今年は暖冬の影響で雪の少ない秋田市。しかし直前の大雪であたり一面は雪景色となり、特別講師の先生を秋田らしい冬景色でお迎えすることができました。2020年2月6日にAKITA MUSCULOSKELETAL FORUMが開催されましたので報告いたします。
本研究会では「手の外科」についての講演を、中通総合病院の千馬誠悦先生と、広島大学大学院医学系研究科上肢機能解析制御科学教授の砂川融先生からいただきました。
千馬先生からは「手指変形性関節症」のテーマでご講演いただきました。手指の変形性関節症は年齢を重ねるほどに有病率が高くなる疾患であり、外来でもよくみかけます。2019年にヘバーデン結節がテレビで取り上げられたことにより、最近ではさらに相談が増えた印象をうけます。治療法のうち内服治療、装具治療、手術治療について、先生の日頃行っている方法を教えていただきました。特に近年話題となっているサプリメントや、指に装着する8の字装具に関する情報は、明日からの診療に役立つ情報であり大変勉強になりました。
砂川先生からは「手外科に対する脳科学的、運動学的アプローチ」というテーマでご講演いただきました。砂川先生が大学で行っている基礎研究のうち、動作解析や脳機能マッピング、運動イメージや経頭蓋直流電気刺激、電流知覚閾値検査などについて多彩な研究結果を披露いただきました。特に手指の知覚障害についての話が印象にのこりました。手指の知覚低下、しびれや痛みについては、直接障害されている末梢神経の治療に注目しがちですが、中枢の脳を騙すことで症状を改善させるというアプローチがあることは驚きでした。また動作解析の話題もあり、当教室で基礎研究にあたっている大学院生は大変な刺激をいただきました。砂川教授、お忙しい中、大変ありがとうございました。