投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

整形外科留学だより―イタリア編4:バカンス  土江博幸

 

気が付けばもう8月末、早いもので留学して2か月近く経ってしまった。8月はイタリアはバカンスシーズンであり、病院もバカンス体制となり、スタッフの先生方は3週間の休暇で多くがいなくなってしまった。手術数もいつもの1/3程に減るが、待たせるわけにはいかない患者もいるためゼロにはならないようである。膝など他のグループはほとんど手術がないので、この期間は腫瘍班と外傷班、小児整形班が手術をやっているようであった。ちなみにレジデントの先生方に聞くとバカンスは全くないとの事。イタリアは医師が過剰なようなのでその影響なのだろうか。かわいそうに…。そのバカンス体制でゆったりになった中、今月初めから奈良医科大学の塚本先生が3か月間研修にいらっしゃった。大学院なども腫瘍をやってこられた先生なので、自分なんかよりも知識が遥かに豊富であり、教えてもらってばかりでかっこわるいがとても勉強になる。塚本先生がこられて気が付いたのだが、他の留学生と自分は手続きが違っていたようで、色々対応が異なっていた。通常はResearch centerに手続きをして留学することになるようなのだが、私は直接コネでProfessorにお願いだけしてくることになったので、その手続きをしていなかった(というか秘書さん、何度もメールでやりとりしたのに、何故その事教えてくれないんだ…)。Research center をちゃんと通していると、あまりきれいではないが寝泊りできる部屋が与えられ、無限に使える食券が与えられ、名札も提供されるのである。しかしながら、私は最初に1万円近く払わせられ(未だに理由が良く分からず…)、採血を受けさせられ、部屋も食券も名札もない…。幸いレジデントの先生が、食券割引券をめぐんでくれたので、1食1ユーロくらいで食べれていた(通常8ユーロくらいするのを)。しかしその券も尽きてしまい、どうしようかと思っていたが、塚本先生がタダ券をめぐんで下さり昼食代を節約する事ができた。ほんと助かります。

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左から、奈良医大の塚本先生、私、Dr. Marco

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ある日の昼食。よく見ると野菜が一つもない…。

※私もバカンス

自分も1週間ちょっとのプチバカンスを頂く事ができたため、遠くに旅に出ることにした。イタリアに来てからヨーロッパ的建築物などばかり見ていて少し飽きが来ていたのと、自然に触れていない事にストレスを感じていたのもあり、ヨーロッパを離れて北アフリカのモロッコに旅に出ることにした。モロッコはボローニャ空港からロイヤルエアモロッコという、今後一生乗ることはないであろう航空会社からの直通便もでており、わずか3時間でカサブランカについてしまうのである。やはりアフリカ大陸であるため、めちゃくちゃ暑い…。あとは食事の度にハエがたくさん飛んでいる。しかし料理はタジンやモロカンサラダなど色々おいしいものがあり、慣れてハエなど気にならなくなってしまう。外の景色も自然の中を移動するので、とても新鮮であった。そしてモロッコといえばやはりサハラ砂漠である。サハラ砂漠では、あえてシャワーなども無い砂漠の中のキャンプに泊まることをチョイス、夕方ラクダに揺られて砂漠の中へ移動。キャンプ地では寝床のテントが与えられるが、中はサウナのようにめちゃくちゃ暑く、とても寝れないため、屋外にマットを敷き、夜空を見ながら寝ることにした。砂漠の中で星空を見て、と言えばすごい星が見えるのか、と想像するかもしれないが、結構雲が多く、星もそれほど見えず、秋田の羽後町近辺の方がよっぽど星が見えたのであった(朝日も同様)…。その後もフェズやマラケシュなどの都市で、メディナと呼ばれる雑多だが雰囲気のある世界遺産な町を散策したり、屋台で食事したりなど旅を満喫するのだが、おなかが強くない私は、イタリアに帰国する頃から案の定下痢になり、1日横になるのであった…。

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砂漠とおじさんとラクダ

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朝日を見ようと早起きして砂丘に登るも、雲が多くて朝日は見えず…

