投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第48回日整会骨・軟部腫瘍学術集会 (鈴木真純)

7月10日、香川県高松市にて行われました、日整会骨・軟部腫瘍学術集会、特別研修会のご報告です。骨軟部腫瘍の診療に携わるにあたり、基本であり必修となる事項を習得する貴重な講演でした。特に会の冒頭で話されていた、この講演が行われるようになって以降、間違った初期対応で取り返しのつかない状況になるケースが減少してきたという言葉が印象的でした。

最初の御講演は、埼玉県立がんセンター整形外科部長 眞鍋 淳先生の「骨腫瘍の治療」でした。はじめの総論では腫瘍の種類に応じた、保存療法の適応・手術・科学療法・放射線治療に関することが中心で、実際に初診から治療までの一連の流れを経験することの少ない自分にとっては大まかな流れを確認できる良い機会となりました。次に、良性骨腫瘍・原発性悪性骨腫瘍・転移性骨腫瘍の治療に関するもので、これも各腫瘍の特徴最近の動向も交えて御講演されておりました。こちらも、所々を断片的な知識程度にしか知らなかった重要事項が満載であり、改めて勉強になりました。

次の御講演が、東京医科大学整形外科教授 西田 淳教授による「軟部腫瘍の診断」でした。序盤は2013年のWHO分類の改訂の話に始まり、好発年齢・腫瘍の良悪性による好発部位、組織学的悪性度など、序盤から自分の勉強不足を痛感する内容でした。この御講演の中でも治療に関して(主に手術治療を中心に)のお話がありましたが、あくまで診断の重要性に重きを置く内容が強調されておりました。後半では、もはや診断には必須とも言える、CT・MR・PET検査・エコーなどの画像診断における各検査の目的、見所などを詳しくご高説頂きました。最後に診断の最重要とも言える生検・病理診断に関しては、あくまで熟練した診断・評価能力が必須であり、次に行われる切除術を意識した対応が必要であることが理解出来ました。

最後に、御講演頂いたお二人の先生が共通しておっしゃっていた、『骨軟部腫瘍は患者の生命に直結する分野であり、不用意な生検が治療結果を左右する。』という言葉がこの会において最も印象に残りました。短時間の研修でしたが、少ない機会かもしれませんが日常診療で、今までと違った姿勢で腫瘍の診療に臨もうと考える十分なきっかけになったと思います。

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AORA セミナー 2015 (宮本誠也)

平成27年7月10日にAORA祭り(AORAセミナー)が開催されました.平成22年7月に,地域格差のない標準医療を目的として設立され5年という節目を飾る盛大な会でした.平日にもかかわらず,参加者が140名以上とこれまでの研究会の常識を覆し伝説をつくりました.

冒頭の目玉はとして準備したのが,真っ赤な法被です.島田教授から,「伝説作りに必要なサプライズ」=「気合の入った赤の法被(はっぴ)」であろうとの一言.専門の業者さんと色,形,デザインを検討しました.学会発表準備よりも時間と頭を使いました.教授と二人で登場した時の会場の雰囲気は,二度と経験できない(?)体験でした.

一般演題1は,中通総合病院の看護師・熊谷久美子さんから総合病院における看護師の役割について,一般演題2は,同病院の検査技師・佐々木由香さんから関節超音波の導入についての発表でした.

特別公演1では,谷村一秀院長(北海道内科リウマチ科病院)に「RA診療における関節エコー検査の有用性」について,基礎から応用までご講演いただきました.引き続き特別公演2では,前日本リウマチ学会理事長の小池隆夫北大名誉教授から「リウマチ診療−過去・現在・未来−」と題してご講演いただき,<関節の腫脹>をいかに評価するかが重要であることを学びました.

AORAの活動を振り返ると,たった5年間で周囲に追いつき,もうすぐ追い越せるところまできました.小池名誉教授からいただいた,「秋田のRA患者さんたちは本当に幸福だ」を心の糧に活動を続けます.

