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留学報告⑧(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回は外来について

長尾正人先生を通じて,整形外科の外来見学を定期的に行っています.

ZSFGHは教育病院でもあるので,ここ独特の診察スタイルがあります.レジデントと医学生が8人くらい,指導医が3−4人いて,最初にレジデントや医学生が問診・診察・所見をとり,指導医に確認後,一緒に診察し説明する,というスタイルです.時間はかかりますが,患者さんも納得されているようなので,教育病院としてしっかりした体制と感じました.1日の外来患者数は新患・再来を合わせて60人前後とのことですので,そこまで多くはありません.そのため,しっかり時間をかけて診察し,説明できている印象です.

日本との違いなどについて,気になったところ,印象を書き出してみます.

 

・Orthopedic doctorとPhysiatrist,PT,OT,NPその他沢山の業種が一緒に外来にいます.チームで動いているということがとても分かりやすい状況ですし,情報の共有やタイムラグも少なくて良いと思います.が,そのまま日本に取り入れるのはかなり厳しそうです….

 

・スタイル:外来は医師が所見を書いたり話し合ったりする狭い小部屋が2つあり,それを囲むように個室の診察室が15以上配置され,医療従事者がその個室を訪れて診察や処置するというスタイルです.

 

 

 

 

 

 

 

上級医が待機する部屋.結構狭いです.この部屋を中心に20室くらいの診察室が取り囲んでいます

 

・一般的な外来の雰囲気:服装は至ってラフです.レジデントは必ずスクラブを着用していますが,白衣やスクラブを着用しない医療従事者も少なくありません.なので,名札がないと患者か医療従事者か分からないことが多々あります.帽子を被っている人もいますし,ネコ耳のカチューシャをつけている人もいます.ハロウィンのときは仮装している人もいますが,特に誰も気にとめていません.入れ墨率も高いです.このあたりはかなり自由で す.

 

・囚人患者:囚人の患者さんも結構きます.映画で見るような上下オレンジ色のジャージを着て足と手に手錠をはめられた患者さんをみて妙に感動しました.訴えは至って普通で,喧嘩して腰が痛い,などです.

 

 

 

 

 

 

 

写真はイメージです.でも本当にこんな感じです.

 

・外来中のアシストは少なく,トリガーポイントなどの注射も準備してくれません.しかし,カルテ記載以外の事務的な業務に関してはクラークさんが行ってくれます.看護師はNP(Nurse practitioner)という診察も処方もできる人が,医師と同様に診療しています.名札が無ければ普通に医者です.

 

・レジデント:概して上級医に対して,レジデントの聞く態度は悪いです(足組んだりはまだしも,足を机に上げたり,普通にご飯を食べたりコーヒー飲んだり…)が,いつも真剣に?聞いています.

 

 

 

 

 

 

 

 

右が指導している長尾正人先生,左がレジデント…

 

・英語が通じないとき(トランスレーター):サンフランシスコは移民率が高く,英語が話せない・通じない人もかなりいます.そんなとき,トランスレーターを通じて診察を行います.主に中国語,スペイン語ですが,いろいろな言語に対応しています.ちなみに日本語はありません.いろんな言語が飛び交っているので,ここは何処の国だろうと分からなくなるときがあります.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以前のブログにも登場した翻訳機.実際はこの機械よりも電話のスピーカー機能がよく使われています.

 

・長尾正人先生:Physiatristとして勤務されています.Physiatristはリハビリテーション専門医と訳されますが,実情は幅広く,意味合いが異なると思います.長尾先生は筋骨格系を中心とした診療をされていますので,日本での整形外科に近く,EMGや,needle specialistとしてブロックや関節内注射を専門にされています.また,ブロックや関節内注射は別日に手術室で行われており,外来診療中は行っていません.患者さんに対する態度は至って物腰柔らかであり,かつ問題点を明確に提示し,それに対しての解決方法を明快に説明されます.また,レジデントや学生への説明も非常に論理的で分かりやすく,大変勉強になりました.レジデントや同僚ドクターからの信頼も厚く,コンサルテーションが耐えず常に御多忙の様子でした.いつも大変ありがとうございます.

