投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第52回日本脊椎脊髄病学会学術集会(岡本憲人)

4月13日から15日まで、札幌コンベンションセンターで開催された第52回日本脊椎脊髄病学会学術集会に参加してきました。(獨協医科大学整形外科主任教授 種市洋会長)

Akita Spine Group(ASG)からは11題の発表があり、活発なディスカッションが繰り広げられておりました。筆者は発表がありませんでしたが、様々な発表を拝聴させていただき、非常に勉強になりました。

今後秋田からも興味深い研究を発信していけるよう頑張ります。

機器展示会場ではいろんなインプラントを見たり、AO spineブースで入会の約束をしたりと口演以外にも楽しませていただきました。

また、会期中には現地での同門会も開催されました。宮腰教授は残念ながら不在でしたが、多くの先生に参加いただき、非常に盛り上がりました。今後改めてASGとして一丸となり臨床・研究に取り組んでいきたいと感じました。

来年のJSSRに向けて、また再始動していきたいと思います。

宮腰尚久教授就任祝賀会(小滝優平)

3月4日に宮腰尚久教授就任祝賀会が盛大に開催されました。

コロナ禍で開催時期が遅れてしまいましたが、この度開催できたことを教室の一員として大変嬉しく存じます。

未だコロナ禍ということもあり会場内は50人の人数制限の下の開催でしたが、学内外より多くの来賓の方々にご臨席賜り誠にありがとうございました。

【論文掲載報告】9軸慣性センサを用いた変形性膝関節症の歩行解析 (北秋田市民病院 塚本泰朗)

この度, 9軸慣性センサを用いた変形性膝関節症の歩行解析に関する論文がSensors (IF 3.847)に掲載されました.

Tsukamoto, H.; Saito, K.; Saito, H.; Kijima, H.; Akagawa, M.; Komatsu, A.; Iwami, T.; Miyakoshi, N. A Novel Classification of Coronal Plane Knee Joint Instability Using Nine-Axis Inertial Measurement Units in Patients with Medial Knee Osteoarthritis. Sens

ご指導いただきました宮腰尚久教授, 齊藤英知先生をはじめ, 臨床研究グループのメンバーにこの場を借りて深謝申し上げます.

変形性膝関節症は日本国内に約2530万人いると推計されており、痛みや可動域制限などのため日常生活に支障をきたし, 要介護の原因となりうる疾患です. 進行するとラテラルスラストと呼ばれる歩行時の膝の外側への横ぶれ現象を認め, ラテラルスラストは痛みや病期の進行度との関連が深い異常運動として整形外科医の間で一般的に知られています. 我々の先行研究にて, 9軸慣性センサと呼ばれるウェアラブルデバイスを下肢に装着して歩いてもらうだけで, ラテラルスラストを簡易的に定量評価する手法を開発しました(Hiroaki Tsukamoto, Kimio Saito, Toshiki Matsunaga, Takehiro Iwami, Hidetomo Saito, Hiroaki Kijima, Manabu Akagawa, Akira Komatsu, Naohisa Miyakoshi, Yoichi Shimada, Diagnostic Accuracy of the Mobile Assessment of Varus Thrust Using Nine-axis Inertial Meas). その研究の中で, 人間の目では捉えられないほど小さなラテラルスラスト(潜在的スラスト) が生じていることがわかりました.

そこで今回の研究では, 9軸慣性センサから得られる加速度データを用いて歩行時に膝に加わる慣性力の方向によって4つの歩行パターンに分類し, ラテラルスラストを歩行パターン間で比較検討しました. 結果は立脚初期に大腿および下腿に反対方向(内/外側)の加速度が生じている歩行パターンでは潜在的スラストが生じていることがわかりました. さらに, この異常な歩行パターンは従来のレントゲンでは異常を認めない早期変形性膝関節症患者に多く認められるという結果でした.

ウェアラブルデバイスはスポーツ現場から我々の日常生活まで広く浸透してきており, 整形外科分野においても臨床応用が期待されています. 将来的には, デバイスをつけて歩くだけで変形性膝関節症の重症度や予後判定ができるようなデバイスやアプリの開発につながることを期待して, 臨床と研究をバランスよく実践していきたいと思います。

第60回秋田県脊椎脊髄病研究会(渡辺学)

2023年3月4日秋田市にぎわい交流館AUで第60回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。今回の当番幹事は秋田赤十字病院の尾野祐一先生が務めておりました。Zoomと現地のハイブリッド開催となり少しずつ現地へ足を運べる回数が増えてきたように思われます。最近はコロナ感染も少しずつ落ち着いてきており3月中旬からはノーマスクが可能となり5月には5類となることが決まっております。今後も現地開催が増えることを祈っております。

