研究会レポート」カテゴリーアーカイブ

第7回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会 (原田俊太郎)

秋田の短い夏が足早に過ぎて行こうとしている2021年8月29日に「第7回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会」がオンライン開催されました。

 

シンポジウムでは三浦隆徳先生から「当院での人工膝関節周囲骨折の経験」、赤川学先生から「CT-free robotic assisted TKA(NAVIO)」、杉村祐介先生から「化膿性肩関節炎を発症した関節リウマチの1例」、嘉川貴之先生から「当科にて試行したARCR 77例の経過について」、岡本憲人先生から「脳性麻痺児の膝蓋骨高位に対し脛骨結節前進移動術を行なった1例」を御講演いただきました。どの先生方の発表も大変興味深く拝聴させていただきました。

 

ミニレクチャーでは秋田労災病院関展寿先生から「スポーツ選手を惹きつける診療のポイント」をご講演いただきました。我々若手整形外科医が日常診療で不安に感じていたスポーツ選手の治療について具体的に大変わかりやすくご発表いただきました。関先生はご自身がスポーツ選手だったこともあり、選手に親身に診療されておりもし私が学生だったら関先生に診ていただきたいと強く感じました。私も「来た時よりも美しく」を目標に今後の診療に努めてまいりたいと思います。

 

特別公演の1題目は長崎大学医学部整形外科学教室病院准教授、米倉暁彦先生から「膝周囲骨切り術の新たな治療戦略」を御講演いただきました。我々若手整形外科医がまだ接する機会が少なく、知識として不十分であった骨切り術に関して各術式の適応や注意点を大変わかりやすくご教示いただき、骨切り術がより身近なものに感じられるようになりました。

 

特別公演2題目は滋賀医科大学整形外科学講座教授、今井晋二先生より「肩関節脱臼後障害と鏡視下ラタルジェ手術」を御講演いただきました。動画を交えての骨欠損を伴う症例の系統的な治療プロトコールは大変わかりやすく、明日の診療から役立つ知識ばかりでした。また新デバイスであるsasumata guideを用いた手術は大変興味深く、完成し我々も使用できる機会を心待ちにしております。

 

講演後はフロアからも質問が殺到し、大変な盛り上がりを見せておりました。私自身も多くのことを学ばせていただき、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。今回学んだ内容を今後の診療、研究に役立て行きたいと思います。

第41回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会 (阿部和伸)

例年になく暖冬となっている2020年2月1日、「第41回東北骨代謝・骨粗鬆症研究会」が仙台の江陽グランドホテルで行われました。この研究会は、東北地方で骨粗鬆症診療にあたる先生方が骨代謝に関する諸問題に関して、基礎・臨床両面の研究成果や新知見を発表し、議論を深める会であり、今年で41回目と大変歴史の深い研究会です。

当大学からは、臨床部門で粕川雄司講師が「同一高位に生じた骨粗鬆症性椎体骨折と胸椎黄色靱帯骨化症の手術成績」に関してご発表されました。基礎部門では大学院生の齋藤光先生が「慢性腎臓病モデルラットにおける骨と筋肉の検討」、私が「2型糖尿病モデルラットにおける,テリパラチドと運動療法の骨・骨格筋に対する効果の検討」という題で、大学院で行っている研究に関して発表させていただきました。発表の後には活発なディスカッションが行われ、鋭いご指摘や建設的なアドバイスをいただきました。また、他大学の研究からも刺激を受け、大変有意義な研究会となりました。

研究会の終わりには、この会の発足当初から重要な役割を果たしてこられた、佐藤光三名誉教授に感謝状が贈られました。佐藤光三名誉教授は秋田大学整形外科学講座の第二代教授であり、第5回の研究会から世話人となられその後代表世話人を務められるなど、実に35年に渡って研究会の運営にご尽力されました。秋田大学整形外科の礎を築いてこられた佐藤光三名誉教授がこのように表彰されることは、私たち秋田大学にとっても大変喜ばしいことであり、後進にあたる私たちはより一層骨代謝・骨粗鬆症に真摯に取り組んでいかなければならないと感じました。