 

つづく

留学報告⑦ スケジュール(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.

 

④タイムスケジュール

現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Institute (以下OTI)です.今回は

OTIにいる医師に共通するタイムスケジュールについてです.

・週間スケジュール  

月曜日:fractureカンファ/病棟合同カンファ

火曜日:fractureカンファ/病棟合同カンファ

水曜日:Ground round

木曜日:専門別(Trauma, Spine, Hand, Ankle/Foot)カンファ・レクチャー

金曜日:専門別(Trauma, Spine, Hand, Ankle/Foot)カンファ・レクチャー

・1日のスケジュール

AM6:00-6:45:レジデント病棟回診

AM7:00-8:00:各種カンファ

AM8:00-8:30:病棟合同カンファ/レクチャー

以降,手術や外来へ.

 

・OTIはアテンディングとレジデント合わせて約30名の医師がおり,Gold,Blueの2チーム分かれて活動しています.

・fractureカンファは術前・術後検討で,月曜は1つのチームが今週の手術予定を提示し,もう一つのチームが先週の術後報告をする,火曜はその逆,という形です.

・合同カンファではアテンディング,レジデント,看護師で病棟の問題患者について検討しています.基本てきに前日の救急患者と,術前・術後検討です.1症例2-3分,ときどき激論となるのはどこも一緒みたいです.

・レクチャーはシニアレジデントがジュニアレジデントに教える形で症例提示をしながら進みます.ときどきジュニアレジデントやアテンディングからの質問,激論が入りながら約1時間行われています.

・水曜日のGround roundは朝に行われるCloseの勉強会でParnassusキャンパス(後日報告)にUCSF整形外科のほとんどのスタッフ・レジデントが集まり,1時間ほど外部から講師を招いて講演を行っています.

・第一水曜日の朝は,レジデント向けにキャダバトレーニングが定期的に開催されています.

骨折カンファの様子.朝,暗いうちからやってます.

山形大学の先生も短期留学していました

 

つづく

第39回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会(赤川学)

2月3日に仙台で行われた東北骨代謝・骨粗鬆症研究会に参加してきました。秋田からは大学から粕川雄司先生、野坂光司先生、尾野祐一先生、自分の4人が参加し、また大学外からも秋田労災病院の奥山幸一郎先生、五十嵐記念病院の堀川明先生が演題を出し、さらに労災病院検査科の豊口恵理さんも労災病院での仕事をまとめ発表していました。一般演題21演題中、その1/3にあたる7演題が秋田からの演題でした。また今村記念クリニックの田村康樹先生も参加し、積極的に質問されていました。

一般演題の後は、弘前大学の石橋恭之教授からミニレクチャー「骨粗鬆症と変形性膝関節症〜地域一般住民検診の結果から」がありました。膨大なnの地域コホートの結果から骨代謝と変形性膝関節症に関連を教えていただきました。

特別講演は香川大学の真柴賛先生で「骨粗鬆症治療の際に知っておきたい骨代謝動態、骨強度の知識」として、骨代謝の基本的知識から、薬剤の体内での動態まで詳細に講演していただきました。

今回学んだことを学位研究や今後の臨床研究に活かしていきたいと思います。

留学報告⑥(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.   今回はインフルエンザ流行と咳予防について 米国でもインフルエンザが猛威をふるっています. しかし,日本ではおなじみのあの風景が全くありません.そう,マスクです.

 

 

 

 

 

 

 

本当にほとんどしていません.咳をしている人も….流石にしてくれと言いたいところですが. 病院でも,手術前室でマスクをつけていると,逆に何かに感染していると怪しまれるということで外さないといけません. もう一つ.咳や仕方です.よく飛散しないように手を前に顔を塞ぐようにしますが,間違いです.これだと,手に菌やウィルスがついて拡散します.          

