平成27年6月27日、新潟市で出羽・阿賀リウマチフォーラムが開催されました。
この研究会は今回、初の開催で、秋田からは島田洋一教授率いるAORA医師15名と、中通総合病院のリウマチ診療に関わるナース、検査技師合わせ総勢21名で参加してきました。
研究会の前には、新潟県立リウマチセンターの見学の機会を設けていただきました。リウマチセンターは2006年に設立された公立病院で初めてのリウマチ専門病院です。特徴の一つが『連携』です。整形外科医と内科医の診察室が隣り合わせで、すぐに相談ができる環境となっています。診察室が円形に配置されているのにも驚きでした。また医師、看護師、リハビリスタッフとの情報交換も密に行われています。さらに、院外連携として、サテイラトクリニック(協力病院)との連携体制も構築されており、病状が安定している患者は、診療所などの地域の医療機関をかかりつけ医とする機能分担がなされています。もう一つの特徴は『教育』です。入院病棟では治療のための入院のほか、リウマチの教育入院も行っており、医師だけでなく、他職種からアドバイスを受けられる内容となっています。また、院内、外来などで患者向けのリウマチ講義も定期的に開催されています。さらに地域住民に対しての市民公開講座にも力を入れており、教育への意識の高さに感銘を受けました。
研究会においては、一般演題に、中通総合病院看護師の熊谷久美子さんが「総合病院における看護師の役割」、新潟県立リウマチセンター看護師の瀧澤夏樹さんが「関節リウマチ患者における疾患活動性と栄養状態の関連」、中通総合病院検査技師の佐々木由香さんが「当院における関節超音波検査の現況」、新潟県立リウマチセンター看護師の漆山由美子さんが「当院のフットケアの取り組みについて」を発表されました。それぞれの施設のスタッフの取り組みを知ることができ、リウマチ診療に対してお互いに刺激を受けることができたと思います。
教育講演では、新潟県立リウマチセンター副院長の伊藤聡先生が「高齢関節リウマチ患者におけるエタネルセプトの有用性」をご講演されました。高齢リウマチ患者に対する生物学的製剤の選択は日常診療でも非常に慎重になるところですが、新潟県立リウマチセンターの実臨床でのエタネルセプトのデータをご紹介頂き、普段疑問に感じているところの答えを得られる内容で大変勉強になりました。
特別講演では、我らが秋田大学大学院整形外科学講座の島田洋一教授が「リウマチ性脊椎障害と骨粗鬆症」をご講演されました。頚椎手術変遷の歴史から、生物学的製剤で脊椎病変進行を抑制できるかという最新のトピックスまで幅広く教えて頂きました。リウマチ患者の生命予後を左右する頚椎病変について、注意を払うべき頚部の動作指導などコメディカルにも分かりやすい内容についてもご講演頂き、リウマチ患者の頚椎病変の重要性を多くの人が認識できたのではないかと思います。
研究会の後には、新潟県立リウマチセンター、AORA合同でコメディカルスタッフも含め懇親会を行いました。新潟県のお酒もとてもおいしく、ざっくばらんな話しもでき、大いに盛り上がりました。
新潟県立リウマチセンターの勢いに負けずに、今後AORAも活動をさらに発展させていけるよう、頑張りたいと思います。
杉村祐介