学会レポート」カテゴリーアーカイブ

第40回日本骨代謝学会学術集会(五十嵐駿)

2022年7月22~23日に岐阜県の長良川国際会議場、都ホテル岐阜長良川にて日本骨代謝学会学術集会が開催されました。


秋田県からは5演題の発表が行われました。粕川雄司准教授は「下位腰椎骨粗鬆症性椎体骨折の治療」と題し、頻度は低いながらも生じると全脊椎のアライメントやADL・QOLの悪化を来しやすい下位腰椎椎体骨折の患者背景や治療法に関する内容を御発表されました。土江博幸先生は「骨幹部発生非定型大腿骨骨折における危険因子とその病態 に関する検討」と題し、骨幹部発生の非定型大腿骨骨折の危険因子が骨吸収抑制剤の使用、大腿骨の過度な弯曲、鋸歯状変化であるという内容を御発表されました。東海林諒先生は「びまん性特発性骨増殖症(DISH)を伴う脊椎骨折患者の骨密度と骨代謝マーカーの検討」と題し、軽微な外傷で椎体骨折などを来し保存療法では骨癒合が得られにくいDISHの骨密度や骨代謝についての検討結果を御発表されました。原田俊太郎先生と笠間史仁先生と私は大学院の研究結果を発表致しました。原田先生は「アデニン誘発性慢性腎臓病モデルラットにおけるビスホスホネートと運動療法の骨と腎臓に対する効果の検討」と題し、CKDにおける安全性や有効性に議論の余地があるビスホスホネート製剤と、腎機能に良い影響を与えることが分かっている運動療法の併用効果についての検討結果を発表しました。笠間先生は「軟部肉腫と抗がん剤がマウスの骨代謝へ与える影響」と題し、明らかになっていない軟部腫瘍や抗がん剤(ドキソルビシン)が栄養状態や骨代謝へ与える影響についての研究結果を発表しました。私は「慢性腎臓病モデルラットにおけるエテルカルセチドとテリパラチドの海綿骨に対する効果」と題し、CKDに伴う骨ミネラル代謝異常や二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬であるエテルカルセチドと骨粗鬆症治療薬のテリパラチドの併用効果の研究結果を発表致しました。


本学会は整形外科のみではなく内科、歯科、そして理工学など様々な分野の先生が参加されており、質疑応答では今後の研究において重要となる点を指摘して頂くこともあり、とても有意義な機会となりました。本学会を通じ、骨代謝はあらゆる角度から研究され、発展しているのだと実感しました。今後も研究を続け、骨代謝の発展へ貢献できるよう努めていきたいと思います。

第42回骨形態計測学会(原田俊太郎)

秋田はまだ梅雨が明けきっていない中、2022年6月30日〜7月2日に鳥取県米子コンベンションセンターにて「第42回日本骨形態計測学会」が開催されました。

秋田からは粕川雄司先生、野坂光司先生、五十嵐駿先生、笠間史仁先生、原田が参加いたしました。

粕川先生、野坂先生に座長席から見守っていただきながら五十嵐先生が「慢性腎臓病モデルラットにおけるエテルカルセチドとテリパラチドに皮質骨に対する効果」を、笠間先生が「軟部肉腫モデルマウスにおける骨代謝に与える影響」を堂々とした立ち振る舞いで口演され私自身も「慢性腎臓病モデルラットにおけるビスホスホネートとトレッドミル運動の骨と腎に対する効果の検討」発表させていただきました。会場の雰囲気もとてもあたたかく会終了後に個別にアドバイスをいただくこともでき大変勉強になりました。また会期に併せて開催された骨形態計測ハンズオンセミナーにも参加することができ、実際に計測機器を使いながら学べたことは今後の大学院研究にとって大変貴重な経験でした。

私自身は昨今の社会情勢の影響もあり、大学院進学後初めて現地参加できた学会でした。この時の鳥取は最高気温35度と真夏日ではありましたが気心知れた同期との学会参加は修学旅行のようで非常に有意義な時間でした。教育講演も自分達の研究に直結する内容が多く、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。今回学んだ内容を今後の研究に役立て行きたいと思います。

第59回日本リハビリテーション医学会学術集会(木村竜太)

2022年6月23日〜25日、パシフィコ横浜ノースで、第59回日本リハビリテーション医学会学術集会が芳賀信彦会長(東京大学大学院医学系研究科 リハビリテーション医学分野前教授)のもと開催されました。

