2018年10月4日から3日間に渡り、オーストラリアのメルボルンにてISHA(国際股関節鏡学会)が開催されました。秋田大学整形外科股関節鏡班として、藤井が参加してまいりました。メルボルンは大陸南東部に位置し、オーストラリア第二の規模を誇り、世界で最も住みやすい都市に6年連続で選ばれたこともあるオセアニアでも有数の世界都市だそうです。
私の採択された演題は、「Ultrasonography and magnetic resonance imaging findings suggesting injury of the direct head of rectus femoris (大腿直筋直頭損傷を示唆する超音波・MRI所見)」でした。これは、私の股関節鏡の師匠である羊ヶ丘病院の加谷光規先生が提唱する、「AIISpinitis(下前腸骨棘炎)」の主病変とされる大腿直筋直頭付着部損傷に特徴的な画像所見をまとめたものです。学会の演題では今の所、FAIや関節唇損傷などの関節内病変に関するテーマが多数を占めますが、関節外病変による股関節痛は確実に存在し、実臨床でも多くの患者さんの痛みの原因になっていると実感しています。今後さらに注目されていく領域だと思いますので、引き続き積極的に発信していきたいと考えています。
学会の講演はもちろんですが、終了後の懇親会などで、世界の著名な先生方と交流できたことは非常に刺激になりました。中でも、Marc J Philippon先生やNicolas Bonin先生(木島先生の留学先のboss!)にご挨拶できたことは、とても良い思い出となりました。また日本で、世界に通じる医療を進めようという思いを新たにすることができました。
勉強のわずかな合間に、少しだけ観光することもできました。メルボルン中心部には無料のトラムが走っており、自由に乗り降りすることができます。少し足を伸ばすと、セントキルダというメルボルン市民にも愛される美しいビーチがあり、昼寝をする野生のペンギンを見ることができました!中心部は夜間も安全で、旅行にも非常にお勧めの地域だと思いました。
学会期間中を通して、加谷先生、産業医大若松病院の内田宗志先生、その他日本からご参加された先生方には大変お世話になりました。留守中病棟を管理していただいた医局の先生方にも、この場を借りて御礼申し上げます。この経験を活かして、股関節痛に苦しむ患者さんを一人でも多く救えるよう、さらに精進して参りたいと思います。今後ともご指導よろしくお願い申し上げます。
「学会レポート」カテゴリーアーカイブ
ASBMR 2018 Annual Meeting in Montreal (齋藤光)
2018年9月28日からの4日間、米国骨代謝学会がカナダのケベック州Montrealで開催され、秋田大学からは粕川雄司先生、長幡樹先生、湯浅悠介先生、佐藤千晶先生、阿部和伸先生、私が参加しました。ミネラル代謝、筋骨格に関する臨床から基礎までの幅広い内容が議論される中、秋田大学からは宮腰尚久准教授、粕川雄司先生、長幡樹先生、湯浅悠介先生がそれぞれポスター演題発表を行ってまいりました。
宮腰尚久准教授はEffects of Intravenous Ibandronate among Patients with Insufficient Changes to Bone Resorption Markers after Oral Bisphosphonate Monotherapy. 粕川雄司先生はEffect of Prevalent Vertebral Fractures on Incidental Vertebral Fractures and Low Back Pain During Bisphosphonate Treatment for Osteoporosis. 長幡樹先生はEffects of hydroxyapatite/collagen complex on bone formation at osteotomy site of proximal tibia after povidone-iodine or ethanol exposure in ovariectomized rats. 湯浅悠介先生はEffects of selective estrogen receptor modulator and low-intensity aerobic exercise on bone and fat parameters in ovariectomized ratsのタイトルで発表され、世界各国から集まった研究者の方々と英語でディスカッションされておりました。