研修医や若手整形外科への基礎講座として由利組合総合病院の菊池一馬先生、秋田大学医学部付属病院の工藤大輔先生、能代厚生医療センターの佐々木寛先生からそれぞれ出血への対応、硬膜損傷、髄液漏への対応、術後感染への対応をレクチャーしていただきました。脊椎外科を目指す研修医や若手の先生にはとても有意義かつ大事な内容であり、臨床に役立つ内容でした。

また今回は記念すべき第60回であり、記念企画として秋田大学医学部付属病院の本郷道生先生からこれまでの秋田県脊椎脊髄病研究会を振り返ってというお話をいただきました。第1回から現在まで、写真や懐かしいエピソードを交えたお話を聞くことができました。今後の展望も考えられており自分たちもその一員として成長していきたいと思いました。

一般演題は5題あり、珍しい症例や治療に難渋する症例の報告が多く、活発な議論がなされておりました。その中でも記念すべき第60回の最優秀演題賞に選ばれたのは、秋田赤十字病院の浅香康人先生でした「ブラウンセカール型の症状を呈した上位頚椎OPLLを伴う非骨傷性頚髄損傷の一例」についての報告であり、治療に難渋する症例で多くの意見が飛び交っておりました。

特別公演は稲波脊椎・関節病院院長の高野裕一先生より「脊椎脊髄疾患に対する内視鏡アプローチの最新のトピックス」についてご講演いただきました。ご自身の経験から早期離床の必要性を強く確認し内視鏡へ移行した経緯、従来法からMEDやLIFへの移行や注意点のお話、FESS(full-endscopic spine surgery)やUBE (unilateral biportal endoscopy)などに関する最新のお話などがあり大変興味深く拝聴いたしました。

来年にはさらにコロナ感染が落ち着き、第61回も現地の空気を感じながら開催されることを祈っております。ご講演いただいた先生方、本会開催に当たりご尽力いただきました方々に心より感謝申し上げます。

大会救護による感謝状(木村竜太)

2022年9月25日に行われた第30回秋田内陸リゾートカップ100キロチャレンジマラソンで、参加中に遭遇した救護に対し、大会事務局より感謝状を頂戴しました。

病院の外でも、人の役に立てる、そんな実感を与えていただき、とても嬉しく思います。

https://www.sakigake.jp/news/article/20230227AK0013/

これからもスポーツをするドクターとして、秋田県のスポーツを応援していきたいと思います。

第30回秋田県スポーツ医学研究会(野坂光司)

2023年2月18日,第30回秋田県スポーツ医学研究会がオンライン開催されました.

今回は,宮腰教授の声がけで立ち上がった,本研究会のワーキンググループ活動報告が初めて行われました.義足の方々との活動を,「Ambeins オンラインの活動報告」を佐藤陽介先生 (Ambeins 責任者)から,「秋田でも障がい児者がスポーツできる環境を目指して」を佐藤理枝子先生 (秋田県立医療療育センター リハビリテーション部門)から,「メディカルランナーが現場で傷病に遭遇した場合何ができるか.どこまでするべきか」を木村竜太先生 (秋田大学 整形外科)から,「女性アスリート指導者に対するアンケート調査」を小野寺洋平先生 (秋田大学 産婦人科)から講演いただきました.どの活動も非常に積極的に取り組まれており,とても濃い内容でした.各グループとも,まだまだ活動計画があるとのことで,ますます期待が高まりました.

特別講演1は,座長 秋田大学大学院医学系研究科医学専攻機能展開医学系 整形外科学講座 教授 宮腰尚久先生で,「足部・足関節のスポーツ傷害」を三重大学大学院医学系研究科 スポーツ整形外科 講師 西村明展先生からお話しいただきました.スポーツ安全協会の報告(2020-2021)では,部位別スポーツ傷害発生率では手指,足関節,膝,足の順となっており,足関節,足,足趾を合わせると,全スポーツ傷害の1/4を占め,日常のスポーツ傷害の中で足部・足関節領域がいかに多いかということ,スポーツ傷害の中で,最も頻度の高い足関節捻挫を中心に,距骨骨軟骨損傷,足関節前方インピンメント症候群,疲労骨折などの診断と治療の実際について,分かりやすく解説いただきました.特に鏡視下手術の第一人者でもある先生の動画は大変迫力が伝わってまいりました.

