月別アーカイブ: 2016年1月

3rd KOREA-JAPAN Knee Osteotomy Symposium (塚本泰朗)

1月16日に韓国釜山で開催された3rd KOREA-JAPAN Knee Osteotomy Symposiumに参加して参りましたのでご報告致します。秋田大学からは齊藤英知先生を筆頭に、齊藤公男先生、赤川学先生、私が参加してきました。

内容は主に変形性膝関節症に対する関節温存手術である高位脛骨骨切り術(HTO)に関するもので、治療成績から合併症に至るまで、幅広く最新の知見を学ぶことができました。

秋田大学からは齊藤公男先生が『Changes of patella position and congruency of PF joint after Hybrid CWHTO』という演題名でhybridCWHTO後のPF関節への影響に関してプレゼンテーションされました。続いて、私も『Features of lower extremity alignment in early stage SONK』という題でプレゼンテーションさせてもらいました。私にとって英語でのプレゼンテーションは初めての経験でしたのでかなり緊張しましたが、なんとか無事終えることができました。

パネルディスカッションでは日本から当大学の齊藤英知先生と、兵庫医科大学の中山寛先生のお二人が選出され、韓国の先生達に混じって活発に議論されており、日本の新進気鋭のトップランナーの勢いを肌で感じることができました。

また、赤川学先生も『Association between varus thrust and lower limb alignment in OA』という題でポスター発表され、なんと日本からの演題数は秋田大学がトップという結果でした。

招待講演では木島泰明先生が留学されたフランスからDr. Philippe Hernigouと齊藤英知先生が留学先のドイツでお世話になったDr. Kristian Kleyのお二人でともに秋田大学と縁の深い先生だったこともあり、お話させていただく機会をいただけたことも大変貴重な経験になりました。

 

今回のシンポジウムでまた新たな発見がありましたので、すぐに臨床および研究に還元していきたいと思います。

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イギリス留学記 ~その4~ (工藤大輔)

英国へ留学し、約2週経った。こちらに来てから日中ずっと晴れていたのは2日くらいだろうか。毎日数時間おきに雨が降ったり、やんだりしている。年間降水量は東京より少ないようであるが、毎日しとしと降っている感じ。感覚としては秋田より天気が悪い気がする。写真は奇跡的に終日晴れていた週末の宿舎の裏のあたりで、シティホスピタルの敷地内で撮影したもの。

写真6 先日テレビが欲しくなり、近くのホームセンターに買いに行った。英国でテレビを見るためにはTV licenceなるものを購入しないと見られないので(厳密には見られるが、ちゃんとお金を払わずにこっそり見ると罰金を請求される)、さっそくOnlineで購入した。しかし、残念ながら宿舎の電波が弱いためか?見られなかった。ブースターをつなげば映るかもしれなかったが、あいにくどこに売っているのか分からないし、日本の家電量販店のような店も近くにはない。仕方なく、届くか不安であったがAmazon.ukで注文してみた。結果は・・・ちゃんと届いたが、玄関先に荷物が置かれていた。

写真7

もちろん受け取りのサインもなし。事前にメールが来ていつ届くとか、不在時の対応(玄関先に置いてもらう、ガレージに置いてもらうなどいくつか選択できる)が記載されていたのだが、予定より早く届き、しかも不在時の対応を選択する前に玄関先にそっと置かれていた。たぶん高価なものはamazon.ukで頼まないほうが無難かもしれない。幸いテレビは見ることができた。イギリスではほとんどの番組が英語の字幕付きで見られるのだが、逆に字幕がないと英語が速すぎてさっぱり聞き取れない。でも字幕を見ながらだとけっこうリスニングの勉強になることに気付いた。朝のカンファレンスは骨粗鬆症性を含む椎体骨折(何となく、階段からの転落症例が多いような気がする)、と脊椎転移が圧倒的に多い。骨粗鬆症性椎体骨折ではほぼルーチンに多発性骨髄腫のスクリーニングを行っているようだ。また脊椎転移では不安定性がない場合にはVertebroplasty (cement augmentation)も積極的に行っているようだった。

今週見学させていただいた手術は全部側弯であった。並列で別の手術が行われていることもあるが、側弯の手術がある日は側弯を希望している。今週はグレビット先生のAISの手術の他、メディアン先生のEOSに対するGrowing rod法の手術を見せていただいた。印象はAmazing!の一言に尽きる。スクリューは凹側凸側全椎体フリーハンドで、あっという間に設置し(四肢の骨折の手術より早いかもしれない)、矯正ももちろんすばらしかった。個人情報なので、詳しいことはここに書けないが術式としてはShilla法をmodifyした感じの手術であった。通常Growing rod法では全部展開しないが、本法では全部展開しており、フェローの先生に聞いたらSemi Growing rodと言っていた。またFinal fusionの手術もしないと言っていた。メディアン先生は閉創前に退室されてしまい、あまり質問できなかったので、今度いろいろ聞いてみたいと思う(写真:病院の正面)。