今後も骨代謝研究、骨粗鬆症治療に関しての知見を積み重ね、患者さんにとって最適な医療を考えていきたいと思います。

第1回 AKITA PTH Conference(粕川雄司)

2020年1月16日木曜日、秋田キャッスルホテルにて第1回となるAKITA PTH Conferenceが開催されました。1月では珍しくほとんど雪のない比較的暖かい日でした。

秋田大学整形外科では、PTHの骨に対する効果についての基礎的な研究とPTH製剤であるテリパラチドの臨床における研究を行ってきました。特別講演1は、秋田大学大学院医学系研究科 整形外科学講座 准教授 宮腰尚久先生より、「秋田の骨粗鬆症治療とテリパラチドの基礎と臨床」と題して御講演いただきました。これまで行ってきた骨粗鬆症モデル動物に対するPTH間欠投与の効果や、骨切りなどの様々な動物実験モデルにおけるPTHの骨癒合に対する効果など、さらにはテリパラチドの臨床における効果について詳細にお話し頂きました。秋田でのこれまでの取り組みについて、系統だて大変わかりやすく御講演頂きました。今後ともご指導頂きますようお願い致します。

特別講演2は、東邦大学医療センター大森病院 整形外科 主任教授 高橋 寛先生より「脊椎骨粗鬆症に対する薬物治療と手術療法」と題して御講演いただきました。テリパラチドの骨代謝と骨粗鬆症に対する効果についてわかりやすくお話し頂きました。また、骨粗鬆症を有する脊椎患者さんに対する手術治療の工夫や日ごろの治療における注意点などもお話し頂き、今後の臨床・手術に役立つ有意義な御講演でした。秋田で御講演頂き、誠にありがとうございました。

 

第10回秋田県骨粗鬆症PTH治療研究会(齋藤光)

2019年10月3日に第10回秋田県骨粗鬆症PTH治療研究会が開催されました。
研究会では一般講演として能代厚生医療センターの飯田淳平先生、大曲厚生医療センターの嘉川貴之先生からご講演いただき、香川大学医学部整形外科准教授の真柴賛先生から特別講演をいただきました。
飯田純平先生からは「脊椎領域における早期離床のための疼痛コントロール」のテーマでご講演いただきました。慢性腰痛症に対する内服治療としてのサインバルタの使用方法や、急性疼痛を呈する脊椎疾患・重篤な脊椎外傷に対する早期の手術治療の成績を提示いただきました。若手脊椎外科としての飯田先生のご活躍は後輩の我々としてはとても輝いて見えました。
嘉川貴之先生からは「肩関節周囲の疼痛について」のテーマでご講演いただきました。肩関節の疼痛について、原因別にその詳細を解説いただき、痛みの原因同定の重要性を教えていただきました。肩痛を訴える患者は外来に多数みられますが、治療に難渋する慢性疼痛の悪循環を改善させるための内服治療の経験を教えていただきました。両先生の講演とも明日からの診療に役立つ内容で、大変勉強になりました。

 

真柴賛先生からは「テリパラチドの生理的な骨代謝促進と整形外科治療にとってのメリット」と題してご講演いただきました.骨の解剖と代謝メカニズムの基礎から始まり、骨粗鬆症治療薬の作用機序について基礎から臨床まで最新の知見もあわせてご講義いただき、目からウロコの内容が盛りだくさんでありました。特に、骨吸収抑制剤と骨形成促進剤の作用の違いについては大変わかりやすく説明いただき、日頃から多数の骨粗鬆症治療薬の選択にせまられる我々には非常に重要な内容でありました。今回学んだことを活かして明日からの骨粗鬆症治療,PTH製剤使用についてより一層見識を深めるように努めていきたいと思います.