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第2回こまち疼痛を考える会 (尾野祐一)

第2回こまち疼痛を考える会が秋田ビューホテルで開催されました。

一般演題1では市立秋田総合病院の若林育子先生から「下血を合併した腰椎椎間板ヘルニアの1例」を発表していただきました。消化器内科医のアンケート結果や文献報告をふまえ、症例ごとの鎮痛薬の使い分けを提示していただき、臨床現場で非常に役立つ内容でした。

一般演題2では能代厚生医療センターの安藤滋先生から「急性腰背部痛を主訴に整形外科を受診した大動脈解離の3例」を発表していただきました。外来でよく遭遇する腰背部痛患者の中に、整形外科疾患ではなく、他科領域の疾患、特に大動脈瘤や大動脈解離など緊急性を要するような疾患が隠れていることを提示していただき、普段の臨床現場でも注意しなければならないと改めて強く認識させられました。

特別講演は山梨大学整形外科の江幡重人准教授から「腰部脊柱管狭窄症の診断と治療」についてご講演頂きました。椎間孔部での神経根障害を疑う際の画像所見のポイントや頚部脊髄症患者に腰椎病変を合併例が多いこと、またO-armを用いたPPS挿入の様子などを提示していただき、大変興味深い内容でした。腰部脊柱管狭窄症に関して基礎的なこと、定義や診断方法、保存治療、手術治療、手術を勧める際の基準など、分かりやすく教えていただき大変勉強になりました。この会で学んだことを普段の臨床現場でも活かしていければと思います。

 

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秋田大学整形外科大学院 尾野祐一

骨粗鬆症と糖尿病を考える会  (粕川雄司)

平成27年6月18日木曜日「骨粗鬆症と糖尿病を考える会」が開催されました.高齢化が急速に進んでいる今日,高齢者の方々が自立して生活できる“健康寿命”を維持することは,寝たきりや介護を必要とする方々を減らすためにとても大切になっています.その点で骨粗鬆症と糖尿病は,それぞれ関連し高齢者の日常生活動作を悪化させるため,その予防と対策は健康寿命を維持するためにとても重要になっています.

最近,糖尿病と骨粗鬆症やロコモティブシンドロームに関する研究・論文が少しずつ増えており,今後糖尿病と運動器疾患についての理解を深めていき,その治療にあたることが重要なことだと認識しました.

特別講演では,秋田大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝・老年内科学講座 教授 山田祐一郎先生より「糖尿病と骨粗鬆症」についての御講演をいただきました.糖尿病と骨粗鬆症の関連について,基礎的なことから詳細に御講演いただき,また新しい糖尿病治療薬であるインクレチンの骨代謝・骨粗鬆症に対する効果についてのお話しは,大変勉強になりました.

今後,さらによりよい診療を行っていけるように,それぞれの疾患についての理解をさらに深めていきたいと感じました.当日は,たくさんの方々にご参加いただきありがとうございました.?????????? ??????????

第7回 JOSKAS (飯田純平)

6月18日~20日の3日間JOSKASが札幌で開催され,参加して参りました.

学会では最先端の技術や新しい考え方,いままで経験的に行われてきた事に対する検討など多くのことを学びました.他大学の同世代の先
生方も様々な発表をしており,負けていられないと強く身が引き締まる思いとともに,自身の初めての全国学会での発表でありとても貴重
な体験となりました.

そして当然,整形外科の学会といえばスポーツがはずせません.

学会初日17時30分を過ぎた頃,会場がにわかに色めき立ちはじめます.

メインホールには太く長い綱が用意され,どう見ても整形外科医には見えない屈強な男たち(おそらく整形外科医)が会場内に集まってき
ます.

そう,恒例行事の「綱引き大会」です.

さすが千恵先生の引きの強さからシードをゲット.試合がなかなか始まらない中,藤井先生の「勝ちたくなってきた」という言葉.これが
選手達の表情を変えました.さらに香奈先生の「絶対に諦めないで」という言葉が長く辛い試合の中で後に大きな力となってくるのです.
第1回戦を余裕で勝ち抜いてきた北大整形外科チームがノーザンダブルバイセプス(秋田大学整形外科チーム)の相手です.

いよいよ,ダブルバイセプスの試合

公式審判員の方の両腕を振り下ろす合図で戦いの火蓋が切って落とされます.

「せーの,よいしょー!!!せーの,よいしょー!!!」

一進一退の攻防...いや,押されていました.次第にバイセプスの掛け声が弱くなり,ジリジリと相手側に引き込まれそうな時,あの言
葉が聞こえた「絶対に諦めないで・・・」

気がつくと全員が声を合わせて大きな声で叫びながら綱を引いていました.

「負けてたまるか」気迫を全力でぶつけ,勝利!!

全体懇親会で行われた準決勝では優勝の神戸チームに惜しくも敗退しましたが,心身ともに快く,懇親会ではお互いの栄誉を称えあいまし
た.

学会を通して整形外科の勉強をするだけでなく,同門の先生方との絆を再確認できるという素晴らしい経験を持つチャンスを与えてくださ
った先生方に感謝しております.ありがとうございました.

