学会レポート」カテゴリーアーカイブ

第95回日本整形外科学会学術総会(佐藤貴洋)

 2022年5月19日~22日の期間で日整会が開催されました.3年振りの現地開催とのことで会場は多くの参加者で賑わっていました.私は日曜日に発表がありましたので土曜日に現地入りして会場を散策していました.私自身コロナ渦のため整形外科医となってから初めての学会参加でした.そのため,展示ブースや一般口演などが連れてきてもらっていた研修医時代よりも非常に刺激的な時間でした.機械展示コーナーではリハビリテーション関連の新しい機械をみたり,ウォーターベッドでくつろいだりしていました.研修医時代とは違い,気兼ねなく展示コーナーを楽しめました.また,一般口演では他大学でどういう研究をしているのか,どういう風に発表に持ってきているのかが分かり今後の研究のモチベーションに繋がりました.

 私の発表は22日の朝8時でした.そのためアイランド内の近くのホテルを予約しようと思っていたのですが.誤って六甲アイランドのホテルを予約していました.(アイランド違いで片道1時間弱かかりました)朝5時に起きて準備をして何とか8時に合わせて会場内に到着できました.久々の現地開催だと都会で道に迷ったりもして大変ですね….次回は気を付けます.ということで,長距離の電車,バス移動をしたのですが,街には活気が戻ってきていましたね.秋田と同じ国とは思えない….

 残念ながらまだ同門会は開催できませんでしたが,近い将来また医局のメンバーで気兼ねなく行くことができる日を心待ちにしています.スポーツ関連行事も再開したらすぐに参加できるよう心も身体も精進していきたいと思います.

第51回日本脊椎脊髄病学会学術集会 (木村竜太)

2022年4月21日から23日まで、第51回日本脊椎脊髄病学会が、中村雅也先生(慶應義塾大学整形外科教授)のもと、パシフィコ横浜ノースで開催されました。

(パシフィコ横浜に新設された施設で、とてもきれいかつ、1施設におさまっており、移動の点でもとても使い勝手が良い会場でした)

今回のテーマは「Passion, Vision, Action」、脊椎外科医の熱い思いが各所で感じられました!

久しぶりの現地開催のみの学会ということで、秋田からも多くの先生が参加しました。

発表は、Akita Spine Groupから、9演題ありました。

オンラインでは得られないディスカッションがあり、新たな学びとともに、次の知的好奇心を掻き立てられる、『学会』はいい場所だと改めて感じた学会でした。

来年に向け、再度スタートします。

第31回日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会 若手リウマチ医奨励賞受賞者セッション 優秀賞受賞報告 (五十嵐駿)

2022年1月15日に行われた第31回日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会の若手リウマチ医奨励賞受賞者セッションで私の演題が優秀賞に選出されました。

私の演題は「関節リウマチ患者における残存症状とロコモ25スコアおよびロコモ度との関連」であり、近年のトピックスである関節リウマチ患者の残存症状(薬剤による治療が十分行われているのにも関わらず残存してしまう痛みや倦怠感など)と、ロコモティブシンドロームの評価方法であるロコも25の点数や進行度との関連を調査したものです。

関節リウマチ患者はロコモティブシンドロームの原因疾患の一つでありますが、今回の研究により残存症状を認めるリウマチ患者はロコモティブシンドロームの合併が多く、リハビリテーションの介入が効果的となる可能性を提示致しました。

今後高齢化により高齢リウマチ患者に対する治療方針や、ロコモティブシンドロームへの取り組みの必要性は増していくと考えられます。そのような背景のもと本研究を開始し、その成果が由緒ある本学会において評価されたことは至上の喜びです。

宮腰教授をはじめ、AORAの先生方のご指導とご協力により私が代表して受賞できた賞だと思います。この場を借り、改めて皆様に感謝申し上げます。

今後はさらに研究を続け、その成果を論文として世に送り出すために今後も頑張ります。今後ともご指導何卒よろしくお願いいたします。

第45回日本整形外科スポーツ医学会(木島泰明)

