平成28年7月8日に第9回秋田県整形外科リウマチセミナーが開催されました。秋田県では臨床グループとしてAORAというリウマチグループがあり、秋田県でのRAについての大規模Dataの研究を行っています。また情報交換をしっかりすることで県内での統一した治療方針での治療を行えるようになってきています。
一般演題1題目は市立角館総合病院の青沼宏先生がAORAでのエタネルセプト(ETN)継続率についての講演をしていただきました。秋田県で最も使用されているバイオ製剤であるETNはクリニックでの導入数の多い薬剤であること、Steinbrocker分類でStageⅢ、Ⅳと関節破壊が進んでいるがADLは自立している症例での導入が多いことなど秋田県での使用傾向について細かなDataを発表していました。昨年の発表で生じた疑問点などについても更なる詳細な研究について教えていただきました。
2題目ではAORAにけるcsDMARDs併用療法の調査について秋田赤十病院の谷貴行先生から発表をしていただきました。csDMARDsについての基礎的な解説、また全体の約使用例の約20%で行われている併用療法について詳細な発表をしていただきました。併用療法ではDAS28ERでの活動性が高く、生物学的製剤が使いにくい症例に使用されていることが多いことなどについてとても勉強になる講演でした。
また特別講演として大阪市立大学整形外科学准教授乾健太郎先生に「トファシチニブ(TOF)によるRA治療の現状とRA患者の術後感染症」の演題でご講演をいただきました。まずリウマチ治療の一般液な変遷についてわかりやすく教えていただきました。近年ではRA患者に対する手術が少しずつ減ってきている、つまりは重症RAが減ってきているだろうことなど多くのDataからの考察を教えていただきました。またRAがあるだけで術後感染のRiskと言われていて、肘、足部の感染が多いなどの部位別でのRisk評価など大変勉強になりました。帯状疱疹は最も注意しなければならない合併症であり、その対応、注意点などについてご講演いただき、すぐに今後の診療に役立たせられそうなご講演でした。また休薬による感染リスクの減少など、なんとなくわかっていた知識について補填し、Dataに基づいた知識で講演していただきました。
2時間という短い時間ではありましたが、とても有意義に勉強をさせていただきました。まだ自分自身はあまりRA治療に直接的にかかわることは少なかったのですが、今後の外来治療などに生かしていきたいと思います。