第48回日整会骨・軟部腫瘍学術集会 (鈴木真純)

7月10日、香川県高松市にて行われました、日整会骨・軟部腫瘍学術集会、特別研修会のご報告です。骨軟部腫瘍の診療に携わるにあたり、基本であり必修となる事項を習得する貴重な講演でした。特に会の冒頭で話されていた、この講演が行われるようになって以降、間違った初期対応で取り返しのつかない状況になるケースが減少してきたという言葉が印象的でした。

最初の御講演は、埼玉県立がんセンター整形外科部長 眞鍋 淳先生の「骨腫瘍の治療」でした。はじめの総論では腫瘍の種類に応じた、保存療法の適応・手術・科学療法・放射線治療に関することが中心で、実際に初診から治療までの一連の流れを経験することの少ない自分にとっては大まかな流れを確認できる良い機会となりました。次に、良性骨腫瘍・原発性悪性骨腫瘍・転移性骨腫瘍の治療に関するもので、これも各腫瘍の特徴最近の動向も交えて御講演されておりました。こちらも、所々を断片的な知識程度にしか知らなかった重要事項が満載であり、改めて勉強になりました。

次の御講演が、東京医科大学整形外科教授 西田 淳教授による「軟部腫瘍の診断」でした。序盤は2013年のWHO分類の改訂の話に始まり、好発年齢・腫瘍の良悪性による好発部位、組織学的悪性度など、序盤から自分の勉強不足を痛感する内容でした。この御講演の中でも治療に関して(主に手術治療を中心に)のお話がありましたが、あくまで診断の重要性に重きを置く内容が強調されておりました。後半では、もはや診断には必須とも言える、CT・MR・PET検査・エコーなどの画像診断における各検査の目的、見所などを詳しくご高説頂きました。最後に診断の最重要とも言える生検・病理診断に関しては、あくまで熟練した診断・評価能力が必須であり、次に行われる切除術を意識した対応が必要であることが理解出来ました。

最後に、御講演頂いたお二人の先生が共通しておっしゃっていた、『骨軟部腫瘍は患者の生命に直結する分野であり、不用意な生検が治療結果を左右する。』という言葉がこの会において最も印象に残りました。短時間の研修でしたが、少ない機会かもしれませんが日常診療で、今までと違った姿勢で腫瘍の診療に臨もうと考える十分なきっかけになったと思います。

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