 

 

 

 

自分の娘が風邪を引いたとき,小児科の先生からは正しい咳の仕方の指導が入りました.この正しい咳の仕方を覚えていないと学校に行けません,と厳しく言われました.日本でもマスクをしていてもこの咳の仕方が合理的だと思います.是非とも啓蒙をお願い致します.

留学報告⑤(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.

 

③ZSFGH/OTI その3 OTIについて

現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Institute (以下OTI)です.今回はOTIについて.

OTIはDr. Theodore Miclauが主導で2009年に開設された比較的新しい研究所です.Dr. Miclauはミーティング前には自ら椅子や机を自分で並べたりと,屈託のない人柄の方です.身なりもいつもしっかりしていて,いいとこの出身なんだと勝手に思っていましたが,プエルトリコで路上生活していた経歴もあるとんでもない苦労人の先生でした.

https://ryortho.com/2011/06/dr-ted-miclau-part-i/

https://ryortho.com/2011/07/dr-ted-miclau-part-ii/

OTI立ち上げ前の状況を知るある先生は,2003年頃のSFGHの整形外科部門は3−4人の医師しかおらず,小さな一部屋にまとめられていたと教えてくれました.現在はOTIだけで職員が50人を超える大所帯です.現在の施設からは想像できませんが,Dr. Miclauは研究費や寄付を獲得し,たった9年ほどでOTIを立ち上げて世界的な研究施設にしたということで,ただただ驚嘆してしまいます。

ベイエリア日本人整形外科の会

下段中央が長尾正人先生,下段右がDr. Theodore Miclau

 

施設の概要

Building 9という3階建ての歴史深い旧病院の建物にOTIはあります.2回の地震を乗り越えたレンガ造りの築100年を超えるビルですが,中身はリノベーションされており,見た目は非常に綺麗な施設です.1階は装具部門,2階にスタッフ用の,2人1部屋のスタッフルームがあり,ミーティングルーム,図書室や受付などがあります.3階は研究部門でClinical research(臨床研究)部門,Laboratory for skeletal regeneration部門(基礎研究),手術室を完備したキャダバトレーニングセンターがあります.キャダバセンターではキャダバを用いたBiomechanics,インプラントの開発,レジデントのトレーニングなどがひっきりなしに行われています.

私はclinical research部門の一室に席を頂いて,ここを拠点に病院の見学や臨床研究を行っています.

Building9 骨格模型が静かに出迎えてくれます

中はペンキで綺麗にリノベーションされています

受付もおしゃれ

休憩室もおしゃれ

自分の机

 

つづく

留学報告④ ZSFGH/OTI その2(斉藤 公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.

③ZSFGH/OTI その2 ZSFGHについて

現在お世話になっている病院はZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)です.かの有名なFacebookのマークザッカーバーグが多額の寄付をして冠にZuckerbergの名前がついています.奥さんがSFGHで勤務していた経験があるようです.今回はZSFGHについて.

ZSFGHは1850年に設立された歴史のある公立病院です.建物自体は寄付により新築された外傷センター,40年前に建てられた旧病棟(現在も外来等で使用),1906年のサンフランシスコ大地震に耐えた煉瓦作りの病棟(外来や研究棟)が混在しており,全体としてはかなり広い施設面積です.

アメリカでは保険で受診できる病院が決まるという話がありますが,保険のない人も実際には沢山います.ZSFGHは公立病院なので,そういった患者さんも全て受け入れている病院です.

救急外来はサンフランシスコ市内では唯一のLevel 1 trauma centerとなっており,24時間重度外傷を受け入れています.当然,銃やナイフでの外傷なども多く(多くは麻薬がらみだそうです),病院には常に警察車両が常駐してセキュリティを保っています.

Level 1 trauma centerの施設基準はかなり厳格に決められているようです.この病院では一度に20台の救急車を一気に受け入れるキャパシティを持っているそうです.最初聞いたときは信じられませんでしたが,手術前室,手術後室が併せて50ベッド近くあり,マンパワーもそれに応じた人数を保っているとのことです.手術室は14室あるうちの1室は緊急用に常にセットアップされており,いつでも手術ができる状況を保っています.