学会の報告でありながら「綱引き」メインのブログとなってしまい申し訳ありません.

ノーザンダブルバイセプス,参加者募集中です.

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留学便り13 (木島泰明)

この度、島田教授のご高配でフランスに留学させて頂いている木島泰明です。

非常に貴重な経験を皆さんと共有できるように、また、今後、海外へ、あるいはフランスへ勉強に行かれる方に少しでもお役に立てるよう留学便りを記してみました。

 

2014年12月27日(土曜日)出発

1回目のこともあったので、羽田で前泊することとする。

1回目の出発では息子・虎太郎の熱発で断念し、一週間、出発を遅らせた事の顛末はいずれご報告します。

 

と、留学便りの第1回目で記載しておりましたが、そろそろ思い出の地、羽田への帰路が近づいてまいりました。出発の時はいろいろあったみたいですね、詳細は?というご質問を受けるたび、いずれ留学便りで、とお返事しておりましたので、この辺で詳細を、当時、出発の準備に大変ご協力を頂いたAkita Hip Research Groupの皆様へのご連絡メールを一部改編する形で、ご報告致します。

 

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AHRG各位

 

今頃はパリ到着報告をしている予定でしたが、実はいろいろあり現在秋田です。

いろいろご心配くださり、盛大に送り出してくださったみなさんに事の顛末をご報告いたします。(無駄に詳細に記載していますが、あとで映画化された時のためのメモなので、暇な時に読んで下さい。)

 

12月20日土曜日、出発の前日。

虎太郎、幼稚園にてクリスマス会。いつになく緊張していたが、無事、羊の大役を演。昼寝をしなかったため、早めに寝付いたが、20時頃うなされて起きたところ、39度の熱発。

虎太郎、過去3回海外渡航しているが、そのうち2回はこんな感じ、アンヒバ200mg使用。本人は比較的元気そう。

 

12月21日、AM5時、39.3度。いつもこうなので坐薬で乗り切れると判断(今思えばこれが誤り…)、再度アンヒバ200mgを使用。大量の荷物(大型スーツケース2つ、50cm×50cm×50cmのダンボール3つ、手荷物2つ)を載せるためジャンボタクシーでAM6時に家を出発。水抜き完了、蓄熱暖房機の蓄熱もゼロに。

 

AM7時半のANAで羽田へ、8時半すぎ羽田国際線ターミナルに到着。インフルエンザ薬は大人用タミフルしか持参していなかったので、インフルエンザを疑い、羽田国際線ターミナル診療所(東邦大)を受診するも子供の薬は置いていないと言われ、診察や検査も受け付けて頂けず。第1ターミナルの診療所なら小児科医がいると言われるが、第1ターミナルに戻って診察を受けてくる時間はないので断念。

 

出国手続き完了し、フランス行きの便の出発ゲートに到着したのが、9時30分(出発は10時40分予定)。虎太郎、ちょっと具合悪そう、また39.3度、搭乗前にと思い再度アンヒバ200mgを使用、熱さまシートを1人で買いにいく。

 

10時前、妻から携帯にTEL「早く来て!!」

かけもどると、「ひきつけ」をおこした!とのこと。

すぐにANA職員に搭乗できない旨を伝え、大量の荷物を飛行機から降ろしてもらう。

 

虎太郎、徐々に落ち着くが、ぐったり。

出国したまま1泊できるホテルを確保できるとANAより伝えられるが、とりあえず病院を受診させたいので、ターミナルから出ることを選択。出国取り消し手続きに1時間。

 

大量の荷物も一度出国しているので、自ら税関を通って再入国させる。その後、ANAのカウンターであずかってもらう。この時点でほぼ正午。第1ターミナルの診療所は12時から13時まで休みなので、13時までは国際線ターミナル1階の救護室で休ませてもらうことに。

 

救護室の職員が診療所は1ではなく第2ターミナルですよ、と教えてくれる。。。

第1と聞いていたんですが、と答えたが、ネットで検索すると、東邦大クリニックは国際線ターミナルと2ターミナルにあると記載されている。

 

13時まで休み、虎太郎はかなりしっかりしてきたが、まだ水分を少量しか摂取できず。

13時に バスに乗って2ターミナルへ。バス停を降りてすぐに東邦大第2ターミナルクリニックがあるが、なんと午後の診療は14時からと書かれておりしまっている!

