投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第66回日本手外科学会学術集会(佐藤貴洋)

2023年4月20日~21日で日本手外科学会(通称 日手会)が開催されました.会場は日本の中心地新宿でした.

本学会では積極的に刺激を得ようとハンズオンへ参加しました.

手の造形ハンズオンでは指イリザロフを用いたハンズオンレクチャーがありました.残念ながら定員漏れをしたため外から見学という形になってしまいがしたが,たまたま居合わせた湯浅先生がハンズオンの受講者だったので先輩がハンズオンしている姿を間近でみることができました.しかも湯浅先生の講師は外傷関連でも有名な前川先生でとても貴重な場面を見学させて頂きました.(ちょっとだけハンズオンをお裾分け頂けたのも貴重な経験でした.)

2日目はStellar Rのハンズオンに参加しました.モデルボーンを使って密にプレートに触ることでプレートの癖のようなものをこの身で感じることができました.使わなければならない症例はそもそも治療が難しい症例になるかとは思いますが,事前に心の準備をすることができました.

また今回,岩手医科大学のハンドグループの先生方にお声掛け頂き,食事会に参加させて頂きました.我々は湯浅先生,齋藤光先生,自分のAHG最若手3人で参加しました.相手側も同世代の先生がご参加されており,他大学の先生方から聞けるお話は非常に有意義なものでした.

日手会は初めての参加でしたが,本当に刺激的でかつ貴重な経験となりました.教育研修口演が全く聞けなかったのが残念でしたが,後日配信されるオンデマンドでしっかりと復習したいと思います.

令和5年 阿仁運動器検診(阿部寛道)

2023年4月19日〜21日の3日間、北秋田市阿仁地区で久しぶりの運動器検診を行いました。
2009年から毎年行っていた検診ですが、コロナ禍もあり2019年以来4年ぶりの開催のようでした。検診では、握力、下肢筋力、背筋力といった筋力測定の他、スパイナルマウスを用いた脊椎アライメントの測定、立ち上がりテスト、2ステップテストといった“ロコモ度”をチェックするテストを行いました。ロコモティブシンドロームとは、骨や関節、神経、筋肉などの運動器の障害が原因で移動する機能が低下した状態のことです。以前から参加されている住民の皆さんにとっては、過去の自分の結果と比較することで、今後の日常生活での運動習慣に活かせますし、初めて参加した皆さんも現状の運動機能を把握する良い機会であったのではないかと思います。
私も実際に「立ち上がりテスト」を行い、10cmの台からの片脚での立ち上がりにやや難儀したので、日々の運動・筋トレをサボらず行おうと心に決めました。

今回も例年通り、秋田大学医学部CC2の6年生3名、CC1の5年生7名にもお手伝いいただきました。住民の方々に優しく丁寧に説明し、測定を行う姿がとても印象的でした。大変お疲れ様でした!

住民の皆さんの健康に少しでもお役に立てるよう、来年度以降もこの運動器検診を継続していく予定です。


第52回日本脊椎脊髄病学会学術集会(岡本憲人)

4月13日から15日まで、札幌コンベンションセンターで開催された第52回日本脊椎脊髄病学会学術集会に参加してきました。(獨協医科大学整形外科主任教授 種市洋会長)

Akita Spine Group(ASG)からは11題の発表があり、活発なディスカッションが繰り広げられておりました。筆者は発表がありませんでしたが、様々な発表を拝聴させていただき、非常に勉強になりました。

今後秋田からも興味深い研究を発信していけるよう頑張ります。

機器展示会場ではいろんなインプラントを見たり、AO spineブースで入会の約束をしたりと口演以外にも楽しませていただきました。

また、会期中には現地での同門会も開催されました。宮腰教授は残念ながら不在でしたが、多くの先生に参加いただき、非常に盛り上がりました。今後改めてASGとして一丸となり臨床・研究に取り組んでいきたいと感じました。

来年のJSSRに向けて、また再始動していきたいと思います。

宮腰尚久教授就任祝賀会(小滝優平)

3月4日に宮腰尚久教授就任祝賀会が盛大に開催されました。

コロナ禍で開催時期が遅れてしまいましたが、この度開催できたことを教室の一員として大変嬉しく存じます。

未だコロナ禍ということもあり会場内は50人の人数制限の下の開催でしたが、学内外より多くの来賓の方々にご臨席賜り誠にありがとうございました。

【論文掲載報告】9軸慣性センサを用いた変形性膝関節症の歩行解析 (北秋田市民病院 塚本泰朗)

この度, 9軸慣性センサを用いた変形性膝関節症の歩行解析に関する論文がSensors (IF 3.847)に掲載されました.

