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第36回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会を終えて(木下隼人)

余寒厳しき折柄,皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます.

この度,2015年2月7日に宮城県仙台市で開催された第36回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会において,今村記念クリニックの田村康樹先生共々優秀演題賞を頂き,私におきましては分不相応なため,恐縮であるとともに,望外な喜びを感じている次第であります.この成果を皆様にご報告致しますとともに,今年度の研究会で諸先生方より学ばせて頂いたことを簡単にではございますがご報告させて頂きます.

演題数は,基礎研究より6題,臨床研究より10題の計16題でした.歯科口腔外科の先生からは,ビスホスホネート関連顎骨壊死(BRONJ),産婦人科の先生からは,骨系統疾患の出生前診断について,外科の先生からは,副甲状腺機能亢進症術後の骨量変化について,その他非常に興味深いお話を拝聴致しました.整形外科領域では,CKD-MBD(Chronic Kidney Disease-Mineral and Bone Disorder)との関連で,田村先生がエルデカルシトール投与患者を腎機能別に血中CaおよびPを比較検討した内容を御報告されました.また,経口ビスホスホネート製剤反応不良例でイバンドロネートに変更した際,骨密度や骨代謝マーカーの改善が期待できるという興味深い研究をされている方もおりました.

一般演題終了後,ミニレクチャー,特別講演と続きました.ミニレクチャーでは,東北大学腎・高血圧・内分泌学の森本先生により,内分泌異常による続発性骨粗鬆症について御講演頂きました.クッシング症候群や下垂体機能低下症などの内分泌疾患は,ともすると診断に到るまで時間を要し,骨代謝に対する視点を欠いてしまう症例があり,骨粗鬆症が重度に進行するまで見逃される危険性があるので,原疾患に対する精査・治療と併行して骨粗鬆症の治療を行わなければならない,という内容でした.特別講演には,長崎大学副学長の伊東昌子先生が演台に立たれ,皮質骨の放射線学的評価法について拝聴致しました.語弊を恐れずに大雑把に述べさせて頂くと,今までは骨に関しては海綿骨の評価が主流であったのに対し,近年では,皮質骨評価も注目されつつあるということでした.皮質骨微細構造の評価をHR-pQCTで行い,皮質骨の層を外側(皮質骨最表面),内側(海綿骨側),中央(皮質骨最表面と海綿骨側の間)に分けて評価.骨孔を各層で確認し,皮質骨内側の骨孔がいくら多くても骨強度には影響しないのに対し,皮質骨中央の骨孔の数が多いほど,骨強度は弱くなるという内容でした.今後,本邦においても次々とHR-pQCTが導入される見込みで,皮質骨微細構造の放射線学的評価が様々な施設で可能になるのではないかと,将来の展望について御教示頂きました.しかし,測定箇所が橈骨・脛骨の遠位部のみであるため,その結果が他の骨に対しても当てはめられるのか,という課題もあるようでした.最後に,このような発表の機会を与えて下さった島田教授ならびに宮腰准教授,粕川講師,その他ご協力を賜りました先生方に,厚く御礼申し上げます.

木島泰明先生留学便り3-2

CERAVERというメーカー。適応はこんな感じ。image002 (640x427) image001 (640x427)

手術室12番。脛骨骨切り後に1回ギャップを確認。image003 (640x427) image004 (640x427)

機械はなんとなくカラフル。ボックス部分はストライカーに似てる。image005 (612x407) image006 (640x427)

本物のインサートを付けてしまってから打ち込む。image007 (640x427)image008 (596x396)

セメントは緑色。看護師さんがインプラントにつけてくれる。image010 (640x427) image009 (640x427)

入れたら伸展位で固まるのを待つ。人数多いときは外から見学させてもらう。image012 (640x427) image011 (640x427)

術後は麻酔科管理でリカバリールームへ。パテラインプラントはエルメス製?image014 (640x427)image013 (601x400)

インサートごと打ち込み。ときどきlépineというメーカーも。image015 (640x427) image016 (640x427)

セメントはゲンタマイシン入り。脛骨も髄内ロッド。image017 (640x427) image018 (640x427)

木島泰明先生留学便り3-1

現在、島田教授のご高配で、順天堂大学の金子教授や本間先生にご紹介頂いたPhillipe Hernigou教授のもと、Hôpital Henri Mondorで研修させて頂いている木島です。今回はTotal Knee Arthroplastyについてご紹介致します。

