第5回となりました秋田県骨粗鬆症学術セミナーですが、週真ん中の平日にも関わらず多くの先生にご参加頂き有り難うございました。一般演題に斉藤公男先生・瀬川豊人先生を、そして特別講演には浜松医科大学整形外科 准教授 星野裕信先生を御招きして御講演して頂くこととなりました。
初めに、斉藤公男先生の「骨粗鬆症患者における骨密度と脊柱・下肢アライメント」に関する御講演です。骨粗鬆症と脊椎・下肢関節アライメントとの関連に関する報告は多く散見されますが、先生ご自身の研究患者におけるデータの解析ということで非常に興味深いものでした。特に、膝OA進行期とBMDに正の相関を認めたという結果も色々と原理を考えさせられました。また、非常に難しいと思われますが、脊椎アライメント破綻⇔下肢アライメント破綻は単純な原因結果関係ではなく、今後こうした研究報告を重ねて発展させてゆく事が重要であると思いました。次いで、瀬川豊人先生の「壮年期の骨折患者における血中ビタミンC濃度の検討」の御講演です。比較的若年で、骨脆弱性が関与する骨折患者と、通常のhigh energy 外傷による骨折患者とで、血中ビタミン濃度やその他骨脆弱性に関与する因子の有無について比較されたご報告でした。骨脆弱性とビタミンCとの関連は過去の報告からも明らかですが、改めて県内施設実際の臨床データとして確認したというもので、今後ビタミンC補充などの治療介入で後々の結果が楽しみでもあるご報告でした。
そして、星野裕信先生による「運動器検診を利用した骨粗鬆症評価から治療介入へ」の御講演です。御講演の中でありましたが、秋田県でも声高に言われておりますが骨折患者への積極的な骨粗鬆症検査治療介入に関して、達成率が27%程度であるというのは有名な報告ですが、実際知りながらもなかなか改善してゆくが難しい問題であると思います。今回の御講演では、星野先生が行っている愛知県東栄町という地区での運動器検診(TOEI study)で得られた貴重なデータを中心にその点を中心にお話を頂きました。同様に秋田大学でも毎年阿仁地区を中心に脊椎検診を行っており、今後の発展のために非常に勉強になる内容でした。具体的に、検診に参加された町民の全脊椎, 下肢全長の単純X-rayを施行されておりそうした体制が整っているということや、2年間での骨折率や再骨折率(各々12%, 14%)などのお話は非常に興味深い内容でした。その他、現在controversialな内容である長期Bisphosphonate使用者のdrug holiday(ほぼ統一見解とする報告はなされてきておりますが)・PTH治療終了後の継続治療についての新しい報告から、病診連携に関する事まで幅広い内容のお話も頂きました。
最後になりますが、平日にも関わらず秋田に来て頂いた星野裕信先生、そして県内関連病院の先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。