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2015年6月13日土曜日 第8回秋田県手外科研究会 (粕川雄司)

第8回を迎えた秋田県手外科研究会が6月13日第一会館本館で開催されました.今回もハンズオンセミナーでエコー下上肢神経ブロックの実際が行われました.千馬誠悦先生,成田裕一郎先生,伊藤博紀先生,白幡毅士先生,富岡 立先生より,講義と4台のエコーを用いての実習を行っていただきました.鎖骨上(斜角筋間)と腋窩での神経ブロックについてわかりやすくご指導いただきました.参加した先生方は,各自でエコーを当てながら実際に神経を確認し,こんにゃくでエコー下に針を刺す実際を練習することができ大変勉強になりました.また,御協力いただきました方々に御礼申し上げます.

続いて一般演題では,6名の若手の先生方より発表いただきました.すべての演題が興味深い内容でしたが,そのなかで市立大森病院の塚本泰朗先生の「前腕コンパートメント症候群を合併した尺骨鉤状突起骨折の1例」が,最優秀演題賞に選ばれました.塚本先生が経験された緊急の患者さんの対応について,詳細に報告・検討されました.最優秀演題賞,おめでとうございます.

ミニレクチャーは,能代厚生医療センターの伊藤博紀先生より「橈骨遠位端骨折に対する治療戦略」のご講演をいただきました.日常診療でよく経験する骨折について,その治療方法まで詳細にお話しいただき,大変勉強になりました.

特別講演では,国際医療福祉大学 教授 中村俊康先生より「手関節TFCC損傷の診断と治療」の御講演をいただきました.TFCCの解剖から診断,また関節鏡下での手術の実際について非常にわかりやすく御講義いただき, TFCCについて理解が深まりました.誠にありがとうございました.今後とも,よろしくお願い申し上げます.

 

第8回の秋田県手外科研究会も,大変有意義な研究会でした.会長の千馬誠悦先生,また成田裕一郎先生をはじめ幹事の先生方に感謝申し上げます.??????????????????????????????? ???????????????????????????????

第10回国際関節鏡・膝外科・スポーツ整形外科学会ISAKOS 2015(塚本 泰朗)

島田教授のご高配により、2015年6月7日〜6月11日にリヨンで開催されたISAKOS 2015に参加して参りました。

 

ISAKOSメンバーから英知先生を筆頭に、佐々木香奈先生、佐藤千恵先生、赤川学先生、そして私の5人が参加しました。第10回記念であり、オープニングセレモリーから大変盛り上がっておりましたが、我々日本人にとっては神戸大学の黒坂昌弘教授がアジア人として初めてISAKOS会長に就任し開催された学会であり、同じ日本人として誇らしく、そして大変刺激を受けました。

学会期間中は主にACL再建を中心としたSessionを拝聴し、日本と海外との違いや最新の知見について勉強しました。特に史野根生先生によるtriple bundle ACL reconstructionの講演は日本のオリジナリティーおよびプライオリティーを示す素晴らしい講演でした。

また、HTO分野では英知先生のドイツ留学先のPhilip Lobenhoffer教授のdouble osteotomyの講演を拝聴し、変形矯正の最先端を知ることができました。その他にもTKAにおけるkinematical alignmentについての講演などを拝聴し、自分が臨床で疑問に感じていたを学ぶことができ、大変有益な時間を過ごすことができました。

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学会では訪れた都市の観光も楽しみの一つですが、リヨンの旧市街は石畳の町並みが残っていて、街全体が世界遺産に登録されており、歩くだけでその景観に感動するばかりでした。また木島先生が留学先の看護師さん教えていただいた、リヨン全体を見渡すことができるフルヴィエールの丘からの眺めも素晴らしいものでした。

5人全員が揃っての最終日はマルセイユへ観光にいき、地中海の気候・食事・そしてビーチを堪能してきました。

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今回我々ASAKGからは木島先生のePosterのみの演題採択でした。まだ若いグループですが、様々な学会にどんどん演題を出していけるように今後も努力していきたいと思います。

第45回秋田県郡市対抗バスケットボール大会 秋田市予選会 優勝報告記 (藤井 昌)

〜秋田ノーザンバイソンズ、公式戦連勝記録を「19」に〜

平成27年度の秋田県郡市対抗大会の秋田市予選会が、5月23・24・30・31日の4日間にわたり開催され、バイソンズは昨年度優勝のため第1シードとして出場しました。結果は見事優勝、そして昨年に引き続き、秋田市第1代表としての県大会出場を決めました。皆様の応援、誠にありがとうございました。

