セミナーレポート」カテゴリーアーカイブ

こまち骨粗鬆症セミナー (鈴木 真純)

2015年2月27日(金)ビューホテルにて開催されました、こまち骨粗鬆症セミナーのご報告です。同日より急激に寒くなり,天候も一時荒れましたがたくさんの先生方々のご参加を頂きました。今回は、一般演題2題・学術講演に慈恵医科大学整形外科 斎藤 充准教授をお招きしての開催となりました。

一般演題1題目は「男性骨粗鬆症の検討」、不肖ながら鈴木が発表させて頂きました。続発性であればまだしも、原発性男性骨粗鬆症となると、そう外来で見かける頻度は多くない疾患だけに、発表という機会を頂きつつ勉強する機会を頂いたという実感でした。今回は時間の関係もあり4例に厳選しての報告になりましたが、これを機にまた何か新しい知見があれば発表してゆきたいと思います。2題目は秋田労災病院の佐々木 寛先生の「当院通院中の骨粗鬆症患者における血清25(OH)ビタミンD濃度」のご発表でした。骨粗鬆症治療において、筋や中枢への作用の可能性などを秘めたビタミンDの、血中濃度と、動的バランスなど項目をご検討されたものでした。外来で頻用される治療薬だけに、とても興味深い結果と内容でした。

最後は、斎藤 充准教授の学術講演「新たな骨粗鬆症病型分類をもとにした治療薬の使い分けの実際—骨質劣化は骨折重症化の危険因子」でした。骨強度の30%を占めると言われている骨質を中心に、種々の骨粗鬆症の病態・それに合った治療戦略・ビスホスホネートの最近の知見などのお話を頂きました。実際の臨床で様々な骨粗鬆症治療薬が治療のツールとして使えるようになってきている現在、「使い分け」を強く意識していなかった(理解していなかったという方が良いか)自分にとても勉強になるご講演でした。特に自分の研究テーマにしているminodronateの、resedronateからの切り替えのお話や、Vit B6の骨粗鬆症治療における影響のお話などは衝撃的でした。感銘を受けると同時に己の不勉強が恥ずかしくなる、正に教育的な御講演でした。

この会の後は、斎藤 充准教授を囲む会が川反某所でひらかれ、野坂光司先生の奥様、野坂恵子先生にもご参加頂きました。アカデミックな話は勿論ですが、先程の会とは打って変わって非学術的なお話も大いに盛り上がりました。特筆すべきは野坂恵子先生よりカミングアウトされた「ぶるぶるチェアー」のお話でした。プライバシーの問題がありますので、詳細はここでは控えさせて頂きます。

セミナーも、そしてセミナーの後も非常に充実した内容の1日となりました。

 

秋田大学整形外科 大学院 鈴木 真純

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第12回秋田県骨軟部腫瘍セミナー (永澤博幸)

第12回秋田県骨軟部腫瘍セミナーが、2015年2月14日に開催されました。

本セミナーは県内整形外科医を主な対象とし、骨軟部腫瘍に関する診療技術向上のため年1回開催されております。今回の特別講演は、JA北海道厚生連旭川厚生病院整形外科主任部長の川口哲先生をお招きして、「米国テキサス大学アンダーソンがんセンターでの整形外科診療」というご講演をしていただきました。川口先生は米国医師免許試験に合格し、いくつかの州で医師免許を取得されております。このうち、テキサス大学アンダーソンがんセンターでのご勤務時代の経験をもとに日米の整形外科医療制度、骨軟部腫瘍診療の違いについてご講演いただきました。

米国医師免許を持たない医師の研修は基本的に見学のみになりますが、米国医師免許を取得され実際に勤務なされていたご経験による講演は、特に若い先生にとってインパクトがありました。セミナー終了後の情報交換会では、もっと詳しい話を聞かせてもらうべく多くの県内若手整形外科医が川口先生の周りに集まっていたのが印象的です。

川口先生におかれましては、新千歳空港が雪まつり状態の中、岩手県花巻空港より秋田市入りすることになり、ご足労をお掛けしました。今後ともご指導よろしくお願いします。

 

第2回しらかみ疼痛セミナー(水谷 嵩)

第2回 しらかみ疼痛セミナーの報告(水谷 嵩)

2015年2月12日、秋田ビューホテルで第2回しらかみ疼痛セミナーが開催されました。整形外科医として日常診療でもっとも関わりの多い疼痛に関するセミナーで、第2回となる今回も平日にもかかわらず多くの先生方にお集まりいただきました。

今回は特別講演2題をご講演頂きました。1題目は九州大学病院整形外科講師の播广谷勝三先生から「脊椎腫瘍性疾患に伴う疼痛-診断と治療におけるknack & pitfalls-」の演題でご講演頂きました。播广谷先生は脊椎と腫瘍を専門とされており、今回は脊椎腫瘍について豊富な経験から手術症例、診断に至るまでをご発表していただきました。最近注目されている低リン症誘発性骨軟化症に関する話題や、脊索腫、骨巨細胞腫の手術治療など大変興味深い内容でした。