 

「自由」の国、フランスの手術1

人工膝関節置換術 Prothese Total de Genou (PTG)

フランスが自由の国だからなのか、この施設の特徴かは実際のところわからないのですが、同じ施設内でもみんなが同じように手術をしているわけではなく、かなりの部分が術者の裁量に任されています。そして、大学病院なのですが、上の先生も専門領域の手術だけをするのではなく、秋田で言うと例えばRS病院のように自分が診た患者さんは自分が手術に入るというような体制でやっているようです(でも少し難しい症例では専門医が一緒に入る、あるいは担当を代わるようです。)

ですが、この人工膝関節置換術に関しては、基本的には我々の方法と大きな違いはないことが分かりました。仰臥位でほぼ正中の皮膚切開、オーソドックスなメディアル・パラパテラ・アプローチです。ただ、バイオクリーンルームや宇宙服は使用していません。

皮切に使ったメスはその後は使わない、創や創内は手(もちろんグローブはつけています)では触らない、というノータッチ・テクニックを「目指している」というような表現でした。必要な場合は触っています。でもグローブ(フランス語ではレ・ガン。7.5の手袋がほしいときは、レ・ガン、セッ、ドゥミ、シルヴプレで通じました!)は、かなり頻回に替えています。まず、皮切前には替えるし、インプラントを入れる前にも、もちろん替えています。そして替えるときには全員替えています。

この施設ではオールPSでやっているようです。ですが、ほとんどmeasured cutテクニック。全例セメントですがセメントの種類はPalacosR+Gというゲンタマイシン入りの緑色っぽいものを使用しています。これは3-4分で手につかなくなり15分位で固まるのでワーキングタイムが10分以上あるため、タイム・カウントもせずにゆっくり作業しています。

機種はCERAVERというフランスの会社のHiFitという機種、つまりメイド・イン・フランスです(パテラ・コンポーネントはエルメス製?下の写真参照)。パテラは全例置換しています。一度だけ、lepineというやはりメイド・イン・フランスのモバイルベアリングの機種を試しに(?)使っていたこともありました。その辺は自国製にこだわっている風でしたが、なんとボーンソーだけはストライカーのものを使っていました。道具はやはり使いやすいものを選択するということでしょうか(ストライカーも許してくれるのですね)。

脛骨インサートの厚さは決め打ちで、脛骨のメタル・インプラントに装着してしまってから打ち込んでしまい、最後に大腿骨インプラントを打ち込んで終了。洗浄の量は決めていないようですが、インプラント挿入前に50㏄のシリンジで2-3回洗うだけです。ただし、膝がご専門と思われるAlexandre Poignard教授(No.3の偉い先生なのであんまり話しかけられず…)だけはパルス洗浄器を使っていました(しかも、これもストライカー製でした)。

縫合するときの膝の角度は術者によりまちまちで、椅子の生活社会なので、やはりそんなに屈曲可動域にこだわりはないようです。その分、インプラント設置アライメントを重視しているようで、脛骨の骨切りも髄内ロッドで全例行っています。脛骨骨切りからやる先生が多いですが、大腿骨から骨切りする先生もいて、この辺も統一性はありません。

大腿骨はポステリア・リファレンスでやっていますが、ノッチができないようにはとても気にしていました。他の手術もそうですが、ほとんどの定型的な手術はインターンが執刀、シェフ・ドゥ・クリニックと言われる指導医が前立ちで、臨床配属みたいな学生さんか僕が第2助手として入らせてもらうような感じで手術をしています。でも結構、インターンがシェフにお取り上げされている率も高いです。

また、ほかの手術についてもご報告致しますので楽しみにしていてください。

木島泰明先生留学便り2-1

この度、フランスに留学させて頂いている木島泰明です。現在、パリ大学付属アンリ・モンドール病院の整形外科で研修中です。前回の留学便りでは、渡仏後1週間の生活立ち上げ段階の記録をお送りしましたので、今回は研修初日の模様をお送りいたします。