現在、大阪のグランフロント大阪 ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターでは、第45回日本整形外科スポーツ医学会が開催されています。会長は大阪市立大学大学院整形外科の中村博亮教授で、テーマは「原点からの飛躍と多様性への対応」です。
我が秋田大学整形外科からは、メイン会場でのシンポジウム「高齢者とスポーツ医学‐健康寿命延伸への寄与‐」に、本郷道生講師が「高齢者のスポーツ活動・運動療法による脊椎疾患に対する影響」というご発表をされました。また、パネルデスカッション「アキレス腱断裂の治療」では、平鹿総合病院の千田秀一先生が、「新鮮アキレス腱断裂に対する最小侵襲手術の適応」というタイトルでご発表され、そのあとの総合討論でもアスリートに対するアキレス腱断裂の治療に関して、かなり白熱した討論がなされていました。
私も秋田県体育協会の強化指定選手のメディカルチェックから得られた情報を発表するとともに、全国からの発表や講演を拝聴しております。当科の齊藤英知先生も変形性膝関節症手術とスポーツのセッションで座長を務められておりました。
本学会で得られた最新の知見を秋田でのアスリート診療に生かすとともに、引き続き秋田で得られた知見を全国や世界に発表し、東京2020に向けて、スポーツ整形外科医療の発展に寄与していきたいと思います。

第39回日本骨形態計測学会(佐藤千晶)

2019年7月4日から6日にかけて福岡で開催された日本骨形態計測学会に参加しました。
当科からはシンポジウムで宮腰尚久准教授が「実験骨粗鬆症に対する組織学的、生化学的検討からみた適切な骨粗鬆症治療」をご講演され、野坂光司先生が「Ilizarov創外固定器を用いた脆弱性骨折治療における歩行能力維持」、さらに長幡 樹先生が大学院で行った研究について「ハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合体の骨形成不良骨における骨再生」と題して発表されました。長幡先生とは去年まで大学で一緒に研究、実験をご指導いただいており、自分も今後このように活躍していけるように気持ちを新たにすることができました。また、粕川雄司先生が「経口ビスホスホネート薬長期使用例の旧薬の可能性」を、私も大学院での基礎研究の内容を「テリパラチドと運動の併用療法が骨密度と脂肪に及ぼす効果」として発表させていただきました。

今回の学会は“骨形態から疾患の謎を解く~ミクロからマクロまで~”というテーマで内科疾患や、骨疾患の臨床に即した研究が多く、興味を持って拝聴することができました。また基礎研究系の演題では骨微細構造の評価が必須となっていることを感じました。今年から秋田大学にも生体の体内構造や、骨微細構造を評価できるμCTが導入されることとなっており、より深い部分の評価が可能となります。今後秋田大学からもより多くの新しい知見を発信していくことを目標に実験、研究を進めていければと思います。

第35回日本義肢装具学会学術集会  (村田昇平)

2019年7月13,14日に仙台国際センターで日本義肢装具学会学術大会が開催されました。第35回となる本会は,秋田大学整形外科が主催を務めさせていただけることとなり,大会長である島田洋一教授をはじめ,宮腰尚久准教授,松永俊樹准教授のご指導のもとで医局員一丸となって参加して参りました.運営としてだけではなく当大学から,医学系で,松永俊樹先生,斉藤公男先生,井上純一先生,千田聡明先生,渡邉基起先生,高橋祐介先生,須田智寛先生,工学系から小松瞭先生,佐竹將宏先生,只野孝明先生が発表され,演者としても多数参加させていただきました.
初日には島田教授による大会長公演がありました.「先端医用工学による義肢・装具の展開」と題してご講演いただき,島田教授が装具治療に携わることとなったきっかけから,留学中のご経験,埋め込み型電極などの機能的電気刺激療法について,また現在開発中の器械などについてお話いただき,非常に刺激的な内容でした.医局員,AMAG班である私にとっても非常に目新しいことばかりであり大変勉強になりました.他施設からいらした参加者の方々からも大好評でした.
また特別講演1では米国University of California San Francisco(UCSF)整形外科,長尾正人教授より「四肢切断者の社会復帰に向けてー当科の支援プログラムと取り組みー」と題してご講演を頂戴しました.米国の義肢装具士のあり方,四肢切断の現状,またUCSFの特徴的な取り組みであるアウトリーチ・プログラムなどについてご紹介いただき,大変興味深い内容でした.中でも私が強く感銘を受けたのはAmputee Comprehensive Training(ACT)という活動であります.ACTは不幸にも四肢切断となってしまった人々が可能な限り身体的,機能的に豊かに生活できるように支援を行うプログラムです.切断前に楽しんでいた活動に参加していただくことで,健康で活発なライフスタイルを取り戻すことを目標としています.様々な種類がありますが,その一つとしてNBAに所属するバスケットボールチームであるゴールデンステートウォリアーズの選手,メディカルスタッフが参加して,四肢切断者とともにバスケットボールを行う写真が紹介されていました.全国トップの整形外科バスケットボールチーム,ノーザンバイソンズを有する我々の教室にとっても大変参考になる社会活動であると感じました.
特別講演2では日本義肢装具学会理事長,東京大学大学院医学系研究科リハビリテーション医学分野教授である芳賀信彦先生より「日本義肢装具学会の将来展望」と題してご講演をいただきました.日本義肢装具学会の補足から現在にいたるまでの歴史などを会員数の変遷,その内訳などを綿密な分析とともにご紹介いただき,今後の義肢装具学会を盛り上げるための方策や進むべき指針をご教示いただきました.芳賀信彦先生は次回,第36回日本義肢装具学会学術集会の大会長をお務めになる予定であり,来年の日本義肢装具学会の計画や,学会場なども一部ご紹介いただき,来年度の参加が今から非常に楽しみとなりました.