Tsukamoto, H.; Saito, K.; Saito, H.; Kijima, H.; Akagawa, M.; Komatsu, A.; Iwami, T.; Miyakoshi, N. A Novel Classification of Coronal Plane Knee Joint Instability Using Nine-Axis Inertial Measurement Units in Patients with Medial Knee Osteoarthritis. Sens

ご指導いただきました宮腰尚久教授, 齊藤英知先生をはじめ, 臨床研究グループのメンバーにこの場を借りて深謝申し上げます.

変形性膝関節症は日本国内に約2530万人いると推計されており、痛みや可動域制限などのため日常生活に支障をきたし, 要介護の原因となりうる疾患です. 進行するとラテラルスラストと呼ばれる歩行時の膝の外側への横ぶれ現象を認め, ラテラルスラストは痛みや病期の進行度との関連が深い異常運動として整形外科医の間で一般的に知られています. 我々の先行研究にて, 9軸慣性センサと呼ばれるウェアラブルデバイスを下肢に装着して歩いてもらうだけで, ラテラルスラストを簡易的に定量評価する手法を開発しました(Hiroaki Tsukamoto, Kimio Saito, Toshiki Matsunaga, Takehiro Iwami, Hidetomo Saito, Hiroaki Kijima, Manabu Akagawa, Akira Komatsu, Naohisa Miyakoshi, Yoichi Shimada, Diagnostic Accuracy of the Mobile Assessment of Varus Thrust Using Nine-axis Inertial Meas). その研究の中で, 人間の目では捉えられないほど小さなラテラルスラスト(潜在的スラスト) が生じていることがわかりました.

そこで今回の研究では, 9軸慣性センサから得られる加速度データを用いて歩行時に膝に加わる慣性力の方向によって4つの歩行パターンに分類し, ラテラルスラストを歩行パターン間で比較検討しました. 結果は立脚初期に大腿および下腿に反対方向(内/外側)の加速度が生じている歩行パターンでは潜在的スラストが生じていることがわかりました. さらに, この異常な歩行パターンは従来のレントゲンでは異常を認めない早期変形性膝関節症患者に多く認められるという結果でした.

ウェアラブルデバイスはスポーツ現場から我々の日常生活まで広く浸透してきており, 整形外科分野においても臨床応用が期待されています. 将来的には, デバイスをつけて歩くだけで変形性膝関節症の重症度や予後判定ができるようなデバイスやアプリの開発につながることを期待して, 臨床と研究をバランスよく実践していきたいと思います。

第60回秋田県脊椎脊髄病研究会(渡辺学)

2023年3月4日秋田市にぎわい交流館AUで第60回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。今回の当番幹事は秋田赤十字病院の尾野祐一先生が務めておりました。Zoomと現地のハイブリッド開催となり少しずつ現地へ足を運べる回数が増えてきたように思われます。最近はコロナ感染も少しずつ落ち着いてきており3月中旬からはノーマスクが可能となり5月には5類となることが決まっております。今後も現地開催が増えることを祈っております。

研修医や若手整形外科への基礎講座として由利組合総合病院の菊池一馬先生、秋田大学医学部付属病院の工藤大輔先生、能代厚生医療センターの佐々木寛先生からそれぞれ出血への対応、硬膜損傷、髄液漏への対応、術後感染への対応をレクチャーしていただきました。脊椎外科を目指す研修医や若手の先生にはとても有意義かつ大事な内容であり、臨床に役立つ内容でした。

また今回は記念すべき第60回であり、記念企画として秋田大学医学部付属病院の本郷道生先生からこれまでの秋田県脊椎脊髄病研究会を振り返ってというお話をいただきました。第1回から現在まで、写真や懐かしいエピソードを交えたお話を聞くことができました。今後の展望も考えられており自分たちもその一員として成長していきたいと思いました。

