第35回日本義肢装具学会学術集会  (村田昇平)

2019年7月13,14日に仙台国際センターで日本義肢装具学会学術大会が開催されました。第35回となる本会は,秋田大学整形外科が主催を務めさせていただけることとなり,大会長である島田洋一教授をはじめ,宮腰尚久准教授,松永俊樹准教授のご指導のもとで医局員一丸となって参加して参りました.運営としてだけではなく当大学から,医学系で,松永俊樹先生,斉藤公男先生,井上純一先生,千田聡明先生,渡邉基起先生,高橋祐介先生,須田智寛先生,工学系から小松瞭先生,佐竹將宏先生,只野孝明先生が発表され,演者としても多数参加させていただきました.
初日には島田教授による大会長公演がありました.「先端医用工学による義肢・装具の展開」と題してご講演いただき,島田教授が装具治療に携わることとなったきっかけから,留学中のご経験,埋め込み型電極などの機能的電気刺激療法について,また現在開発中の器械などについてお話いただき,非常に刺激的な内容でした.医局員,AMAG班である私にとっても非常に目新しいことばかりであり大変勉強になりました.他施設からいらした参加者の方々からも大好評でした.
また特別講演1では米国University of California San Francisco(UCSF)整形外科,長尾正人教授より「四肢切断者の社会復帰に向けてー当科の支援プログラムと取り組みー」と題してご講演を頂戴しました.米国の義肢装具士のあり方,四肢切断の現状,またUCSFの特徴的な取り組みであるアウトリーチ・プログラムなどについてご紹介いただき,大変興味深い内容でした.中でも私が強く感銘を受けたのはAmputee Comprehensive Training(ACT)という活動であります.ACTは不幸にも四肢切断となってしまった人々が可能な限り身体的,機能的に豊かに生活できるように支援を行うプログラムです.切断前に楽しんでいた活動に参加していただくことで,健康で活発なライフスタイルを取り戻すことを目標としています.様々な種類がありますが,その一つとしてNBAに所属するバスケットボールチームであるゴールデンステートウォリアーズの選手,メディカルスタッフが参加して,四肢切断者とともにバスケットボールを行う写真が紹介されていました.全国トップの整形外科バスケットボールチーム,ノーザンバイソンズを有する我々の教室にとっても大変参考になる社会活動であると感じました.
特別講演2では日本義肢装具学会理事長,東京大学大学院医学系研究科リハビリテーション医学分野教授である芳賀信彦先生より「日本義肢装具学会の将来展望」と題してご講演をいただきました.日本義肢装具学会の補足から現在にいたるまでの歴史などを会員数の変遷,その内訳などを綿密な分析とともにご紹介いただき,今後の義肢装具学会を盛り上げるための方策や進むべき指針をご教示いただきました.芳賀信彦先生は次回,第36回日本義肢装具学会学術集会の大会長をお務めになる予定であり,来年の日本義肢装具学会の計画や,学会場なども一部ご紹介いただき,来年度の参加が今から非常に楽しみとなりました.

 

大会全体としては目標としていた1000人を超える方々に東北まで足を運んでいただけました.テーマである「挑戦・融合・革新 ~義肢装具のネクストステージ~」にふさわしい内容の演題ばかりで,会場内外で参加者同士が熱い議論を交わしている様子も多数みうけられ,本会は大盛況のうちに終わりました.会場となった仙台国際センターは美しい緑に囲まれており,初夏の過ごしやすい天気もあって,2日間とも非常に気持ちよく過ごすことができました.
今回,日本義肢装具学会学術集会の運営に微力ながら医局員として携われたことを誇りに思います。本大会で吸収した知識や,経験させていただいたことを活かして今後の臨床や研究活動にさらに邁進して行きたい所存です.