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第37回東北骨代謝骨粗鬆症研究会優秀演題賞の報告(野坂光司)

このたび,2月6日に仙台にて開催されました第37回東北骨代謝骨粗鬆症研究会優秀演題賞を受賞いたしました(演題名『難治性骨折における骨質マーカーの意義:野坂光司 宮腰尚久 山田  晋 本郷道生 永澤博幸 粕川雄司 齊藤英知 木島泰明 土江博幸 島田洋一』).この会は佐藤光三名誉教授が会の立ち上げから携わっており,我々秋田大学整形外科学教室にとって大変縁の深い学会です.留学から戻り,今回久しぶりに参加させていただきましたが,大変勉強になりました.

発表内容は,早急に論文化すると宣言しますので,ということで,ここでは省かせていただき,自分の尻を叩きたいと思います.

島田洋一教授,宮腰尚久准教授のご指導のもと,A-BONEの一員として,ますます精進いたします.さて東北骨代謝骨粗鬆症研究会の優秀演題賞のA-BONEの獲得率,かなり高いのではないでしょうか.去年,一昨年は田村先生,木下先生が受賞したと記憶しておりますし,私も今回で3回目の受賞となりました.A-BONEの勢いを感じます.私,近いうちに偽関節と仮骨延長の動物実験も頑張って,来年は基礎でも発表したいと思っております.今後ともご指導よろしくお願い申し上げます.

賞状

 

第37回 東北骨代謝・骨粗鬆症研究会 (粕川雄司)

 

2016年2月6日仙台市で第37回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会が開催されました.この研究会はとても歴史のある会で,佐藤光三名誉教授が創設メンバーのお一人となっています. 今回は宮腰尚久准教授が当番世話人をされ,A-BONEからは田村康樹先生,堀川 明先生,野坂光司先生,粕川雄司が発表しました.田村康樹先生は「エディロール投与例における血中Ca/P値およびeGFRの変動と血管石灰化との関連について」,堀川 明先生は「骨粗鬆症治療におけるイバンドロネートとアレンドロネート静注製剤の使用経験」,野坂光司先生は「Charoot関節に対するLIPUSとTeriparatide併用の有効性」と,「難治性骨折における骨質マーカーの意義」の2題,粕川は「3年以上のビスホスホネート製剤治療による骨代謝マーカーの推移」の発表を行いました.15題の一般演題中5題がA-BONEからの発表となりました.そのなかで野坂光司先生の「難治性骨折における骨質マーカーの意義」が臨床系の優秀演題賞を受賞されました.野坂先生,受賞おめでとうございます.宮腰尚久准教授は「骨粗鬆症性脊椎病変の病態と治療戦略」と題したミニレクチャーをご講演されました.この研究会では基礎系の先生方や,外科,産婦人科,小児科,歯科などの臨床系の先生方が参加しているので,脊椎の骨折や変形などの脊椎病変の病態や治療法についてわかりやすく詳細にお話しされました.

特別講演では東京医科歯科大学大学院 細胞生理学分野 教授 竹田 秀先生より「臓器ネットワークからみた骨粗鬆症の病態と治療」のご講演がありました.骨と他臓器の密接な関連について最新の知見をお話しいただきました.今後骨疾患の病態解明や治療に様々な要素の理解が必要になると感じました.

また来年も研究会で発表できるように頑張りたいと思います.お疲れ様でした.

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イギリス留学記 ~その6~ (工藤大輔)  

毎朝8:15 (金曜は7:30)から症例検討のカンファレンスがあり,以前から気になっていたが,馬からの転落による脊椎外傷が意外と多い.乗馬という文化の違いと思われるが,逆に秋田の冬場の屋根からの転落による脊椎外傷はこちらでは珍しいに違いない.(というか雪自体があまりないので,雪下ろし作業というものが伝わらない気がするが・・・)また,よく言われるように頚椎椎弓形成術はほとんど行われていない.たいていは前方固定で,後方手術は椎弓切除(+固定)のようだった.前方固定は,DepuyのZero-P stand alone spacerが多く使われているようだった.たしかにプレートを当てないぶん非常にすっきりしていて良い.日本ではよく遭遇する広範囲の頚椎後縦靱帯骨化症は椎弓切除かそれ意外かで議論が白熱していた.特に椎弓切除後の後弯変形について議論となっていた.一応,椎弓形成術の話も出るが,最終的には術者の判断になり,今回は椎弓切除術が行われていた.頚髄症の評価は日整会のJOA(ジョアと呼んでいた) スコアが用いられていた.頚髄症の論文は日本から多数publishされており,この分野においては現在JOAスコアが世界標準なのかもしれない.

先日は,午前のグレビット先生の側弯外来の後,午後にメディアン先生の側弯外来を見学させていただいた.術後の患者さんは皆,真っすぐになった背骨に満足し,大変喜んでいたのが印象的だった.特にGrowing rod術後に大変良好な経過で,執筆された本の症例にもなった患者さんが家族とともに来院され,患者さん本人よりもむしろご家族が術前の我が子の写真の懐かしさと術後の経過に大喜びして携帯のデジカメでスライドの写真を撮る姿や,別の患者さんでは母親が喜びのあまり先生に抱きつく姿が印象的であった.忙しい外来であったが,いろいろ丁寧に教えていただき,modified Shilla法についても教えていただいた.まだ最近始められた術式で,中長期成績や論文はこれから発表されると思われるが,今のところトラブルは皆無とのことである.