今大会、不動のスタメンである久米選手が欠場ということで苦戦が予想されましたが、新加入の選手がしっかりとその穴を埋め、層の薄さという弱点を克服できた大会だったと思います。チームに安定感を与える40 代、(心身共に)脂の乗った30代、そして(私生活でも)勢いのある20代と、個々の選手がそれぞれの役割を自覚し、チームのために自分の仕事に徹することができるのが、我々の強みです。しかし、試合序盤で劣勢にたたされたり、中盤で点差を離しきることができなかったりと、まだまだ未熟な面もあります。また、メンバーが増えることで、チームプレーの完成度を保つことが難しくなるという問題にも対処しなければなりません。

また次の大会に向け、整佑会公認の運動部として、秋田大学整形外科の名に恥じないよう、チーム一丸となって精進して参ります。今後も熱いブーストをよろしくお願いいたします。次回は9月、「いざ大仙!」です。

 

<試合結果>

1回戦 vs 常笑JAPAN ◯ 81-29

2回戦 vs ZERO ◯ 50-28

準決勝 vs ゼニーズ ◯ 75-37

決勝 vs 秋田WEST ◯ 91-68

 

Akita Northern Bisons

藤井 昌

①予選突破後写真① ②優勝後、山田アドバイザーを交えて写真②-2

③光に捧げる、六魂祭特製TONBURI Tシャツ!

 

写真③

 

 

 

第35回日本骨形態計測学会 若手研究者賞受賞報告記  (藤井 昌)

2015年6月4日〜6日、岡山県倉敷市で、川崎医科大学放射線医学教授・曽根照喜先生主催のもと、第35回日本骨形態計測学会が開催されました。本学会は、昭和54年に第1回骨形態計測ワークショップが開催されたことに始まり、現在では骨代謝学からバイオメカニクスなどの多岐にわたる分野において、最先端のディスカッションが行われています。

今回、自分の学位論文のテーマである、「ビタミンC欠乏ODSラットにおけるビタミンCとテリパラチドの骨密度改善効果」の演題で、若手研究者賞をいただくことができました。この演題の要旨は、「ビタミンC欠乏による酸化ストレス下の骨粗鬆症に対し、ミノドロネート単独投与では骨密度、骨強度を改善しなかった(瀬川先生の先行研究)のに対し、テリパラチドはビタミンC補充の有無に関わらず骨密度を増加させた」、「その背景には、テリパラチドによる骨芽細胞機能改善効果や抗酸化剤的効果の関連が推察された」というものです。骨代謝学や基礎研究分野においてまだまだ未熟な自分が、このような賞をいただくことができたのは、島田教授、宮腰准教授、粕川講師を初めとした先生方のご指導あってのことと思います。この場をお借りして深謝いたします。

また、ランチョンセミナーでは宮腰准教授が「運動器疾患としての骨粗鬆症の予防と治療」を、イブニングセミナーでは粕川講師が「脆弱性を伴った骨疾患に対するテリパラチド治療」をご発表され、マニアを唸らす内容で大きな注目を集めていらっしゃいました。さらに一般演題では野坂先生、土江先生、大内先生が、基礎、臨床にわたる素晴らしいご発表をされました。宮腰准教授を中心としたA-BONEの勢いを全国に知らしめることができたと確信するとともに、このチームの一員であることに非常に光栄な思いです。

今後もまた、このような賞をいただけるよう、精進する所存です。今後ともご指導なにとぞよろしくお願い申しあげます。

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留学便り11 (木島泰明)

パリからオランダのアムステルダムまでは約430km。東京から秋田県南までとほぼ同じだが、ヨーロッパの高速道路の制限速度はだいたい130km/時だから、4-5時間もあれば着くだろう。朝9時に出ればホテルチェックインの15時までには着きそうだ、という予想は、妻的には案の定だったらしいのだが、完全に外れた。レンタカーはモンパルナス駅でのピックアップで予約してある。ポルト・ドゥ・ヴェルサイユのアパルトマンからモンパルナスまではメトロ12番線の1本で行けるために選び、rentalcars.comで予約したその会社Citer は駅からは意外に遠かった。フランスに来て最もお世話になっているアプリの一つで、iPhoneにプレインストールされている地図アプリにCiter モンパルナス店の住所を入力して歩く。着いてからの手続きがまた長い。保険やらデポジットやらチャイルドシートやら、もちろん必要な手続きなのだが、今回の旅行の目的を、知ってはいても理解してはいない妻や、知りもしない虎太郎にとっては、早起きさせられた挙句にここで待たされるのは苦行でしかない、という様子だ。
「なんでアムステルダムなの?」
「せっかくだから、あれやってみたいでしょ、ヨーロッパ21ヶ国完全制覇!」
「水曜どうでしょう?
そんなのは、どだい無理でしょう? だいたい21ヶ国しかないはずないし」

 