写真8

 

 

イギリス留学記 ~その3~ (工藤大輔)

2016年1月4日月曜日。今日も夜明け前に病院に向かう。病院までは無料のシャトルバスがあり30分くらいかかり、病院に着くころにようやくうっすら空が明るくなる(写真5)。新年明けて最初の研修は、毎日の朝の全体カンファレンスの後、グレビット先生の外来見学であった。イギリスでは日本とは違い、かかりつけ医(GP)からの紹介がないと専門医を受診することができない。フェローの先生と一緒にグレビット先生の外来につき、Consultantであるグレビット先生がフェローを教育し、またフェローの先生もグレビット先生に適宜質問し、一つ一つの症例をディスカッションするというスタイルであった。新患が多いせいか一人一人の患者さんとの面接や診察の時間が日本よりも長く丁寧であると感じた。ちなみに診療録の記録は一通り診察した後にまとめて病歴や所見を音声として記録するというものであった。また腰痛のみの症状で紹介された患者は日本のようにすぐ薬を処方したり、注射をしたりすることもなく、多くは運動療法を指導し、特に所見や画像に問題無く、手術適応がない場合にはもとのGPに再紹介していた。この日の午後は、グレビット先生のご高配でUniversity Hospitals of Leicesterの側弯外来を見学させていただいた。こちらの病院で手術適応の患者さんが来ればQMCへ紹介し、手術を行っているとのことであった。ちなみにイギリスでは小児の側弯症に対する装具療法はほとんど行われていないとのことで、理由はイギリス人の女の子の多くがタイトな服を好み、装具を付けたがらないためコンプライアンスが悪く、多くは装具ではなく手術を望むからと教えていただいた。また側弯の学校検診も現在では行われていないとのことであった。日本では検診でなるべく早く発見して、装具療法でなるべく手術を回避しようとしているが、こちらでは装具療法を行う程度の側弯はさほど問題ではなく、進行したら手術をすれば良い(するしかない!?)というコンセプトなのだろうか。

今週は側弯症手術と腰椎人工椎間板置換術であった。側弯症手術では執刀前のレベル確認のマーキング針の打ち込みはなく、まず腰椎のみ展開し、術中所見と肋骨の触診などで見当をつけてスクリューを挿入(術前のX線と術野の終椎の傾きを見比べればほぼ間違いそうにないのだが。)し、術中にX線側面像を撮影してレベルを確認。腰椎にスクリューを入れ終わったら、胸椎を展開し、胸椎にスクリューを挿入していた。ちなみにグレビット先生のお考えでは、アウトカムに対するエビデンスが弱いとのことで回旋変形の矯正はあまりこだわっておらず、頂椎レベルでは凸側にしかスクリューを挿入しないとのことであった。もう一つの理由は脊髄が凹側によっているため、安全性を考慮してとのことであった。スクリューは刺入点の骨をリュエルで咬除してから、全てフリーハンドで素早く挿入していた。スクリューを入れ終わると、頂椎凸側の肋骨形成(肋骨切除)を行っていた。これはいつも行っているわけではなく、見ためを考慮してとのことであった。続いてCapener lamina gougeで次々と両側の下関節突起の切除を行っていく。骨から出血するのだが、手際よくサージセルとガーゼで圧迫するのでそんなに出血しない。凸側にロッドを設置すると側弯が矯正される。コンプレッション、デコンプレッションをかけてさらに側弯を矯正してから再頭側は横突起にフックを設置していた。凹側も同様にロッドを設置し、最後に棘突起を基部を少し残して切除、移植骨とし、ノミで残った棘突起基部と椎弓外板を削ぐようにdecorticationを行い、切除骨を置いて閉創していた。骨切り操作を手術の終盤に行うことで出血が押さえられ、また手数を少なくすることで手術時間が短縮されていると思われた。別の日は小児の後側弯で、Ponte Osteotomyを併用した矯正術であった。骨切りはノミで両側下関節突起を切除し、残った正中の骨を棘突起ごと一気にリュエルで切除するというやり方であっという間に、骨切りが終わってしまった。ちなみにこの手術では長い手術だから・・・ということでみんな途中で手を下ろしてランチタイムをとっていたのに驚いた。

グレビット先生は脊柱変形を主に手がけられているようであったが、今週は腰椎前方進入による人工椎間板置換術も見せていただいた。実はこれまで腰椎前方進入を見たことがなかったので、すべてが驚きであった。術中は一つ一つ丁寧に解説していただいたので非常に分かりやすかった。まだ1週間しか経ってないが、非常に勉強になった1週間であった。

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チームイリザロフ,秋田大学附属病院プロジェクトコンペ最優秀演題賞表彰式!!