第5回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会( Akita Orthopedic Society for Knee, Arthroscopy, and Sports Medicine: AKAS)に参加して (村田昇平)

秋田では猛暑が過ぎ去り、太陽の光が日増しに黄色く弱っていくような気持ちの良い晩夏となってまいりました。そんな中、2019年8月24日第、5回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会( Akita Orthopedic Society for Knee, Arthroscopy, and Sports Medicine: AKAS)が開催され、季節を裏切り盛夏のごとく熱い会となりました。

 
一般演題は、Akita Sports Arthroscopy Knee Group(ASAKG)メンバーから全部で11題もの演題がありました。筆者の発表の他、高橋靖博先生(秋田労災病院)、塚本泰朗先生(市立田沢湖病院)、赤川学先生(市立秋田総合病院)、大内賢太郎先生(市立横手病院)、佐藤千恵先生(秋田労災病院)、瀬川豊人先生(城東スポーツ整形クリニック)、斉藤公男先生(秋田大学)、佐々木香奈先生(中通総合病院)、冨岡立先生(市立横手病院)、関展寿先生(秋田労災病院)たちから素晴らしい発表をいただき、大変勉強になりました。

 

ミニレクチャーでは、秋田赤十字病院人工関節副センター長、冨手貴教先生からご講演をいただきました。『人工膝関節置換術について』と題して、人工膝関節手術(TKA)について、その歴史を踏まえながら、基本的な考え方、pit fall、現在から今後のトピックについてご指導をいただきました。TKAについてこれほどまでに体系的に学べるのは非常に貴重な機会でしたので、机にかじりつきながら勉強させていただきました。今回必死になって書いたメモは大事にしてこれから何度も見直したいと思います。

 

そして、なんといっても特別講演は大変豪華な2講演をいただきました。一つ目は、大阪大学大学院医学系研究科運動器スボーツバイオメカニクス学共同研究講座、特任教授、前達雄先生より『膝前十字靭帯の治療・評価 -変形性関節症にならないためにすべきこと-』、もう一つは、東海大学医学部外科学系整形外科学、准教授、内山善康先生より『柔道選手における肩関節疾患・外傷』と題しまして、誠に素晴らしいご講演を頂きました。

 
前達夫先生からは膝前十字靭帯(ACL)について、初診時、術前、術後の詳細かつ実践的な評価法について、これまでの歴史も踏まえながらご教示を賜りました。大変鮮烈に私の記憶にのこったのが前先生の「アメリカでにわかに言われている、ACL再建はやってもやらなくても変形性膝関節症(OA)になるというのはウソ。正しく再建すればOAにならない。」という言葉であります。OA膝をつくらないACLの正確無比な再建のために、前先生が評価から手術まで、いかに情熱的に、繊細にやっているのかということを教えていただき、本当に刺激的な内容でした。

 
内山善康先生は大変高名な整形外科医、肩関節外科医でありますが、同時にTBS系の「消えた天才 〜超一流が勝てなかった人 大追跡〜」であのバルセロナオリンピック金メダリスト古賀稔彦選手から唯一投げられなかった選手として紹介され、ご出演された最強の柔道家でもあります(柔道インターハイ2年連続準優勝、医師柔道世界大会チャンピオンという恐ろしい経歴です)。柔道家としての経験を活かした肩関節に治療についてご教示いただきました。私も一応は北海道相撲3位という肩書きがあるのですが、最強の空手家である島田洋一教授が座長、最強の柔道家である内山善康先生の演者という自分より遥かに強い二人のご講演を大変興味深く、楽しく拝聴させていただきました。

 

第5回秋田県関節鏡・膝・スポーツ整形外科研究会で学ばせていただいたことを今後の臨床、研究に活かして、また明日から一人でも多くの患者様に満足していただける医療を行えるように努めたいと思います。

第12回秋田県手外科研究会 (齋藤光)