研修初日!!朝5時半に起床し、6時半に家を出る。8時に病院で、という約束だが、トラムとメトロを乗り継いで1時間のところなので、早めに出発。次の病院や幼稚園の関係、また、値段の関係でアパルトマンを決めたのでしかたない。1時間弱で到着。到着してもまだ暗い。今のパリの日の出は8時半過ぎだ。整形外科の病棟も外来も6階にあり、その6階に来るように言われていたが、6階のどこかがわからない。(ちなみにフランスの6階は日本でいう7階です。)受付に聞けばいいかと思っていたが、まだ受付も開いていない。うろうろしていると守衛さんっぽい人が「留学生か」的なことを聞いてくれたので、「日本人で整形外科医です」と練習してきたフランス語でいうとカンファレンスルームに案内してくれた。カンファは7時半過ぎからすでに始まっていたが教授はまだ来ていないらしい。だまって聞いているとやがて教授が登場。カンファの最後に僕に自己紹介をさせてくれた。途中までフランス語、途中から英語で、練習通り終了。若手の一人が助手部屋的なところに案内してくれる。5人ぐらいで使っていそうな部屋だがPC付きのデスクが2つに、ソファ1つとローテーブル1つのみ。この部屋もマクドナルドのトイレと同じでコードナンバーを知らないと入れない。初日だからとスーツを着て行ったが、その部屋で白衣を羽織ったところで、手術室に案内してくれる。6階から地下2階まで降りてpharmacyと書いてある方向にしばらく歩いて左に曲がって、またコードナンバー付きのドアを開けると更衣室のドアが1ダースほど並んでいる!このうちのNo.4が整形のロッカールームらしい。ちなみにフランスでは「No.4.」は「N°4」と書くらしい。そしてこのロッカールームに入るにもコードナンバーが要る。いちいちドアを開けるためのコードナンバーをメモしながら歩いていたが、どれがどのドアの番号かわからなくなる。おまけにこのロッカーそのものの鍵が難しい。いわゆる昔の金庫みたいに右に27、左2回転して31、最後にもう一度右に回して3で開く、みたいなやつ。それもメモしたもののメモした紙をロッカーに入れてしまった!まずしょうがない。術衣は秋田のUG病院で人工物の時に着ていたようなディスポのやつ。それを着て、ロッカールームの反対側のドアから出るとシャワーやトイレに面する廊下に出る。廊下の先の出口から出たところに帽子と靴カバーがあるのでそれを装着。靴は外履きのままでいいらしいが術場用のサンダルを用意している先生が多い。そのあたりに食事をするスペースがあり、主に看護師さんたちが弁当やサンドイッチを持ってきて昼食をとっていることが多い。その場所から階段を上がってドア(このドアには鍵がない!)を開けると手術棟に入れる。左に行くとICU的なところ、右に行くと手術室が並んでいる。ちなみにここまで自動ドアは一つもなかったが、手術室のドアも木製の手動ドア。歴史を感じます。ここで、ここまで案内してくれたマーク先生が「僕は今日は手根管とかのデイサージェリーの担当だからあっち行くね。TKAが12番の部屋であるはずだよ」と言って、去ってしまう。しかたないので「N°12」の部屋に行くと患者さんがベッド上に座位にさせられてルンバールを受けている(座位でやっていました)。整形外科医はいない。ここでは麻酔がかかったころに整形外科医が来て体位を取って手術をしたらまた麻酔科医がそのままICU的なところで見てくれるようなのでひたすら手術だけしていればいいらしい。整形外科の手術室は基本的には10番の部屋と12番の部屋の2つで(感染症例などは別の特別なところでやるらしい)、1日5-6件をこの2部屋でこなしている。この日は6件あったので縦に3件ずつ。はじめ12番の部屋でTKAを見させてもらい、次にそのチームは脊椎の手術だったので、10番の部屋に移動してACL再建を見学。最後に大腿骨遠位の開放骨折後の拘縮膝の受動術をジュデのアプローチでやっているのを見させてもらいました。2件目が終わったところで昼食に行こうとしたものの例のロッカーが開けられず、手術場の師長さんにお願いしたら、ロッカーの暗号リストを持ってきてくれたもののその番号でもなぜか開かず、鍵マスターが登場し、ジャラジャラ大量の鍵を試したもののそれでも開かず、結局その鍵マスターがロッカーをぶち壊して終了しました。そのカギ騒動のおかげで初日は昼食を取り逃しました。どこかの医局と同じで、本日、月曜日は17時からカンファレンス。でも違うのは、一通り症例の検討が終わったところで、「ほかにプレゼンしたい人いない?」みたいなことを誰かが言ったら、最初からずっと後方の席に大人しく座っていた、スラッとしたジーンズを履いた美女が手を挙げておもむろに人工椎間板の紹介を始めました。メーカーの人だったようです。プレゼンもPCプレゼンテーションではなく、模型を回して身振り手振りのプレゼンでした。19時前にカンファは終了し、アパルトマンには20時前に着きました。手術についてのあれこれはまたご報告致します!