EUの、特にシェンゲン協定条約締結国間の移動にはパスポートコントロールがいらない。それならば、国境を陸路で自分で運転して通過してみたい、できれば、なるべく多くの国を「通過」してみたいという目標のもと、今回はベルギーを通過し、オランダを目指すことにした。

ベルギーと言えば、ワッフルの他に思いつくのは、首都ブリュッセルにある世界三大がっかり名所の一つ、小便小僧だろう。例の地図アプリで小便小僧と入力すると見事にブリュッセルの小僧にヒットする。これをカーナビ代わりにパリを出発。今回はオートマ車をリクエストしたところ、ラッキーなことに、ほとんど新車と言ってもいいくらいのトヨタプリウスが配車された。手続きに手間取り、結局10時過ぎにパリを出発したため、市街地を抜けて高速に入ったところで渋滞に巻き込まれる。パリから北へ向かうにはシャルルドゴール空港へ向かうためのこの道を通ることになり、この時間の渋滞は必至だ。

結局ブリュッセルで高速を降りたものの、トラムやら一方通行やらに阻まれて小便小僧にはたどり着けず、高速のサービスエリアでワッフルを買っただけで、そのままベルギーは「通過」し、アムステルダムへ急ぐことに。それでもホテル・オークラ・アムステルダムに着いたときには18時を回っていた。が、妻が自ら選んだランクの高いその部屋がパリのアパルトマンに比べてあまりに快適なために妻も虎太郎も機嫌がいい。ホテルそのものもとても快適でプールにジャグジーもあり、日本食レストランもある。我々はジャグジーで暖まった後に、ホテルの外にある日本食の居酒屋風の店で夕食。久々においしい唐揚げも食べられ、広いベッドでゆっくり休む。

オランダの首都アムステルダムは、運河沿いに立ち並ぶ建築群の美しさが有名な水の都。翌日はゆっくり運河沿いを歩きながら国立美術館まで行き、有名なフェルメールの「牛乳を注ぐ女」を見た後、ダム広場、王宮を経て、ゴッホ美術館で「ひまわり」を堪能。まだオランダのチューリップには早い時期で寒かったものの天気はよく、コンセルト・ヘボウの隣の公園も綺麗だ。昼食はアンネ・フランクの家の隣のカフェで取ったものの、夜はまた「居酒屋」で夕食、翌日のドライブに備える。

帰りは朝早めに出たものの、途中、「ミッフィーちゃん」の作者のふるさと・ユトレヒトにあるミッフィー美術館などに寄ったものだから、パリ・モンパルナスのCiterに着いたのは20時近く。17時に返却予定だったため、追加料金を取られたうえ、メトロで狭いわが家へ。でも、これでフランスを含め3か国制覇だ。

ということで、2回目の小旅行では、前日夜から車を借り、帰宅翌日に返す日程とすることで出発もスムーズで、まっすぐ家に戻れる。今度はルクセンブルグを通過してドイツのケルンに向かったものの、結局、距離はアムステルダムより若干短いのみで、時間は同じくらいかかった上、天気も悪く、ケルン大聖堂の目の前のホテル-エクセルシオール・ケルンの部屋からは大聖堂は見えず、妻のケルンに対するイメージは「カタストロフィック」だ(フランス人は「最悪~」みたいなときに時々カタストロフという単語を使う)。一方、虎太郎はドイツで、大好きなジク社のミニカーをたくさん買ってもらったせいで今でもドイツが大好きだ。創業以来、世界中の子どもから大人までを魅了し続けているsiku(ジク)社。 1921年に自動車産業国のドイツで生まれ、今では世界100カ国以上へ輸出しているヨーロッパのトップブランド。ルクセンブルクは隣のドイツよりもガソリン価格が平均20パーセントも割安なことから、週末に車を満タンにするためにルクセンブルグに出かけ、ついでに同じように安いコーヒーやタバコを買っていくドイツ人が多いらしい。我々もガソリンを入れて、もちろんタバコは買わずに「通過」した。

これで5か国制覇したものの、パリからの小旅行としてイギリスは外せない。しかし、イギリスはシェンゲン協定に入っていないため、滞在許可証のある我々大人は良いが滞在許可証のない虎太郎が、90日以上のフランス滞在を理由にパスポートコントロールで再入国できないと困る(虎太郎もビジタービザは持っているものの、滞在許可証の制度は未成年には適応されず、その代りとなるDCEMカードも両親のフランス滞在が半年を超えないと申請できない)。OFII(移民局)からの「未成年者は滞在許可証制度がありません」という書簡を持っていればOKかもしれないが、面倒なことになるよりは、ということでパリからの小旅行の最後はモン・サン・ミシェルに。