特別講演2は,座長 秋田大学大学院医学系研究科医学専攻腫瘍制御医学系血液・腎臓・膠原病内科学講座 教授 高橋直人先生で,「肝胆膵疾患と運動・栄養療法(疼痛治療も含む)」を秋田大学の卒業生でもある,福島県立医科大学 消化器内科学講座 准教授 高木忠之先生からお話しいただきました.肝硬変の成因別頻度ではC型肝炎が最多ですが,近年減少傾向であり,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が増加していること,肝硬変,さらには肝細胞癌が出現する前に,食事習慣の改善や運動療法による脂肪肝の治療が推奨されていること,簡易なレジスタンス運動による肝脂肪化の改善の実例を紹介いただきました.また,急性膵炎や慢性膵炎診療ガイドラインの改訂により,膵疾患での栄養療法が見直されましたこと,従来脂肪制限やカロリー制限を強いて来たのですが,十分な膵消化酵素を補充した上での食事療法が推奨されるようになったこと,さらに膵臓癌は増加傾向で未だに切除率が30%以下と低く癌性疼痛を伴いますが,内視鏡を利用した腹腔神経叢ブロックを行うことも可能と,幅広いお話しをいただきました.

どの講演も大変勉強になり,心より御礼申し上げます.

次回は2024年2月17日開催となります.よろしくお願いいたします.

若手セミナー・第30回秋田県スポーツ医学研究会(原田俊太郎)

2023年2月18日,毎年恒例の午前に若手セミナー・午後に第30回秋田県スポーツ医学研究会が開催されました。

若手セミナーには学生から研修医まで多くの若人たちが参加してくれました.みんなで鶏肉を使ったハンズオンも実施し楽しんでもらえました.

そして午後からはスポ医研です.一般演題ではAmbeins責任者である佐藤陽介先生、秋田県立医療療育センターの佐藤理枝子先生、秋田大学整形外科の木村竜太先生、秋田大学産婦人科の小野寺洋平先生からご発表いただきました。様々な分野の先生から、様々な視点からご発表いただき大変新鮮な討論となりました。

 特別講演Ⅰでは三重大学大学院医学系研究科スポーツ整形外科西村明展先生から「足部・足関節のスポーツ障害」についてご講演いただきました。普段の日常診療で困ることが多い足部のスポーツ障害について、診断・保存療法から手術治療のコツに至るまで大変わかりやすくご教示くださいました。明日からの患者様の治療に早速活かしていきたいと思います。

 特別講演Ⅱでは福島県立医科大学消化器内科高木忠之先生から「肝胆膵疾患と運動・栄養療法(疼痛治療も含む)」についてご講演いただきました。レジスタンス運動の有用性は自分たち整形外科にとても馴染み深い内容であり、普段あまり接することのない内臓疾患への有用性は大変興味深かったです。また外傷と腹部疾患の関連性についての発表は重度外傷などを治療する可能性のある我々にとっては普段はなかなか勉強できない分野でもあり非常に勉強になりました。今後外傷症例を治療する際はご講演内容を念頭に置いて治療にあたりたいと思います。

 コロナ禍中の開催なこともありweb開催となってしまいましたが、秋田の冬の大雪を溶かすような熱く活発な討議が行われました。次回の研究会を今から心待ちにしております。

ご講演いただいた先生方、開催にあたりご尽力いただいた方々に心より感謝申し上げます。

秋田大学イリザロフハンズオンセミナー 現地(リアル)開催 (野坂光司)

2月11日,秋田大学イリザロフハンズオンセミナーを開催しました.

コロナ禍で長きにわたり,Webハンズオンセミナーが続いていましたが,久しぶりのリアル開催となりました.

宮腰尚久教授にご指示をいただき,大学本部と密に連絡を取りながら,万全の感染対策のもと,今回は県内参加者のみで行いました.

本セミナーは秋田イリザロフ法グループ(AIMG)の若きリーダー,三田基樹先生が準備から運営まで取り仕切ってくれ,会場は熱気にあふれる非常に有意義な会でした.

コロナ渦で長きにわたり開催できなかったこともあり,参加者の中にはイリザロフに触ることが初めて,という先生もおりました.三田先生や大学院生など,イリザロフ経験のある先生たちの熱い指導で初学者の若手医師たちにもとても充実した時間になったと思います.

AIMGの目標の一つに,全国からイリザロフ創外固定過疎地をなくすことを掲げています.コロナが落ち着いたら,また全国から積極的に参加いただけるよう,秋田大学整形外科のイリザロフの知識,技術をアップデートしていく努力を続けていき,我々の技術を全国に広めていきたいと思います.

土曜日のお忙しい中集まってくれた参加者のみなさん,講師をしていただいた三田先生,開催に多大なるご協力いただきました宮腰教授と関係者のみなさま,本当にありがとうございました.

