投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第34回東北脊椎外科研究会(岡本憲人)

2024年1月27日に開催された東北脊椎外科研究会に参加致しました。

今年で34回目となる歴史ある研究会であり、若手脊椎外科医の研鑽の場ともなっています。昨年まではハイブリッド開催でしたが、今年からは従来通りの現地開催、会場もフォレスト仙台といつもの東北脊椎だな…と感じました。自分が整形外科1年目で発表した時の記憶が昨日のことのように思い出されます…。

今回からは前日の意見交換会(以前の症例検討会)も再開され、秋田からも精鋭の先生方が参加されました。

秋田からは全部で6演題の発表がありました。渡辺学先生も華々しく東北脊椎デビューを飾りました。今後のさらなる活躍が期待されます。来年も演題出しましょう!

「超高齢社会の脊椎外科:Big Data からみる高齢者の脊椎手術の課題」というテーマでシンポジウムも開催され、尾野祐一先生が秋田県の高齢者脊髄損傷の治療状況を発表されました。高齢者脊髄損傷患者は今後も増えていくことが予想されます。後方支援病院の拡充など、今後の課題も提起していただきました。特別講演は東海大学医学部医学科 外科学系 整形外科学 准教授 酒井 大輔 先生から「新技術で進化する脊椎疾患の手術治療:脊柱変形を中心に」としてご講演いただきました。側弯症手術からUBE、Virtual Reality、椎間板再生の基礎研究まで多岐にわたる酒井先生のご経験を教えていただきました。非常に刺激的で勉強になりました。

表彰式では前回の最優秀演題賞に木村竜太先生の「成人脊柱変形に対する選択的腰椎固定術の可能性と限界」が選ばれました!おめでとうございます!前年度会長の小林孝先生から表彰があり、同門一同で大喜びです。

そして今回の若手優秀演題賞には、秋田労災病院佐藤千晶先生の「健常成人女性の各年齢別の全脊椎アライメントと身体機能の変化」と秋田厚生医療センター東海林諒先生の「LLIF による ASD 矯正手術において、近位 PPS 固定は PJK を予防する」がダブル受賞となりました!白熱した質疑応答も加点要素となったかもしれません。先生方おめでとうございます!

今年も非常に実り多い研究会となりました。来年も秋田大学をアピールできるように頑張りましょう!


能登半島地震JRAT活動報告 (木村竜太)

1月1日に発生した能登半島地震の支援のため、当講座より1月12日から15日までリハビリテーション科粕川雄司准教授が、1月21日から24日まで木村がJRATで現地支援活動を行いました。

JRATは、日本災害リハビリテーション支援協会(Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team)の略称です。まだまだ認知度は低く、私自身も今回の活動を行うまでは、具体的にどのような支援を行うのか理解できておりませんでした。

ただ、実際の現場をみると、急性期の医療が落ち着きだした段階から、リハビリテーションならびに環境調整を並行することに、かなりの需要がある活動であることを実感いたしました。

我々は、秋田大学医学部附属病院の理学療法士の畠山和利先生、菊池煇先生、作業療法士の加賀美開先生の4人チームで現地に車で移動しました。

今回の派遣は秋田県医師会JMATのサポートで活動を行うことができました。

秋田県医師会の皆様本当にありがとうございました。

我々は志賀町で3日間、金沢市内のいしかわ総合スポーツセンター(1.5次避難所)で1日間の活動を行いました。

志賀町はかなり面積の広い町で、中心の役場から端の避難所まで車で40分以上かかります。情報の共有が難しいと思いましたが、実際の現場ではLINEのオープンチャットを用いて、医療・福祉間の連携が行われていました。JMAT、JRATの活動も同様にLINEを用いた情報共有でした。LINEの普及率(日本人のスマホ所有者のうち83.7%. 2023/4時点)がこのような非常時にとても役立っていました。