モン・サン・ミシェルはパリから車でちゃんと4-5時間で到達できる。今回もモン・サン・ミシェルに最も近いホテル、ル・ルレ・サン・ミシェルを確保。モン・サン・ミシェルはご存知の通り、満潮になると周りを海に囲まれる。モン・サン・ミシェルへの堤防道路は1870年代に設置されたが、次第に土砂の堆積が進み、海に囲まれた修道院が見られなくなってしまったことから、潮の流れをせき止めにくい新たな橋の建設が始まり、つい最近完成した。堤防道路の撤去作業は今も続いており、2015年夏ごろに完了する予定とのこと。モン・サン・ミシェル保全地域は基本的に車の乗り入れは禁止されているが、我々のホテル、ル・ルレ・サン・ミシェルは保全地域内にあるため、チェックインの前日に保全地域に車で入るためのコードナンバーをメールで聞いておく。こうすることでモン・サン・ミシェルへの新しい橋の袂にあり、部屋から大きくモン・サン・ミシェルが見られるル・ルレ・サン・ミシェルまで車で行ける。ダブルルーム-デラックス(バスタブ付き)からの眺めはこんな感じ↓。ヨーロッパ21か国完全制覇は無理でも過半数の11か国制覇まであと6か国。

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↑左が部屋からのMont Saint-Michel。右上が水に囲まれるところ。大潮の日がお薦め。Mont Saint-Michelの中も綺麗です。

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↑左の2枚はアムステルダム。右は、なんとなくかわいい高速道路脇のフランスの電柱?

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↑とにかく大きいケルン大聖堂とドイツのソーセージ。

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↑ミッフィーの故郷ユトレヒトには、1つだけミッフィーちゃん信号とレインボー横断歩道があります。

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フランスの高速道路会社はSANEF。無料区間と有料区間があります。

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Mont Saint-Michelの帰りに立ち寄った、ジベルニーにあるモネの家。ここもとても綺麗です。パリからだとおよそ1時間で行けます。

 

ということで今回はパリから行ける小旅行情報でしたが、現在、我々はリヨンに滞在しています。リヨンでは今、国際関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会ISAKOS2015が開催中で、秋田からも5名の整形外科医が参加されています(昨日は日本のお土産をたくさんいただいてしまいました!)。この学会の模様やリヨンのレポート、あるいはリヨンから行ける小旅行情報などもいずれお伝えしたいと思いますが、そろそろ我々も帰国準備です。ということで、留学便りは帰国後も続きそうです。

 

そして、次回はNogier先生のTHA情報の予定です。

お楽しみに!

 

CSRS European section, 31th annual meeting in London (鈴木真純)

5/26〜5/28にかけてイギリスの大英博物館にて開催されました、国際頚椎学会ヨーロッパセクションに参加させて頂きましたのでご報告します。

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ことの始まりはある日のASG カンファランスの終了間際に、若手の海外学会への積極的参加の話題の時でした。教授の「みんなのロンドン」というお言葉とともに上記学会参加が決定しました。参加メンバーは、秋田厚生医療センターの小林孝先生、秋田大学の石川慶紀先生、木村竜太先生、そして秋田労災病院より佐藤千晶先生の5人での参加となりました。

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5/26早朝より秋田を発ちましたが、飛行機の準備遅れのため現地で同日行われましたwelcome receptionには参加することができず、翌日の本会からのスタートとなりました。会場はロンドンの大英博物館(ナイトミュージアムという映画の舞台にもなっています)の講堂のような一室とその周辺のフロアを貸し切る形で開催しておりました。形式としては、各セッションのテーマに沿ってoral presentation があり、それに対して質疑応答を行う、という流れが基本のようでした。もちろんそれだけではなく、各国の著名な先生3人が round tableというセッションでそれぞれのケースプレゼンテーションを交えた発表とディベートは(ほぼ自分は着いていけておりませんでしたが)圧巻でした。特に、「Learning from others mistakes」というテーマでは頸椎術後に陥ることのあるピットフォールと、それに対する対処を実際の症例を中心にレクチャーするというもので、まさに失敗から学ぶことの方が多いということが良く分かりました。その他印象に残ったのは術式選択の違いです。国が違えば当然と言われれば当然ですが、日本であれば椎弓形成を選択することが多いであろう症例が、当然の如く前方固定であったり、後方除圧固定適応なのかななんて思っていたら、術後写真では思い切りcorpectomyしてメッシュケージが入っている写真が出てきたりと、まだ自分の経験が浅いこともあって非常に衝撃的でした。

