秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.
ZSFGHで病院見学しているといろいろな職業の名札を見かけます.「DOCTOR」という名札の人が診察している風景は日本と変わりありませんが,「NP」という名札の人が同じように診察して処方したり,専門医と治療方針についてディスカッションしているところを見かけます.
彼女(見学しているときにいたのが女性だったので)の職業はNurse Practitioner;NPで,日本語では診療看護師と略されます.看護師なのですが,外来でやっていることはほぼ医者そのもので,診察し,診断し,処方します.手術はできません.NPは開業権を持ち,その給与は平均時給で約45$と報告されています.レジデントの職務範囲と重なるため,外来や病棟に数名配置されているようです.
歴史をたどると,第二次世界大戦後の医師不足から始まっているようで,時代を変遷する毎にそのニーズと職務範囲が拡大してきた背景があります.近年では医療費抑制という政策や,医師の専門化の促進,レジデントの勤務時間の抑制による人手不足で,プライマリケアを担うNPの存在感が更に高まってきているという流れです.
この流れを見ると,日本でもこの制度が導入されてもおかしくはなく,実際に看護協会でもその働きかけをしています.
もしこのような制度が導入されると,外来診療も病棟業務も少し楽になるかもしれません,そのかわり,整形外科医として,より専門的な知識と技術,手術手技を持たないと働けないという時代になってくると考えられます.われわれ医師は,常にアップデートを繰り返す必要があり,身が引き締まる思いです.
NPさんと.やっていることはがっつり医者です.
つづく