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青と白に塗られた家が並ぶシャフシャウエン

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フェズのメディナ内。人が多く道が狭いので、すぐに迷子になります。ガイドさんから夜は治安が悪いので出歩かないように言われたため、明るいうちのみウロウロ。

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マラケシュ・フナ広場の屋台の一つ、エスカルゴ屋台。鍋の中には煮込まれた大量のエスカルゴが。

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カタツムリのツノもリアルにあるので若干抵抗が…。感触は貝と一緒で出汁はスパイスが効いてうまい。汁まで飲み干した。1杯約100円。

第2回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会    木島泰明

2016年8月27日、第2回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会が行われました。これはISAKOSやJOSKASの秋田県版の研究会で、まだ第2回という若い研究会ですが、テーマも多岐に渡り、非常に盛り上がる研究会です。

前半の約2時間は一般演題とミニレクチャーでした。今年もASAKGメンバーの若手を中心にたくさんの演題が集まりました。上から与えられたテーマでなく、演者自身が日ごろの疑問を自分自身で調査して明らかにした内容ばかりで大変勉強になりました。塚本泰朗先生は膝10度屈曲位でAP像を撮るべきというご発表、佐藤千恵先生は脛骨後方皮質をリファレンスに統一してレントゲン計測をすべきというご発表、冨手貴教先生はNewKSSという新しい尺度で評価した100例のTKAのご発表、佐々木香奈先生はACL再建は受傷後3週以降6週以内にすべきというご発表、嘉川貴之先生はMRIでGapサインがあれば肩甲下筋腱断裂を念頭に置くべきというご発表、那波康隆先生は新しい貼付剤は有効成分の血中濃度以外の効果もありそうだというご発表、冨岡立先生は半月板単独損傷は変性が基盤にありそうだけれどもやはり縫うべきだというご発表をしてくれました。さらに、関展寿先生のご発表のおかげで、円盤状半月のMRIではその半月内の輝度変化の有無を確認すべきであり、輝度変化のない場合は円盤状半月であってもしっかり温存することが離断性骨軟骨炎の予防にも役立つかもしれないということが改めて認識できました。そして、最優秀演題賞を獲得したのは藤井昌先生でした。藤井先生は膝周囲Bone Marrow Lesionsと骨強度パラメーターとの関連を調べられ、膝OAの進行や痛みの発現などと骨粗しょう症との関連を見出す発表で、このご研究が進めば全く新しい膝OAの治療にもつながる素晴らしい内容でした。一般演題の後は斉藤公男先生がミニレクチャーをしてくださいました。膝OAに対する保存治療のひとつであるヒアルロン酸注射の日常診療における疑問点を英文雑誌のレビューから解明してくださり、最後には得意の動作解析でわずか3°のスラストを定量化することで膝周囲骨切りの痛みや不安定性に対する効果を定量化できるという内容で、今後の膝診療が大きく変わってくるということも実感できる内容でした。

後半はすばらしい特別講演を2つも拝聴することができました。特別講演Ⅰは全国からスポーツ傷害の患者さんが集まる行岡病院のスポーツ整形外科部長でいらっしゃる中川滋人先生が「コンタクトスポーツ選手の肩関節脱臼の診断と治療」というタイトルでご講演下さいました。ものすごい症例数のご経験から、肩関節脱臼症例では早期に3DCTを撮影し、関節窩骨欠損やHill-Sachs損傷の有無・大きさをしっかりチェックすることで手術適応や術式決定に役立つということをご自身が書かれたたくさんのAmerican Journal of Sports Medicineという非常にIFも高い論文の内容を含めて教えて頂き、明日からの臨床に役立つ内容でした。そして、メインイベントの特別講演Ⅱは世界が認める世界一のKnee Surgeonの史野根生先生が「スポーツ膝臨床2016」と題して感動的なご講演をして下さりました。その内容はもちろん一言ではまとめられませんが、Ligament surgeryはMechanical instabilityを完璧に治した上で、当然full ROMを獲得すべきで、そのためには真に正常の位置にligamentを再建することが必要である、そしてそのことがいかに大事で難しいかということだけでなく、それがどれだけ難しかったとしてもそれを達成することこそが患者さんに対して我々が行うべき当然のことであるから、それを最後まで追求すべきだという、本当に史野先生の哲学が聴衆全員に伝わった瞬間でした!

