このたび,浜松において10月26日・27日の2日間行われた第26回日本腰痛学会に参加しました.浜松医科大学整形外科の松山幸弘教授が会長をされ,「腰痛の真理追究と明るい未来へ」をテーマとし,指定演題27題と公募演題212題の発表がありました.日程が日本骨粗鬆症学会と重なったこともあり,秋田からは平鹿総合病院の櫻場乾先生と私の2名が参加しました.
浜松医大整形といえば脊柱変形の印象が強いのですが,シンポジウムでは慢性腰痛,非特異的腰痛などに関する4つのテーマが取り上げられていました.文化講演では,ハンマー投げの元オリンピック選手である室伏由佳さんが登壇され,腰痛の苦しみを乗り越え,良き主治医に出会い,手術も経験しつつ選手生活を全うした大変印象に残るお話を拝聴しました.腰下肢痛に対する超音波解剖学のハンズオンセミナーが,同じテーマで二日にわたり開催され,学会前に既に満員で私は参加できませんでしたが,注目の分野であると感じました.ランチョンセミナーも二回拝聴しましたが,さすが浜松だけに二日ともうなぎ弁当でした.腰痛に対する運動療法のディベートでは,聴衆も参加するシステムにより,第一人者である東大の松平浩先生と神戸大の松原貴子先生が,それぞれの主張を時間内でプレゼンして勝ち負けを判定しますが,その結果が刻々と変化し,目が離せないセッションでした.私自身の発表は,高齢女性の職歴と腰痛,脊柱変形との関連についてでしたが,3名のご高名な先生から今後の研究に役立つようなご質問やコメントをいただきました.また運動療法のセッションで座長を務めさせていただきましたが,この分野は理学療法士など多方面の先生も参加されて活発な議論が行われました.運動療法はエビデンスのさらなる蓄積が必要であることを再認識させられました.今後の腰痛学会は,来年は杏林大学の市村正一教授が,2020年は札幌医大の山下敏彦教授が会長をされるとのことです.今後またこの学会で発表できるように研鑽を深めたいと思います.