2013年にサンフランシスコ国際空港で起きた,アシアナ航空着陸失敗事故の際,負傷者数180人うち重傷47人で,67人収容(入院をしない軽症を含めるともっと)したとのことでした. 救急隊との連携もしっかりしていて,現場でトリアージ後,一気に搬送されるのではなく,病院でも余裕をもって対応できるように3回に分けて患者が搬送されてきたとのことでした.

このように外傷患者が多いため,科を問わず”Trauma guy”達が集まる病院です.次回はZSFGHにある,Orthopedics Trauma Institute (OTI)について.

 

左が100年以上前の建物,真ん中が新しい外傷センター,右が旧病棟.

 

常にスタンバイされている緊急手術用の部屋.

 

スクラブ管理マシン.かなり厳重に管理されます.

 

つづく

第30回専門医試験(赤川学、尾野祐一、木村竜太)

H30年1月18日、19日に神戸で第30回専門医試験が開催されました。

大学組の赤川、尾野、木村の三人は、天候不良による飛行機の欠航の可能性も考慮し、前日の日中に神戸に到着しました。実際は天候も良く、スムーズにホテル周辺まで来たので、時間に余裕もありチェックインまで近くの喫茶店で、三人で確認しながら過去問を解きました。気になった項目や、出そうな項目など相談しましたが、その内容が割と本試験に出て、情報を共有しながら勉強するのが大切だと改めて感じました。

会場では北秋田市民病院の加賀望先生、羽後病院の益谷法光先生が合流し、計5名が受験しました。

 

初日は筆答試験、2日目は口頭試験が行われました。

筆答試験ではロコモなどの最近話題にあがる分野についての出題も多くあり、日頃からいろいろな話題にアンテナを張り巡らせておくことも大事だと感じました。また筆答・口頭試験ともに、恒例の秋田大学特製プレテストで指導いただいた部分からの出題も多く、本郷講師の側弯症の講義はそのまま口頭試験に出たので自信を持って回答することができました。ご多忙の中、講義いただいた先生方、本当にありがとうございました。

 

試験後には試験官をされていた島田教授と合流し、皆の不安を打ち消していただきました。結果は2月に発表予定です。

留学報告③ ZSFGH/OTI その①(斉藤 公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.

 

③ZSFGH/OTI その①

現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.かの有名なFacebookのマークザッカーバーグが多額の寄付をして冠にZuckerbergの名前がついています.ここで臨床研究と,病院で外来や手技の見学を主に行っております.この病院には島田洋一教授の御学友であり,米国でリハ医として勤務されている長尾正人先生が所属されており,今回の留学も長尾先生に多大なる尽力を頂いて実現しました.

とある前情報では,英語が話せなければかなり白い目で見られるとのことで戦線恐々としていました.出国前までに駅前留学で頑張るつもりが全くチケットを使うことなく米国に来てしまったため,冷たい目線と態度を覚悟して留学先に向かいました.が,杞憂でした.スタッフの皆さんは自分のつたない英語をしっかり聞いてくれようとしてくれ,分かるようにゆっくり話してくれたり,全てにおいて親切にしてもらってストレス無く留学生活をスタートできました.

歴史的な背景もありサンフランシスコにはアジア系やヒスパニックがとても多く,テック産業もあり,他民族な街です.そのため,多少英語の発音が悪かろうが,文法が間違っていようが,意外と大丈夫な地域のようです.というか,スペイン語しか話せないとか中国語しか話せない人も沢山います.そのため,外来見学をしていても,ここはどこなのか分からないくらい様々な言語が飛び交います.そして,それに対応すべく,翻訳する人も常駐しており,電話をスピーカーモードにして同時通訳しながら診察する,ということが通常の風景です.日本では考えられませんが,こっちの人からすると,日本は大変だね,となるようです.単民族国家でずっと暮らしていたので逆に気づきませんでしたが,良くも悪くも日本はとても特殊な国なのだとこちらに来て感じています.

