2016年7月15日秋田ビューホテルにて愛媛大学整形外科の准教授である尾形直則先生をお招きし第6回秋田県運動器疼痛治療セミナーが開催されました。
運動器とは、「筋肉・腱・靭帯・骨・関節・神経・脈管系などといった身体運動に関わる組織や器官によって構成される機能的連合」と言われています。運動器に関連する疾患や状態として、骨粗鬆症・変形性関節症・リウマチ・スポーツ外傷・身体障害・要介護状態などがあり、我々整形外科医が中心になって運動器疾患を治療していく必要があります。今回のセミナーには整形外科医だけでなくPT・OT・看護師といったコメディカルのほかに医学生も出席しており、非常に活気のある勉強会でした。
一般演題の1題目は「外来診療でトラムセット配合錠が著効した2症例」とういう演題で由利組合総合病院の鈴木紀夫先生が講演をしていただきました。腰椎椎間板ヘルニアと肩鎖関節障害の2症例におけるトラムセット使用例を紹介していただきました。本処方にあたって過度な副作用の説明は寧ろ悪影響を与える場合があることや、副作用を予防するにあたっての併用剤に関して、本剤の漸増投与について、急性期・収受付きの使用に関してといった明日から日常診療に直結する御発表であり、大変勉強になりました。
2題目は「頸椎疾患の外科的治療」という演題で秋田大学の石川慶紀先生が講演をしていただきました。秋田大学で行っている頸椎前方固定・後方固定の手術について動画を交えながらご紹介いただきました。椎弓根スクリューのテンプレートといった最近の取り組みや、Virtual RealityやAugmented Realityといった今後の頸椎手術の展望についても説明していただき、大変興味深い内容でした。
特別講演では「腰下肢痛の保存的治療」という演題で愛媛大学整形外科准教授の尾形直則先生がご講演していただきました。痛みの長引く原因や、腰痛診断のアルゴリズムなどをわかりやすいスライドで説明していただきました。慢性疼痛に対する鎮痛剤の使い方に関してもご教示いただき大変勉強になりました。また患者さんに説明する腰痛に関するパンフレットを頂きました。今後の臨床に使用していきたいと思います。
2時間と短い時間でしたが非常に濃密で有意義な勉強会でした。今後も積極的に参加し、最新の知見を学んでいきたいと思いました。