一般演題は5題あり、珍しい症例や治療に難渋する症例の報告が多く、活発な議論がなされておりました。その中でも記念すべき第60回の最優秀演題賞に選ばれたのは、秋田赤十字病院の浅香康人先生でした「ブラウンセカール型の症状を呈した上位頚椎OPLLを伴う非骨傷性頚髄損傷の一例」についての報告であり、治療に難渋する症例で多くの意見が飛び交っておりました。

特別公演は稲波脊椎・関節病院院長の高野裕一先生より「脊椎脊髄疾患に対する内視鏡アプローチの最新のトピックス」についてご講演いただきました。ご自身の経験から早期離床の必要性を強く確認し内視鏡へ移行した経緯、従来法からMEDやLIFへの移行や注意点のお話、FESS(full-endscopic spine surgery)やUBE (unilateral biportal endoscopy)などに関する最新のお話などがあり大変興味深く拝聴いたしました。

来年にはさらにコロナ感染が落ち着き、第61回も現地の空気を感じながら開催されることを祈っております。ご講演いただいた先生方、本会開催に当たりご尽力いただきました方々に心より感謝申し上げます。

大会救護による感謝状(木村竜太)

2022年9月25日に行われた第30回秋田内陸リゾートカップ100キロチャレンジマラソンで、参加中に遭遇した救護に対し、大会事務局より感謝状を頂戴しました。

病院の外でも、人の役に立てる、そんな実感を与えていただき、とても嬉しく思います。

https://www.sakigake.jp/news/article/20230227AK0013/

これからもスポーツをするドクターとして、秋田県のスポーツを応援していきたいと思います。

第30回秋田県スポーツ医学研究会(野坂光司)

2023年2月18日,第30回秋田県スポーツ医学研究会がオンライン開催されました.

今回は,宮腰教授の声がけで立ち上がった,本研究会のワーキンググループ活動報告が初めて行われました.義足の方々との活動を,「Ambeins オンラインの活動報告」を佐藤陽介先生 (Ambeins 責任者)から,「秋田でも障がい児者がスポーツできる環境を目指して」を佐藤理枝子先生 (秋田県立医療療育センター リハビリテーション部門)から,「メディカルランナーが現場で傷病に遭遇した場合何ができるか.どこまでするべきか」を木村竜太先生 (秋田大学 整形外科)から,「女性アスリート指導者に対するアンケート調査」を小野寺洋平先生 (秋田大学 産婦人科)から講演いただきました.どの活動も非常に積極的に取り組まれており,とても濃い内容でした.各グループとも,まだまだ活動計画があるとのことで,ますます期待が高まりました.

特別講演1は,座長 秋田大学大学院医学系研究科医学専攻機能展開医学系 整形外科学講座 教授 宮腰尚久先生で,「足部・足関節のスポーツ傷害」を三重大学大学院医学系研究科 スポーツ整形外科 講師 西村明展先生からお話しいただきました.スポーツ安全協会の報告(2020-2021)では,部位別スポーツ傷害発生率では手指,足関節,膝,足の順となっており,足関節,足,足趾を合わせると,全スポーツ傷害の1/4を占め,日常のスポーツ傷害の中で足部・足関節領域がいかに多いかということ,スポーツ傷害の中で,最も頻度の高い足関節捻挫を中心に,距骨骨軟骨損傷,足関節前方インピンメント症候群,疲労骨折などの診断と治療の実際について,分かりやすく解説いただきました.特に鏡視下手術の第一人者でもある先生の動画は大変迫力が伝わってまいりました.

特別講演2は,座長 秋田大学大学院医学系研究科医学専攻腫瘍制御医学系血液・腎臓・膠原病内科学講座 教授 高橋直人先生で,「肝胆膵疾患と運動・栄養療法(疼痛治療も含む)」を秋田大学の卒業生でもある,福島県立医科大学 消化器内科学講座 准教授 高木忠之先生からお話しいただきました.肝硬変の成因別頻度ではC型肝炎が最多ですが,近年減少傾向であり,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が増加していること,肝硬変,さらには肝細胞癌が出現する前に,食事習慣の改善や運動療法による脂肪肝の治療が推奨されていること,簡易なレジスタンス運動による肝脂肪化の改善の実例を紹介いただきました.また,急性膵炎や慢性膵炎診療ガイドラインの改訂により,膵疾患での栄養療法が見直されましたこと,従来脂肪制限やカロリー制限を強いて来たのですが,十分な膵消化酵素を補充した上での食事療法が推奨されるようになったこと,さらに膵臓癌は増加傾向で未だに切除率が30%以下と低く癌性疼痛を伴いますが,内視鏡を利用した腹腔神経叢ブロックを行うことも可能と,幅広いお話しをいただきました.