令和1年7月20日に、第11回秋田県手外科研究会が開催されました。
毎年恒例、エコーのハンズオンセミナーがまず開催されました。今年は平鹿総合病院の佐々木研先生から「神経ブロックあれこれ」と題し、エコー下神経ブロックで用いる局所麻酔薬の副作用について、明日から役立つ内容を講義していただきました。その後、被検者の方に実際エコーを当てながら、腋窩、鎖骨上、斜角筋間での神経の描出を行いました。秋田大学整形外科では若手の必修事項にこのエコー下ブロックがあります。この手技によって上肢や下肢の手術を整形外科医師自身が麻酔をかけることで可能となっており、手術件数の増加に寄与しています。若手の先生方は、日常診療で感じる疑問点を、実際にエコーを触りながら質問することができ、非常に有意義な時間になったかと思います。
一般演題は6演題の発表があり、最優秀演題賞は「緊急手術を要した急性手根管症候群の1例」で市立横手病院の大内賢太郎先生が受賞されました。稀な症例に対して手根管内の内圧を自身で測定し、適切な治療を行い良好な成績が得られたこと、また文献的考察をあわせてお示しいただきました。稀な症例に真摯にむきあい、一つひとつ知識を蓄積していくことの重要性をあらためて教えていただきました。その他の5演題もすべて勉強になるものばかりで、明日からの診療に生かしていきたいと思いました。
その後、町立羽後病院の益谷法光先生から「Wide awake hand surgery の基本 -外来手術から腱移行まで-」と題してミニレクチャーをいただきました。手術は通常、全身麻酔やブロック麻酔で行うことが多いのですが、Wide awake hand surgeryでは局所麻酔薬を皮下に浸潤させて麻酔を得ます。益谷先生は秋田県で先駆けてこの手法を導入されており、その適応疾患から実際の麻酔方法について詳細にお話いただきました。患者さんは手術中に手指を動かすことができるため、指の腱を扱う手術で特に有用な方法であり、また低侵襲であるため入院期間の短縮にもつながるとのことでした。今回のミニレクチャーで勉強させていただいた内容をもとに、今後の診療に私自身も応用させていただこうと思いました。
特別講演は兵庫医科大学元教授であり、現在は荻原整形外科病院の副院長 兼 手外科・スポーツ障害治療センター長の田中寿一先生から「スポーツによる手・肘の障害治療」と題してご講演いただきました。田中先生には手外科医として、またスポーツドクターとしてのこれまでのご経験を元に多岐にわたってご講演いただきました。舟状骨の骨折で現在我々が頻用しているDTJスクリューは田中先生が考案されたものであり、その特性や使用方法について動画を交えて非常にわかりやすくご説明いただきました。研究会後の懇親会では直接お話させて頂く機会がありました。その中で印象的であったのは、スポーツ選手の復帰時期についての田中先生のお考えでした。骨折であれば焦らず骨癒合してから、その間は「傷害部位に負担をかけない、やっても良いこと」を指導してあげることが大切であるということをお話しいただきました。スポーツ傷害の患者さんに対して、「やってはいけない」というのは簡単なことですが、できることを一緒に考え提案することの重要性を教えていただきました。手外科疾患、スポーツ傷害で困っている患者さんに対して最良の治療を提供できるよう、そしてスポーツ復帰までを適切に指導できるよう、日々研鑽を積んでいきたいと思いました。田中先生、ご講演いただき、誠にありがとうございました。

 

 

第56回秋田県脊椎脊髄病研究会 (阿部和伸)

ひと雨ごとに寒さもゆるみ、春を待ちわびる3月9日、「第56回秋田県脊椎脊髄病研究会」がにぎわい交流館AUで開催されました。

初めにAO Spine fellowship in 2018で留学された2名の先生方の帰朝報告が行われ、小林孝先生が韓国、工藤大輔先生がイギリスでの様々なご経験をご報告されました。

セッションⅠでは研修医・若手整形外科医のための脊椎外科基礎講座と題して、頸椎脱臼骨折の分類、初期対応、手術について鈴木真純先生、石川慶紀先生、鈴木哲哉先生にそれぞれご講演いただきました。頸椎脱臼骨折というテーマは、あらかじめ若手を対象に行ったアンケートで最も要望が多かったことから決まりました。整形外科のみならず救急を担当しているものならば誰しも対応しなければならない可能性があり、そのような場合に適切に対応できるよう、たっぷりと勉強しました。

セッションⅡではミニレクチャーとして、本研究会の当番幹事である木下隼人先生に「腰椎椎体骨折に対する経皮的椎体形成術」という題でご講演いただきました。Balloon kyphoplasty(BKP)の特徴や適応、実際の手順について、写真を多数交えてわかりやすく教えていただきました。

