投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第37回日本肘関節学会学術集会(中西真奈美)

2025年3月14〜15日に第37回日本肘関節学会学術集会が開催されました。会場は岡山市、会長は岡山済生会総合病院の今谷潤也先生です。 「肘関節外科の最適解」というテーマのもと、肘周辺難治性骨折や小児顆上骨折、モンテジア骨折のディスカッションなど、各所で白熱したディベートが展開されておりました。

整佑会同門からはおよそ7名の先生方が参加され、1日目午後のポスターセッションにて、白幡先生や湯浅先生が肘周辺の筋腱障害や神経障害に関する演題で発表されました。 その日の夜には同門会を行うことができました。千馬会長はじめ、水野記念病院で勤務されている飯田聖先生にもお越し頂くことができ、同門の話に花を咲かせました。

2日目は、筆者は朝から肘エコーのハンズオンセミナーに参加しました。キャノンメディカルシステムズ主催で、同社のエコー機器を使用させて頂きましたが、とても明瞭に神経や軟骨面を描出でき感動しました。 OCDだけでなく、普段エコーをあてることのない肘内障での見え方などを講義で教えて頂き、非常に勉強になりました。明日からの外来診療に活きる充実した内容でした。

今谷潤也先生の会長講演では、これまでの肘関節外科医としての歩みや、師匠や弟子を含む様々な人との出会いによりライフワークが形作られていったことをお話しされておりました。「他流試合」がいかに大事かという点も強調されており、胸に響くご講演でありました。

来月には、横浜で日本手外科学会学術集会が開催されます。見識を深めつつ、また同門の先生が現地に集えることを楽しみにしながら、本学会で学んだことを活かして日々の診療にあたっていきたいと思います。

第62回秋田県脊椎脊髄病研究会(渡辺学)

2025年3月1日秋田市にぎわい交流館AUで午前中にハンズオンセミナー、午後に第62回秋田県脊椎脊髄病研究会が開催されました。今回の当番幹事は秋田労災病院の佐藤千晶先生でした。

ハンズオンセミナーは例年通りメーカーの方々へ協力いただきドライボーンを用いたスクリュー刺入を経験させていただきました。実際に入れたことのあるスクリューも多いですが講師の先生方へ質問しながら手を動かしているとTipsなど聞けて勉強になりました。そろそろ講師側に回るのかなと思うと緊張します! また今年はFESSもありました。実際にはあまり触れる機会がなかったですが、小さい傷で手術ができるため今後必要な手技になるかなと思いました。

午後の研究会ではまずは秋田労災病院の奥山院長先生から高齢者の脊椎手術後せん妄の検討という事でレクチャーいただきました。全国No1の高齢化率を誇る秋田県では特に必要な内容であり勉強になりました。一般演題では若手の先生を中心にたくさんの演題発表がありました。質疑応答も活発に行われており興味深かったです。

特別講演にはドイツのオッフェンバッハにあるSana ClinicからAndrei Slavici先生に来ていただきご講演をいただきました。以前尾野先生と幹事の千晶先生が勉強に行ったことのある病院の先生で、とても若いですがたくさんの手術経験のある先生でした。脊椎の腫瘍性病変へのセメントスクリューを用いた症例がたくさんありました。

今回最優秀演題賞には秋田赤十字病院の間杉先生が選ばれました。難しいOVFに対して治療を行った1例でしたが術後症状の改善ときれいなレントゲン画像が得られており素晴らしい治療だと思いました。また今回からベストディスカッサー賞が新たに創立され、栄えある第1回目のベストディスカッサー賞には秋田労災病院の奥山先生が選ばれました!

今年も昨年と同様に講師を囲う会が開催されました。少し若手が多い印象でしたがとてもたのしく交流ができました。ご講演いただいた先生方、本会開催に当たりご尽力いただきました方々に心より感謝申し上げます。

国際交流イブニングセミナー (尾野祐一)

2025年2月28日、秋田大学医学部40周年記念講堂にて、秋田大学整形外科と秋田大学医学部国際交流委員会の共催により、「国際交流イブニングセミナー」が開催されました。 今回の講師は、ドイツのSana Clinic Offenbachに勤務するAndrei Slavici先生で、整形外科の中でも特に脊椎・脊椎腫瘍を専門とされている医師です。

Slavici先生とは、2024年3月に私と秋田労災病院の佐藤千晶先生がドイツでの研修に参加した際にご縁があり、そのつながりから秋田県脊椎脊椎病研究会(2025年3月1日に開催予定)に講師としてお招きすることとなりました。今回のイブニングセミナーでも講演をお願いし、貴重なお話をいただきました。講演テーマは「The Oncological Patient in the German Healthcare System」です。講演では、ドイツにおける転移性脊椎腫瘍の治療戦略について詳しく解説いただきました。実際にSlavici先生が手がけた症例も複数紹介され、特に積極的な外科手術のアプローチには大変感銘を受けました。

また、講演後の懇親会では、ドイツでの脊椎手術の実際の様子や、脊椎外科医の日常についてお話を伺うことができました。Slavici先生は非常に気さくで、私のつたない英語にも丁寧に耳を傾けてくださいました。脊椎外科に対する真摯な姿勢が伝わり、非常に刺激を受けました。年齢が私とほぼ同じでありながらも、すでに豊富な手術経験を積まれている姿に触れ、改めて自らも研鑽を積まなければならないと強く感じました。