各指定避難所・自主避難所を回りましたが、避難所によっても異なる環境がありました。その情報を共有しながら、不活発が生じない体制・環境作りや、必要な福祉環境器具の設置・調整を行いながら、深部静脈血栓症・廃用予防のための運動指導を行いました。

その中で、かなり町のはずれにありながら元々の地域コミュニティによる互助が成り立っており活気がある避難所がある一方、町の中心にありながらそれぞれ別々の場所から集まってきた避難所は交流が生まれず避難所の中で孤立した生活となりそれが不活発の一因となっていました。日頃のコミュニティ形成はこのような非常時に顕著に生活の差を生むことを実感しました。

現場ではDMATやJMATの医療チーム以外にもDPAT(精神医療チーム)、DWAT(福祉チーム)、保健師チームなど全国から多くの専門職チームが入っていました。避難所の管理のために全国の自治体職員の方が支援していることは初めて知りましたし、そして安全管理・復帰のため警察・消防・水道局・工事作業、本当に多くの方の力が集結していることを実感しました。

半島という特殊な地形のため、復興までは時間がかかると言われておりますが、1日も早い復興を願い、今後も支援を継続していきたいと考えます。

また今回の経験を多くの方と共有することで、秋田県内でもJRATの体制作りを進めていきたいと考えます。

整形災害外科学研究助成財団トラベリングフェローシップ サンフランシスコ(木下隼人)

令和5年10月23日~11月3日の約2週間,整形災害外科学研究助成財団のトラベリングフェローシップを利用し,Zuckerberg San Francisco General Hospital and Trauma Center(以下,ZSFGH)へ短期留学に行かせて頂きました.

 令和2年度の受賞時,カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco . 以下,UCSF)の長尾正人教授のご高配により,サンフランシスコへ留学する事となっておりましたが,当時,コロナ禍がちょうど日本に押し寄せて来ていた頃で,昨年,ようやく実施することができました.

 ZSFGHの整形外科チームは,『Ortho Blue』『Ortho Gold』の2チームに分かれており,『Ortho Blue』は関節(股関節・膝関節)・脊椎・骨盤・小児を,『Ortho Gold』は手・スポーツ・足を専門に治療にあたっており,自分は今回,専門分野である脊椎が含まれている『Ortho Blue』のチームに所属し,手術およびクリニックでの診察を見学させて頂きました.

 脊椎外科医は三名の先生(Dr. El Naga,Dr. Gendelberg,Dr. Xu)が担当しておりましたが,留学中は主にDr. El Nagaの脊椎手術を見学致しました.

【OrthoBlue(Team spine)】

(向かって左がDr. El Naga.中心はresidenntのDr. Baldwin)

【OrthoBlue(Hip&Knee)】

(Dr. Marmorとともに)
   (Dr. Toogoodとともに)

 『Ortho Blue』の手術は基本的に火・水・金に行われ,Trauma Centerでもあるため,脊椎の手術は,変性疾患というよりも,外傷を主体として行われておりました.緊急手術が多く忙しく立ち回る中でも,ナビゲーションシステムを用いてのインプラントの挿入,術後O-アームを用いての即座のスクリュー挿入位置確認など,要所要所で丁寧な仕事をしており,感銘を受けました.麻酔は,麻酔科医の他,CRNA(Certified Registered Nurse Anesthetists),いわゆる麻酔看護師と呼ばれている方々もかけており,大いに腕をふるっていました.

クリニックでの診察では,患者が各部屋に待機し,医師やNP(Nurse Practitioner)が診察に回る方式でした.ResidentやNPが予診を行い,その後担当医が診察するという流れでした.NPの予診は徒手筋力テストなども行われ,パッと見た感じでは,residentと遜色のない診察がなされており,CRNAを含め,アメリカにおける看護師資格の多様性・専門性の高さに感動しました.

