JSETS in Akita および Orthopedics Trauma Caravan in Akita 開催報告(野坂光司)

2026年3月21日〜22日に秋田市(フォーラムアキタ)にて,「Orthopedics Trauma Caravan(OTC)in Akita」および「JSETS in Akita」が開催されました.秋田大学整形外科が中心となり,関連施設とともに本企画を主催し,多くの整形外科医が現地およびWebで参加しました.

本セミナーは,コモンフラクチャーから重度四肢外傷まで「我々は如何に考えるべきか?」をテーマに,外傷整形外科における実践的治療戦略について症例ベースで議論する,とことん深掘りすることを目的として開催されました.ハイブリッド形式で行われ,活発なディスカッションが展開されました.

近年,外傷診療は高度専門化が進み,担い手の偏在や若手医師の経験機会の減少といった課題が顕在化しており,「外傷診療は果たしてサスティナブルであるのか」という問いが現実的な問題として浮かび上がっています.昔は全整形外科医が行っていた開放骨折初期治療,洗浄デブリドマンを学ぶ機会として,本セミナーは,こうした課題に対して,入局者減少,外傷学志願者減少という,人口減少高齢化県から一つの解を提示する試みとして企画されました.

3月21日に開催されたOrthopedics Trauma Caravan in Akitaでは,
白幡毅士先生「難治性上腕骨近位部骨折術後偽関節に対して有茎肩甲骨移植を行った1例」,
長幡樹先生(由利組合総合病院)「認知症高齢者の肩甲骨関節窩前縁骨折(骨性Bankart)を伴う反復性肩関節脱臼」,
原田俊太郎先生「荷重肢獲得のために内固定にリング型創外固定を併用した両側Pilon骨折の1例」,
湯本聡先生(秋田赤十字病院)「橈尺骨骨幹部骨折に対し尺骨を一期的内固定した1例」,
の症例提示が行われました.
また,特別講演の座長 宮腰尚久教授,演者 札幌東徳洲会病院 土田芳彦先生より「外傷整形外科の勧め」と題した講演が行われ,外傷診療の本質,教育の重要性について示唆に富むメッセージが共有されました.

続く3月22日のJSETS in Akitaでは,
野坂「船に落ちた75mmの脛骨を持参した足関節周囲骨折Gustilo 3CをIlizarov創外固定で再建した1例」,
湯浅悠介先生「術後に癒着による正中神経麻痺が発生した上腕骨骨幹部開放骨折の1例」,
岩渕圭一郎先生「重度開放骨折に対するブラッシング洗浄:秋田外傷グループの工夫」,
白幡毅士先生「複合組織欠損を伴う小児足背デグロービング損傷に対する靱帯・腱再建とALT皮弁による機能再建の1例」,
菅原聡馬先生(秋田赤十字病院)「Gustilo 3A/3B境界領域の両下腿骨骨折を含む多発外傷の1例」,
の発表が行われました.

菅原先生,岩渕先生の堂々とした発表姿は,秋田における外傷の若手へのバトンリレーが行われた感がありました.

本セミナーを通じて,レジェンド土田先生の知識を存分に吸収し,重症外傷からコモンフラクチャーに至るまで,外傷診療を一部の専門家のみに依存するのではなく,地域全体で支える体制の重要性が再認識されました.すなわち,外傷診療のサスティナビリティを担保するためには,「集約」と「裾野の維持」の両立が不可欠であり,教育・連携・実践を一体として推進する必要があります.

今回のOTCおよびJSETSの開催は,秋田における外傷診療の持続可能性を見据えた新たな取り組みであり,若手医師の育成と地域連携の強化という点で大きな意義を有するものと考えられます.

秋田大学整形外科では,今後も外傷整形外科領域における研究・教育・臨床を通じて,持続可能な外傷医療体制の構築と,患者さんの機能回復および生活の質向上に貢献してまいります.