秋田からは島田洋一名誉教授、粕川雄司先生、斉藤公男先生、千田聡明先生、渡邉基起先生、皆方伸先生、加賀美開先生、佐藤貴洋先生、木村がweb発表含め参加いたしました。

私自身の発表では、秋田大学整形外科の大先輩、加賀谷斉先生(国立長寿医療研究センター)とシンポジウムで一緒させていただき、リハビリテーションロボットについて、見識を深めることができました。今後より一層ロボットが診療の一部になってくると思いますが、やはり使う側の医療者が、その機器の特性と、患者さんの状態をしっかりと把握して、適切に用いることができるかどうか、そこが重要なんだと改めて実感いたしました。

初夏の横浜は晴天にも恵まれ、会場によってはほぼ満員となることもありました。隣接するパシフィコでは、日本骨折治療学会も開催されており、多くの整形外科医、リハビリテーション科医が集まる場になっていました。

今回の学びを現場に活かしてまいります。

第119回東北整形災害外科学会(笠間史仁)

2022年6月3日~4日に仙台国際センターで第119回東北整形災害外科学会が開催されました。今回はハイブリッド開催でしたが、秋田県からの座長・発表者のおよそ半分は現地参加されており、久々に顔を合わせた同門の先生方も多く感じました。

 若手症例報告セッション・一般演題においては、若手の演題に対しベテラン医師からの温かい教育的な質疑応答があり、本学会の「若手を育成する」雰囲気を改めて感じ、私自身も現地での発表は良いものだなと感じました。また東北の地方会ということで顔見知った先生方との再会に刺激を受けました。

 若手症例報告セッションでは、富永健太先生が優秀演題賞をまた受賞されました。秋田県代表として、学生セッションでは医学科6年生の橋本総くん、若手English Award Sessionでは五十嵐駿先生が発表しました。橋本総くんには「大腿骨近位部骨折ではエリア分類を用いれば学生でも治療方針決定ができるか」という演題を発表いただきました。股関節医・大学院生・学生の3名で、エリア分類とAO/OTA分類などの検者間一致率を検討した演題で、データ収集から発表準備、そして完璧な発表と質疑応答をこなしてくれました。惜しくも優秀賞は受賞できませんでしたが、現在間違いなく秋田県(日本国内?)で最もエリア分類に詳しい男の一人です。治療方針に迷われた際には、ぜひ橋本くんにご一報ください(笑)

 秋田県はおそらく全国的にみてもまだ県外出張に厳しい県かと思われますが、学会への現地参加を通して知識・刺激を得られたらと思います。来年の学生セッションで発表したい学生さん、連絡をお待ちしております!

第95回日本整形外科学会学術総会(佐藤貴洋)

 2022年5月19日~22日の期間で日整会が開催されました.3年振りの現地開催とのことで会場は多くの参加者で賑わっていました.私は日曜日に発表がありましたので土曜日に現地入りして会場を散策していました.私自身コロナ渦のため整形外科医となってから初めての学会参加でした.そのため,展示ブースや一般口演などが連れてきてもらっていた研修医時代よりも非常に刺激的な時間でした.機械展示コーナーではリハビリテーション関連の新しい機械をみたり,ウォーターベッドでくつろいだりしていました.研修医時代とは違い,気兼ねなく展示コーナーを楽しめました.また,一般口演では他大学でどういう研究をしているのか,どういう風に発表に持ってきているのかが分かり今後の研究のモチベーションに繋がりました.

 私の発表は22日の朝8時でした.そのためアイランド内の近くのホテルを予約しようと思っていたのですが.誤って六甲アイランドのホテルを予約していました.(アイランド違いで片道1時間弱かかりました)朝5時に起きて準備をして何とか8時に合わせて会場内に到着できました.久々の現地開催だと都会で道に迷ったりもして大変ですね….次回は気を付けます.ということで,長距離の電車,バス移動をしたのですが,街には活気が戻ってきていましたね.秋田と同じ国とは思えない….

 残念ながらまだ同門会は開催できませんでしたが,近い将来また医局のメンバーで気兼ねなく行くことができる日を心待ちにしています.スポーツ関連行事も再開したらすぐに参加できるよう心も身体も精進していきたいと思います.