また,ZSFGHはサンフランシスコにあり,その特性上,スペイン語や中国語を主体とする患者様が多い印象でした.それぞれの言語を話せるスタッフもいましたが,基本的には通訳者に電話連絡し,電話越しのそれぞれの通訳担当者を介して,患者とやり取りをしていました.

全体を通じて,ZSFGHスタッフは忙しい中でも活き活きと仕事をしており,お互いにスキンシップを大事にしている明るい職場で,短い間ではありましたが,楽しく留学をさせて頂きました.この場をお借りし,UCSFの長尾正人教授ならびにZSFGHで働いているスタッフの皆さんに深謝申し上げます.

(長尾教授とともに)

ハピネッツオープニングセレモニー出演報告(浅香康人)

2023年12月29日にCNAアリーナ(秋田市立体育館)にて行われました秋田ノーザンハピネッツVSファイティングイーグルス名古屋のオープニングセレモニーにゲストとして出演させていただきました。我々秋田大学整形外科はスポ少の子供たちからプロスポーツ選手まで幅広くスポーツ障害の予防や治療を行っており、その活動の一つとして秋田ノーザンハピネッツ様のチームドクターを務めさせていただいています。

今回は「整形外科」と「ボディビル」を一般の方々に少しでも知っていただきたいという思いで、文字通り一肌脱がせていただくことにしました。来場者4700人を超える大観衆を前にパンツ一丁になるという経験は今後の人生において二度とないであろう非常に貴重なものでした。気象予報士の妻に、おなじみの棒を用いながらまるで気象解説のように筋肉について説明してもらい、自分自身がユーラシア大陸になったような気持ちでポーズをとりました。その後音楽に合わせて実際の大会のようにフリーポーズを行わせていただきました。「肩が鳥海山」「背中に奥羽山脈」等、秋田ならではの声援もいただき大変盛り上がりました。

関係者の皆様には深く感謝申し上げます。引き続き皆様に明るいニュースをお届けできるよう精進いたします。

令和5年度 第3回秋田大学整形外科書納め会(中西真奈美)

12月30日、医局カンファレンス室にて秋田大学整形外科恒例の書納め会が行われました。

3回目となる今年、事前に部長の英知先生より示されたお題は「青雲之志」、「雲外蒼天」、そして「熊」です。朝9時より3時間一本勝負で、思い思いの書をしたためました。

早くから教授もいらっしゃり、華麗な立ち書道にてその達筆な腕前をご披露なさいました。蒼の字が難しいのだと仰っておりましたが、こちらが見惚れてしまうほどのスムーズな筆運び、やはり流石でした。迷いを感じさせない筆運びで大判半紙にしたためられた書は医局廊下に展示されておりますので、皆さんぜひご覧ください。

今年は木村竜太先生、笠間史仁先生、佐藤貴洋先生の恒例メンバーに加え、木下隼人先生にもご参加いただき、作品をしたためていただきました。やはり今年の秋田といえば「熊」だったのでしょう、先生方みな味のある「熊」の一文字を書いておられました。木村先生の「熊」は行書体でしょうか、ものすごく迫力があります。笠間先生は、部長兼師範の英知先生に篆書、隷書の筆運びを教えていただき、そのコツを掴んで素晴らしい「熊」をしたためておられました。英知先生より、みんな年を経るごとにレベルが上がっている!とのお褒めの言葉を頂きました。そんな部長は羊毛使いで圧巻の書をしたためておられました。

後半は、期待の新入局員、間杉健輔先生が来てくれました。筆を握るのは小学校以来だということですが、その堂々とした筆運びに教授、部長も唸りました。来年度からの仕事ぶりにも期待が高まります!(プレッシャーではありません)

かくいう私も高校生の選択授業以来、久しぶりに筆を握ることとなりましたが、やはり書道は難しいと感じました。英知部長に少しでも近づけるように、今後は精進して参ります。先日の御用納めでは大変な納まり方をしてしまっておりました。ご迷惑をお掛けし申し訳ございませんでした。本日、書でもってなんとか一年を納めることが出来たかもしれません…。

