本講習会は障がい者スポーツの発展のため、年1回、埼玉県所沢市にある国立障害者リハビリテーションセンターで行われています。
今回は2月23日〜25日に行われ、秋田県からつつみ整形外科の堤祥浩先生と木村の2名が参加しました。
障がい者スポーツといえば、メディアで取り扱われる肢体不自由(脊髄損傷や肢体切断)のイメージが強いですが、他にも視覚障がい・聴覚障がい・内部障がい(心機能・呼吸機能・腎機能障がいなど)、知的障がい、精神障がいがあります。
本講習会ではパラリンピックのような競技スポーツだけでなく、病院内で行われるリハビリテーションスポーツ、在宅・施設内で行われる生涯スポーツについても学ぶことができました。
知的障がいのある人たちの大会を、スペシャルオリンピックスと呼びますが、知的障がいのマラソン世界記録保持者は日本人だとご存知でしょうか?時間は2時間23分09秒と素晴らしく、世界選手権ではこのような選手が、サインを求められているそうです。日本もいつかそんな雰囲気になって欲しいです。
実技では車椅子バスケとゴールボールを体験しました。ゴールボールでは、ロンロンパラ金メダリストの女子選手など、ナショナルチーム選手から直接指導頂きながら行いました。アイシェイドという、光も一切通さないマスクをつけ、何も見えない中で行うスポーツの経験は貴重でした。車椅子バスケは、下肢を使えない難しさがありますが、障がい者の方と同じ目線で一緒に楽しむことができるスポーツだと思います。初めてのブザービートも経験でき大満足でした。
パラスポーツはまだまだ知られていないだけで、オリンピックスポーツと同じくらい楽しめます。ぜひ盛り上がっている平昌でも、パラスポーツも注目してみてください!今年はNHKでも初の実況つきです。
懇親会では他県の整形外科の先生と、切断術の是非について議論できました。重度四肢外傷において、四肢を温存することが理想と考えていますが、機能としては切断し義肢や車椅子などを使うことで世界で活躍するアスリートになれる可能性もあります。このようなパラアスリートの活躍が、今後の治療方針にも大きく影響してくるかもしれないと考えさせられました。
今回の講習会を終えた69名を合わせ、全国で計524名が障がい者スポーツ医として登録されます。年々講習会の人気は上がっており、倍率は1.5倍ほど、受講資格を得るのも大変になってきたようです。ご興味のある方はお早めに!
秋田県内の障がい者スポーツ医は当科の藤井昌先生を含め、4名になりました。IPC(国際パラリンピック委員会)のmottoである「To enable Para athletes to achieve sporting excellence and inspire and excite the world」のように、秋田でも障がい者がスポーツを楽しむことができる環境、活躍できる環境を作り、さらにそれが健常者のスポーツ環境改善、意欲向上につながることを信じ、サポートしていきたいと思います。