月別アーカイブ: 2025年11月

第18回東北整形災害外科学会Traveling Fellowship帰朝報告(久田朱里)

2025年11月1日〜2日に香港で開催されたThe HONG KONG Orthopaedic Association 45th annual congress : HKOAに参加し、11月3日〜7日は、香港大学整形外科にお世話になり5日間のClinical attachmentを経験しました。

学会初日のOpening Ceremonyでは、国分正一先生の招待講演「Friendship between HKOA and JOA」を拝聴しました。国分先生は毎年のように香港を訪れているようで、長年築いてきた深い関係性や、HKOAとJOAの歴史を知ることができました。

一般演題は主にJointのセッションに参加し、AIによる治療方針選定やRobot手術の有用性など先進的なセッションに刺激を受けました。夜の全体懇親会前にはワインや紹興酒の試飲ができるコーナーや、香港の文化に触れることができるコーナーが設けられており、アジア各国の先生と交流を深めながら楽しみました。全体懇親会では、本格中華のコース料理を味わいながら、中国伝統芸能の変面のパフォーマンスを観たり、オーケストラの演奏を聴きました。さらに、幹事の先生方によるピアノと歌の披露もあり、そのレベルの高さに会場は大盛り上がりでした。

翌週からは、東北大学の近澤賢人先生と人工関節の外来や手術見学をしました。Queen Mary Hospitalは病床数1700床を誇る香港最大の総合病院です。人口関節班の先生は6人おり、分かりやすい英語で説明し、温かく受け入れて下さいました。通常の人工関節手術は、The Duchess of Kent Children’s Hospitalで行われており、かつて結核が流行していた頃は小児病院だったそうですが、現在は人工関節手術や小児慢性疾患、リハビリテーションが中心の病院のようです。こちらに入院する患者さんは、平均入院期間がTKAで1.9日、THAで2.5日と日本に比べてかなり短く、驚いたのが印象に残っております。

2019年からMAKO、1年半ほど前からVELYSを導入しており、最新のロボット手術を見学し、Conventionalやそれぞれのロボットの良さを学ぶことができました。実習期間がJ&J主催のAPAC Centre of Excellence Visitation Program for Joints & Soft Tissue Managementの開催日であったため、中国やインドから参加の先生方と一緒に講義を聴いたり、手術を見学しました。軟部組織や創部の扱い、周術期におけるERASの取り組みについて各国の意見を聞いたり、難しいrevision症例についてのDiscussionに参加したことは忘れられない経験になりました。実習中は食堂に連れて行ってもらい、香港式の牛肉麺やミルクティーを味わいました。先生方に香港おすすめの観光地を教えてもらったり、学会や手術見学で日本を訪れたときの話を聞くことができたのも楽しい思い出です。特に、Eimy先生には働く女性の悩みの1つである、出産や育児の話を聞くことができ、第一線で活躍する女性整形外科医に出会えたことは大きなモチベーションに繋がりました。

他県のFellowの先生方は偶然にも2020年卒の同期で、とても話しやすく、実習後や空き時間に香港の街をたくさん探検しました。点心や街中華、エッグタルト、ワンタン麺、香港式フレンチトースト、クラフトビールなど、どの食事もとても美味しかったです。フェリーやトラムに乗って、香港の美しい夜景を観ることができたのも最高の思い出です。

世界中で話題のLABUBUは、発祥地である香港でも大人気で期間限定のイベントやオブジェがたくさんありました。ミーハー女子なので記念に買おうかなくらいの気持ちでいたのですが、街中どの店舗も人気のキーホルダーは完売で買えず、より欲しくなりました。最後まで探して、帰国前に香港国際空港で無事購入できました!(付き合ってくれたFellowの皆さんありがとうございました)今回築くことができたこのご縁を大切にしていきたいと思います。

Travering Fellowの1週間は私にとって、かけがえのない経験であり、この経験を糧にさらなる努力を続けていきたいと思います。 最後になりますが、この場をお借りして、このような貴重な機会を下さった国分名誉教授をはじめ、東北整形災害外科学会事務局の方々、宮腰教授、医局の先生方に深謝申し上げます。

第14回秋田県股関節研究会(阿部寛道)

2025年11月8日(土)、第14回秋田県股関節研究会がホテルメトロポリタン秋田で開催されました。

秋田県股関節研究会会長の木島泰明先生からの毎年恒例の開会挨拶、活動報告から始まり、特別講演1では「股関節研究会でしか聞けない”再手術”を防ぐ方法」と題して、森下耀先生、筆者(阿部寛道)から発表させていただきました。

私からは「ステム周囲骨折を防ぐには!?」というテーマでお話しさせていただきました。Akita Hip Research Groupの貴重なデータからセメントレスステムにおけるステム周囲骨密度変化についてステム機種ごとの違いの研究報告、そしてステム周囲骨折の頻度の解析を行い、術後早期ステム周囲骨折のリスクについての報告と最新の論文からより良いステム選択について紹介させていただきました。ステムデザインを考慮したステム選択をすること、最適な骨粗鬆症治療介入が重要と考えます。