今年の作品は去年のものと一緒に、医局廊下に飾られております。このブログをご覧の皆さん、是非とも先生方の素晴らしい書を見に行かれてみてください。写真で見るのと実物を見るのとでは迫力も違いますし、作品ごとの“味”を感じられると思います。

来年はさらに多くの皆様のご参加を心待ちにしております。それではよいお年を。

Ramathibodi病院(タイ)研修(整形災害外科学研究助成財団トラベリングフェローシップ) (木村竜太)

2023年12月18日から22日の1週間、タイのマヒドン大学ラマチボディ病院で、脊椎外科の研修を行いました。秋田大学整形外科では宮腰尚久教授が日本脊椎脊髄病学会トラベリングフェローでラマチボディ病院を訪問して以来の交流が続いており、現在のchairmanのProf. Pongsthor Chanplakornの秋田研修以来、ここ数年で3名の脊椎フェローの先生が秋田に研修に来られていました。今回秋田からの独自フェロー訪問は初となりました。

ラマチボディ病院は、1023床のとても大きな病院で、さらに周囲の複数の病院と歩行者デッキで繋がっており、巨大な病院網が形成されていました。デッキ間を患者さんがゴルフカートで移動・搬送されているのは日本では見ることのない文化でした。うち整形外科は40床で実情全くベッドが足りていないため、現在は少し離れた分院として、 Chakri Naruebodindra Medical Institute (CNMI)が2017年から一般的な整形外科手術を担当しながら機能を分離しているそうです。今後もバンコク周囲に複数のラマチボディ病院の関連病院がオープン予定であり、バンコクの医療供給が全く間に合っていないことを実感いたしました(待機的脊椎手術は半年〜数年の待機になるそうです)。

外来見学では、日本と同様のシステムで診察を行なっていました。薬剤についても保険でのカバー比率が大きいため、基本的には適切な薬剤選択が可能とのことでした。始まりと終わりに「サワディークラップ」「コップンクラップ」と合掌しながら挨拶される様子は、どこか日本にも通じるものを感じました。

3年前に秋田に研修に来てくれたDr. PilanのCNMIへ訪問し手術を見学することもできました。Dr. Pilanがスタッフドクターとして独り立ちし、秋田の手術技術を取り入れながら治療をしていることを伺い、とても嬉しく思いました。手術はFED-IL(全内視鏡下椎間板摘出術 椎弓間アプローチ)とXLIF(腰椎側方進入椎体間固定術)の見学をしました。XLIFはDr. Pilanにとって初めての一人手術ということで、サポートに入ったことをとても喜んでくれました。無事終えることができ、海外でこのように協力して手術を行うという貴重な経験をすることができました。

Pilanの初めてのXLIFを一緒に終えて。

その夜はDr.Plianの実家に泊まらせていただきました。素晴らしい豪邸で、建築コンサルティング業をしていらっしゃるお父さんから日本としてきた仕事についてのお話をいただけたのもとても楽しかったです。

また5月に来てくれたDr.Issaraも秋田での経験をもとに、現在治療にあたっていることを伝えに来てくれました。秋田に行って本当によかったと言ってくれたことが、何よりのお返しでした。

ディープなタイを案内してもらいました。

転移性脊椎腫瘍に対する除圧固定では、透視なしでスクリュー刺入が行われていました。私達は当然のように透視を使っていることを見つめ直す機会となりました。現在は使われていないものの、Rama spine system(RSS)という独自の脊椎手術システムの抜釘の機会があり、ロングプレートを用いた整復は矢状面、環状面ともに素晴らしい成績でした。またシニアドクターのDr.Ganはタイで初めてFESS(全内視鏡下脊椎手術)を導入され、その多くの経験をもとに、FED ILとendo-TLIF(全内視鏡下腰椎経椎間孔椎体間固定術)の手術を見せていただきました。とても丁寧な手術で、多くの学びを得ることができました。