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第8回秋田県骨代謝エビデンスセミナー    木村竜太

8月25日、第8回秋田県骨代謝エビデンスセミナーが行われました。

まず教育講演として、秋田大学本郷道生講師より「骨粗鬆症性脊椎障害に対する運動療法」をお話しいただきました。骨粗鬆症に対しては薬物療法が第一選択となりますが、運動療法のエビデンスも増えてきており、RCTのメタアナリシスでも骨密度に対して有効であることがわかってきました。それを踏まえ、メイヨークリニックご留学時から取り組まれている背筋運動を中心に実際の効果をご説明いただきました。運動療法は様々な疾病に対する予防、治療効果も近年明らかになってきていることから、ぜひ骨粗鬆所診療にも活用していきたいです。

 

 

特別講演は東京大学医学部附属病院22世紀医療センター関節疾患総合研究講座特任准教授の吉村典子先生から「ロコモとフレイル:ROADスタディからみた要介護原因疾患の疫学」と題してお話しいただきました。運動器のコホートとして最大級のスタディですが、その結果から導き出された変形性関節症の年齢ごとの有病率や、発症のリスク因子などは、日常診療で感じていることに裏付けをいただくことができました。また、一般住民の方を対象としたコホートスタディを行うには、行政を含めた地域の方との協力が重要になるということで(一人でも力強いサポートをしていただける地元の方がいると、一気に研究が進むこともあるそうです)、ぜひ秋田ならでは、地域密着型の研究を行えるようにしたいと思います。

 

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第1回AORA合宿in KITA AKITA (河野哲也)

2016年8月20日北秋田市民病院にて、第1回AORA合宿in KITA AKITAが開催されました。AORAメンバー14人が参加し、私も今回初めてAORA活動に参加させていただきました。

市立秋田総合病院 柏倉先生からイントロダクションとして、2010年7月7日 AORAが発足するまでの歴史、さらに今後のAORA活動についてお話があり、AORA合宿が開会しました。その後も、雄勝中央病院 浦山先生から「Steinbrocker分類について」、北秋田市民病院 相澤先生から「Disease Activity ScoreとGlobal Assessmentについて」、角館総合病院 青沼先生から「統計解析について」、能代厚生医療センター 伊藤先生から「手術の動向について」、中通総合病院 杉村先生から「レセプトについて」と、多岐にわたる内容のお話がありました。RA診療初心者の私にとっては全て目からウロコの内容でしたし、既に診療されている先生方にとっても再確認の場となったようでした。午前中からの開催でしたが、「あっ」という間に夕方になってしまうほど、いずれのトピックスにおいても活発な議論が交わされた会となりました。

大成功に終わりました今回の合宿で学んだことを、今後のRA診療に生かしていきたいと思います。

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秋田県腰痛セミナー2016  (尾野 祐一)

平成28年8月18日にホテルメトロポリタン秋田で「秋田県腰痛セミナー2016」が開催されました。

一般演題①では秋田大学整形外科の木村竜太先生から「腰椎短椎間固定術と除圧術におけるADL・QOLの比較」について講演していただきました。固定術群と除圧術群の群間にADL・QOLに差がないという結果から、短椎間の固定術を行ってもADL・QOLは損なわれない可能性が示唆され、手術時の説明に非常に有用なデータを提示していただきました。

一般演題②では秋田赤十字病院整形外科の石河紀之先生から「看護大学における骨粗鬆症の授業」について講演していただきました。併設する看護大学で、看護学生に対して行っている整形外科の授業内容、使用している教科書や整形外科分野の国家試験問題の紹介をしていただき、病棟や外来、手術室で一緒に働くことの多い看護師がどういった知識を持っているのかを知る良い機会となりました。

