2023年10月14日(土)、第12回秋田県股関節研究会が秋田温泉さとみで開催されました。近年はオンラインのみでの開催となっておりましたが、久しぶりの現地(+zoomのハイブリッド)開催となりました。
まずミニレクチャーとして、市立秋田総合病院の藤井昌先生より「謎の股関節痛に潜む関節外病変の影 -あなたが選ぶシン・おはよう股関節!アンコール:グランプリ作品」と題してご講演いただきました。変形がなくても股関節の痛みを訴える患者さんの場合、何を考える必要があるか、理学所見、画像所見、超音波ガイド下ブロックの効果など効果を総合的に判断することが重要であることがよくわかり、日頃の診療で使える知識を得ることができました。
特別講演Iでは「股関節研究会でしか聞けない股関節の診方の話」というテーマのもと、前半は秋田労災病院 三浦隆徳先生より、「“大腿神経ブロック”だけではないブロック注射と効果の比較」と題してご講演いただきました。股関節手術の際の神経ブロックは、大腿神経ブロックだけではなく、最近ではPENGブロックという方法が用いられており、三浦先生が共著者として参加した、「ネットワークメタアナリシス」という手法で用いたPENGブロックの有用性の関する研究を紹介いただき、他のブロックと比べ鎮痛効果や患者満足度の優位性を示すことを提示いただきました。
後半は秋田県立医療療育センター 河野哲也先生より、「こどもの股関節疾患の診方 -他科の先生や保護者の皆様へ上手にお伝えするために-」と題してご講演いただきました。4月から療育センターに赴任された河野先生より、開排制限や歩容異常など、小児の患者さんの鑑別、診察方法を大変わかりやすく教えていただき、非常に勉強になりました。特にご家族への説明の仕方については、日常診療ですぐに実践できる、とても参考になる内容でした。
特別講演Ⅱでは静岡赤十字病院四肢関節再建センター センター長 西脇 徹先生をお招きし、「骨盤骨切り術 -股関節外科医の英知の結晶/股関節の疼痛」と題して大変貴重なご講演を賜りました。疼痛については、報酬系の効果や侵害受容刺激のメカニズムなど、アニメーションを用いながらわかりやすくご教示いただきました。また、骨盤骨切り術という大変難しい分野の海外・日本における手術方法の歴史の変遷や、実際に西脇先生がSPOを行った症例の中で、数ヶ月のうちに競技復帰している例についても提示いただき、大変感銘を受けました。“より低侵襲に、より安全に”という目的で、数十年の間に手術方法が改良されていった歴史を考えると、今後もますます発展していく分野なのだろうと思いました。
今年の秋田県股関節研究会も大変勉強になる素晴らしい会でした。
本研究会会長である木島泰明先生の開会の挨拶内で、森下耀先生、久田朱里先生、私がAkita Hip Research Groupへ加入したことについて紹介いただきました。今後、秋田県の股関節分野の発展に少しでも力になれればと思います。今後ともご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。