通勤に使用しているメトロの掲示。右から三番目のクレテイユ・レシャ駅で下車。

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病院全体の案内図。

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病院の全景と、病院玄関前のヘリポート。ちなみにここはパリ第12大学の付属病院です。パリ大は第1から第13まであり、第12大学はパリ東大学とも呼ばれているようです。image006 (640x427) image005 (640x427)

第60回秋田県整形外科医会(三澤晶子)

2014年11月22日に開催されました第60回秋田県整形外科医会において最優秀演題賞をいただきました。並み居る先輩、後輩、計6題の中から選ばれましたことを大変うれしく存じます。

賞をいただきました「受診契機からみた側弯症学校検診の有用性」は島田洋一教授からモアレ検診の読影を引き継いだ2007年からの結果をまとめたものです。今回は大学、当センターの初診例をまとめましたが、データ収集におきましては、本郷道生講師に大変お手数をかけしました。この場をお借りして御礼申し上げます。

今まで、県医会の発表はほとんどなかったのに、満を持して、なぜ、今回演題を発表しようと思ったか?それは60回というキリのよい回数だったこと、地味な活動をお知らせしたいという思い、早期発見の重要性について先生方にご理解いただきたいという思い、などなどありますが、本音を申しますと、チーム側弯のお食事代を手に入れようという非常に高い(?)モチベーションがありました。ご評価くださる先生方にも気合が伝わっての受賞ではないかと内心思っております。

今後も高いモチベーション(学術的に)を持ち続けるよう、今回の受賞を糧に頑張ります。

ありがとうございました。

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秋田県立医療療育センター 三澤晶子

東北骨代謝骨粗鬆症研究会優秀演題賞を受賞して(田村康樹)

優秀演題賞を受賞して

この度、2/7(土)に仙台で行われた第36回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会の臨床部門にて優秀演題賞をいただきました。この会は、今年で36回目ということで歴史があり、佐藤光三名誉教授が会の立ち上げから今でも元気に参加されているという由緒ある会でもあるため、その恩師の前でこういう賞をいただけたことを大変うれしく思います。

元々この会はビタミンD研究会、であったこともあり、4年前に新たに発売された活性型ビタミンD製剤であるエディロールを頻用する私としては、一度症例をまとめて報告してみよう、というのが発表に至るきっかけです。昨年は、「エディロール投与例における血中および尿中Ca値の変動について」という演題を発表しました。エディロールを投与した143例(平均年齢78.3歳)について、血中および尿中Ca値を測定し投与前の値と比較すると、ともに有意に増加(正常範囲内)しており、結果エディロールは腸管からのCa吸収率を確実に上昇させていることが示唆されるため、骨粗鬆症治療薬として有用である、という内容です。しかしながら、一方でCaが高値となることが血管の石灰化につながらないのか、特に腎機能の低下した高齢者ではどうなのか、という疑問が残ったため、今年は長期(2年)にわたりフォローし得た患者のCa値に加え、リン値、および腎機能(eGFR)について調査しました。演題名は、「エディロール投与例における血中Ca/P値およびeGFRの変動について」です。エディロールを投与し2年以上経過した74例(平均年齢78.5歳)について、6ヵ月ごとに血中Ca値、P値及びeGFRを測定すると、血中Ca値は投与前と比べ有意に増加しそのまま高値を保っており、血中P値は内服前後で大きな変動はありませんでした。eGFRは6ヵ月時で有意に低下しましたが(正常範囲内)、その後大きな変動はなく経過とともに漸減しました。また、経過中一度でもeGFR 60未満を示したのが74例中36例(48.6%)あり、36例の血中Ca値は正常群と比較し安定せず高値を示す傾向にあった、という内容です。