第35回日本肘関節学会学術集会に参加して(村田昇平)

令和5年2月3日,4日に行われた日本肘関節学術集会に参加させていただいてきました.今回はお隣の山形で,日頃から大変お世話になっている高原政利先生が会長をお務めになられての開催でした.上腕骨外側上顆炎や肘部管症候群など外来で遭遇する頻度の多い疾患の最新の知見や,人工関節,靭帯の手術について,また再生医療の可能性のお話など,多くのことを勉強させていただきました.

秋田県からも中通総合病院の千馬誠悦先生,湯浅悠介先生,斎藤光先生が座長や演者として参加され,全国の先生たちとディスカッションを行い,会場を盛り上げていました.

学会の翌日には,テニス大会も開催され,秋田から齊藤英知先生,佐藤貴洋先生とともに私も参加させていただきました.感染対策を厳正に行っていただいた中での開催でしたが,全国の先生たちと親睦を深めることができ,貴重な経験をすることができました.齊藤英知先生はなんと大会で優勝されるなど,大活躍されており,コートを大いに沸かせていました.佐藤貴洋先生も他大学の先生たちととても楽しそうにテニスをしており,交流を深められているようでした.

多くの幸運と,日々の齊藤英知先生の(テニスの)ご指導のおかげで自分も3位に入賞させていただきました.佐藤先生は惜しくも入賞となりませんでしたが,「入賞できなかったのは,普段の練習不足であり,練習すれば,今後の活躍が期待される」と齊藤先生が熱くコメントしており,自分は奇跡的に入賞できて本当に良かったとホッとしました.

学会やテニス大会の運営にあたられた,高原政利先生,原田幹生先生,山形大学整形外科の先生たち,スタッフの方々には本当にお世話になりました.圧倒的なホスピタリティで歓迎してくださり,秋田から参加させていただいた我々も素晴らしい時間を過ごさせていただきましたが,全国の先生たちが学会や山形を満喫されたことと思います.

 今回学会参加を通じて得られた知識や経験をまた明日からの秋田での日常診療や,研究に活かしていければと思います.

第44回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会(岡本憲人)

2023年2月4日仙台市において第44回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会が開催されました。本研究会は今回から秋田大学整形外科が事務局を務めています。

昨年は完全web開催でしたが、今年はハイブリッド開催となり、100名近くの参加がありました。秋田からは、宮腰尚久教授、粕川雄司先生、野坂光司先生、土江博幸先生、尾野祐一先生、笠間史仁先生、岡本が現地参加致しました。現地はサブ会場まで参加者が溢れる状態で、本研究会の勢いを強く感じました。

一般演題では、秋田労災病院の奥山幸一郎先生、秋田赤十字病院の尾野祐一先生、秋田大学の粕川雄司先生、野坂光司先生、笠間史仁先生、岡本が同門から発表致しました。本研究会は非常に質疑応答が活発であり、とても有意義な研究会となりました。また、整形外科医だけでなく、複数の科の先生が参加されているため、演題の内容も多岐にわたっており、様々な角度から骨代謝・骨粗鬆症を勉強することができました。今後の研究の参考にしたいと思います。

宮腰尚久教授はミニレクチャーを担当され、「骨粗鬆症性椎体骨折―読影のポイントと鑑別診断―」と題し、増加傾向にある骨粗鬆症性椎体骨折について講演されました。椎体骨折を診た時に考慮すべき鑑別疾患を、画像所見や臨床所見などを踏まえて解説いただき、整形外科医だけでなく、内科の先生においても非常に勉強になるご講演であったと思います。

特別講演は北海道大学大学院歯学研究院口腔健康科学分野硬組織発生生物学教室教授の網塚憲生先生より「骨形成を促進する骨粗鬆症治療薬の細胞・組織メカニズム」についてご講演いただきました。テリパラチド、アバロパラチド、ロモソズマブのそれぞれの骨に対する作用の違いなど非常に興味深く拝聴致しました。

また、一般演題基礎部門において岡本の「アデニン誘発性慢性腎臓病モデルラットにおける骨格筋萎縮の経時的変化」、一般演題臨床部門においては尾野祐一先生の「閉経後骨粗鬆症患者における生体電気インピーダンス法の位相角とQOLの関係」がそれぞれ優秀演題賞を受賞致しました。本会のように歴史ある研究会で受賞できたことを非常に嬉しく思います。引き続き秋田から骨代謝に関する研究を発信できるよう研究を続けてまいります。今後ともご指導の程宜しくお願い致します。