森下先生からは「カットアウトを防ぐには!?」というテーマで、AHRG、そして札幌医大との多施設研究のビッグデータから、エリア分類Type1-2,1-2-3(-4)の大腿骨近位部骨折に対する治療として、髄内釘による固定だと良好な整復位を得られたとしてもカットアウト率が高く、人工物置換が望ましいことを示していただきました。また「カットスルー」の概念についてもお話いただき、非常に勉強になるご講演でした。

特別講演2では横浜市立大学整形外科准教授崔 賢民先生より「股関節感染性疾患の病態と治療~神経障害性疼痛治療も踏まえて~」と題してご講演を賜りました。 人工関節外科医にとって最も治療に苦慮する感染に対する治療について、最新の知見を踏まえながらご教示いただきました。人工関節における細菌感染の基礎的なお話からDAIRの適応、Repeat DAIRやDouble DAIRといった概念、MICではなくMBEC(最小バイオフィルム破壊濃度)がPJIにおいては重要であることなど、非常にたくさんの知識が詰まったご講演でした。今後の感染治療に役立ていければと思います。

会の終了後には、崔先生を囲み、焼肉・お酒を楽しみながら親睦を深めました。超スペシャルゲストの小西薫子先生にも参加いただき大変盛り上がりました。崔先生にはぜひまた秋田へお越しいただければと思います。

研究会に先立ち行われた秋田県股関節研究会幹事会にて、藤井昌先生の副会長ご就任、久田朱里先生の幹事ご就任が決定いたしました。お二人の今後の益々の活躍を願っております。

整形外科市民公開講座2025(浅香康人)

2025年11月15日、秋田県総合保険センターにて整形外科市民公開講座2025を開催いたしました。秋田市内中心部にも熊の出没が相次ぎ、外出が少々憚られる状況にも関わらず大変多くの方々にお越しいただくことができました。

基調講演では当講座の宮腰教授より「笑わない膝のためのロコモ対策」と題して、ロコモの基本的な実態やその恐ろしさなどについて、一般市民の方々にもわかりやすくご説明いただきました。

またその後のパネルディスカッションでは山王整形外科の湊先生のコーディネートのもと、秋田赤十字病院の冨手先生、大曲厚生医療センターの高橋先生、能代厚生医療センターの塚本先生、市立角館総合病院の若林先生が対話形式で解説を行い、膝に関連した様々な疑問への理解を深めていきました。

そして手軽に実施できるロコモ対策のレクチャーを、会場の皆様にもご参加いただく形で行いました。その中で私が壇上で実演を行わせていただきました。

最後には質問コーナーを設け、来場者の皆様の身体に関するお悩みを解決するお手伝いをさせていただきました。

引き続き市民の皆様のためになる情報発信を行っていきたいと思いますので、また来年もよろしくお願いいたします。ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。

第50回日本足の外科学会学術集会(秋山美穂子)

2025年11月13日〜14日、軽井沢プリンスホテルウエストにて第50回日本足の外科学会学術集会が開催されました。(大会長:聖マリアンナ医科大学整形外科学講座 原口直樹 主任教授)

秋田大学からは口演5題、デジタルポスター6題と多数の演題が採択されました。また、シンポジウムでは野坂光司先生より「Lisfranc関節の靭帯損傷と高エネルギー外傷における治療法 〜Ilizarov創外固定併用法〜」のご講演があり、大変貴重な学びの機会となりました。

学会では、普段触れることの少ない症例や、日常診療で遭遇し得る pitfall とその対策など、多岐にわたる内容を学ぶことができました。 会場が軽井沢という自然豊かな環境であったこともあり、公演後はコテージにて同門会を開催し、親睦を深める時間となりました。とくに専攻医1・2年目の先生方の参加が多く、活気に満ちた学会期間となりました。

さらに学会後にはサッカー親善大会も開催され、秋田大学からは富永先生、間杉先生、山羽先生が選手として、秋山、山崎先生が応援隊として参加し、他大学の先生方との交流をより一層深めました。 今回の学会で得た知識、そして秋田大学内外の先生方とのつながりを大切にしながら、今後の診療へ一層活かしてまいります。

シンポジウム「Lisfranc関節の靭帯損傷と高エネルギー外傷」にて、野坂光司准教授がご講演。

全体懇親会が行われました。

サッカー親善試合も行われました。

第60回脊髄障害医学会(木村竜太)

第60回脊髄障害医学会が、慶應義塾大学中村雅也会長のもと、JPタワーで開催されました。

秋晴れの中、東京駅の目の前という好立地の学会場で、脊髄損傷を中心とした脊髄障害についての議論に参加してまいりました。

秋田からは、宮腰尚久教授、粕川雄司准教授、畠山雄二先生、工藤大輔先生、浅香康人先生、木村が参加しました。

本学会は整形外科だけでなく、脳神経外科、リハビリテーション科、泌尿器科、理学療法士、作業療法士、看護師、薬剤師など脊髄障害に関する職種が集まれる場で、いろいろな意見・考えを聞くことができます。

そして今回の学会内で、2029年の第64回が宮腰教授を会長として開催が決まりました。

2019年に島田洋一先生が開催されてからちょうど10年後の開催となります。

それに向け、秋田の脊髄障害治療をより一層発展できるよう精進してまいります。