近年CKD-MBD (Chronic Kidney Disease – Mineral and Bone Disorder.慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)という概念が提唱されています。Ca/P値などの異常がやがて血管の石灰化など生命予後に関わるというものです。今後も漫然とエディロールの投与を続けるのではなく、調査を続け、骨粗鬆症の治療につなげていきたいと思っています。最後になりますが、骨グループをまとめ、いつも御指導いただく宮腰准教授、そして、自分に活躍の場をくださる島田教授に感謝し、受賞の言葉とさせていただきます。今後ともよろしくお願いします。

今村記念クリニック 田村康樹

 

平成26年度大忘年会(益谷法光)

平成26年度整佑会総会・特別講演会ならびに整形外科大忘年会が12月13日に開催されました。

特別講演会では宮腰准教授よりA-boneの歴史についてご講演を頂きました。A-bone設立以前の歴史も交えて、現在の研究が行われている背景等、非常に貴重なお話が聞けたと思います。私も今年度からA-boneへ参加させて頂いていることもあり、これまでの研究業績の積み重ねの系譜に連なることへ身が引き締まる思いでした。また、奨励賞の発表や新入局員の紹介もあり今後の教室の発展に繋がっていくものと感じました。各受賞者の先生方には改めてお祝いを述べさせて頂くとともに、自分もいつかその輪に加わることが出来るよう精進して行く気持ちが強くなりました。

 

引き続き行われた大忘年会では、今回の大きな目玉としては各部活紹介のビデオを作成し、みなさまへご紹介させて頂いた点があります。現在、島田教授を筆頭として大学院生を中心としたスポーツ活動が盛んに行われています。それらの部活の各責任者の先生に1年を振り返ってのビデオを作成して頂き、みなさまへご紹介させて頂きました。駅伝部やバスケットボールチームであるノーザンバイソンズなど、各種大会で上位の成績をおさめている部活もあり、競技レベルは趣味の範囲を超えたものとなっているものもあります。そういった活動について関連病院の先生方にもご紹介、さらにはご参加頂けるきっかけとなれば幸いです。

 

二次会にも(三次会・四次会も行われていたようです)多くの先生方にご出席頂きまして、大変盛況のなか大忘年会の幹事を執り行うことが出来ました。各方面において失礼も多々あったこととは思いますが、みなさまのご助力のお陰で無事開催となりましたことをこの場を借りて御礼申し上げます。

 

 

 

 

2014年度整佑会総会(永澤博幸)

秋田大学整形外科の同門会である整佑会の総会が、2014年12月13日に開催されました。

湊昭策会長、島田洋一理事長のご挨拶のあと、宮腰尚久常任理事より事業報告がありました。新入会員の、塚本泰明、阿部和伸、齊藤光、三田基樹、村田昇平の各先生方および入局予定者として秋田大学医学科6年の東海林諒さんよりご挨拶をいただきました。これで会員数は161名になりました。1997年に100名を超えてから順調に会員数を伸ばしております。今回の総会では102名の先生方にご出席頂きました。

 

国内外の学会からの受賞者についての報告がありました。宮腰尚久准教授(米国骨代謝学会)、本郷道生講師(日本腰痛学会)、木島泰明先生(日仏整形外科学会)、木下隼人先生(米国骨代謝学会)、柴田暢介先生(国際FES学会)、田村康樹先生(東北骨代謝・骨粗鬆症研究会)、土江博幸先生(日本骨代謝学会)です。おめでとうございます。

一任期2年の理事改選では、渡部亘先生、山田晋講師、関展寿先生、千田秀一先生および筆者の5名の理事が退任されました。整佑会の発展にご尽力頂きましてありがとうございました。新任の理事として、奥山幸一郎先生、今野則和先生、浦山雅和先生、前川重人先生、竹島正晃先生が承認されました。よろしくお願いします。

2001年より始まった整佑会奨励賞ですが、今回は市立角館総合病院の青沼浩先生と斉藤公男先生の2名が受賞され、授賞式および記念講演が行われました。青沼先生は、骨吸収抑制剤であるアレンドロネートと低出力超音波骨折治療器の併用効果についてラット脛骨の骨切りモデルを用いた研究が、Journal of Bone and Mineral Metabolism誌に掲載されました。斉藤先生は、従来使用されてきた立位でのバランス測定器にかえて、新たな座位バランス装置を開発することにより下肢の影響を排除した体幹バランス測定に関する研究が、Biomedical Research誌に掲載されました。また、整佑会特別賞が湯沢医院の堀川明先生と平鹿総合病院の奥寺良弥先生に授与されました。各先生方おめでとうございます。今後のますますの発展を期待します。