正面法のみで腰椎ブロックを行っていたので、斜位法を伝えてきました。

脊椎のインプラントとして、通常の医療保険で賄えるのが一世代前のインプラントになる、椎体間ケージは1椎間1つまで、神経モニタリング使用できない(追加の支払いが発生)などの制限があるなか行われている手術を拝見し、我々が国民健康保険によって大きな利点を得られていること改めて実感しました。

また、整形外科には常に30名ほどのレジデントと、10名前後のフェローがいてとても活気がありました。

送別会にて。
トゥクトゥクも初体験。現地人はしっかり値引き交渉してから乗っていました。

マヒドン大学とは、今後も相互交流を継続していきたいと考えます。そして、2024年3月には今回多くの案内をしてくれたDr. Sorasekが秋田に来てくれる予定です。実りの多い研修となるよう準備して参ります。

最後にこのような機会をいただき、誠にありがとうございました。この経験をもとに今後も一層精進してまいります。

令和5年度整佑会総会・第19回整佑会特別講演会/秋田大学整形外科忘年会(森下耀/中西真奈美)

2023年12月9日、令和5年度整佑会総会、第19回整佑会特別講演会、秋田大学整形外科大忘年会が行われました。忘年会は2019年以来4年ぶりの開催となりました。ご多忙の中、ご出席いただいた方々に感謝申し上げます。

整佑会総会では、秋田厚生医療センターの原田俊太郎先生、雄勝中央病院の村田昇平先生が整佑会奨励賞を受賞され、受賞記念講演をしていただきました。
その後、整佑会特別講演会が開催されました。まず、秋田大学の白幡毅士先生より、「手外科と外傷整形外科の二刀流」と題してご講演いただきました。手外科と重度外傷についての実際をお話していただきました。手術はもちろんですが、リハビリにも情熱を注がれており、若手への教育にも精力的で、胸が熱くなる発表でした。次に秋田県立医療療育センター三澤晶子先生から「女性整形外科医としての歩み〜小児・側弯症診療までの道のり」と題してご講演いただきました。先生の今までの歴史と秋田県における側弯症治療・取り組みの変遷をご教授していただきました。第一線で働く女性整形外科お話もいただき、秋田大学では女性整形外科医が増えてきていますので、大変参考になりました。

最後に、秋田大学整形外科大忘年会が行われました。関連病院院長先生や多数のご来賓の先生方のご出席を賜り、リハビリスタッフや病棟看護師も多くご出席いただきました。はじめに宮腰尚久教授、1病棟8階内山文子師長からご挨拶をいただきました。整佑会長の渡部英敏先生の乾杯の音頭で忘年会が開宴しました。今年は医局活性化大賞、スポーツ大賞、文化藝術大賞の表彰がありました。医局活性化大賞は中通総合病院、大曲厚生医療センター、市立横手病院が受賞されました。スポーツ大賞はボディビルの浅香康人先生、文化藝術大賞は書道の齊藤英知先生が受賞されました。おめでとうございます。部活動の活動報告動画や浅香先生のボディビルパフォーマンス、ビンゴ大会などがあり、盛大な忘年会となりました。最後には本郷道生教授の乾杯で中締めをし、忘年会の幕を閉じました。今年も100名を超える多くの先生方にご出席、ご協力いただき、4年ぶりの忘年会を無事開催することができました。改めて、幹事一同心より感謝申し上げます。

来年もよりよい一年となるよう邁進してまいりますので、引き続きご指導の程よろしくお願いいたします。

第14回秋田県足の外科創外固定研究会(浅香康人)

12月に入って急激に寒さが増し、県内全域で積雪を認め一気に冬らしくなりました。12月2日、パラパラと音を立てて大粒の雪が降る中、秋田拠点センターアルヴェで第14回秋田県足の外科創外固定研究会が開催されました。数年ぶりに現地開催となったこともあり、外の寒さとは裏腹に会場内では熱く活発な議論が交わされました。