がっくりし、今後のことを相談。ホテルに泊まって虎太郎の回復を待つか、浦安の実家に身を寄せるか、秋田に1回帰るか。

 

ホテルではゆっくり休めないのではないか、この辺の病院もよくわからない、でも浦安の実家は猫がいるから虎太郎のアレルギー体質を心配して、まだ1度も連れて行っていない。

秋田に戻ったら天候が悪くて出直しできない?盛岡の妻の実家?荷物が多すぎる…

 

荷物は空港に預けられるが、荷物を開けないと今日の分の着替えもない…

荷物を運ぶにはそのまま飛行機に乗せてもらうしかない、、、

しょうがない、秋田に戻ろう、病院もかかりつけがある。

 

一度、荷物をあずかってもらっている国際線ターミナルにまたバスで戻り、ANAカウンターで、17時40分発の秋田便を予約。大量の荷物と熱でひいひいしている虎太郎を抱え、国内線乗り継ぎカウンターへ。

ここで、再度、荷物を預けて、第2ターミナル診療所へ、14時を過ぎていたので受診。

しようと思ったら、子供の薬は置いてないと,,,,  え!?

 

第1ターミナルの診療所なら小児科医がいる…と。

ANAの人が正しかった。のか。

第1ターミナルの東邦大と関係のない診療所は13時からやっていたし、小児科医もいた、、、

 

再び虎太郎をかかえ、バスで第1ターミナルへ

バス停から結構歩いて奥の方に診療所を発見

14時半、ようやく小児科医の診察

インフルエンザは陰性。

この時間でうっすらとも出ていないのでインフルエンザではないでしょう。

痙攣を起こしているので、インフルエンザだと脳炎も心配でしたがそうではなさそうなのでただの熱性けいれんでしょう、はやめに秋田に帰ったほうがいいかもしれませんね。

 

17時40分の秋田便を待つあいだ、朝から飲まず食わずだったので、再びバスに乗ってANAのある第2ターミナルに行ってからレストランに入る。虎太郎の熱がまた上がってきているが、また座薬で下げようとすると痙攣を起こすかも、と考えていた矢先、15時半 、再度、けいれん。

 

結局我々も食事も取れず、すぐにまたバスに乗って第1ターミナルに引き返し、診療所でもう一度診てもらう。

16時、ダイアップ座薬6mgを使用。

今日は飛行機には乗せないほうがいいと言われる。

 

17時40分の飛行機をキャンセル。

荷物をまた飛行機から降ろしてもらい、一応、翌日の便を予約。

でも荷物は一度引き取ってもらわないと困ると言われる。

 

しょうがないので荷物を運びやすい第2ターミナル直結のエクセルホテル東急を確保。

もう一度、第2ターミナルへ向かい(この時はなぜか地下通路を歩いてのターミナル間移動を勧められる)、虎太郎を抱えた腕がパンパンになりながらなんとかホテルチェックイン。

 

18時30分。虎太郎をようやくベッドに横たえ、われわれも弁当で食事。

その後、徐々に虎太郎も回復、水分もたくさん取れるようになり、近くの東京労災病院の受診はしないことにし、ホテルでしっかり休み、翌日の帰秋を目指すことに。

しかし、フランスからは夏に帰る予定だったので、蓄熱暖房器を完全にオフにした我が家に今帰れば厳寒状態で虎太郎も凍えてしまう!→ミサワホームと近くに住む妻の友人に頼み、蓄熱暖房器の再稼働をなんとかやってもらう。

(これを完全にオフにするとそこからのリカバリーは結構むずかしいのです。)

 

8時間後にもう1回と言われていたので、午前0時ころに再度ダイアップ6mg使用。

熱冷ましを使うならその30分後と言われていたので0時30分、アンヒバ200mg使用。(実は2歳のときにも一度熱性けいれんを起こしており、その時もアンヒバ使用直後だったため、びくびくしながら使用。)

 

翌12月22日月曜日、朝7時ころ、虎太郎はすっかり解熱、妙に元気。

ダイアップのせいか少しフラフラしているがお腹がすいたからコンビニに行ってそれからフランスに行こうよ、などど言う。

 

虎太郎、おにぎり、サンドイッチをペロリと平らげ、まだ食べたいと。

前日は全く何も食べていなかったとは言え、急にそんなに食べて大丈夫か!?