また学会期間中に、秋田でも御講演頂いております、鐙邦芳名誉教授にもお会いすることが出来ました。

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ここからはアカデミックな話ではありませんが、自分のイギリスのイメージとして第一に思いつくのが、「飯がまずい」ということでした。しかし実際は全くそんなことなく、定番のフィッシュアンドチップスからミートパイなどとても美味でした。また、ロンドン市内の建物も歴史的な建造物がほとんどであり、どこを歩いても飽きない素晴らしい町並みでした。海外学会恒例の観光も、ビッグベンからバッキンガム宮殿、ミュージカル、美術館など非常に充実した内容でした。

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最後に、このような学会に参加する機会を与えてくださった島田教授、宮腰准教授に改めて深く御礼申し上げます。また、引率してくださった小林孝先生、石川慶紀先生にも改めて御礼申し上げます。この学会で受けた刺激を今後に生かしてゆきたいと思います。

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第52回日本リハビリテーション医学会学術集会(佐々木研)

第52回日本リハビリテーション医学会学術集会が5月28日(木)~5月30日(土)新潟市の朱鷺(とき)メッセにおいて開催され,秋田大学からは教授のランチョンセミナーを含め10題の演題発表がありました.

 

リハ学会は整形外科あるいは医師に限らず,他科の先生やコメディカルの発表を聞くことができる貴重な機会となっています.

 

大学院生の基礎研究についての発表や,松永准教授,竹島先生の臨床的な演題については,興味深い内容で,会場での質疑も大変盛り上がっていました.

 

教授のランチョンセミナーでは,ロボットリハビリテーションの未来についてなど,非常に先進的な内容の御講演で,会場の聴衆を圧倒していました.

 

来年は京都でリハ学会が開催されます.

 

次回も秋田より多数の演題発表があることと思います.

 

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木島泰明先生 留学便り 10

2015年の3月から4月まで、フランス・パリのClinique Maussins-Nollet で研修させていただきました木島泰明です。今回は、Alexis Nogier先生の股関節鏡手術についてレポートしたいと思います。

 

研修初日はクリニックの玄関で待ち合わせ。最初の3日間はギリシャから見学に来ていたドクターと一緒。Nogier先生登場後、3階の個人秘書シャルロットさんの部屋に向かう。そこでパンとジュースを御馳走になり、自己紹介が済んだところで、地下一階の手術室に向かう。帽子やマスクなどは、アンリ・モンドール病院と同じなのでOK。靴下はそのままだが、ここでは靴は履きかえる。

 

Nogier先生の手術日は月曜日と水曜日。月曜日は1つの手術室を借りていて、主に股関節鏡手術とリヴィジョンTHAを行い、水曜日は2つの手術室を交互に使い、主にプライマリーTHAを1日6-8件行っているとのこと。スペイン人の専属の機械出しナースのミラさんがすべての手術に入ってくれるだけでなく、THAのテンプレーティングまでやって、それをNogier先生がチェックするスタイルです。

 

8時半ころに入室し、9時にはセッティング完了。月曜日には、パリの別の病院の先生が股関節鏡を学びに来ている。件数が多くない時には、近くのカフェにみんなでランチに行く。件数が多いときには秘書さんがパスタや寿司(!) のテイクアウトを運んでくれる。

 

Nogier先生の股関節鏡手術は、透視を使わず、牽引台は使うものの刺入時には牽引せずに辺縁部にまずカメラを入れるという、フランスで開発されたperipheral first approachが特徴です。カメラはストライカー、道具はスミス&ネフューがメインでした。45度くらい股関節屈曲位で、大転子と上前腸骨棘の中間あたりのソフトスポット(と言っていました、いわゆるproximal mid-anterior portalに近い位置のよう)からニードルを刺入してグリグリと大腿骨頸部を探って、関節包内まで刺入(牽引をしていないので、大腿骨頭と寛骨臼の間には入れない)。ですので、刺入方向は患者さんに対して、真横かやや遠位に向かう感じになります。Just anterior part of the femoral neckを目指し、そこから骨頭のヘリに進む感じとのことでした。潅流水ははじめから入れていました。

 

(この後、話は本格的にマニアックになります、申し訳ありません。股関節鏡手術に興味のない方は読み飛ばしてください。次回はパリから行ける小旅行のお話にします。)

 

股関節のスコピーは一度機械を抜いてしまうと、また入れるのが大変なので、ヘラを使って機械を出し入れするのですが、シェーバーから何かに入れ替えるときには、シェーバーのヘッドだけ残して(実際にはヘッドの内筒も取って外筒だけ残して)、それにガイドワイヤーを通し、そのガイドワイヤーをガイドにロッドやヘラを入れる、あるいはその逆に、ニードルが関節内に入れば、それに通してガイドワイヤーを入れた後に、そのガイドワイヤーをガイドに、シェーバーヘッドの外筒を入れてから、内筒とシャーバーの本体を付けるという方法で機械を入れ替えていました。(文章だとわかりにくいですね。)

 