 

大会全体としては目標としていた1000人を超える方々に東北まで足を運んでいただけました.テーマである「挑戦・融合・革新 ~義肢装具のネクストステージ~」にふさわしい内容の演題ばかりで,会場内外で参加者同士が熱い議論を交わしている様子も多数みうけられ,本会は大盛況のうちに終わりました.会場となった仙台国際センターは美しい緑に囲まれており,初夏の過ごしやすい天気もあって,2日間とも非常に気持ちよく過ごすことができました.
今回,日本義肢装具学会学術集会の運営に微力ながら医局員として携われたことを誇りに思います。本大会で吸収した知識や,経験させていただいたことを活かして今後の臨床や研究活動にさらに邁進して行きたい所存です.

第48回日本脊椎脊髄病学会 (工藤大輔)

平成31年4月18日〜20日、パシフィコ横浜で開催された第48回日本脊椎脊髄病学会学術集会(波呂浩孝会長)に参加しました。

秋田からは16題の発表があり、手術関連からサルコペニア、ロコモティブシンドローム(ロコモ)、検診など多岐にわたる演題の発表がありました。特にトピックスのLIFやサルコペニア、ロコモに関して議論が活発で、背筋運動、ビタミンDに関する質問も多かったと思います。

講演はいずれも大変興味深く、プログラムの関係上、すべてを拝聴することはかないませんでしたが、私個人としては、札幌医大神経再生医療学、本望教授の「脊髄損傷患者に対する再生医療の実際」がもっとも興味深いご講演の一つでした。会場は立ち見が出るほどの盛況で、日本中の注目の高さがうかがえました。従来、重度の脊髄損傷は治らないという認識でしたが、本望教授がご研究された自家骨髄間葉系幹細胞を経静脈的に投与する方法は、すでに薬価収載されることも発表されている新しい脊髄損傷の治療法です。ご講演では、脊髄損傷および脳梗塞に対する本薬の治療効果を示す数々の動画がご紹介され、比較的投与の直後から手足が動き、喜ばれる患者さんの姿が大変印象的でした。

秋田は日本でもっとも高齢化している地域であり、秋田発の研究が急務であると思います。今後もオール秋田で全国に向けて情報を発信していければと思います。

第62回日本手外科学会学術集会(齋藤光)

2019年4月18、19日に札幌市の札幌コンベンションセンターにて、第62回日本手外科学会学術集会が開催されました。本会の学会長は北海道大学の岩崎倫政教授で、 “Be Ambitious, Be Innovative”のメインテーマのもと、フロンティア精神あふれるシンポジウム、パネルディスカッションが行われました。
Akita Hand Group(AHG)からは6演題が採択され、メンバーがそれぞれ発表してまいりました。千馬誠悦先生からは「陳旧性手指PIP関節側副靭帯損傷に対する装具療法」、伊藤博紀先生からは「秋田大学整形外科関連病院における橈骨遠位端骨折症例数の調査」、白幡毅士先生からは「手指関節拘縮に対する創外固定器による関節受動術」、加賀望先生からは「RA手関節障害に対するSauve-Kapandji法施行後の検討」と「3Dプリンターを用いた手関節装具の作成」、そして私からは「秋田大学整形外科関連病院における橈骨遠位端骨折手術患者の骨粗鬆症治療」について報告させていただきました。手外科分野の手術療法は、手関節鏡の発達とともに進化しており、TFCC損傷や母指CM関節症、リウマチ肘の滑膜切除などは今後、AHG若手メンバーが習得すべき手術手技と思われました。マイクロサージャリーとともに、手関節鏡でも我々はスキルアップする必要があります。