セッションⅢは一般演題で、珍しい症例や教育的な症例の報告、整形入院患者の筋量変化に着目した臨床研究、手術時の放射線被ばく低減を目指した研究の発表があり、どの発表についても活発な議論がなされました。

セッションⅣは特別講演でした。
特別講演1には金沢大学整形外科講師の出村諭先生をお招きし、「脊柱変形、脊椎腫瘍に関する基礎的知識と当科での治療の変遷について」という題でご講演いただきました。小児脊柱変形の特徴や自然経過といった基本的な内容から治療の歴史、治療戦略まで幅広い内容と、脊椎腫瘍に対するTotal en bloc spondylectomy(TES)の戦略について実践的な内容をお話しいただきました。また、金沢大学とはバスケットボールでライバル関係であり、ご講演の途中でバスケットの動画(なぜか秋田大学の好プレー集)が放映され、大いに盛り上がりました。
特別講演2にはJA広島総合病院整形外科主任部長の田中信弘先生をお招きし、「頸部神経根症に対する後方手術—マイクロサージャリーと疼痛治療—」という題でご講演いただきました。豊富な経験から微細解剖や手術手技、長期成績について、画像、動画をふんだんに用いてわかりやすく、最後はリスクマネージメントについてもお話しいただき、大変勉強になりました。

セッションⅤとして市内の焼き肉店で肉を食べながら情報交換を行い、特別講演でお招きした先生方に日ごろ疑問に思っていることなどを質問させていただきました。今後も秋田県脊椎脊髄外科の進歩と、若手の育成のため、本研究会を盛り上げていきたいと思います。

(文責:阿部和伸)

秋田県運動器リハビリテーション研究会(三田基樹)

1月19日、秋田県運動器リハビリテーション研究会が開催されましたためご報告いたします。

一般演題では塚本泰朗先生、境梨沙先生、齋藤光先生、千田聡明先生よりご講演いただきました。塚本先生からは運動器疾患や全身機能不全に対するリハビリテーションについて疼痛コントロールの重要性をご講演いただきました。境先生からは社会復帰・退院支援の観点から回復期病棟の問題点やMSWなどの他職種連携の重要性について、齋藤先生からは脳性麻痺によるToe-in gaitについて幼少期の運動負荷及び痙縮による股関節形成不全の関係を含め考察いただきました。千田先生からは転移性脳腫瘍片側上肢麻痺にReoGo-Jを使用し奏功した症例をご講演いただきました。

特別講演では兵庫医科大学 道免和久教授より「ロボットリハビリテーションの現状と展望」についてご講演いただきました。
リハビリドクターとは患者のニーズに技術を結びつける事が重要であり、リハビリテーション支援ロボットの必須条件として運動学習が可能であり・RCTによるエビデンスが確立されており・企業の安定したback upがある事を挙げられておりました。
上下肢用のリハビリ支援ロボットのご紹介を頂き、それぞれの特徴を活かして患者のADLupを目指すことの重要性をご説明いただきました。また、運動学習の観点からEnd-Effector型の推奨や50ms以内のフィードバック能力の必要性や、今後のロボットリハビリテーションの展望についてご講演頂き、現在の最先端をご教授いただきました。

現在のロボットリハビリテーションの進歩に非常に驚かされた研究会でした。私自身今後の研究の糧にして参りたいと思います。

第8回秋田県骨粗鬆症学術セミナー(齋藤光)

2018年11月30日に第8回秋田県骨粗鬆症学術セミナーが開催されました。

一般演題1として、市立秋田総合病院の赤川学先生より、「糖尿病モデルラットにおける低強度有酸素運動と活性化ビタミンD製剤が血糖値・骨密度・筋に及ぼす影響」のテーマでご講演いただきました。この内容は赤川先生が大学院で行われた基礎研究の研究成果であります。ビタミンDと運動療法が糖尿病の治療、骨や筋肉にどのような影響を与えるのかについて、非常にわかりやすく発表いただきました。特に筋肉に与える影響については遺伝子の観点からもご考察いただき、レベルの高い研究内容に感銘いたしました。基礎研究を行っている大学院生の我々にとって、大変刺激となるご講演でした。