学会の合間には、カナダの歴史文化に触れてきました。モントリオールでは早朝ランニングで街を探索し、ヨーロッパ風の美しい街並みのなかで汗をながしました。また夜はディナークルーズでモントリオールの街をセントローレンス川から眺め、素晴らしい夜景を堪能しました。セントローレンス川のほとりにあるケベックシティは、かつての城郭が残り、フランス文化が根付いた美しい都市でした。
私は今回初めてASBMRに参加させて頂きました。先輩先生方がこのような大きな舞台で発表を行っている姿を目にして、秋田大学の骨代謝研究のレベルの高さを実感しました。私も2年後にしっかり研究内容を発表出来るよう、帰国後から研究に一生懸命取り組んでいきたいと思います。またカナダの歴史文化に触れ、大変貴重な経験をさせていただきました。このような機会を与えてくださった島田洋一教授、宮腰尚久准教授にはこの場をお借りし、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
第36回日本骨代謝学会学術集会 (湯浅悠介)
2018年7月26~28日に長崎県長崎市の長崎ブリックホール、長崎新聞文化ホールにて日本骨代謝学会学術集会が開催されました。本会は長崎大学の小守壽文先生が会長となり第36回目の開催となりました。
秋田県からは5演題の発表が行われました。佐々木聡先生は「超高齢者におけるデノスマブの効果」と題し、90歳以上の超高齢者を対象としたデノスマブの治療効果の検討結果を御発表されました。粕川雄司先生は「腰痛や関節痛を生じた低リン血症の検討」と題し、低リン血症で生じる疼痛が低リン血症の改善で軽減した治療経験を御発表されました。木下隼人先生は「片側および両側非定型大腿骨骨折の比較」と題し、両側例の危険因子についての検討結果を御発表されました。長幡樹先生と私は大学院の研究結果を発表致しました。長幡先生は「Povidon-IdineとEthanolが骨に与える影響とハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合体による骨癒合促進効果」と題し、骨条件の悪い環境下においてもハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合体が骨形成に対して有用であることを発表しました。私は「卵巣摘出ラットにおける選択的エストロゲン受容体モジュレーターと低強度有酸素運動の骨と脂肪に対する効果」と題し、SERMと運動療法の併用が腰椎骨密度、骨髄内脂肪、体脂肪に対して効果的であることを発表致しました。
本学会は整形外科のみではなく内科、歯科、そして理工学など様々な分野の先生が参加されておりました。本学会を通じ、骨代謝はあらゆる角度から研究され、発展しているのだと実感しました。今後も研究を続け、骨代謝の発展へ貢献できるよう努めていきたいと思います。
Spine Across the Sea(工藤大輔)
2018年7月29日から8月2日の日程でハワイ カウアイ島にてSpine Across the Seaが開催され、宮腰尚久准教授、奥山幸一郎先生、本郷道生講師、阿部和伸先生、笠間史仁先生、私のメンバーで参加してまいりました。気温は30℃弱で秋田よりも過ごしやすい印象でした。初日は夕方のレセプションに参加、2日目から成人脊柱変形、頚椎、低侵襲手術、ニューテクノロジー、腰椎、外傷、腫瘍、骨粗鬆症、診断、合併症など幅広い分野の最新の研究を聞くことができました。秋田大学からは、宮腰准教授がシンポジウムで骨粗鬆症とサルコペニアの関連、ビタミンDの重要性について大変わかりやすくご講演されました。手術に関する演題が多い中、骨粗鬆症とサルコペニアに関する最新の知見のレビュー、ビタミンD欠乏の疫学研究、運動療法によるQOL改善効果などいずれも手術を含めた高齢者の脊椎疾患の治療に欠かせない事項について解説され、海外の先生方も熱心に聞き入っていたのが印象的でした。本学会の口演の採択率は極めて低かったようで、今回残念ながら私自身は演題が通りませんでしたが、また3年後に再チャレンジしたいと思います。
第38回日本骨形態計測学会(阿部和伸)
