留学報告⑭ スポーツ外来 Anthony Luke先生(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はスポーツ外来見学 その1

いつもお世話になっている長尾正人先生に,UCSFでスポーツドクターとして勤務されているAnthony Luke先生を御紹介頂き,UCSFのスポーツ外来を見学してきました.

Anthony Luke先生はバンクーバー冬季オリンピックにも帯同された先生で,UCSF Orthopedics Instituteのスポーツ外来で診療されています.Luke先生は家庭医をバックグラウンドとしているため手術はされませんが,筋骨格系疾患全体を幅広く診療されて,時には脳振盪の患者も診療されます.

午前中は12人ほどの診療で,神経根性の腰痛,骨頭すべり後の若年性OA,半月板損傷,Hamタイトネス,こむらがえり,凍結肩,腓骨筋腱脱臼,痛脳振盪など部位も年齢も背景も人種も多様で,幅広い知識と気配りが必要となるようです.スポーツ外来ということもあり,患者さんの知識も相当なもので,文献レビューを行ってくる家族もいます.治療についても,他の治療法,どれくらいの効果があって,何%の人が良くなるのかまで細かく聞かれます.Luke先生は1人1人丁寧に診察し,病状・原因・治療について分かりやすい説明を行っていました.

午後は10人ほどの診療で,主にエコーを使った診療で,エコー下の関節内注射や診断目的の注射,膝蓋腱障害に対するPRP治療などを行っていました.HA注射の多用はなく(保険とガイドラインの関係かもしれません),ステロイドを最低3ヶ月以上間隔あけて注射することが多いようです.

診察スタイルはSFGHと同じで,医師が部屋に出向く形をとっており,Luke先生は3-4部屋を行ったり来たりする形です.ここにはSFGHほど多くのレジデントはおらず,レジデントが予診を行ったりはしていませんでした.

また,診療補助を行ってくれる看護師さんもおらず,担当のAthletic Trainerが患者の入れ替えや部屋の整理などを行っている状況で,人件費はできるだけかけないようにしている印象を持ちました.

目新しいこととして,Luke先生はGoogleグラスを用いた診療アシストのTrialを行っているようで,Googleグラスをつけた状態で診療されていました.アシストの内容は,カルテ記述のディクテーションの補助,電話,メモなどです.Luke先生曰く,ペーパーワーク業務の約20%の負担軽減になっている感じがするとのことでした.見た目はそれなりに目立ってしまうものなので,患者さんには診療前に必ず説明を行い,簡単に同意を得ていました.今後,もしかしたらこのような技術がだんだんと流入してくるのかもしれません.

動作解析の部屋を見学させて頂いたり,オリンピック帯同時の裏話などを教えて頂いたりもして,大変興味深く,勉強になる外来見学でした.

Orthopedics Institute ビル1個,全部整形外科用です.

Googleグラスを着用したAnthony Luke先生と

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