第14回 秋田・札幌整形外科合同セミナー(中西真奈美)

2025年9月6日(土)、ホテルメトロポリタン秋田にて第14回秋田札幌整形外科合同セミナーが開催されました。札幌医科大学では別セミナーと重なってしまったと伺いましたが、それでも多くの先生方に秋田まで足を運んでいただき、誠にありがとうございました。

一般演題Ⅰは秋田大学本郷道生教授を座長に、札幌医科大学の藤本秀太郎先生、杉憲助教にご発表頂きました。藤本先生は「骨脆弱性時代における脊椎治療の選択肢 -全内視鏡下脊椎手術の長所と今後の課題-」ということで、椎間孔狭窄・神経根症に対して積極的に行っている内視鏡治療に関して、素晴らしい成績と今後の展望をお話頂きました。杉先生からは、「札幌医大における肩関節鏡手術の30年〜創始から現在まで〜」ということで、国内の関節鏡、そして札幌医科大学の関節鏡の歴史と変遷を交えお話頂き、大変勉強になることばかりでした。

一般演題Ⅱは札幌医科大学の森田智慶先生を座長に、能代厚生医療センターの塚本泰朗先生と市立横手病院の大内賢太郎先生にご発表頂きました。塚本先生は「膝周囲骨切り術に関する慣性センサを用いた運動力学解析〜single level osteotomy vs double level osteotomy~」ということで、非常に専門性の高い内容でしたが、膝周囲骨切りにおいて大腿骨・脛骨の変形および骨切りレベルと、術後の歩行動作との関連性についてお話頂きました。大内先生はオンラインでのご参加でしたが、「鏡視下腱板修復術後疼痛に対する斜角筋間ブロックとデキサメタゾン静脈注射併用の効果」と題し肩関節手術で問題となる強い術後疼痛に対して、斜角筋間ブロックに併用する3.3㎎ステロイド静注が効果的であったとご発表頂きました。

教育研修講演Ⅰは、秋田大学の宮腰尚久教授の座長の元、札幌医科大学の小助川維摩講師にご講演頂きました。「当院での股関節疾患治療の歴史と変遷」という題で、前半はおもにTHAステムの変遷やARMD症例のお話、後半は寛骨臼および大腿骨の骨切りをメインにしたお話でした。札幌医大の症例数の多さや安定した成績はもちろんのこと、術中写真も豊富に盛り込まれ、若手医師にとっても大変勉強になるご講演でした。

教育研修講演Ⅱは、札幌医科大学の寺本篤史教授の座長の元、平鹿総合病院の千田秀一先生にご講演頂きました。「足部疾患の外科的治療戦略:骨粗鬆症症例に対する工夫」と題し、外反母趾手術およびエコーを用いたアキレス腱の経皮的縫合術をメインにお話頂き、後半はAITFL再建についてもお話頂きました。千田先生は札幌羊ヶ丘病院に研修に行かれ足の外科を学んだとのことで、特に外反母趾手術はその時に教えて頂いた手術法を現在も踏襲し、良好な成績を維持されているとのお話でした。

研究会の後は、情報交換会および懇親会の場が用意され、秋田大学と札幌医科大学間の交流がより深められたことと思います。札幌の先生方、ぜひまた秋田にいらしていただければ幸いです。

来年は9月末に札幌で、本会が開催される予定です。札幌医科大学の皆様、今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

宮腰尚久教授

藤本秀太郎先生(左)、杉憲助教(右)

塚本泰朗先生 (大内賢太郎先生はWebにて。)

小助川維摩講師(左)、千田秀一先生(右)

寺本篤史教授