第38回日本骨形態計測学会が6月21日~23日の3日間、大阪国際交流センターにおいて開催されました。近年、分子生物学、細胞生物学において骨代謝の機序、骨粗鬆症を含む代謝性骨疾患の病態の理解は飛躍的に進歩しています。しかし、分子生物学的手法による病態研究でも、その発現を組織レベルや器官レベルで観察し、さらに骨形態計測法による定量的計測によってよりその変化が把握できます。したがって、骨形態計測法は私たち研究者にとって非常に重要かつ必須の研究方法の一つであるといえます。
学会に先立ち、「骨形態計測ハンズオンセミナー2018ベーシックコース」が同会場で開催されました。これには私を含む当教室の若手研究者4名が参加し、動物実験の計画から実施、検体の採取、固定、標本作成、骨形態計測による評価まで、一連の流れに沿って基礎から学びました。ハンズオンでは実際に標本を作製する手順を確認したり、標本を観察し、どこで骨が作られ、どこで溶かされているかといった組織レベルの計測を実際に行ったりしました。セミナー終了後には修了証書をいただき、私たちが今後行っていく研究の大きな糧となったと感じた次第です。
本学会では、当教室の宮腰尚久准教授が学会2日目のシンポジウム「骨折防止のためのトータルケア-サルコペニア・フレイルの観点から-」の中でご講演されました。「サルコペニアと転倒に対する運動療法」という演題で、転倒の危険因子から転倒予防、骨折予防のための運動療法について当教室の研究を交えて非常にわかりやすくご紹介されていました。会場からも活発な質疑応答が繰り広げられ、全国的な関心の高さを感じました。
2日目終了後には全員懇親会が開催され、その会で若手研究者賞の表彰があり、当教室若手のホープである湯浅悠介先生が受賞されました。湯浅先生の行っている研究は、「卵巣摘出ラットにおける選択的エストロゲン受容体モジュレーターと低強度有酸素運動の骨と脂肪に対する効果」というもので、骨粗鬆症治療として薬剤と運動を組み合わせ、骨だけでなく脂肪との関連も観察した大変有用な研究です。受賞おめでとうございます。
私たち整形外科医にとって、骨粗鬆症をはじめとする運動器疾患の治療はADLの低下や健康寿命の短縮を防ぐために非常に重要です。そして臨床で用いられる治療はすべて、本学会で報告されているような基礎研究の上に成り立っています。本学会でそのことを再認識し、患者さんのADL向上、健康寿命延伸のため今後も研究に邁進していこうと決意を新たにしました。
APSS 2018 in Taiwan (石川慶紀)
2018年6月8-9日,台湾台北市においてAPSS (Asia Pacific Spine Society)のannual meetingが開かれました.APOA (Asia Pacific Orthopaedic Association)のspine sectionとして発展したこの会では, アジア太平洋地区を中心とした地域のspine surgeon, neurosurgeonにより,脊椎疾患にかかわる基礎研究から臨床研究,手術成績などの発表が行われます.秋田大学からは宮腰尚久准教授が講演依頼を受け,粕川雄司講師と私も演題を登録し参加発表いたしました.
宮腰准教授はシンポジウムSurgical Treatment for Spinel Deformity in Patients with Osteoporosisという演題で,骨粗鬆症に伴う椎体変形の矯正手術とその治療成績,手技につき,ASG (Akita spine group)で開発発展したPAVREC (Posterior-approach vertebral replacement with rectangular parallelepiped cages) という手術手技を交じえわかりやすくご講演され,反響も大きく,多くのご質問が会場からよせられました.粕川講師は骨粗鬆症椎体骨折治療に関して, 私は脊椎アライメントと背筋力や重心動揺を利用したバランス研究について発表討論いたしました.
学会の合間には台湾の歴史や食文化も学び,アジアでの日本の位置付けとこれから担うべき役割りを再考いたしました.世界に目を向けるのはもちろんですが,アジア太平洋地区にもアンテナを張り,その発展のために協力して行く必要性があると感じました.来年は韓国での開催になります.秋田の脊椎,さらにはアジアの脊椎を盛りあげ発展させるべく,当大学からも沢山の演題を出せればと考えております.