第51回日本脊椎脊髄病学会学術集会 (木村竜太)

2022年4月21日から23日まで、第51回日本脊椎脊髄病学会が、中村雅也先生(慶應義塾大学整形外科教授)のもと、パシフィコ横浜ノースで開催されました。

(パシフィコ横浜に新設された施設で、とてもきれいかつ、1施設におさまっており、移動の点でもとても使い勝手が良い会場でした)

今回のテーマは「Passion, Vision, Action」、脊椎外科医の熱い思いが各所で感じられました!

久しぶりの現地開催のみの学会ということで、秋田からも多くの先生が参加しました。

発表は、Akita Spine Groupから、9演題ありました。

オンラインでは得られないディスカッションがあり、新たな学びとともに、次の知的好奇心を掻き立てられる、『学会』はいい場所だと改めて感じた学会でした。

来年に向け、再度スタートします。

第31回日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会 若手リウマチ医奨励賞受賞者セッション 優秀賞受賞報告 (五十嵐駿)

2022年1月15日に行われた第31回日本リウマチ学会北海道・東北支部学術集会の若手リウマチ医奨励賞受賞者セッションで私の演題が優秀賞に選出されました。

私の演題は「関節リウマチ患者における残存症状とロコモ25スコアおよびロコモ度との関連」であり、近年のトピックスである関節リウマチ患者の残存症状(薬剤による治療が十分行われているのにも関わらず残存してしまう痛みや倦怠感など)と、ロコモティブシンドロームの評価方法であるロコも25の点数や進行度との関連を調査したものです。

関節リウマチ患者はロコモティブシンドロームの原因疾患の一つでありますが、今回の研究により残存症状を認めるリウマチ患者はロコモティブシンドロームの合併が多く、リハビリテーションの介入が効果的となる可能性を提示致しました。

今後高齢化により高齢リウマチ患者に対する治療方針や、ロコモティブシンドロームへの取り組みの必要性は増していくと考えられます。そのような背景のもと本研究を開始し、その成果が由緒ある本学会において評価されたことは至上の喜びです。

宮腰教授をはじめ、AORAの先生方のご指導とご協力により私が代表して受賞できた賞だと思います。この場を借り、改めて皆様に感謝申し上げます。

今後はさらに研究を続け、その成果を論文として世に送り出すために今後も頑張ります。今後ともご指導何卒よろしくお願いいたします。

第45回日本整形外科スポーツ医学会(木島泰明)

現在、大阪のグランフロント大阪 ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターでは、第45回日本整形外科スポーツ医学会が開催されています。会長は大阪市立大学大学院整形外科の中村博亮教授で、テーマは「原点からの飛躍と多様性への対応」です。
我が秋田大学整形外科からは、メイン会場でのシンポジウム「高齢者とスポーツ医学‐健康寿命延伸への寄与‐」に、本郷道生講師が「高齢者のスポーツ活動・運動療法による脊椎疾患に対する影響」というご発表をされました。また、パネルデスカッション「アキレス腱断裂の治療」では、平鹿総合病院の千田秀一先生が、「新鮮アキレス腱断裂に対する最小侵襲手術の適応」というタイトルでご発表され、そのあとの総合討論でもアスリートに対するアキレス腱断裂の治療に関して、かなり白熱した討論がなされていました。
私も秋田県体育協会の強化指定選手のメディカルチェックから得られた情報を発表するとともに、全国からの発表や講演を拝聴しております。当科の齊藤英知先生も変形性膝関節症手術とスポーツのセッションで座長を務められておりました。
本学会で得られた最新の知見を秋田でのアスリート診療に生かすとともに、引き続き秋田で得られた知見を全国や世界に発表し、東京2020に向けて、スポーツ整形外科医療の発展に寄与していきたいと思います。

第39回日本骨形態計測学会(佐藤千晶)

2019年7月4日から6日にかけて福岡で開催された日本骨形態計測学会に参加しました。
当科からはシンポジウムで宮腰尚久准教授が「実験骨粗鬆症に対する組織学的、生化学的検討からみた適切な骨粗鬆症治療」をご講演され、野坂光司先生が「Ilizarov創外固定器を用いた脆弱性骨折治療における歩行能力維持」、さらに長幡 樹先生が大学院で行った研究について「ハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合体の骨形成不良骨における骨再生」と題して発表されました。長幡先生とは去年まで大学で一緒に研究、実験をご指導いただいており、自分も今後このように活躍していけるように気持ちを新たにすることができました。また、粕川雄司先生が「経口ビスホスホネート薬長期使用例の旧薬の可能性」を、私も大学院での基礎研究の内容を「テリパラチドと運動の併用療法が骨密度と脂肪に及ぼす効果」として発表させていただきました。