 

熱の原因は不明で、熱に対する治療はしていないので、また上がるかも。

今のうちに秋田に帰ろう。

AM9時55分羽田発秋田行きで帰秋。

(教授とAHRG会長には報告しており、会長からは空港まで迎えに来て下さるなんていう本当に温かいお言葉を頂き、ほんとうに感動しております。でも無事に家まで戻れました。)

 

すぐにかかりつけのY小児科に連絡するも、2回もけいれん起こしているなら大きい病院に行くよう言われ、(一応、大学の小児科外来にも連絡してみるも感染症の子供は入院が必要となると大学には入れづらいので、と勧められた他の病院の救急外来を受診。

 

急外の研修医の先生にお話し、インフル、アデノ、溶連菌の検査と採血をしてもらったあと、T先生に丁寧に診ていただきました!結果的に月曜日になってからは一度も熱発はなく、インフル、アデノ、溶連菌ともに陰性で、CRPは2ぐらいですが、白血球は正常、喉は赤い、鼓膜はちょっと腫れているかどうかくらい、ということで何らかのウイルス感染で熱が出て、たまたま熱性けいれんを起こしただけでしょう、と言われましたが、せっかくなので、念のため脳波検査を水曜日にやって、木曜日の小児神経の先生に診てもらえば、再スタートできるだろう、ということでした。

 

というわけで、このあとまたANAに掛け合ってみますが、丸1週間遅れの12月28日のパリ便に空きがあれば再出発を計画したいと思います。今度は前泊したほうが安心かも、などと考えています。

 

この度は大変ご心配をおかけして申し訳ありません。

みなさんの今後のご旅行等に参考になればと思い(それと自分たちの記録のために、こちらのほうがメイン?)メールさせていただきました。

 

みなさん、お忙しいと思いますので、返信していただかないくても大丈夫です。

また今後のリスタートの後にはご報告をさせていただきたいと思いますので、楽しみにしていてください。

 

木島泰明 拝

 

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というわけで、なんとか、おかげさまで脳波検査に明らかな異常も見つからず、虎太郎も出発予定日当日の熱発以外は全く元気で、12月28日には再出発でき、今に至っております。上記の出発遅れに関しても多くの方にご迷惑をおかけし大変申し訳ありませんでした。また、多くの方のご尽力で再出発でき、充実したフランスでの研修、そして生活が送れたことをこの場をお借りして、お礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 

留学便りはまだまだ続きますので、お楽しみに。

(という時は、テレビ番組では、そろそろ終わりですが!?)

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クリスマス会での「ひつじ」の役のあとの虎太郎。レトロスペクティブに見るとこの時点で結構具合悪そう!?

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熱発しながらの秋田発羽田便。秋田に戻ってくるのも半年後だね、といいながらの出発でしたが、翌日、戻ってきました。

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国際線ターミナル1階の救護室の写真です。空港職員、ANA職員、そして3か所の空港診療所のみなさんにはいろいろお世話になりました。

第3回駅伝部練習会(佐々木研)

2015年6月20日,今シーズン第3回目の駅伝部練習会が開催され,なんと過去最多と思われる32人の参加がありました.今回も一ツ森公園の1周2km2周する約4kmのコースです.今回は4人が自己ベストを更新しています.自分はというと,今シーズン最低タイムでした.太ももの故障からなかなか思うように練習ができていません.なんとか秋までは・・・.ちなみにコースレコードは自分が2012年に出した13分59秒です.誰かこの記録を破ってくれることを期待しています.

ランキング 名前
1 佐々木研 15:23
2 竹島正晃 16:45
3 岩本陽輔 16:54
4 山田晋 17:16
5 記田大樹 17:19 自己ベスト更新
6 高橋靖博 17:53
7 米山照幸 18:18 自己ベスト更新
8 千田耕生 18:32 自己ベスト更新
9 大谷昭文 19:55
10 齋藤光 20:29
11 古田宏志 20:41
12 三輪哲也 21:06
13 田中裕介 21:23
14 湯浅悠介 21:35
15 角田亮太 21:35
16 渋谷達也 22:01
17 平賀純 22:27
18 筑田規彰 22:39
19 小林竜也 22:53
20 海保英治 23:14
21 早坂慎 23:25
22 関佳之 23:30 自己ベスト更新
23 小出健之朗 23:35
24 宮嵜直人 23:51
25 飯田智亮 23:54
26 古宮善之 23:59
27 新澤諒 23:59
28 大友智史 24:43
29 弥益和之 25:28
30 渡部勝 27:03
31 伊藤 拓史 28:16
32 林 秀樹 28:37

駅伝

第7回秋田県小児整形外科研究会  (益谷法光)

6月20日に第7回小児整形外科研究会が開催されました。一般演題7題と、能代厚生医療センター伊藤博紀科長から「小児ばね指に遭遇した時の対応と治療」について小講義をしていただきました。保存療法と手術療法について熱い議論が展開され、今後の治療方針や疾患に対する考え方などをもう一度見直していく機会となったと思います。