第61回日本手外科学会参加報告(齋藤光)
平成30年4月26、27日の両日、東京都の京王プラザホテルで第61回日本手外科学会学術集会が開催されました。本会の学会長は、昭和大学の稲垣克記教授で、テーマは「サイエンスとアート」の調和でした。Akita Hand Group(AHG)からは9人が参加し、最新トピックスについて学んできました。AHGからは合計5演題が採択され、千馬誠悦先生が「手指変形性関節症に対する装具療法」、成田裕一郎先生が「ばね指に対するトリアムシノロン腱鞘内初回1回投与の効果持続期間」、伊藤博紀先生が「背側天蓋状骨片を伴う橈骨遠位端骨折の検討」、白幡毅士先生が「変形性PIP関節症に対する掌側アプローチによる表面置換型人工指関節置換術の治療成績」、冨岡立先生が「コンバインによる上肢外傷〜手こぎ作業の危険性〜」という内容で発表しております。
私は今回、橈骨遠位端骨折のセッションを中心に聴講してきました。その中で、橈骨遠位端骨折後の二次骨折予防にむけた骨粗鬆症治療の取り組み、掌側転位型橈骨遠位端骨折の手術治療、尺骨骨折合併例の手術治療などの演題は、大変興味深く、勉強になりました。本学会で得られた知識を臨床へ活かせるように、明日からまた精進してまいります。来年はこの学会で発表できるようにと決意を新たにしているところです。
現在AHGは、日常診療から得られたクリニカルクエスチョンを研究テーマとし、新たに調査を計画中です。まずは来年の日本手外科学会、日本整形外科学会での演題発表を目標とし、最終的には国際学会での発表、英語論文執筆を目指して参ります。私自身、AHGメンバーとして、リサーチマインドを持ちながら臨床、研究、論文執筆に取り組んでいこうと思います。
齋藤光
AAOS2018米国整形外科学会参加報告(笠間史仁)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
第48回人工関節学会に参加して(岩本陽輔)
2/23-24に東京で開催された第48回人工関節学会に参加してきました。
今回の人工関節学会には秋田の同門からはAHRG、ASAKGのメンバーを中心に多くの先生方が参加されました。AHRGからは小西先生、田澤先生、木島先生、佐々木研先生、鈴木紀夫先生、長幡先生、三浦先生からの発表がありました。
学会ではステム選択の考え方や脊椎、骨盤アライメントに対するカップ設置の考え方など多岐にわたり勉強することができました。この学会で得た知識を日々の診療・研究に活かしていきたいと思います。
発表をするAHRG若手と小西副会長、田澤人工関節センター長
第42回日本足の外科学会・学術集会に参加して(高橋靖博)
平成29年11月9日~10日に名古屋で開催された第42回日本足の外科学会・学術集会に参加して参りました。秋田からは柏倉剛先生、野坂光司先生、千田秀一先生、河野哲也先生、私の5人が口演で、計8題採択されました。内容はリウマチ・イリザロフ・靭帯/アキレス腱損傷・超音波・小児足部疾患の口演で、秋田の幅広い活動を全国にアピールできたと思います。
本学会では、子どもから成人の足および足関節に関する先天異常や麻痺性疾患をはじめとして、外傷やスポーツ傷害、変性疾患、腫瘍性疾患など、あらゆる足部・足関節の外傷や疾患、障害の成因や病態、診断、治療に関する臨床や基礎研究について学ぶことができます。私は「運動器エコーの診断・治療への活用 -足の外科領域において-」というハンズオンセミナーに参加しました。高倉先生(高倉整形外科クリニック)・岡田先生(岡田整形外科)・笹原先生(帝京大学スポーツ医科学センター)と著名な講師の方々が、描出のコツなどをわかりやすく解説してくださいました。足部・足関節の外傷ではATFLやCFL損傷・外果裂離骨折のようにレントゲンよりエコーの方が確定診断に有用な検査となることが多く、その技術を短時間で学ぶことができました。明日からの日常診療に役立てたいと思います。
夜は札幌医大の寺本先生・羊ヶ丘病院の倉先生にお招き頂き、秋田・札幌医大・羊ヶ丘病院の合同懇親会が開催されました。総勢20人を超える懇親会となり、他大学の年の近い先生やベテランの先生達、羊ヶ丘で研修した時にお世話になったスタッフ達と交流できたので、非常に刺激的かつ有意義な時間となりました。
今回この学会は初めての参加となりましたが、非常に楽しく学習できました。これを機会にもっと勉強していければと感じました。