2015.2.28-3.1に秋田県仙北市田沢湖スキー場で開催された、モーグルのワールドカップに医療班として参加して参りました。
選手の公式トレーニングが2.26から行われましたので、それに合わせて田沢湖入りしました。
大会の役員にご挨拶と顔合わせに伺った後で、資機材の確認をして、モーグル会場である黒森山ゲレンデに向かいました。アクシデントはそこで起こりました。1日目の公式トレーニング中、第2エアーのランディング付近で、韓国の選手が、着地の際、自分の膝を下顎に強打して、口から大量の出血をしました。自分はすぐに駆けつけ、下顎の口腔粘膜が断裂して、下顎に圧痛と腫脹を確認しましたので、下顎骨折を強く疑い、スキーパトロールと消防と連携し、ドクターヘリ搬送を要請と同時に、搬送先である秋田大学附属病院の救急部の中永先生に収容をお願いしました。要請からヘリ到着まで25分、選手のヘリ収容から大学病院到着まで20分でした。このような国際大会での医療スタッフに必要なことは医学の知識や技術はもちろんですが、英語力を含めたコミニュケーション力も非常に大事であるということを感じました。
余談ですが、韓国チームの監督が、あのトビードーソンでした。彼は、Korean Americanであり、自分のモーグル現役時代のスーパースターです。(写真)
搬送事案は、もう1件ありました。その事案は、ノーザンバイソンズTDである藤井昌先生に対応してもらいました。女子カナダチームのエース選手が第1エアーの着地で、右手を強くついてしまい、コース端でうずくまってました。肩でも脱臼したかなという目で見てましたが、数分後に滑って降りてきたので、大丈夫だったのかと思っていました。その後、しばらくしてからカナダチームドクターに連れられて、手関節痛を主訴に救護所を訪れたので、ここぞとばかりに藤井先生に田沢湖病院まで同行してもらうことにしました。(後日、日本人通訳の方ともお話しましたが、彼らはmedical termsについての知識はそれほどはなく、医学英語に堪能な藤井先生を同行させてよかったと考えております。)ちなみに藤井先生は、病院から帰ってくるなり、researchということばがどうしても通じなかったといっていました。(アクセントの位置ですな)。幸いこの選手には骨傷なく、大会ではシングルで2位となってました。藤井先生の優しいサポートが好成績につながったのではとも考えられます(写真)。
2.27の夕方には、大会レセプションがあり、我々も、医療スタッフという立場を利用して、SAJの鈴木会長や上村愛子さん、大会役員の方々や選手達と交流して楽しむことができました(写真)。温泉では、FISの上の役職の方々と露天風呂でお話しして、我々の対応の迅速さがかなり高評価をうけていることを知りました。
2.28-3.1の大会では、蝦名寿仁先生を隊長とする市立角館総合病院DMAT隊も駆けつけていただきました。また、3.1には島田教授とご家族もお越し頂いて、エキサイティングな滑りを観戦頂きました(写真)。幸いそれ以上のアクシデントは発生せず、みなさまのご存知の通り、成功裏に収めることができた大会となりました。
本大会は、本年より向こう3年間、開催される予定です。来年は、さらに我々の医療チームをより良いチームとして再編し、医療サポートをしていきたいと考えております。その節は、同門の諸先生がたのご理解とご協力をお願いしたいと考えております。
齊藤英知