特別講演は和歌山県立医科大学医学部整形外科准教授の山田宏先生から「腰椎疾患の疫学‐The Wakayama Spine Study‐」について講演していただきました。和歌山県立医大で行っている約1000人を対象とした縦断研究の結果を紹介していただき、腰椎変性すべり症の進行・発生の危険因子や、腰部脊柱管狭窄症の症候性・放射線学的有病率、椎間板変性・終板変化・シュモール結節と腰痛の関係など、どれも日常診療に直結する大変有用な内容でした。その中でも、MRIで調べた硬膜間面積と腰痛に関連をみとめ、除圧術・内視鏡手術のみで腰痛が改善する可能性があるというデータは非常に興味深く、ご講演が終わった後も、質疑応答で議論が白熱していました。除圧術か固定術か、その適応について学会でも議論がつきないテーマですが、本セミナーで得た知識も参考に、今後の診療に活かしていければと思います。

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ノーザンファルコンズ朝練習~夏の陣~  (湯浅祐介)

2015/8/11 ノーザンファルコンズ朝練習会開始。

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あれからちょうど1年が経ち、新たな思いで2nd シーズンを迎えました。記念すべき2ndシーズン幕開けの朝練習会は、やはりこの選手を迎えて行わなければ始まりません。1年前の朝練習会開始メンバーである島田崇史選手です。

AM5:30島田崇史選手、杉村先生、湯浅、笠間先生はコートに入り、審判に公男先生、そして監督に島田洋一教授を迎えて、早朝とは思えない豪華なキャスティングで練習は開始されました。

 

1年間の練習の成果はすぐに発揮されました。1年前から速かった島田崇史選手のストロークにはさらに磨きがかかり、速さに加え精度も高いものになっていました。また、昨年秋から新戦力として加わった笠間先生はエースの名にふさわしいパワーあふれるショットを繰り出し、杉村先生はバックハンドの上達によりさらに安定感が増していました。

試合練習でも、各々の良さが光ったプレーが飛び出し、充実した練習になりました。

 

今後もノーザンファルコンズとして練習を重ね、より多くの大会に出て結果を出せるように努めていきたいと思います。そして1年後、またこの秋田大学医学部テニスコートで島田崇史選手を迎えたいと思います。

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大曲工業高校甲子園帯同(河野哲也)

夏本番!甲子園の季節がやって参りました!

今年は秋田県代表校である大曲工業高校に帯同させていただきました。

(8/5〜8/8 木村竜太先生、8/8〜8/11 河野)

甲子園遠征前、理学療法士の先生方と共にベンチ入りメンバーのメディカルチェックを行い、その結果のフィードバック、遠征期間中のケアを目的とした、医師1名、理学療法士2名での帯同となります。

発火しそうな炎天下の中、現地でも幸い大きな怪我をする選手はおらず、試合に臨めました。初戦はプロ注目の好投手を要する埼玉県代表花咲徳栄との試合でした。残念ながら初戦敗退となりましたが、ホームランが飛び出すなど日本中を驚かせた素晴らしい試合だったと思います。選手の皆さん大変お疲れ様でした。より質の高いサポートを行えるよう、理学療法士の先生方との連携を密にし、スポーツ整形分野の知識を深めたいと感じました。

頑張れ、秋田県勢!!

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第5回野球肘研究会夏合宿 in 秋田(大内賢太郎)

2016年7月23日、秋田拠点センターアルヴェにて野球肘研究会夏合宿in秋田が開催されました。今年で第5回を数えるこの研究会は、野球シーズン真っ盛りである夏の時期に朝から晩まで野球肘について語り尽くすという、野球に携わる者にとって正に垂涎の研究会となっています。症例検討やミニレクチャーに、野球界各方面から講師を招いての特別講演など、1日で野球肘についての知識や最新のトピックを学ぶことができます。今年は秋田開催ということで、ASAKG会長齊藤英知先生の先導のもとで様々な趣向をこらして会を盛り上げるべく臨みました。一体感を演出する2016野球肘ポロシャツの配布により会場は爽やかなブルーに染まりながら、終始アツい議論が展開され非常に盛り上がりました。

第一部は研究発表のセッションで、野球肘に限らずスポーツ全般に対する取り組みについて報告し、発表後は全演者がシンポジストとなり質疑応答する形式で進められました。ここではASAKGから半数近くの演題が発表され、メディカルチェックや高校野球甲子園大会への帯同、さらに秋田ノーザンハピネッツやモーグルワールドカップへのサポート体制など、秋田大学整形外科のスポーツに関わる活動について存分にアピールすることができました。