関節唇の縫合はせずデブリ(切除)だけ行う場合は、カプセロトミー(関節包の切除や切開)は1cmくらいに留めるとのこと。ただし、操作に必要なら広げるとのことでした。ラブラルシスト(とおっしゃっていました-MRIで関節唇が膨化してシスト様に見える所見)の時はリペアの適応はなくリゼクションがいいだろうとのご意見でした。同様に、明らかに変性している部分の関節唇もためらいなく切除していました。

 

縫合したのに痛みが取れない患者さんもいらっしゃり、術後半年や1年でも痛みが取れない場合にはリオペして縫合した関節唇を縫合糸ごとデブリするという手術もありました。関節唇損傷で最初からデブリをしたものの、やはりスポーツ時の痛みが取れない患者さんもいらっしゃり、ダメならもう1回スコピーやるか、あとはスポーツを変えるかしかないとお話をしなければならないケースもあるようでした。

 

2ndポータルは、股関節を伸展位にして、1つ目のポータルからの鏡視をしながら作ります。2つ目のポータルは、Anterior lateral portalとPosterior lateral portalの中間くらい(つまり大転子のすぐ近位あたり)の位置からニードルを入れて、ニードルに通してガイドワイヤーを入れ、ガイドワイヤーに金属カニュラを通して穴を広げた後に、ガイドワイヤーにシェーバーヘッドの外筒を通してから、ガイドワイヤーを抜き、残したシェーバーの外筒に、内筒を付け、ついでシャーバーの本体を装着、という手順で行っていました。そしてこのままシェーバーでカプセロトミーに移ります。つまりビーバーメスでの関節包切開はしません。

 

この2つ目のポータルは、ほぼジョイントラインで刺すのがリーズナブル(つまり単純X線写真で言うと、ほぼ真っ直ぐに大腿骨頭と臼蓋の間に入るような角度でということ)とおっしゃっていました。

約1㎝径の関節包の穴を作り、操作性が確保できたら、このままシェーバーをアブレーダーに代えてCam切除に移ります。Camはメディアルにはないし、骨頭の栄養血管の損傷や術後の骨折のリスクになるのでメディアルは削らないこと、つまりAnterior synovial foldよりも内側は削らない、と注意して下さいました。反対に、外側は後上方までかなりしっかり削ります。Pincerに関しても牽引せずに明らかにPincer(というか関節唇がなくなっているような、つまり骨棘)と思われる部分はこの時点で削っていました。

 

このあとに、2つ目のポータルのアブレーダーをロッドに入れ替え、鏡視しながら徐々に患肢を牽引していき、ロッドが大腿骨頭と寛骨臼の間(いわゆるcentral part)に入るくらいになったところまでで牽引をストップし、そのままcentral partにロッドを進め、ロッドがしっかりそこに入ったら、そのロッドを通して、カメラ用の金属カニューレを入れ、その金属カニューレにカメラを入れます。これで2ndポータルからの鏡視となるのですが、僕が見慣れたいつもと同じ見え方になります。そして最初に作ったポータルからあらためてニードルを入れて関節唇の処置に移ります。

 

局所的で不安定性のない関節唇損傷はリペアではなくデブリをし、Camを前方から後方までしっかり削るのを重視されています。後方の関節唇の処置は、1つ目のポータルから鏡視して、2つ目のポータルから処置していました。

 

ディスプラジア気味の時は関節包切開を出来るだけせずに、ポータル作成時のカプセルの穴をほんの少し大きくする程度のみにするとおっしゃっていましたし、寛骨臼形成不全の患者さんに合併するCamで、明らかな関節唇損傷がない場合はCam切除だけで終了し、臼蓋側はいじらない症例もありました。でも、DysplasiaとCamの所見だけであればまず保存治療を勧め、だめならスコピーという感じのようです。いわゆるborderline dysplasiaでもCTで少しでもOAの所見があれば、スコピーではなくTHAを勧めていました。逆にFAI由来のOAのような方の場合には、少しOAの所見があっても若い人などでは、いきなりのTHAではなくスコピーをやってみてだめならTHAを検討しようというケースもあります。いずれにしてもTHAの切れ味に比べると股関節鏡での処置はすぐには症状がすっきりしない患者さんも多く、「パーフェクトじゃないけどカタストロフィックでなければ半年か1年待ってみると徐々に落ち着くケースも多い、それでもダメなら再度の画像検索かリヴィジョンスコピーを考慮する」とのことでした。

 

単純X線写真の正面像やCTのコロナールで見えるCam(いわゆるピストルグリップ変形の部分)を切除するには鏡視でもかなり外側を削るイメージ、単純X線写真のDunn view、LauensteinやCTのアキシアルで指摘できるCamが前方から前外側を削るイメージです。見た目で軟骨でない部分はアブレーダーの厚さ分くらい全部削るという感じでした。再発や痛みの取れにくさの原因はCam切除の不足が多いとのことです。この辺がとても難しいです。