一般演題2として秋田労災病院の奥山幸一郎先生より、「転倒、筋力低下とビタミンDの関連性の疫学調査―北鹿地方のミステリー―」のテーマでご講演いただきました。ビタミンDに関した疫学調査について、先生が行われている大規模な疫学調査についてご講演いただき、ビタミンDを中心にその充足率や、サルコペニア、筋力、転倒との関連について詳細な調査結果をお示し頂きました。日常診療を行いながら素晴らしい研究を行われる先生の姿勢は見習うべきであり、研究者の観点をもって日常診療にあたって行く重要性を再認識しました。

特別講演は札幌医科大学医学部、整形外科学講座准教授の射場浩介先生より、「骨代謝異常と運動器の疼痛―変形性関節症からCRPSまで―」のテーマでご講演いただきました。先日札幌医科大学に国内留学された湯浅先生との対話形式の講義となり、射場先生の質問に湯浅先生が的確に解答する非常にエキサイティングな特別講演となりました。骨代謝が全身に及ぼす影響について、実際の症例を交えて検討いただきました。骨代謝亢進状態が骨格の疼痛を引き起こすメカニズムについて遺伝子・細胞レベルからご講演いただき、なぜ痛むのかについて最新の知見をお示しいただきました。骨が痛む患者さんを診察した際に、その疼痛改善のためにどのような薬剤が、どのように作用するのか理解することができ、明日からの日常診療に大変参考になりました。

本セミナーでは骨代謝に関する最新の治験、ビタミンDの重要性について学ぶことができました。これからの基礎研究や臨床にご講演いただいた内容を活かし、邁進していこうと思います。

第9回秋田県足の外科・創外固定研究会(村田昇平)

2018年11月24日に第9回秋田県足の外科・創外固定研究会が開かれました.一般演題からは9題,そして特別講演として奈良県立医科大学救急医学・高度救命センター講師前川尚宣先生から「重度四肢外傷に対する初期治療・再建の実際〜安全確実な再建を目指して〜」という内容で,また獨協医科大学埼玉医療センター第一整形外科主任教授大関覚先生から「Ilizarov法を応用した下肢機能再建術」という演題にてご講演いただきました.

一般演題では県内の重度外傷や,変性疾患に関する治療への専門的な治療の発表があり,各病院の先生から活発な討論がありました.秋田大学整形外科の得意とするIlizarov創外固定の有用性や神経ブロックをまとめた発表などとても勉強になりました.
またミニレクチャーとして「足関節果部骨折」という内容で男鹿みなと市民病院の柴田暢介先生にご講義いただきました.果部骨折に対する様々な最新の知見,具体的な技術をご教示いただき,これからの診療に非常に役立つ内容でした.

特別講演Ⅰの前川尚宣先生からは数々の衝撃的な重度四肢外傷,見事な治療や再建術をこれでもかというくらい多数ご教授いただきました.前川先生はマイクロサージャリー,Ilizarov創外固定など多数の分野に極めて精通されており,大変刺激的な内容でした. 前川先生が後輩の指導で大事にされていることは「プランニング」であることや,「本当にトレーニングをつんだ外科医にしかできない重症な症例は多くない. 基本事項の積み重ねで多くの症例に対応できる.」という言葉には,大変感銘を受け,今後の自分の症例との向き合い方に是非とも活かして行きたいと思いました.

特別講演Ⅱでは大関覚先生が,股関節,膝関節,足関節,距骨下関節,足部の高度変性疾患をIlizalov創外固定を用いて,達人技で加療された症例を多数ご教示いただきました.直立2足歩行には「等張性 ,アライメント ,関節の可動性,安定性」が大事であるという言葉からご講演は始まり,患者さんに満足した歩行をしてもらうためには何が大事なのかということを大変熱心にご講義いただきました.先生の豊富な経験や,知識によって立案されたIlizalov創外固定のストラテジーは,興味深い内容ばかりで,非常に勉強になりました.Ilizalov創外固定の盛んな秋田大学整形外科の一員として,今後の加療に是非とも活かしていきたいです。

最後になりますが,本研究会で学んだたくさんのことを今後の日常診療に役立て,より邁進していきたいと思います.