どの講演も大変勉強になり,心より御礼申し上げます.

次回は2024年2月17日開催となります.よろしくお願いいたします.

若手セミナー・第30回秋田県スポーツ医学研究会(原田俊太郎)

2023年2月18日,毎年恒例の午前に若手セミナー・午後に第30回秋田県スポーツ医学研究会が開催されました。

若手セミナーには学生から研修医まで多くの若人たちが参加してくれました.みんなで鶏肉を使ったハンズオンも実施し楽しんでもらえました.

そして午後からはスポ医研です.一般演題ではAmbeins責任者である佐藤陽介先生、秋田県立医療療育センターの佐藤理枝子先生、秋田大学整形外科の木村竜太先生、秋田大学産婦人科の小野寺洋平先生からご発表いただきました。様々な分野の先生から、様々な視点からご発表いただき大変新鮮な討論となりました。

 特別講演Ⅰでは三重大学大学院医学系研究科スポーツ整形外科西村明展先生から「足部・足関節のスポーツ障害」についてご講演いただきました。普段の日常診療で困ることが多い足部のスポーツ障害について、診断・保存療法から手術治療のコツに至るまで大変わかりやすくご教示くださいました。明日からの患者様の治療に早速活かしていきたいと思います。

 特別講演Ⅱでは福島県立医科大学消化器内科高木忠之先生から「肝胆膵疾患と運動・栄養療法(疼痛治療も含む)」についてご講演いただきました。レジスタンス運動の有用性は自分たち整形外科にとても馴染み深い内容であり、普段あまり接することのない内臓疾患への有用性は大変興味深かったです。また外傷と腹部疾患の関連性についての発表は重度外傷などを治療する可能性のある我々にとっては普段はなかなか勉強できない分野でもあり非常に勉強になりました。今後外傷症例を治療する際はご講演内容を念頭に置いて治療にあたりたいと思います。

 コロナ禍中の開催なこともありweb開催となってしまいましたが、秋田の冬の大雪を溶かすような熱く活発な討議が行われました。次回の研究会を今から心待ちにしております。

ご講演いただいた先生方、開催にあたりご尽力いただいた方々に心より感謝申し上げます。

秋田大学イリザロフハンズオンセミナー 現地(リアル)開催 (野坂光司)

2月11日,秋田大学イリザロフハンズオンセミナーを開催しました.

コロナ禍で長きにわたり,Webハンズオンセミナーが続いていましたが,久しぶりのリアル開催となりました.

宮腰尚久教授にご指示をいただき,大学本部と密に連絡を取りながら,万全の感染対策のもと,今回は県内参加者のみで行いました.

本セミナーは秋田イリザロフ法グループ(AIMG)の若きリーダー,三田基樹先生が準備から運営まで取り仕切ってくれ,会場は熱気にあふれる非常に有意義な会でした.

コロナ渦で長きにわたり開催できなかったこともあり,参加者の中にはイリザロフに触ることが初めて,という先生もおりました.三田先生や大学院生など,イリザロフ経験のある先生たちの熱い指導で初学者の若手医師たちにもとても充実した時間になったと思います.

AIMGの目標の一つに,全国からイリザロフ創外固定過疎地をなくすことを掲げています.コロナが落ち着いたら,また全国から積極的に参加いただけるよう,秋田大学整形外科のイリザロフの知識,技術をアップデートしていく努力を続けていき,我々の技術を全国に広めていきたいと思います.

土曜日のお忙しい中集まってくれた参加者のみなさん,講師をしていただいた三田先生,開催に多大なるご協力いただきました宮腰教授と関係者のみなさま,本当にありがとうございました.