H28年9月28日、第2回なまはげ運動器セミナーが開催されました。
一般講演では中通総合病院の佐々木香奈先生から「膝関節軟骨損傷に対する自家培養軟骨移植の小経験−自家培養軟骨移植と感染対策−」について、術式の詳細から施行症例の経過をご説明いただきました。秋田県内のJACCを用いた手術件数はこれまで5件となり、初期の例はsecond lookも行われています。整形外科領域でも再生医療は日々進歩しており、今後の治療成績に期待されます。
市立横手病院の冨岡立先生からは「当院に於ける骨粗鬆症骨折及び外傷骨折の治療の現状と問題」と題してお話しいただきました。かなり厳しい人工関節周辺骨折や開放骨折の症例などをご提示いただきましたが、その素晴らしい治療成績から秋田県の骨折治療のレベルの高さを示していただきました。今後は遊離皮弁も組み合わせた治療が秋田県内の整形外科医で完結できる取り組みも始まっており、より一層の治療レベル向上が期待されます。
特別講演では京都府立医科大学リハビリテーション医学病院教授の三上靖夫先生に「スポーツによる脊椎脊髄損傷」についてご講演いただきました。三上先生は柔道5段で、現在も柔道の指導に携わられています。講演会に先立って行われた柔道交流会では、華麗な動き、投げ技を見せていただき、また招待選手としてご参加いただいた弘前大学佐々木英嗣先生(5段)とは整形外科医日本トップクラスの試合を披露いただきました。ご講演ではスポーツによる脊髄損傷の疫学データから、ラグビー、柔道などコンタクトスポーツのリスクを説明いただきました。またなかなか一般的には浸透していない、柔道により起こりうる外傷を、実際の受傷時の動画を使用して解説いただきました。これは実地で長年取り組まれている三上先生にしか出来ないご講演で、多くの先生方がその動画に興味を持っておられました。現在柔道においても医科学委員会が本格的に始動しており、三上先生はその中心としてご活躍されています。秋田でも疫学データなどを集め、障害予防含め、医療サイドからのサポートを強化して参りたいと思います。