2026年2月12日、秋田拠点センターALVEにて第9回秋田県骨と腫瘍セミナーが開催されました。
今年の一般演題は、当講座の土江博幸講師の座長のもと、先日学位審査を終えたばかりの河原木剛先生(能代厚生医療センター)、渡辺学先生(秋田労災病院)のお二人がそれぞれ学位研究の内容でご発表されました。
河原木先生の「テリパラチド製剤が転移性骨腫瘍に及ぼす影響の検討」においては、現在転移性骨腫瘍患者への使用が禁忌となっているテリパラチド製剤が、乳癌モデルマウスの骨転移巣にどのような影響を及ぼす可能性があるかについて勉強できました。マウスでの週3回投与、すなわちヒト換算でだいたい週1回投与にあたるテリパラチド投与は腫瘍増殖には影響しない可能性が示唆され、投与回数や用量を今後さらに検討していくことで、将来的に骨転移のある担癌患者の骨粗鬆症治療をより良いものにできるという展望が見出されました。
渡辺先生の「転移性骨腫瘍に対するゾレドロン酸投与タイミングの違いに対する効果」のご発表では、骨転移患者の骨関連事象(SRE)の治療で使用されるゾレドロン酸を、担癌患者においてどのフェーズで開始するのが適切であるか、それを乳癌モデルマウスで検討したという内容でした。マウスにおいては腫瘍移植をする前からゾレドロン酸の投与を開始することで、転移巣における骨破壊の抑制や休眠する腫瘍細胞の増加に寄与する可能性が示唆されました。渡辺先生が述べていたように経口ビスホスホネート製剤で同様の結果が示唆されれば、非常に臨床のニーズに即した基礎研究となると感じました。
特別講演は、当講座の宮腰尚久教授の座長のもと、防衛医科大学校整形外科学講座の堀内圭輔教授より賜りました。「がん治療と骨転移による骨代謝異常」と題され、まさしく我々ABONE腫瘍グループの研究にも非常に関連性の高い内容で、興味深い話を沢山聴くことができました。
癌治療関連骨減少(CTIBL)について、ホルモン療法や放射線療法では性腺機能が障害されることで骨代謝に影響が出ることは想像に難くないが、抗腫瘍薬とくに抗癌剤による骨代謝への影響はまだ解明されていない部分が多いのではないかという観点から、ドキソルビシンやエリブリンにおける骨吸収および骨形成を調べられたり、骨転移巣における骨形態計測の結果から、骨転移(特に溶骨性の骨転移)では局所の骨代謝回転が亢進しているのではないかというお話があり、非常に勉強になりました。また、前立腺癌骨転移に代表される造骨性の骨転移では、単なる骨硬化として捉えるのではなく、層板骨とならない線維骨が増えることから易骨折性を引き起こすのではないかというお話もあり、非常に示唆に富んだ内容でありました。
後半はインパクトファクター(IF)についてのお話もして頂き、IFがアカデミアにおいて重要視されることになった背景や歴史から、近年の論文投稿に関してIF以外に着目すべき点についても堀内教授の御意見を伺うことができ、1時間があっという間に過ぎ去りました。機会があれば是非また、色々なお話を伺いたいと思いました。
本研究会で学んだことを活かして、今後のABONE研究をより発展させていきたいと思います。
ご講演および座長の労を賜りました先生方、誠にありがとうございました。