ランチョンセミナーはアスリートにおける腰下肢痛の診断とリハビリテーションというテーマで、福島医大の加藤欽志先生、健康科学大学の成田崇矢先生にご講演頂きました。アスリートにとって腰痛は切っても切り離せない問題であり、痛みのメカニズムから診察・画像診断時のポイント、各種ブロック治療の選択根拠や機能評価に基づくリハビリアプローチなど、明日の診療から役立てることができる内容が満載で、たいへん勉強になりました。

第二部からは野球肘にフォーカスをあてた講演のセッションで、早期発見と保存治療を福島医大の大歳憲一先生と京都府立医大の森原徹先生に、超音波診断とリハビリテーションを城東整形の皆川洋至先生と丸太町リハビリクリニックの松井知之先生に、OCDの手術治療を昭和大学の西中直也先生と北海道大の船越忠直先生に、それぞれご講演頂きました。野球肘は小中学生のように野球を始めたころから生じる可能性があり、適切な対応がなされないと後の障害へと進行し、野球をプレーすることを断念せざるを得ないこともあります。そのようなケースを防ぐためにも、医療に携わる側だけでなく実際に野球をする選手や関係者も含めて、正しい知識を学んでおくことは非常に重要です。一連の講演を通して、早期発見のためのシステマティックな方法や適切な初期対応、リハビリの経過、手術の実際など、野球に関わるすべての方にとって十分な知識を学ぶことができたのではないかと思います。

また特別講演として、慶友整形外科病院の伊藤恵康先生に重度のOCDに対する治療についてご講演頂きました。ここでは最も悲惨な野球肘というテーマで、伊藤先生の豊富な経験症例の中から一筋縄ではいかない症例を厳選し紹介して頂き、OCD治療の難しさと奥深さを学ぶことができました。

特別講演の余韻も冷めないまま、研究会終了後には全体懇親会が行われ、秋田が誇る名酒がふるまわれる中、参加者同士で活発な交流が行われ、非常にいい刺激を受けました。翌日には炎天下の中、親善野球大会と今回からの試みであるテニス大会が開催され、けが人もでずに無事に親睦を深めることができました。

今回の研究会を通して学んだ知識を糧に、日々の診療に生かしていきたいと思います。

整形外科留学だより―イタリア編3(土江 博幸)

整形外科留学だより―イタリア編3:手術室

私が研修させて頂いている第3整形外科チームでは、手術は火曜日以外の月・水・木・金と週4日行われており、毎日朝7時半頃~夜7時半頃まで、1つの部屋(9番ルーム)で直列に行われている。縦で5~6件組まれているので、骨軟部腫瘍の手術が週に20件以上あるという計算になる。さすが世界的に有名な病院であり、よくそんなに患者がいるなあ、と感心してしまう。研修を初めてもう1ヵ月を過ぎてしまったのだが、この1か月では、腫瘍用人工関節の手術は週2~3件、骨盤の手術は1~2週に1件はあり、患者数がやはりちがう。しかも手術が早い。これらの手術は長くても1件当たり3時間以内には大概終わってしまう。2時間以内に終わる事もざらである。なんだか見ていると自分も簡単にできそうな気持になってくるが、多分勘違いなのだろう、と思い直す。

看護師さんの多くは英語が話せず、なかなかコミュニケーションがとれない所が少し不便である事を感じる。しかし、陽気な人が多く、結構やさしい人が多い。言葉が通じないが、笑顔で「Buongiorno!」と挨拶をする事を心がけていると、マッチョな看護師さんが無影灯についたカメラのモニターを自分の為に見やすいように調節してくれたり、威勢のいいおばちゃん看護師さんが「寒いでしょう(たぶんそんな事を言ってたと思われる)?」と手術着の上から着るディスポの服を持ってきてくれたりなど、ちょこちょこ人の温かさを感じる事ができる。特に南イタリア出身の人はFriendlyな人が多い印象であり、新潟に友人がいるというルイージさんは、自ら「任天堂のブラザースの弟と一緒の名前だよ!」と英語で自己紹介してくれるなど、ユーモアもある。イタリア語が話せたら楽しいだろうなぁ、と本当に思った…。

