11月16,17日に秋田大学主催のもと、第45回日本臨床バイオメカニクス学会が開催されましたのでご報告いたします。この学会は整形外科的な目線と工学的な目線からバイオメカニクスを考える、まさに医工連携の会でした。
秋田厚生医療センター阿部栄二名誉院長からは、成人脊椎変性症(ASD)についてご講演いただきました。ASDの原因として起立筋の萎縮などが原因となることやその形態分類といった基本知識から、ASD手術の合併症の多さや、その反面満足度が高いこと等臨床での実際をご講演いただきました。
東京工業大学小池康晴教授からは、物を持ってgoalまで運ぶ軌道・関節の動き・筋張力の変化を研究する計算論的神経科学の話から、FESについて、将来的には脳波と健常側筋電図を用いることで運動開始のタイミングをトリガーし、どの筋肉を動かそうとしているかまで確認し刺激することができる、という夢のようなご講演をいただきました。筋シナジーを用いることでここの筋活動の分析が出来る、といったトピックスまで教えていただきました。
東京工業大学鈴森康一教授からは、ロボット工学者の考え方や東工大式空気圧人工筋のご紹介をいただきました。精密で力がありスピードもある最新のロボットも重要だが、柔軟性や適応性を持った好い加減のロボットも必要なのでは、というお話もいただき発想の切り口に感動しました。
特別講演では、かの有名なMayo Clinic・Johns Hopkins大学Edmund Chao教授からご講演いただきました。ご自身のOrthopaedic Biomechanicsの出会いから、研究に対する熱意の重要性を教えていただきました。御歳80歳とは思えない程お若くパワフルな教授でした。世界のトップレベルの思想を肌で感じれました。
今回、過去最多演題数・参加人数を記録する歴史的な学会になり、Yahoo Newsに掲載される程大盛況の中幕を閉じることが出来ました。この学会に携われた事を光栄に思いますし、私自身AMAG(Akita Motion Analysis Group)に所属しておりますので、今後の研究の糧にしていこうと思います。