今回の整佑会特別講演ですが、宮腰尚久准教授により「秋田から発信する近年の骨代謝研究 -基礎研究の変遷からA-Boneの設立まで」と題したご講演をして頂きました。宮腰准教授自身が大学院生であった頃の基礎研究から、近年のA-Bone設立および関連病院での多施設共同研究の方向性についてのご講演でした。

次回の整佑会総会は2015年12月13日です。会員の先生方には、秋田大学整形外科の日々の活動にご理解ご協力をいただきまして誠にありがとうございます。次回の総会で多くの先生方を新入会員として迎えるべく、大学の事務局としても頑張ってまいります。

 

第60回秋田県整形外科医会報告(木村竜太)

第60回秋田県整形外科医会報告

秋田赤十字病院整形外科 木村竜太

 

11月22日に第60回秋田県整形外科医会が開かれました。毎回、最優秀演題賞目指して一般演題とYoung Doctors Session(10年目以下)で熾烈な争いが繰り広げられています。さらに今回は秋田大学整形外科の各グループからこれまでの成果、ならびにこれからの展望をシンポジウム形式でご講演いただき、さらに特別講演2題と盛り沢山の内容でした。私はYoung Doctors Sessionとシンポジウムについて報告させていただきます。

 

今回、Young Doctors Sessionは10演題の発表がありました。

 

「初診時 MRI で異常所見を認めなかった化膿性脊椎炎の 1 例」

秋田厚生医療センター 佐藤千晶先生

「診断に難渋した下垂足の 1 例」

雄勝中央病院 長幡樹先生

「血栓溶解療法が奏功した急性上腕動脈閉塞の 1 例」

秋田労災病院 飯田純平先生

「転位のない橈骨骨幹部骨折 2 例の治療経験」

市立横手病院 湯浅悠介先生

「観血的整復固定を行った肩上方懸垂複合体(SSSC)損傷の症例検討」

由利組合総合病院 高橋靖博先生

「CT を用いた Garden stage 読影法の検討」

山本組合総合病院 岩本陽輔先生

「TKA の出血対策としてトラネキサム酸の投与方法で差があるのか」

市立大森病院 塚本泰朗先生

「下肢手術における超音波ガイド下ブロック持続時間の検討」

市立秋田総合病院 尾野祐一先生

「脳原性疾患の痙性尖足に対する治療経験」

秋田県立医療療育センター 河野哲也先生

 

その中で最優秀演題賞をいただくことができました。演題名は「超音波ガイド下頚椎神経根ブロック」です。これは「X線透視下に頚椎椎間板造影をした時に欲しかった安心感」+「腰椎神経根ブロックで痛みが治まったという患者さんの笑顔(ブロック直後には一時嫌われます)」+「斜角筋間でC5、C6ブロックをしていた時の『あれ?他の神経根も見えるからそれぞれブロックしてみればいいんじゃない?』という興味」から生まれました。少しコツをつかめば神経や血管が見えて、効果も得られます。今後整形外科の治療において有用な方法になっていくと考えます。今後はより簡便な手技の確立と、腰椎神経根ブロックへの応用を目標にして参ります。

発表の指導をいただきました秋田赤十字病院の先生方、本法の試案を検討いただきました秋田労災病院の先生方、超音波ガイド下ブロックの基本を教えていただきました市立秋田総合病院の先生方にこの場をお借りして感謝を申し上げます。シンポジウムではAORA(関節リウマチ)、A-BONE(骨粗鬆症)、AHG(手)、AHRG(股関節)、AFG(足)、AIMG(イリザロフ)、AMAG(動作解析)、ASG(脊椎)の8グループの各Directorから御講演いただきました。各グループの詳細は秋田大学整形外科学講座ホームページのトップページからアクセスできますので、そちらに譲らさせていただきます。これだけsystematicなグループ化は全国的にみても稀だと思います。さらに、それぞれのグループが共同でも研究を行っており、これから秋田県の整形外科はもっともっと発展していくこと間違いなしと感じさせていただいたシンポジウムでした。