また、神奈川県立こども医療センター町田治郎教授より「当センターでの小児股関節・足部疾患に対する治療」という内容で特別講演をいただきました。股関節脱臼からペルテス病まで幅広い分野について若手の先生をはじめとして活発な議論がかわされました。小児整形外科という分野は日常の一般整形病院ではなかなか長期的に治療・診察する機会のない分野ではありますが、専門施設に紹介したのちにどのような治療がなされているのかなど、子供達の長い人生に対して真摯に取り組んでいる姿をお話しいただき個人的にも身の引き締まる思いを抱きました。

蛇足ではありますが、一般演題では私が最優秀演題賞をいただくことになりました。河野先生に続き、「不毛の学年」といわれながら二人目の受賞であります。我々の学年もそろそろ芽が出てきたのではないかと思います。

このような発表の機会を与えてくれて、渾身のご指導を賜りました坂本仁先生や遠藤理事長をはじめとする療育センタースタッフドクターの皆様と、日頃から我々若手育成のために御尽力いただいております島田洋一教授に感謝致します。

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第16回白神杯オープンテニス大会,優勝しました(野坂光司)

第16回白神杯オープンテニス大会,シングルス上級に出場し,優勝しました.4月にスプリング杯準優勝の文章をブログにアップしたところ,医局前に一枚のポスターが張られていることに気づきました.『準優勝は,敗者だ』.誰が誰に向けて貼ったものかはわかりませんが,その言葉は今回の戦いの中でずっと自分の心の中に火を燃やし続けさせてくれました.

一日で6試合戦いました.最後の方は,もう足がつってしまい,根性だけで動いていましたが,優勝を勝ち取ることができて大変嬉しく思います.新聞掲載の所属も,初の『秋田大学整形外科テニス部』とできました.

学会と重ならなければ今後も極力試合に出場して,秋田大学整形外科テニス部の名を世に広められるよう頑張りたいと思います.

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留学便り12   (木島泰明)

2015年1月から半年間のフランス研修をさせてもらっております。2015年3月から4月までは、パリのClinique Maussins-Nollet で研修させていただきました。今回はこのクリニックの股関節外科医、Alexis Nogier先生の人工股関節置換術(THA)についてレポートしたいと思います。(今回は少し専門的な情報です。)

 

ヨーロッパで唯一(とのことでした)のカスタムメイドステムを作成している会社 ”Symbios” というメーカーのものを基本に使用しているのがNogier先生のTHAの特徴です。摺動面はCeramic on Ceramicが基本。スクイーキングについて聞いてみると、そういう症例はまずいないし、起こるとすればマルポジションのせいではないかというご意見でした。

 

アンリ・モンドール病院ではTHA症例のほとんどはプライマリーのようなケースでしたが、Nogier先生のところに紹介されてくる患者さんたちは軽度ではありますが、寛骨臼形成不全由来のOA(変形性股関節症)と思われる患者さんも半数近くはいらっしゃいました。ただほとんどは骨移植を要さない程度の形成不全です。

 

Nogier先生のTHAは、フランス人Robert Judet考案の牽引手術台を用いた仰臥位での前方進入法を用いているのがもう一つの特徴です。皮切は上前腸骨棘の下1横指くらいから腓骨頭へ向かう方向に約12 – 13cmくらい。いわゆるMISのアプローチの1つであるdirect anterior approachを使用していますが、皮切長ではなくマッスルスペアリングにこだわっているとの事。ただメインの皮切は短めで済ませて、リーマーを入れるだけの別の皮切を置く2皮切を用いる場合もありました。

 

Nogier先生は高めの椅子に座って執刀します。このアプローチでは少し下から覗き込むようになるため、術者が立って手術台を高くするよりは、術者には座ってもらって、助手は立ってやる方が確かにやりやすいと感じました。また、このアプローチでは、外側大腿皮神経損傷が問題になることがありますが、注意して慎重に皮膚切開と最初の展開をしているためか、知覚鈍麻が起こる症例は5%程度あるそうですが、半年程度で症状がなくなることがほとんどで、paresthesiaを起こして治療が必要になった例は数百例中1例のみとおっしゃっていました(その症例も数か月で治療は不要になったそうです)。

 

最初はアドソン開創器を使い、深くなってからはチャンレー開創器を使用していました。必要に応じてホーマン鈎を前方や下方にかけています。展開時の血管は必ず結紮されていましたが、よりディスタールの血管には触らず、それより近位で勝負する、というようなことをおしゃっています。

 