一般演題では井上純一先生からは「混合性組織結合病患者に生じた難治性皮膚潰瘍の1例」、関展寿先生からは「外反母趾を合併した第2中足骨短縮症に対し観血的治療を行った1例」、河原木剛先生からは「VAFによる軟部再建を要した下腿開放骨折の1例」、高橋靖博先生からは「中足部の結核性骨髄炎・リスフラン関節症に対して内側列固定をした1例」、野坂光司准教授からは「重度四肢外傷における一時的創外固定の現状と未来」という演題でそれぞれご講演いただきました。普段経験することのない症例が多く、大変勉強になりました。野坂准教授のご講演は特別講演ばりの内容であり、外傷治療の変遷および今後について詳細にご解説いただきました。

またミニレクチャーとして湯浅悠介先生から「橈骨遠位端骨折におけるplate選択」について解説していただきました。日常診療で出会う機会の多いcommon fractureであり、治療方針決定の際の疑問点解決に繋がる内容でした。

特別講演では日本の骨折治療におけるスーパースター、寺田忠司先生(福山市民病院整形外科)より「膝周囲、下腿、足関節骨折症例から考える髄内釘治療の利点と限界」という演題でご講演いただきました。下肢の外傷症例に対する治療戦略を非常に分かりやすく解説していただき、またそのあまりにも完璧な術後写真にフロア一同驚愕しました。間違いなく秋田県の骨折治療のレベルアップに直結した濃密な1時間であったことと思います。

ご講演いただきました先生方、研究会の運営に携わっていただいた方々には深く感謝申し上げます。

第38回日本臨床リウマチ学会 参加報告(小林志)

2023年11月18日と19日の両日、北九州国際会議場を中心に開催された第38回日本臨床リウマチ学会に参加してきましたので、ご報告させていただきます。

秋田からは、私、柏倉先生、櫻場先生が参加し、私は高齢RA患者と機能障害についての演題を発表してきました。

この学会は、日本リウマチ学会より小規模で、臨床に関連した演題が多く、より実践的な話が聞けるのが魅力です。

学会の中で、整形外科医のシンポジウムがあり、その中で議題になったのが、「整形外科リウマチ医の存続」でした。40歳以下の整形外科医のリウマチ専門医が少なく、学会員も少ない現状が提示されていました。身体機能の障害が主であるリウマチ症例は、われわれ整形外科医による治療への介入は必須ですので、AORAとしても、後進のDr育成を重視したいと考えております。

今回は、われわれ50歳以上のおじさんのみの参加でしたが、リウマチに少し興味があれば、来年のご参加をご検討いただければと思います。ちなみに、第39回の学会は、2024年11月18日と19日にアクトシティ浜松で行われます。

第57回日本側彎症学会学術集会(尾野祐一)

2023年11月10~11日に大阪で開催された、第57回日本側彎症学会に参加しました。今回の学会会場は大阪市中央公会堂で、1918年に完成後、100年以上の歴史がある建築物で、国の重要文化財にも指定されています。外観・内装ともに壮麗な雰囲気があり、いつもの学会会場とは一味違った雰囲気を味わいました。秋田脊椎グループからは、工藤先生、若林先生、私の3人が特発性側弯症の手術、側弯症検診、成人脊柱変形の疫学についてそれぞれ一般演題で発表しました。

「山田・井上メモリアルレクチャー」での伊東学先生の講演では、側弯症を専門とする女性医師の日本代表として三澤先生の顔写真が紹介されていたのが印象的でした。特発性側弯症は10代女性に多い疾患で、病態によっては年単位で通院してもらうことが必要です。患者サイドから考えると、女性医師の需要の高い分野といえますが、側弯症を専門とする女性医師が少ないのが課題となっています。

秋田でも、脊椎・側弯症を専門とする女性医師が増えるよう今後取り組んでいきたいと思います。