今回の学会は“骨形態から疾患の謎を解く~ミクロからマクロまで~”というテーマで内科疾患や、骨疾患の臨床に即した研究が多く、興味を持って拝聴することができました。また基礎研究系の演題では骨微細構造の評価が必須となっていることを感じました。今年から秋田大学にも生体の体内構造や、骨微細構造を評価できるμCTが導入されることとなっており、より深い部分の評価が可能となります。今後秋田大学からもより多くの新しい知見を発信していくことを目標に実験、研究を進めていければと思います。

第35回日本義肢装具学会学術集会  (村田昇平)

2019年7月13,14日に仙台国際センターで日本義肢装具学会学術大会が開催されました。第35回となる本会は,秋田大学整形外科が主催を務めさせていただけることとなり,大会長である島田洋一教授をはじめ,宮腰尚久准教授,松永俊樹准教授のご指導のもとで医局員一丸となって参加して参りました.運営としてだけではなく当大学から,医学系で,松永俊樹先生,斉藤公男先生,井上純一先生,千田聡明先生,渡邉基起先生,高橋祐介先生,須田智寛先生,工学系から小松瞭先生,佐竹將宏先生,只野孝明先生が発表され,演者としても多数参加させていただきました.
初日には島田教授による大会長公演がありました.「先端医用工学による義肢・装具の展開」と題してご講演いただき,島田教授が装具治療に携わることとなったきっかけから,留学中のご経験,埋め込み型電極などの機能的電気刺激療法について,また現在開発中の器械などについてお話いただき,非常に刺激的な内容でした.医局員,AMAG班である私にとっても非常に目新しいことばかりであり大変勉強になりました.他施設からいらした参加者の方々からも大好評でした.
また特別講演1では米国University of California San Francisco(UCSF)整形外科,長尾正人教授より「四肢切断者の社会復帰に向けてー当科の支援プログラムと取り組みー」と題してご講演を頂戴しました.米国の義肢装具士のあり方,四肢切断の現状,またUCSFの特徴的な取り組みであるアウトリーチ・プログラムなどについてご紹介いただき,大変興味深い内容でした.中でも私が強く感銘を受けたのはAmputee Comprehensive Training(ACT)という活動であります.ACTは不幸にも四肢切断となってしまった人々が可能な限り身体的,機能的に豊かに生活できるように支援を行うプログラムです.切断前に楽しんでいた活動に参加していただくことで,健康で活発なライフスタイルを取り戻すことを目標としています.様々な種類がありますが,その一つとしてNBAに所属するバスケットボールチームであるゴールデンステートウォリアーズの選手,メディカルスタッフが参加して,四肢切断者とともにバスケットボールを行う写真が紹介されていました.全国トップの整形外科バスケットボールチーム,ノーザンバイソンズを有する我々の教室にとっても大変参考になる社会活動であると感じました.
特別講演2では日本義肢装具学会理事長,東京大学大学院医学系研究科リハビリテーション医学分野教授である芳賀信彦先生より「日本義肢装具学会の将来展望」と題してご講演をいただきました.日本義肢装具学会の補足から現在にいたるまでの歴史などを会員数の変遷,その内訳などを綿密な分析とともにご紹介いただき,今後の義肢装具学会を盛り上げるための方策や進むべき指針をご教示いただきました.芳賀信彦先生は次回,第36回日本義肢装具学会学術集会の大会長をお務めになる予定であり,来年の日本義肢装具学会の計画や,学会場なども一部ご紹介いただき,来年度の参加が今から非常に楽しみとなりました.

 

大会全体としては目標としていた1000人を超える方々に東北まで足を運んでいただけました.テーマである「挑戦・融合・革新 ~義肢装具のネクストステージ~」にふさわしい内容の演題ばかりで,会場内外で参加者同士が熱い議論を交わしている様子も多数みうけられ,本会は大盛況のうちに終わりました.会場となった仙台国際センターは美しい緑に囲まれており,初夏の過ごしやすい天気もあって,2日間とも非常に気持ちよく過ごすことができました.
今回,日本義肢装具学会学術集会の運営に微力ながら医局員として携われたことを誇りに思います。本大会で吸収した知識や,経験させていただいたことを活かして今後の臨床や研究活動にさらに邁進して行きたい所存です.