関節包は基本的には温存せずに切除しています。大腿骨頸部をカットしたら少し牽引。頸部は2か所で切って輪切りにすると取りやすいようです。輪切りにした頸部のみ取ったあとでコルク抜き状の骨頭抜去器ではなく、20ミリ程度のノミを骨頭に頸部側から差し込んでぐるぐる回して骨頭を取っていました。これも使える技かもしれません。ここでさらにほんのちょっと屈曲位で少し牽引すると臼蓋が結構よく見えます。

 

関節唇を切除して(あまり骨棘を取らなければいけない症例は多くない)前後壁及び上方の臼蓋縁が触れられればリーマーへ。カップのリーミングは指で触った感覚、すなわちリーマーやトライアルカップと寛骨臼の辺縁の差を触診した感じでCTテンプレートとの相違がないように掘る方向を確かめながら、基本的にはどの症例も「なり」に設置するという感じでした。ダブルフロアが消えて外板が少し削れればOKとしています。セイムサイズのリーミングで、プレスフィットが弱いと感じた時のみスクリューを併用されていました。本物のカップを打ち込んだ後で前開きが強すぎたとかいう場合には結構あっさりやり直しをされていました。スムーズにいくと、カップ設置まで15分です。日本ほど洗浄をしないせいもあるかもしれませんが、早いです。Anterior approachではカップが立ちやすく前開きがつきやすいので注意して、とアドヴァイスを頂きました。

 

大腿骨側を処置する時にはトラクションをゆるめて最大外旋位にして、小転子からの骨切りの高位を確認します。そして必要ならネック切り直し。OKならば牽引台の力で、股関節外旋位のまま、伸展かつ内転位に持っていくと髄腔が良く見えてきます。最大外旋位にしているので、髄腔の内側がほぼ天井を向く格好になります。

 

短外旋筋群の手前まで大転子の後方のカプセルをリリースして、そこにホーマン鈎をかけて下から大腿骨を持ち上げる、あるいは短鈍鈎で大腿骨をぐっと1回持ち上げることで緩ませる、とのことです。ラスプがある程度入っちゃえばホーマン鈎を外してもラスピングできるようです。ラスピングは弧を描くようにして、決してまっすぐに入れようとしないようにと注意して下さいました。

 

カスタムメイドステムとは、その患者さんの髄腔に合わせて作ったオーダーメイドステムです。そして、もちろんラスプもそのステムの形と同じカスタムメイドラスプ。通常のラスプのように小さいものから順番に大きくしていけず、1つしかラスプがないのでまずは鋭匙で髄腔内の海綿骨を掻き出してから、そのラスプでラスピングします。その患者さんの形に合わせて作っていますから骨切りの位置が間違っていなければ予定の位置まで入るはずですし、入らなければ何かがおかしいということになります。大抵は大転子部分の外側の海綿骨が残っていることが多いのでそこを鋭匙でまたガリガリやってラスピング。目標の位置まで入れば、それ以上は入らないはずなので迷わず本物のステムへ。そして当然本物もその位置まで入れば、ヘッドの中心も設計者が意図した位置に来ることになるわけです。すばらしい! もちろんカップが意図した位置に入っていれば、の話ですが。つまり、カップは「なり」に入れたとしてここに入る、とすれば脚延長何ミリでコンバインドヴァージョン何度でオフセットが小さくならない(基本的にはオフセットを変えないように)その患者さんに合わせたステムをCTデータをもとにオーダーメイドで作成しておけばいいわけです。

 

高齢女性など骨質が悪い時にはセメントのカスタムメイドステムを使用しています。セメントは抗生剤なし。セメントテクニックはアンリ・モンドールと同じでした。ヘッドをつけたら外旋から内旋に戻しながらヘッドを内側に押して整復します。整復したら伸展位から中間位に戻して牽引を解除。ここで中間位のまま少し外旋して前方脱臼しない事を確認。外す時は短鈍鈎で引っ張りながら牽引して外旋。縫うのは筋膜と皮下のみなので、スムーズに行けば30分で終了です。

 

カップが小さくて骨頭が28mmしか使えない時には出来るだけカプセルも前方を切ってめくっておいて後で縫合していました。ちなみに、このクリニック、8月はバカンスのシーズンなので手術なしとのこと!フランスではバカンス第1!なので、8月あたりはお店もしまっているところがほとんどだそうです!フランス旅行の際には要注意です。

 

