盆踊りが終わり、暑さの中にも秋の気配を感じ始めた2018年8月30日、「第6回こまち疼痛を考える会」が秋田ビューホテルで行われました。整形外科を受診される患者さんは体のどこかの疼痛(痛み)を訴える方がほとんどです。疼痛といってもその種類は様々であり、打撲や捻挫といった急性の痛みから、慢性化した腰痛や膝痛と幅広く、最近ではじんじん、びりびりする神経障害性疼痛といった言葉も浸透してきており、疼痛とその治療に関する知識は私たち整形外科医にとって必須のものです。
一般演題は秋田厚生医療センター整形外科の木村竜太先生に「腰痛の保存療法 ~ブロック療法と薬物療法~」という演題をご発表いただきました。腰痛症に有用なブロック療法として前後枝ブロックをはじめ各種ブロック療法について、木村先生の考える適応や方法について非常に実践的かつわかりやすくご講義いただきました。症例提示ではブロック療法が著効した症例などをご紹介いただき、私も明日からの診療で是非実践したくなる内容が盛り沢山でした。その他、論文の批判的吟味を行う方法や、システマチックレビューを行うのに有用なツールの紹介といった学術的な内容をご教示いただき、腰痛の保存療法について改めて深く学ばせていただきました。
特別講演には福島県立医科大学医学部整形外科学講座准教授の二階堂琢也先生をお招きし、「痛み診療におけるMechanism Based Treatment実践の道しるべ ~Spine painDETECTを神経障害性疼痛の臨床へどのように活かすか~」という題でご講演いただきました。痛み診療におけるMechanism Based Treatmentは患者さんの疼痛の原因を正確に把握し、それに対する的確な治療を施すという考えです。わかりやすく言うと、ポケモンで相手の属性から、「こうかはばつぐんだ」となる攻撃を放つということだと、二階堂先生も例に用いていました。基礎から臨床まで豊富な研究データに基づき、いかにして疼痛の原因を理解しMechanism Based Treatmentを実践するかという、明日からの診療に直結する話題をご講演いただき、私たちも知識をアップデートすることができました。
今後も疼痛を訴えて受診される患者さんに真摯に向き合い、最適な治療を提供できるよう精進していきたいと考えました。