手術は,今週も側弯症手術を多く見学させていただいた.一番大変だったのは,年齢がやや高い若年者の固い側弯であった.体格も日本ではなかなか出会えないほど立派であったため展開からすでに大変だった.Bendingで10°ほどしか矯正されない固い側弯で,凹側はほとんど骨癒合していたが,いつものように上下端と頂椎は凸側のみのPS設置を行い,ノミ-ノミ-リュエルの3ステップで骨切りを行い,椎弓下半分は一瞬で無くなった.ノミをハンマーで叩くと刺激で下肢が跳ねたり,いきなり硬膜外脂肪まで見えたりすることがあるので,見ているほうは時にヒヤヒヤするが,手慣れた作業であっという間に終了した.術前にどのように手術をされるのか尋ねたときは,固いからバランスを保つように・・・などとおっしゃっていたが,手術が終わってみるとほとんど真っすぐになっていた.感動!

渡英前に理容室に行ったが、さすがに髪がずいぶん伸びてきたので、最寄りの床屋に行ってみた.事前に島田教授から髪に水もつけずにカットする話やネットの情報も見ていたので不安だったが,背に腹は変えられない.ネット情報では洗髪はないことが多いようだったので、ちょうど手術見学後ということもありシャワーを浴びて、生乾きの髪で行ってみた.予約はとらずに突撃したが幸い店は空いていた.お客さんは一人でなぜかスキンヘッドだった.床屋に来る必要があるのだろうか・・・ すごく不安になった.お店のお兄さんも両腕に見事なタトゥーで怖かったが,引き返すこともできず,Next Please!と声をかけられると,言われるがままに座った.どうしますか?と聞かれたので,スマホの写真を見せて,こんな感じで・・とお願いした.日本の同僚に合わないので,10年ぶりくらいに短くしてもらった.ネット情報ではバリカンを多用するらしい情報があったが,いきなりバリカンで豪快に刈り上げられた.日本と違い,棚に無造作に置かれたハサミ(多分消毒洗浄があまりされていなそう)で豪快に切られた.ただ一応スプレーで水をつけてくれたので,もしかしたらいい店だったのかもしれない.ネット情報では10分くらいで終わると書いてあったが,13分くらいで終了した.お礼を行って8ポンド(1ポンド=169円 5/2/2016現在)支払って店を出た.

QMCのすぐ近くにWollaton Hall (写真12)というところがあり,なんとバットマン ダークナイトライジングでバットマンハウスとして撮影に使われたらしい.ノッティンガムではところどころ桜(?)が咲き始めてきた.(写真13)

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イギリス留学記 ~その5~ (工藤大輔)

ノッティンガム留学へ留学し,ちょうど1ヵ月経った.ノッティンガムはロビンフッドの伝説で有名ということで,いたるところにロビンフッドの像や絵が飾ってある(写真9).

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中心街やノッティンガム城(写真10)周辺もバスでほとんど行けるので,車が無くても困らない.

写真10

(写真10)

グレビット先 生には、本当に良くしていただいており,側弯手術だけでなく,腰椎人工椎間板置換術なども見せてもらうことができ,手術は毎回楽しみにしている.先日,たまたま病院の玄関先でメディアン先生にお会いし,日曜日に側弯の手術を予定しているとのことで,それも見学させていただいた.AISの後方矯正固定術であったが,グレビット先生の手術法とは異なり,どちらかというと我々の方法に近かった.全椎体にフリーハンドでスクリューを設置後,rod rotationで矯正していた.術前にはメディアン先生が考えるLIVの決め方について教えていただいた.また,前回聞けなかったGrowing rod法(modified Shilla法)を行っている理由なども教えていただいた.先週はUniversity Hospitals of Leicesterのセル先生の側弯症手術も見せていただいた.というわけで1月後半もたくさんの側弯症手術を見学することができた.また何例かTLIFも見学する機会があったのだが,使われていたcageがT-palで約1万km離れた異国の地でいつも見慣れた器械を見ることができ,なんだか懐かしい気持ちになってしまった.

話は変わり,日本とイギリスの違いをいくつか.イギリスの医師は白衣を着ない.イギリスの国営の病院(NHS; National Health Service)では2007年から感染対策のため,白衣の着用を禁止したらしい.またネクタイも禁止.というわけで服装はいつも長袖のワイシャツの袖をまくり,スラックス,革靴というスタイル.島田教授より渡英前に服装の違いで医師の位が分かると教えていただいたが,もちろんグレビット先生はカフスを使用していた.おそらくスーツもオーダーメードの上等のものだと思われる.そしてDr.ではなくMr.と呼ぶ.専門医の受診は,日本のように紹介状なしでいきなり大学病院を受診することはできず,まずは家庭医(GP; General Practitioner)を受診し,必要に応じて専門医を紹介されるというシステム.専門の診療に集中できるので,仕事の高率が良いと思われた.最後に,これは個人差があるかもしれないが,わりと皆昼食はあっさりしていて,最近は自分も合わせて軽く済ませている.写真はある日の昼食で,パンとコーヒーとチップス(写真11).

 

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イギリスの食事はおいしくないと聞いていたが,今のところそんなことはないと思う.