ZSFGH,OTIの概要,外来の内容や長尾先生のinjection見学についてはまた後日に.

Zuckerberg San Francisco General Hospital (ZSFGH)

真ん中が寄付で新築された新病棟です.

 

翻訳機 と言えば凄そうですが,実際は単なるスピーカー付きの電話で,電話口の通訳さんにつながります.

1スペイン語,2広東語,3北京語,4台湾語,5ベトナム語,6ロシア語,7韓国語,8アラビア語,9タガログ語,0他 と書いてあります.日本語はマイノリティです.

外来診察室

病院入り口

 

つづく

日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会の関節鏡技術認定制度

今回は、数ある整形外科関連学会の中でも会員数の多い日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(以下JOSKAS)で始まった関節鏡技術認定制度(膝関節)について解説します。関節鏡手術は、日本で開発された歴史があり、非常に低侵襲であり、多くの関節で普及し、実施されてきました。しかし、特殊な器具を用いて行う手術であり、高度な技術が要求されます。このJOSKASの関節鏡技術認定制度は、共通の基準にしたがって鏡視下手術に携わる医師の技量を評価し、一定の高い基準を満たした者を認定するもので、これにより本邦における鏡視下手術の健全な普及と進歩を促し、延いては国民の健康や福祉に貢献することを目的とし制度化されました。認定の要件は、

  1. 日本整形外科学会専門医であること。
  2. 学会入会後5年以上の、JOSKAS会員であること。(2017年1月1日現在)
    (61歳以上の方に関しても例外を設けず審査することにしました。)
  3. 手術実績に必要な最小の目安は、細則に定めるごとくであり、十分な経験を有していること。
  4. 本委員会が認める関節鏡視下手技に関する教育セミナーに参加していること。認定の方法は別に定める。
  5. 国内ないし国際学会などにおいて関節鏡視下手術に関する十分な業績を有すること。
    (初回口演あるいは論文発表から10年以上の経験を有すること。また、共同演者、共著者でもこの基準に含まれ得るものとする。)
  6. 過去1年以上の関節鏡視下手術を継続して修練を行っていること

ここで手術実績の具体的な数については、過去 5 年間に関節鏡視下前十字靱帯 (ACL)再建術 50 症例および半月板縫合術 30 症例、合計 80 症例の手術数をACL再建術および半月板縫合術の手術記録の提出および鏡視下手術の動画記録とレポートの提出が必須となります。

合格率については第1回が69.4%(合格者48名)、第2回が43.8%でした。

不肖、私も第2回技術審査に申請し、無事合格することができました。

秋田県の関節鏡技術認定合格1号となります。

 

秋田大学大学院整形外科

Akita Sports Arthroscopy and Knee Group Director

齊藤英知

 

 

なまはげ疼痛管理セミナー(粕川雄司)

2018年1月17日水曜日、秋田ビューホテルでなまはげ疼痛管理セミナーが開催されました。2018年最初のセミナーとなり、非常に多くの方々にご参加頂きました。
一般演題では、齊藤英知先生から「変形性膝関節症の歩行時関節面傾斜の自然経過」と題し発表を頂きました。症状が出ることが多い歩行時の膝関節の変化について詳細に検討した結果をお話しいただきました。さらに、変形を生じた人工関節置換術後の膝に骨切りを行って良好な結果が得られた症例もご提示いただき、勉強になりました。“裸参り”頑張ってください。
特別講演は、帝京大学医学部 整形外科 教授 中川 匠先生より「変形性膝関節症の病態・診断・治療」と題してご講演頂きました。膝の変形性関節症について、肥満と関連した病態や立位でのX線写真での診断の重要性をお話しいただきました。さらに、薬物や運動での治療法や、ナビゲーションを併用した手術治療などについて、大変わかりやすくご講演いただきました。お忙しいところ秋田までお越し頂き、ご講演頂きありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。