2題目は大阪大学大学院医学系研究科運動器バイオマテリアル学の准教授富田哲也先生から「整形外科医のためのNSAIDの使い方」という演題でご講演いただきました。富田先生の専門は関節リウマチで、他にも様々な分野でご活躍されておられます。そのご経験の中で、今回は我々整形外科医には切っても切れないNSAIDsに関する話題でご発表いただきました。NSAIDs潰瘍とその予防、NSAIDsと骨粗鬆症についてなど明日から使える知識を自験例を含めお話ししていただきました。

秋田大学大学院  水谷 嵩

秋田県骨粗鬆症学術セミナー報告(木下隼人)

2014年11月19日、特別講演の講師として、北海道大学整形外科の高畑雅彦講師をお招きして、秋田ビューホテルで開催されました。自分も一般演題を出させていただきました縁にて講師控室でご挨拶をする機会を得ました。物静かで控えめな印象を受け、穏やかな方でした。脊椎を専門とされており、秋田オリジナルとされるPAVRECを非常に高く評価して頂きました。

一般演題では、最初に自分の拙い学位研究について述べさせて頂きました。

次に、山本組合総合病院の伊藤博紀先生より『橈骨遠位端骨折治療のピットフォール』という題にて御講演頂きました。橈骨遠位端骨折のプレート適応が、関連病院で手術全体の96%に達したとの報告や、術中に肘を20°屈曲することで橈骨手根関節面がきれいに抜けて見え、スクリューが関節面に突出しているかどうか確認しやすいなど、実臨床に役立つ内容で、大変勉強になりました。

高畑雅彦講師におかれましては、『関節リウマチおよび類縁疾患患者に発生する骨質異常と脊椎再建手術における問題点』について御講演を賜りました。高畑講師は骨質に関する構造面からの解析に非常に造詣が深く、また、関節リウマチおよび類縁の自己免疫疾患の頸椎変性疾患をご専門とされており、この度は、これら基礎研究から臨床研究までの幅広い範囲にわたり学ばせて頂きました。その中で特に印象に残ったのは、脊椎変性の一環で生じる骨棘が、実は脊椎の安定化に寄与することがあり、自己免疫疾患でステロイドを内服すると、この骨棘形成が抑制されるために、脊椎の不安定性がより生じやすくなる危険性があるというお話でした。また、このような患者さんに対しての手術には、力学的に椎体間固定が有利であることを、実例を交え示して頂きました。この際にも、推奨される手術の一つとしてPAVRECを加えて頂いたご配慮に、只々感銘を受けるばかりでした。

今回、残念ながら講演の模様をおさめた写真はございませんが、拙い基礎研究しかやっていない自分は、高畑講師のように基礎・臨床いずれの研究においても深く追求できるような人間になりたいと思いました。

研修医セミナー報告(秋田赤十字病院整形外科 木村竜太)

H26年11月8日に第11回研修医のための整形外科学セミナーが開催されました。

はじめに私が「研修医だからできる疼痛緩和」の題で研修医の生活や自分が取り組んでいる超音波ガイド下神経ブロックの紹介をさせていただきました。

秋田大学大学院の大内賢太郎先生からは「私の大学院生活-研究とスポーツと肩関節疾患との闘い-」と題して、大学院生の生活や、専門の肩について札幌羊ケ丘病院での研修やハワイでのカダバートレーニングの経験などをご紹介いただきました。またノーザンデーモンズ(野球部)主将としてのご活躍もお話いただきました。これから日本整形外科学会への出場をぜひ叶えてほしいですね。

羽後町立羽後病院の阿部秀一先生から「当施設における運動器疾患の治療について」と題して、羽後病院で行われている整形外科医としての仕事、また地域医療を担う整形外科医の役割に対するお考えなどをご講演いただきました。健康寿命を延ばし、多くの方に元気な生活を提供されている姿に改めて整形外科医の良さを感じました。最後には羽後病院の紹介ビデオとして作成した恋するフォーチュンクッキーの動画を流されましたが、とても病院の良さが出ている動画でした。ぜひyoutubeにもUPして欲しいです。

当日は6名の初期研修医の先生方が参加され、たくさんの質問をいただきました。ありがとうございました。ぜひこれから一緒に秋田の整形外科を盛り上げていきたいです。

今後も本セミナーは定期的に開催予定ですので興味のある研修医、学生の方はぜひご参加下さい。

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由利組合総合病院初期研修医の阿部和伸先生からは、質問タイムに地元羽後病院への熱い思いを伝えていただきました。