月別アーカイブ: 2018年5月

留学報告⑲ スポーツ外来2(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

今回はスポーツ外来見学 その2

いつもお世話になっている長尾正人先生に,UCSFでスポーツドクターとして勤務されているCarlin Senter先生を御紹介頂き,UCSFのスポーツ外来を見学してきました.

Carlin Senter先生は内科医をバックグラウンドとしている先生でsubspecialityとしてスポーツ医学を専攻され,現在USCFのスポーツ外来をされている先生です.筋骨格系疾患全体を幅広く診療されており,脳振盪回復プログラムのチーフを務められています.

詳細に問診を行った後に診察を行うというスタイルで,必ず最初はオープンクエッションで行っていました.この方が,患者さんからの症状・情報を引き出し易いと仰っていました.また,普段自分が診察する際にはほとんど質問することが無い,食事や睡眠時間などの問診を頻回にされていたのが印象的でした.

Luke先生の時はGoogleグラスでのディクテーション記載補助でしたが,Senter先生の場合は補助の人が一緒に入って直接タイピングするというスタイルでした.しかし,Senter先生のタイピングが尋常じゃないほど早いので,自分で打った方が早そうな雰囲気(すこしイライラ?)でした.

全患者でスポーツ選手を診る割合は約2−3割ということで,スポーツ以外の患者さんも相当数診察・治療されているようです.今はスポーツの帯同は行っていないようですが,以前は行っていたようで,診察室の至る所に選手からのサイン入り写真などが飾られていました.スポーツの帯同にはGeneralistとしての知識も必要であると実感させられました.

PTルーム見学やスポーツグループカンファレンスなどにも参加させて頂き,充実した見学をさせて頂きました.

 

 

 

 

 

 

Orthopedics Institute ビル1個整形外科です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタンディング対応のPCデスク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外来診察室にはサッカー女子代表のサイン入りシャツも.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Carlin先生と.

 

 

 

 

UCSF サンフランシスコ外傷セミナー・キャダバーコース (長幡 樹)

4月22日〜30日と長期の時間をいただいて、サンフランシスコ外傷セミナー・OTIコース・キャダバーに参加させてもらいました。

サンフランシスコはほぼ毎日が快晴で驚くほど天気がよく過ごしやすい気候でした。風がつよく時々肌寒く感じることもありましたが、皆半袖で過ごすくらい暖かく良い気候でした。

まず最初は岡山大学の野田先生・福岡整形外科病院の徳永先生・秋田大学の野坂先生が講師のキャダバーコースに参加しました。足部・膝・股関節・さらには骨盤と下肢をほぼすべて網羅するような内容になっており、手術の皮膚切開や解剖上のピットフォールなどをとても丁寧に教えていただきました。コース外のことも自分の興味が部分をさらに掘り下げて学ぶことができました。また同世代・もしくは自分たちよりも若手の先生と一緒になって行うことで、自分たちに足りていない点や他の大学の話も聞けてとても刺激になりました。時間に余裕ができると本来のキャダバーコースに含まれていなかった骨盤の解剖などもご指導いただき最初から最後までとても充実したキャダバーコースでした。

翌日からは島田洋一教授と大学時代の同期に当たり、現在Zuckerberg San Francisco General Hospitalで勤務している長尾先生の元に施設見学と症例検討をさせていただきました。日本の病院とはだいぶ勝手が違うことはなんとなくは理解していましたが、改めて説明を受けると驚きの連続でした。入院期間の短さや、手術室・術後の麻酔管理のための場所の確保などとても興味深く見学をさせてもらいました。また日本よりも各職種の仕事が明確に細分化されており、また違った世界なんだと改めて実感をさせられました。

外傷セミナーでは現在行われている治療の選択方法や、体の各部位ごとのピットフォール、トラブルの対処方法などを10分単位という短い講義で聞いてきました。英語がなかなか不得意な自分でも頑張ればかろうじて聞き取れるような内容であり、少し、本当に少しは英語力も身についたのではないかと思っています(なんとなく聴き慣れただけかもしれません)。さらには肘や手関節などで模擬骨を使った手術手技のハンズオンなども受け、盛りだくさんのセミナーでした。

ゴールデンゲートブリッジや、フィッシャーマンズワーフ、ユニオンスクエアなど有名どころへいき普段触れることのないアメリカの文化に触れてきました。日本では見ることがないくらい広大な自然に触れることができとても楽しい時間を過ごしました。

最後になりますが、今回OTIの長尾先生をはじめ、たくさんの先生方にアメリカの地でお世話になりました。ありがとうございます。また今回の機会をくださった島田洋一教授、宮腰尚久准教授をはじめ、通常業務や当番を担当してくださった各グループの先生、大学院の皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

第61回日本手外科学会参加報告(齋藤光)

平成30年4月26、27日の両日、東京都の京王プラザホテルで第61回日本手外科学会学術集会が開催されました。本会の学会長は、昭和大学の稲垣克記教授で、テーマは「サイエンスとアート」の調和でした。Akita Hand Group(AHG)からは9人が参加し、最新トピックスについて学んできました。AHGからは合計5演題が採択され、千馬誠悦先生が「手指変形性関節症に対する装具療法」、成田裕一郎先生が「ばね指に対するトリアムシノロン腱鞘内初回1回投与の効果持続期間」、伊藤博紀先生が「背側天蓋状骨片を伴う橈骨遠位端骨折の検討」、白幡毅士先生が「変形性PIP関節症に対する掌側アプローチによる表面置換型人工指関節置換術の治療成績」、冨岡立先生が「コンバインによる上肢外傷〜手こぎ作業の危険性〜」という内容で発表しております。

私は今回、橈骨遠位端骨折のセッションを中心に聴講してきました。その中で、橈骨遠位端骨折後の二次骨折予防にむけた骨粗鬆症治療の取り組み、掌側転位型橈骨遠位端骨折の手術治療、尺骨骨折合併例の手術治療などの演題は、大変興味深く、勉強になりました。本学会で得られた知識を臨床へ活かせるように、明日からまた精進してまいります。来年はこの学会で発表できるようにと決意を新たにしているところです。
現在AHGは、日常診療から得られたクリニカルクエスチョンを研究テーマとし、新たに調査を計画中です。まずは来年の日本手外科学会、日本整形外科学会での演題発表を目標とし、最終的には国際学会での発表、英語論文執筆を目指して参ります。私自身、AHGメンバーとして、リサーチマインドを持ちながら臨床、研究、論文執筆に取り組んでいこうと思います。

齋藤光