 

Alexis Nogier先生は、週に1回、別の病院、というか外来だけのサテライト・クリニックで外来をしていました。外来の時は2つの診察室を使い、術後の患者さんは個人的に雇っている診察助手さんが診察したうえで、それをNogier先生が確認し、もう一つの診察室で新患の方を自ら診察するというスタイルでした。患者さんの外来や入院・手術の予約の管理はすべて秘書のシャルロットさんがやってくれます。ここではどのドクターも同じようなスタイルで、部屋だけを借りて秘書さんや助手さんを持ち寄って営業している、という感じでした。

 

その新患外来も見学させてもらったり診察させてもらったりしたのですが、股関節のローテーションで痛みが出るけど可動域制限はない、というのが関節唇損傷の典型的な所見だとおっしゃっていました。OA以外で外来を受診する患者さんのほとんどは関節唇損傷で、痛みの部位としてはやはり鼠径部痛がメインですが、後方は仙腸関節、下方は会陰部から坐骨結節のほうまで痛がる方もいらっしゃいます。関節唇損傷に関してはCamをしっかり削れればリペアでなく切除だとしても成績はいいとのことです。(もちろんリペアもされていますが。)

ただし、画像で関節唇損傷がはっきりせず、骨軟骨病変(表面の不整)のみのケースもあり、そのような所見なら軟骨片などの引っ掛かりが痛みの原因になっている事が多いので、痛みが強ければすぐに診断的スコピーを行い、デブリや遊離体除去で痛み取れることが多いとのことでした。逆に、痛み以外での可動域制限があればスコピーのコントラインディケイションともおっしゃっています。

 

外来では単純X線写真をまずじっくり見ており、たとえば明らかなBumpではなくても、インピンジするような大腿骨の位置に骨硬化があればCamの所見と話しておりました。こちらでは原因のはっきりしない股関節痛の画像診断としては、MRIよりも関節造影CTが一般的なようで、開業している放射線科医がやってくれます。患者さんはその画像を持って整形外科医(股関節外科医)を受診します。関節造影CTでちょっとでも関節唇基部に漏洩があってインピンジメントテストが陽性ならすぐに股関節鏡手術を勧めていました。家庭医みたいな先生にNSAIDsなどの保存治療はすでに受けている患者さんがほとんどだというのもあり、あまり保存治療を勧めるケースは見られませんでしたが、画像ではっきりしない場合はやはりラディオロジストに依頼して関注のブロックテスト(キシロカインテスト)をしています。ただし、CamもPincerもDysplasiaもはっきりしないごく小さい関節唇損傷では、まず保存治療を勧めていました。Nogier先生の外来にはフランス代表レベルのアスリートも受診されていました。

 

THA後に生じた前方の痛みでの腸腰筋インピンジメントと診断される患者さんもちらほらいました。腸腰筋を使うような動きで前方の痛みが出るのを診断の根拠にしていました。ストレッチなどで痛みが取れなければ、スコピックに腸腰筋腱切離を行っていました。この時は1つ目のポータルの少し遠位(いわゆるMid-anterior portalの位置)からカメラを入れ、1つ目のポータルからのRFプローブで腱切離を行っていました。つまり切離場所は小転子部ではなく、関節内なので神経・血管に注意して慎重に行う必要があります。

 

大転子部での腸脛靭帯のスナッピングに対しても鏡視下での処置を行っていました。側臥位にして、大転子の近位と遠位に切開を入れ、皮下にカメラと鉗子を刺入します。そして潅流液を流し、70度鏡を用いて外側から腸脛靭帯を見ながら、RFプローブを使って大転子上の靭帯を幅30mm 長さ50mmくらいの範囲で切除していました。成績はとてもいいそうです。Synovial chondromatosisも股関節鏡の良い適応と話していました。完全に取り切れなくても痛みはかなり改善するようです。もちろん再発のお話はしていらっしゃいました。

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Clinique Maussins-Nolletの外来診察室や手術場の風景です。リフォームしたばかりのようでとても綺麗です。キリン模様のポータブル単純X線写真の撮影機がかわいい!

