第2回秋田リウマチ治療トピックスセミナー(阿部和伸)

朝晩は肌寒さも感じられるようになってきた2019年9月19日、「第2回秋田リウマチ治療トピックスセミナー」が秋田キャッスルホテルで行われました。時々刻々と進歩する関節リウマチ治療の最新トピックスを勉強する貴重な機会でした。

 

Lecture1では、中通総合病院整形外科の杉村祐介先生に「関節リウマチ患者の残存症状の検討」という演題でご講演いただきました。関節リウマチで通院中の患者さんにおいて、治療が奏功し臨床的・機能的・構造的な評価は良いにもかかわらず、痛みやこわばり、倦怠感といった症状が残存している患者さんがしばしばみられます。最近、patient-reported outcome (PRO)が提唱され、患者さんの自覚的な症状、特に倦怠感、痛み、こわばりの程度を評価することが重要視されるようになってきました。杉村先生は外来通院中の関節リウマチ患者さんにPROに基づいたアンケート調査を行い、疾患活動性、エコー所見、内服薬、身体活動度による違いを評価された貴重なデータをご提示いただきました。結果、DAS-28 ESRにおいて寛解、低疾患活動性である患者さんにおいても、5-6割程度の患者さんが倦怠感、痛み、こわばりを自覚していることなどが分かりました。倦怠感の原因としては炎症、筋力低下、不安やうつなどが考えられ、今後はこれらに対するアプローチによりPROの改善も目指していく必要があると分かりました。

 

Lecture2では新潟県立リウマチセンターの阿部麻美先生をお招きし、「関節エコーできった鑑別学」という題でご講演いただきました。阿部先生の豊富な治療経験から、関節リウマチによって関節破壊が年々進行していく様を、多くのレントゲン写真を使って示され、衝撃を受けました。手術経験も豊富であり、手術で採取した滑膜をRooney scoreで評価され、エコー検査で滑膜炎の所見が強い患者さんほど、滑膜造成、リンパ球浸潤が強いことなどを示されました。また、関節リウマチと乾癬性関節炎をエコー所見で鑑別できる可能性を示され、今後の診療で大いに役立つ内容でした。

 

今後も日々進歩を続けるリウマチ治療の知識をアップデートし、最適な治療を提供できるよう精進していきたいと思いました。