こういった陽気な雰囲気は手術全体にも現れており、Prof.Donattiはたまに手術中に大きな声で歌いだしたり、ベテランおばちゃん機械出し看護師さんは手術中でもDrたちと大きな声で談笑する。例え患者さんがルンバールでAwakeであったとしても全く関係ない。麻酔科の先生が足台を持って来てくれて、頭側から覗いて術野を見せてくれる事もあるのだが、ふと下を見るとAwakeの患者さんと目があって気まずい気持ちになった事もあった…。恐らく患者さんもあまり気にしないのだろう…。日本だと後で問題とかなるんだろうな、とお国柄の違いを実感した。

※おまけ

自分が滞在しているボローニャは北イタリアなのだが、かなり交通の便が良く観光に便利な場所である。イタリアの観光地といえば、ローマ・ヴェネチア・フィレンツェ・ミラノ・ナポリなどが有名であるが、特急電車に乗ると、ローマまで2時間15分くらい、ヴェネチアまで1時間10分くらい、フィレンツェまで35分、ミラノまで2時間くらい、ナポリまで3時間30分(ここは南イタリアなのでちょっと遠い)と、週末に1泊2日で有名観光地に簡単に行けてしまうのである。しかも電車代も割引など色々あり、それ程高くない。ホテルも三ツ星レベルでも設備・サービスは十分であり、ローマの駅前でも1泊2人で6千円くらいで泊まれてしまう。さらに経費削減ができるのではないかと思い、先日2つ星ホテルにチャレンジしたら、シャワーの根元が簡単に外れてしまい、壁から真横に垂直に水が出るという事態が発生したため、やはり3つ星クラスにしようかと思った…。

Figure 1: 手術室更衣室。日本と同じように狭く、脱ぎ散らかった術衣が落ちている…。

Figure 2: いつも手術が行われる9番手術室。イタリア語で「Sala Nove(9)」。

Figure 3: 手術室内部。患者さんがいない時。

Figure 4: Vatican Museumのらせん階段。

Figure 5: Vatican市国のサン・ピエトロ大聖堂クーポラ(展望できるところ)からの景色。

Figure 6: 夏の夜(21時開始)には、ローマ市内にあるカラカラ浴場(遺跡)内で野外オペラが行われる。開始前の舞台と会場。前の方の席を購入し、自分のキャラには似合わないリッチな気分に。

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第4回こまち疼痛を考える会(飯田純平)

去る721日,「第4回こまち疼痛を考える会」がビューホテルで行われました.

一般演題では,斉藤公男先生が秋田・弘前の若年者の体幹バランスの比較や、スポーツ強化指定中学生のメディカルチェックについて興味深い研究結果をお話しいただきました.

また,齋藤英知先生からはTKAや様々な骨切り,靭帯再建術における疼痛管理の工夫や,その最新の知見についてお話しいただきました.

さて,特別講演では 弘前大学大学院医学研究科リハビリテーション医学講座 教授 津田英一先生にご講演をいただきました.弘前大学の各診療科が参加し,青森県の平均寿命・健康寿命の延伸を目的に行っている岩木健康プロジェクトや,住民健診におけるロコモの有無や,全身の筋力・柔軟性・動的/静的バランスの関係性などについて,またそれらと膝痛との強い関連性をわかりやすくお話しいただきました.地域の住民に根差したお話であり,少子高齢化では負けず劣らずの秋田県整形外科医として,非常に興味深い内容でありました.

また,疼痛管理に関しても詳しく教えていただきました.特に心に残ったのが「人工膝関節術後の医師満足度と,患者満足度の相関が低い」ということでした.衝撃的なことでもあり,よくよく考えれば当然のことでもあり・・・これは人工膝関節だけでなく,その他すべての手術・日常診療にかかわることであり, 自分を律するために心に焼き付けておきたいと思います.

また,津田先生は青森ワッツのチームドクターもされており,ノーザンハピネッツのチームドクターをしている当科医局員として,バスケも、陸上も、野球も、臨床も(当然剣道も.)負けてはいられないと心が奮い立ちました.

津田先生,今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます.

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