 

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左上はいわゆるherniation pit。左下は前方のCamの切除部分。右上は関節造影CTでの関節唇断裂の所見と外側のCamの切除部分。右下は関節唇損傷を示唆する前方のシストです。

 

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左股関節のポータルの位置です。右上が1st ポータルを刺入したところ。股関節屈曲位です。左下は終了後。縫合部の位置でポータルの場所がわかるでしょうか。右下は牽引台です。

 

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1st ポータルからの鏡視。2nd ポータルからロッドを入れて、徐々に牽引。ロッドがcentral partに入るようになったら(右図)、ロッドに金属カニュラを通し、そこにカメラを入れれば関節軟骨と関節唇の鏡視が可能となる。

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Labral cystとのこと。このようなケースでは縫合は困難とのこと。

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大転子部でのsnapping hipの症例。側臥位で大転子直上の皮下にカメラを入れての腸脛靭帯を部分的に切除。傷が小さくて喜ばれるとのことです。

第10回Orthopaedic Trauma Courseに参加して (Orthopaedic Trauma Institute in San Francisco General Hospital見学) (佐藤千恵)

島田教授のご高配で,2015年4月29日~5月2日,サンフランシスコで開催された第10回Orthopaedic Trauma Courseに参加して参りました.

 

秋田大学からは藤井昌先生と私,また北は富良野,南は沖縄,DrだけでなくNsも参加されていて,一緒にOTIを見学しました.OTIは,島田教授のご学友でいらっしゃる長尾正人先生がお勤めの病院です.SFGHがサンフランシスコ一帯の高度救急を担っており,整形部門を請け負っているのがOTIになります.24時間スペシャリストが待機している病院です.OTIの役割として,臨床だけでなく,研究・教育もしていて,施設内にはCadaver training roomやLaboratory roomも備わっています.ちょうど留学中だった関西医大6年生の学生さん2名がEnglish Presentationをしましたが,整形外科志望でない彼らの立派なピロン骨折や臼蓋骨折の発表を聞いて,感銘を受けた反面,言いようのない焦りも生まれ,志の高い若者に触発された忘れがたい日になりました.

ERはスタッフ(だけでなく患者さんも)がたくさんいて,診察室内には銃を携行したPolice officerが同行していたりもして,日本とは違った緊張感を漂わせていました.Gunshot injuryは毎年件数変わらないようですが,全然珍しくないとの事でした.怖いですね…

Operating Roomは,いつでも手術が可能な状態の部屋が1室あり,麻酔科Drも常に1名が救急バッグを携帯していて,緊急時対応のレベルに高さに驚きました.

実は,私,見学日は体調不良で,他大学の先生方に大変ご迷惑をおかけしてしまいました.色々と気を配って頂きまして,心よりお詫びと御礼申し上げます.

 

その夜は懇親会がありました.SFGHへご留学されている日本の先生方も来て下さり,東大や名古屋市大,兵庫医大の先生方とも交流させて頂き,留学中の経験談など伺うことができました.

 

翌日からのTrauma Courseでは,10-15分の講演・講義を2時間程度した後にHands-On,の2セット,×3日間と,充実の内容です.基本的な手技や新しい知識を確かめるチャンスで,大変盛り上がっていました.

あとから聞いた話では,Hands-Onは参加証が応募券となっていて,最終日に抽選でホテル宿泊券や商品券などが当たる企画もあったようです.英語をちゃんと聞いておらず,そんなのは知らずに終わってしまいましたが….

さらに余談ですが,我々と同じ時期に安倍首相と山中教授も来桑していて,UCSFの日本人留学生を激励なさっていたようです.又聞きしただけでも,やる気がでる話でした.

 

不在の間に大変ご迷惑をおかけしました医局の先生方,スタッフの皆様には心より御礼申し上げます.

海外での貴重な経験をさせて頂き,本当にありがとうございました.

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手外科マイクロ講習会 (益谷法光)

5月9日に手外科マイクロ講習会が開催されました。

年に3回AHG講師陣の指導のもと若手整形外科医に対してラットを用いた血管縫合・マイクロサージャリーの基礎講習会を行っております。今回は中通総合病院から千馬誠悦先生・成田裕一郎先生、能代厚生医療センターから伊藤博紀先生が講師としてご参加戴きました。

講習会における目標のひとつにはラットの血管を再開通させるということにありますが、初心者の先生にはマイクロ鑷子など普段使用しない器具の扱い方やルーペを使った時の視野感覚など、教科書を読むだけでは分からないコツを懇切丁寧にご指導戴いております。講習はゴムシートを使ってマイクロ鑷子を使った縫合方法を学ぶところから始まり、糸こんにゃくを血管に見立てて血管縫合の練習をし、手羽先から血管を露出させて縫合した血管に水を通して再開通できるか、など段階的に進んでいきます。

それぞれの段階でAHG講師陣より熱いご指導を頂きながら技術的にステップアップできるようにプログラムが組まれています。今回は大学院前の若手先生に加え、雄勝中央病院から柴田暢介先生がご参加されるなど、盛況な会となりました。今後もさらに研鑽を重ね、向上心をもって取り組んで行こうと考えております。

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