第78回秋田県整形外科医会(河原木 剛)

令和5年10月7日(土)、第78回秋田県整形外科医会が秋田県総合保健センターで開催されました。今回も現地とウェブのハイブリッド開催で、専門医取得前の医師によるResident Award Sessionと、専門医取得後の若手医師によるYoung Specialist Award Sessionで多くの演題発表がありました。最優秀演題賞は、それぞれ中通総合病院の岩渕圭一郎先生、秋田厚生医療センターの原田俊太郎先生が受賞されました。大変おめでとうございます。岩渕先生からは、手の舟状骨骨折は、骨折型に応じて適切な手術アプローチを選択することで、とても良好な治療成績が得られることを報告していただきました。大変素晴らしい術後成績で感銘を受けました。原田先生からは、従来であれば切断されていた足部の重度骨軟部感染に対し、デブリードマンとCLAPを併用することで下肢を温存できた症例について発表していただきました。CLAPの有用性のほか、CLAP使用における留意点や、デブリードマンの重要性についても改めてお話いただきました。また、他の演題も大変勉強になるものばかりでした。

特別講演1は、昭和大学横浜市北部病院 副院長/整形外科教授の川崎恵吉先生より、高齢者に多い上肢骨折の治療戦略や手術治療のピットフォールを、骨粗鬆症治療に絡めて教えていただきました。自分自身今まで触れる機会がなかった人工肘関節についてもご講演いただき、超高齢の骨接合が困難な上腕骨通顆骨折に対しては、人工肘関節置換術が有用な治療選択肢となりうることを教えていただきました。

特別講演2では、東京医科歯科大学 運動器外科学教授の古賀英之先生より、半月板損傷の外科的治療の発展についてご講演いただきました。半月板損傷の基本的な事項から、治療の変遷、最新の治療戦略について、理論を交えながら詳細に教えていただきました。まるで教科書のような、あるいはそれ以上にまとまったプレゼンテーションで、手術動画も大変分かりやすく、目から鱗が落ちるような講演でした。

総じて、今回もとても勉強になる会でした。準備、企画、運営をしていただいた木島泰明先生をはじめ、会の運営に携わっていただいたスタッフの皆様、ありがとうございました。