また学会翌日の4月20日には学会主催の春季手外科研修会に市立大森病院の湯浅先生と参加してきました。アドバンスな内容が多く、大変刺激的で最先端の講義を聞くことができました。私事ですが、昨年も本学会に参加しましたがその時は演題発表はありませんでした。次は演題発表できるようにという目標を立てていましたので、それが達成できたことは一つ嬉しく思います。継続して学会で報告できるように、また日整会や将来的には海外学会での発表、英語論文投稿ができるよう、AHGとしてこれからも活動していきたいと思いました。本学会で得られた知識を臨床へ活かせるように、明日からまた精進して参ります。

第31回日本肘関節学会学術集会(齋藤光)

2019年2月8、9日の両日、第31回日本肘関節学会学術集会が小樽において開催されました。会長は肘関節鏡視下手術の世界的なエキスパートである、済生会小樽病院の和田卓郎先生です。学会期間中、北海道は記録的な寒波に覆われ、気温はマイナス13度と凍える寒さでしたが、学会場には肘関節のエキスパートが多数あつまり、熱い議論がかわされました。

秋田大学のAHG(Akita Hand Group)からも6名が参加し、それぞれ演題発表してまいりました。中通総合病院の千馬誠悦先生が「上腕骨通顆骨折後の成績不良例」、成田裕一郎先生が「上腕骨遠位骨端線離開後に上腕骨外側顆骨折を繰り返して内反肘を呈した 1例」、能代厚生医療センターの伊藤博紀先生が「陳旧性Monteggia骨折に対して尺骨骨切り術を行った1例」、由利組合総合病院 白幡毅士先生が「薄筋腱を用いて補強修復した上腕二頭筋筋腹断裂の1例」、秋田大学の湯浅悠介先生が「内反肘に対して矯正骨切り術を行った体操選手の1例」、齋藤が「離断性骨軟骨炎と診断された上腕骨滑車内側骨軟骨骨折偽関節の1例」を発表してまいりました。
本学会では肘関節鏡・テニス肘・野球肘に関する発表が数多くみられました。他にも人工肘関や、エコーによる肘の画像診断、肘周辺の重度外傷に対する治療戦略、小児の肘関節外傷に関する発表等、普段はなかなか得ることができない知識を吸収でき、非常に有意義な2日間でした。

本学会で得た知識を、今後の日常診療、臨床研究へと生かしていきたいと思います。

第45回マイクロサージャリー学会に参加して (湯浅悠介)

2018年12月6日7日、大阪国際交流センターにて第45回マイクロサージャリー学会が開催されました。今年は大阪掖済会病院副院長、静岡理工科大学手微小外科先端医工学講座主任教授の五谷寛之会長が「創新と融合」をテーマに掲げ、学会では様々な分野におけるマイクロサージャリーの発表がありました。

教育研修講演「創外固定とマイクロサージャリーの融合」では、島田洋一教授と松下隆教授のお二方がご講演されました。松下教授は、Ilizarov創外固定を用いた仮骨延長法、骨成熟を促すためのダイナマイゼーション、偽関節部・変形癒合部におけるChipping法の有用性について、具体的な症例を提示していただきながらご講演されました。マイクロサージャリー学会に参加しながら、Ilizarov創外固定の有用性を再認識するという有意義な時間を過ごさせていただきました。島田教授は、秋田で取り組んでいるマイクロサージャリーとIlizarov創外固定の融合についてご講演されました。同じ骨欠損であっても、マイクロサージャリーでの治療がBestか、Ilizarov創外固定での治療がBestかは症例ごとに違い、整形外科医はどちらの治療も選択できるように鍛錬を積む必要がある。術者が得意とする技術を用いて治療するのではなく、その患者にとってなにがBestな治療かを考え選択することが重要であると、お話しされました。日々の鍛錬を怠らず、Bestな治療を提供できるよう邁進していこうと改めて感じました。

シンポジウムは四肢重度外傷やReopeによる皮弁救済時の工夫、長管骨骨欠損などをテーマに開かれました。野坂光司先生は「長管骨骨欠損、仮骨延長VS血管柄付き骨移植」のシンポジストとして招かれ、「Ilizarov創外固定によるdistraction osteogenesisの意義」と題しご講演されました。

秋田は今後も、マイクロサージャリーとIlizarov創外固定の融合をテーマに様々な難治外傷例に取り組んでいきます。未熟者ではございますが、私も秋田における外傷学の発展へ貢献できるよう努めていきたいと思います。