昨年末に行われました,秋田大学附属病院プロジェクトコンペで,チームイリザロフが最優秀演題賞受賞したニュースを先日お伝えいたしましたが,2016年1月7日,その表彰式が盛大に行われました.プロジェクトを支えて下さった坂谷慶子師長,門間りつ子看護師はじめ,中心メンバー(高橋加苗,金 悠佳,朝倉愛子,照井ゆかり 敬称略)が列席いたしました.病院長から,『附属病院発展のため,益々頑張ってほしい』と激励いただき,堂々たる発表をした高橋加苗看護師が賞状を,金 悠佳看護師が目録を受け取りました.その瞬間を目にしたときは,ちょっと目頭が熱くなりました.イリザロフ創外固定のケア,退院支援は年々進歩しており,病棟に次々と新しいスタッフが入っても,ケア,退院支援のレベルが維持,発展しているというのは,チームイリザロフが成熟した組織である証しだと感じています.今年もたくさんの患者さんと共に歩みながら,大きな研究成果を挙げていけるように,みんなで頑張りましょう(^^)/

最後に,師長さんから一言いただきました

第一病棟8階の坂谷慶子です。病棟の退院支援ワーキンググループが院内のプロジェクトコンペ(医療サービス部門)で最優秀賞をいただきました!!日々の病棟スタッフのがんばりを院内に発信できればと思いコンペの参加を思いついたのですが、こんなに素敵なご褒美がいただけるとは想像しておりませんでした。とてもうれしく、スタッフのがんばりを誇りに思っております。これからも、スタッフとともによいケアができるようがんばっていきたいと思っております。イリザロフケアセミナーでご支援いただいた島田洋一教授はじめ、野坂光司先生に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

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イギリス留学記 ~その2~ (工藤大輔)

12月30日ノッティンガムシティホスピタルからクイーンズメディカルセンター(QMC)行きのバスに乗る。宿舎のあるシティホスピタルはQMCの姉妹病院らしく、研修するSpine unitはQMCにある。バス停で待っていると高齢の男性に話かけられ、どこから来た?という質問以外は早口で何を言っているか全くわからなかった。QMCに着き、受付のおばさんに脊椎外来の場所を聞き、脊椎外来に向かう。脊椎外来でGrevitt先生の居場所を尋ねるがどうやらX線撮影室にいるとのことで、今度はX線撮影室に向かう。しばらく待つが忙しいのかなかなかお会いできない。そうこうしているうちに今度はオフィスに案内され、まずはIDカードを作ると言われ写真を撮影、カードがすぐに出来上がったが、その後またオフィスでしばし待つ。するとフェローの先生が来てくれて、Grevitt先生は今注射をしているとのことで、それが終わるまでお相手をしてくれた。Spine unitはこちらでいう医局のようなオフィスの他、カンファレンスルームと病棟が隣接しており、とてもアクセスが良さそうだった。年末のためかみんな暇そうで卓球をしたり、しゃべっていたりしていた。日本の医者より時間的に余裕があるのだろうか。午後になるとGrevitt先生の注射が終わったとのことで、オフィスに案内され、初対面。すごく感じの良い先生で、何を見学したいか聞かれ、deformityと答えると、今度院外での出張の手術もあるから、それに連れていって下さるとのことであった。この日はあいさつを済ませ、またバスに乗って帰宅した。

12月31日、日本ではたいていの病院は休みであるが、この日は手術があるとのことで、朝の7時すぎに出勤した。ちなみにまだ空は真っ暗で月が出ていた(写真4)。 この時期夜が長いが、夏になると逆に日が長くなるらしい。この日の手術はT10-Iliacまで固定された高齢女性のPJKに対する固定延長手術であった。術式は緩んだT10のスクリューを抜去し、T4,5をフック、T6,7椎弓根スクリューでアンカーを作成し、コネクターでロッドを連結するというものであった。胸椎のスクリューは刺入点を小リュエルで骨切除し、フリーハンドでプローブ(pedicle finderと呼んでいた)を挿入、デプスゲージで長さを測って挿入するというものであった。コネクター部は力学的に弱いとのことで「川」の字に別のロッドを横止めで連結して補強していた。閉創前に、大量のイソジンで創内を洗浄し(衝撃的)、バンコマイシンの粉末を散布していた。手術を終えると術後X線の撮影はなく、抜管後、足の動きを確認することもなく、患者さんは退室していった。その後、フェローの先生に休憩室に連れていってもらい、果物やパンを食べ、しばらくおしゃべりをしてから、患者さんの元に向かった。幸い足はちゃんと動いていたが、動かなかったらどうするのだろうと心配になった。