Nogier先生は、外来でTHAの適応の人がいれば自分のフィロソフィーを説明するのだ、とおっしゃっています。つまり、自分はDirect anterior approachを用いており、muscle sparingを大事にしている、そしてより精度を高めるためにはカスタムメイドステムを勧めます、というお話を患者さんにして、同意していただけた場合には手術の予約を、という形になりますが、カスタムメイドステムは通常のステムより患者さんが支払う値段も高いので、そこだけ同意いただけない場合は少し安い通常のステムで手術を行うこともあります。

 

THA後数か月から数年で出現した股関節前方の痛みで、腸腰筋を使う動きで痛い場合には腸腰筋インピジメントでしょうという症例も結構いました。その場合にはまずラディオロジストにお願いしてエコー下に腸腰筋に局麻を注射して痛みの取れ具合を見て診断。腸腰筋ブロックでの除痛で不十分であればスコピックに腸腰筋腱切除をしていました。THA後に脱臼を繰り返すのでデュアルモビリティカップに変えたら腸腰筋由来の痛みが出たという症例も紹介されてきていました。

 

FAI由来や軽度の寛骨臼形成不全由来の関節唇損傷がメインの痛みのような患者さんでも、CTで一部でも関節裂隙が1mm以下ぐらいまで狭小化している部分があれば関節鏡ではなく迷わずTHAを勧めるようです。痛くてサッカーができないという主訴の変形性股関節症の方が来た時に、サッカーはTHA後半年からやっていいと言っていたのも少し驚きでしたが、サッカーを辞める?それともTHAをやる?という2択を提示できるところがすごいと思いました。保存治療を選択した場合には、家庭医のようなかかりつけの先生にお願いしてNSAIDsを投与してもらうか、放射線科に依頼して定期的にステロイドの関注をお願いするか、という感じでした。

 

THA後の痛みでエコーによる軟部組織の評価やCTによるインプランテーションの問題を検索しても原因がはっきりしない時には、骨シンチを重視していました。感染よりもゆるみの可能性をシンチで判断することが多いようです。痛みが強くシンチで明らかにアップテイクがあればすぐにリヴィジョンを勧めていました。ただ、もちろん触診や採血結果で感染が強く疑われる症例はやはり放射線科での関節穿刺と培養を勧めています。

 

THA後の反復脱臼で紹介されてきた患者さんの場合には、デュアルモビリティカップに代えてオフセットを付けて、可能なら外旋筋の修復も行うというのが基本方針のようです。リヴィジョンの理由に寄らず、基本的にリヴィジョンの手術に関してはdirect anterior aproachではなく、側臥位の後方アプローチで入っていました。ちなみに、プライマリーTHAでも、75歳以上の患者さんの場合には、第1選択でデュアルモビリティカップを使用する、という方針のようです。

 

おまけですが、このクリニック、膝の、特に人工膝関節置換術に関しては、パリで2番目に多い件数を誇るようで、1回見せてもらいましたが、ブレインラボのナビを使って、機種はデピューの、セメントレスの、モバイルベアリングTKAを施行していました。執刀医の話では、術中に麻酔下でスタビリティをチェックすると少し不安定かなと心配になって「スティフ」にし過ぎちゃうことがあるので、その辺を注意したほうがいい、というアドヴァイスを頂きました。そして、ナビを使ってはいるけれど、ナビの結果にこだわりすぎずに、その患者さんに応じて微調整が必要だと教えてくださいました。ちょっと驚いたのは、手術の最後に顆間部に結構な量のサージセルみたいなものを留置してきている点でした。タニケット開放後の出血を押さえるのに効果的だそうです。そして滑膜は出来るだけ残すようにしているそうです。ACL再建はSTをグラフトにしたシングルバンドル再建で30分くらいでこなしておりました。TKAもACLも看護師さんと2人だけで手術されていました。Nogier先生のTHAも僕のようなフェローがいない時にはミラさんと2人だけでやっているそうです。

 

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↑圧布のかけ方。牽引台を外から操作しやすいように片足ずつではなく、両足にバサッと圧布をかけます。露出部分は皮切開部位のみ。チャンレーの開創器を使用。

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↑CTでカップ側の3Dテンプレーティングを行い、オフセットや脚長などを設定するとステムの形状が決定され、自動的に描画もされる。2週間後にカスタムメイドのステムが完成する。

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↑左が実際のカスタムメイドステム、右がカスタムメイドラスプ。下はカスタムメイドセメントステム。頸部骨切りラインも3Dテンプレーティングから自動的に算出される。

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↑術後のレントゲン写真と応力解析の図です。Alexis Nogier先生には最先端の手術を見せて頂いただけでなく、パリ滞在に関しても多大なるお世話をして頂き、本当にありがとうございました。