この日の夜は、Grevitt先生のご家族にご招待され、ディナーにご一緒させていただいた。とても気さくな良い先生で、宿舎のことを心配してくれたり、今後を研修のことを気遣っていただいたりした。食事を終えるとノッティンガム中心地の散策に連れて行ってもらった。新年を祝う若者と音楽があふれ、花火も上がり、イギリスのNew yearの雰囲気を味わえた。

(写真4)

写真4

イギリス留学記 ~その1~ (工藤大輔)  

12月28日月曜日18時30分予定通りヒースロー空港到着。この日は、空港近くのホテルに1泊し、翌日ノッティンガムへ向かうことに。長旅で疲れたので、夕食は摂らずにこの日はすぐに寝ることにした。

翌朝、National expressというノッティンガム直行のバスに乗る。金額は日本円で一人一万円ほど。結構高いが、スーツケースが重いので地下鉄を乗り継ぐよりはきっと楽だったはず。ロンドンから3時間ほど北上するとノッティンガムであるが(写真1)、途中の景色は畑や牧場が広がり、ずいぶんのどかな印象だった。バスターミナルに着くと、ブラックキャブというタクシーに乗り換えて、ノッティンガムシティホスピタルに向かう。ブラックキャブとはいっても深い緑色で、街の景観によくマッチしているようだった。宿舎の場所はあらかじめグーグルストリートビューで確認していたので、なんとなく着いたが、事前に指示されていた鍵の開け方が分からず。しかたないので、同じ敷地内(とはいってもスーツケースを転がして歩くには結構遠い。)にある宿舎を管理している事務所に向かうがどうやら今日は閉まっているらしい。年明けまで閉まっているらしく、少しあせる。困っていたところ、通りすがりの病院職員の家族?らしき人に教えてもらったところに行くが、ここも鍵が閉まっている。指示された鍵の開け方を試すが、案の定開かない。何度か試しているうちに、中から住人が出てきたので、その隙に進入すると、黒い金庫を発見。日本にいるときに教えてもらっていた暗唱番号を打ち込むと金庫が開いて、Dr. Daisuke Kudoと書いてある封筒を発見。中には宿舎の鍵が入っており、最初に行った宿舎の鍵だとわかった。

宿舎は2階建てで、キッチン、リビング、寝室3部屋で家具、家電も備わっていた(写真2)。部屋も思っていたよりきれいで、宿舎を手配してくれた職員の方に感謝。暖房の付け方が分からず、家の中をいろいろ探っていると2階にWater heaterと書いてあるタンクを発見(写真3)。どうやらこれで水を温めて、循環させることで部屋を暖めるようだ。ネットで調べると、イギリスでは一般的な暖房方法らしいが暖まるのに時間がかかるらしく、一日中つけておいたほうが良いらしいということと、お湯もこのタンクから使用するらしく、両方同時に使いすぎるとだめらしいということを知った。日本ではストーブやエアコンが一般的で、部屋もすぐに暖まるので、どうも馴染めない。パソコンを見てみるとこれからお世話になるGrevitt先生からのメールがあり、着いたら電話をして欲しいとのことであった。電話をすると明日9時すぎに病院に来て欲しいとのことであった。

(写真1)

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(写真2)

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(写真3)

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2015年 御用納め (水谷 嵩)

2015年12月28日、秋田大学医学部付属病院では今年の一般外来業務が終了となり、各診療科で各々仕事納めとなったようですが、整形外科でも18時から一年の締めくくりとして秋田大学前暖やで御用納めが行われました。毎年恒例行事となっており、今年一年を振り返りながら歓談を楽しみました。2次会では座敷をひろげ看護師やリハビリスタッフとも合流するのも恒例で、多職種間で普段なかなかできない様な情報交換や議論もでき、充実した会となりました。今年は途中から同じ店で御用納めをしていた放射線科のスタッフの皆さんも合流され、いつも以上ににぎやかな会となりました。みなさん普段は挨拶程度しか交流のない方々ともじっくり話す機会を作ることができたのではないでしょうか。

来年も整形外科では学会発表だけではなくスポーツの分野でも新たな抱負を掲げ、今年以上に皆が括約できるよう決意を新たに出来たと思います。今年一年お疲れ様でした。