今回のセミナーを通じて、国際的な視点から整形外科医療を学ぶ機会を得られたことを大変嬉しく思います。今後もこうした交流の機会を大切にし、最新の知見を日々の診療に活かしていきたいと考えています。

第55回人工関節学会 (石垣佑樹)

2025年2月21〜22日の2日間に渡り、名ポートメッセなごやにて岐阜大学大学院医学系研究科整形外科学教室の秋山治彦先生会長の元、第55回日本人工関節学会が開催されました。学会のテーマは「セレンディピティのすヽめ」でしたが、これからの臨床や研究につながる出会いがあった方も多かったのではないでしょうか。

学会中いくつかのセッションを聴講させていただきましたが、1番印象に残っているのは、Debate sessionの「TKA MA or KA-TKAを語る」です。MA派とKA派の先生がそれぞれの立場から、それぞれの考えをぶつけ合う討論を繰り広げており、自分の信念を持って日々の診療に臨まれていることを感じました。筆者はTKAの症例数も少なく公平な立場でDebateを聞くことができましたが、よりよい治療成績につながるようにお互いが切磋琢磨できればいいのではないかと思いました。

1日目の夜には当教室の関節Groupの学会参加者が集い、人工関節学会2025大ジョイントミーティングin名古屋が開催されました。今年も大曲から多くの研修医の先生がご参加していただいたこともあり、16名の先生方にお集まりいただき、大いに盛り上がりました。若手からベテランの先生まで参加されており、とても楽しい会となりました!

来年度は2月26〜27日の日程で、グランキューブ大阪(大阪国際会議場)で開催されます。来年は演題を出せるように、日々の診療や研究を行っていきたいと思います。

留学だより2 2025年2月(赤川学)

ボルドーに来てから早いものでもう2ヶ月近くなりました。秋田はまだ雪が多いようですが、こちらは最高気温が15度を超えることもあるくらい暖かくなり、半袖で歩いている人もいるくらいです。秋田生まれ秋田育ちの私にとって、こんなに暖かい冬は初めてでとても新鮮です。

生活のリズムはだいぶ整い、クリニックでの手術の流れにも慣れてきました。リビジョンなどの難しい手術を見る機会も増え、また日本にはないインプラントなども知ることができ、日々新鮮な経験ができています。

              先日ふと車の話になり、フランスではMT車が非常に多いと聞きました。MT車の方がコスト面で優れ、また地形や道路環境として山道や坂道が多いためエンジンブレーキが有効と考えられているそうです。フランスでの新車販売におけるMT車の割合は2017年で78%、近年はだいぶ減ったそうですがそれでも32%を占めるそうです(日本ではたった1%程度、Chat GPT調べ)。ヨーロッパ全体でも同じような傾向があるようで、特にレンタカーを借りる際には何も指定しないとMT車が出てくるそうです。(AT車は台数が少なく予約が必須だそう)。私は免許こそマニュアルで取りましたが、AT車しか運転したことがありません。せっかく国際免許を持ってきましたが、ボルドーは狭い道が多く、右側通行・左ハンドル、環状交差点、さらにMT車・・・運転のハードルは結構高めです。

              もう一つ、フランスの面白い文化を知りました。先日仕事終わりに、「Baby footしに行こう!」と誘われ何のことかわからないままついていくと、バーにテーブルサッカーゲームがありました(写真参照)。フランスではカフェやバーだけでなく、学校や職場の休憩スペースなどにも設置されているそうで、国民的な遊びだということでした。その日はリーグ形式で試合が行われ、その場にいた人と即席タッグを組んでいきなり試合をしました。学生時代に遊びながらかなりの経験を積んでいた男性陣の中にはプロ級の腕前の人もいて相当に白熱した試合が繰り広げられていました。自分のチームはというと、全体の真ん中くらいの順位でしたが、慣れないながらも結構得点できたし、会話ほぼなし(私がフランス語あまり話せないため)でもそれなりのチームワークで親睦を深められました。気分転換にもコミュニケーションにもなる面白いゲームでした。職場の休憩室にもこういうのがあるというのはとても面白い文化だなと感じました。

              文化の違いには驚くことや戸惑うこともありますが、新しい発見も多く本当に面白い毎日です。このような貴重な経験ができていることに改めて感謝し、また頑張っていきたいと思います。 à bientôt

秋田市野球肘検診 (村田昇平)

令和7年2月15日、秋田市で「野球肘検診」が行われ参加させていただきました。
秋田大学整形外科からは、本郷道生先生、成田裕一郎先生(南秋田整形外科医院院長)、木村竜太先生、湯浅悠介先生、村田が参加しました。

野球肘検診では我々がエコーでの肘検診を担当させていただき、理学療法士、作業療法士の先生方よりエコー検診、投球フォームチェック、脊柱の評価、スイングスピード測定、投球スピード測定、体操の指導などを行いました。

野球肘には、内側型と外側型があります。
特に「外側型」の離断性骨軟骨炎は、最初はあまり痛みを感じなくても、気づかないうちに進んでしまうことがあります。ひどくなると手術が必要になったり、野球を続けられなくなってしまうこともあります。 野球肘検診は、野球を頑張るみなさんが、これからも長く楽しくプレーできるようにするための大切な機会と考えています。
野球だけでなく、これからの人生でいろいろなことに挑戦できるよう、体を大切にしてほしいと思います。
参加してくれたみなさんがこれからケガせず、どんどん成長していけることを願っています。

日本パラスポーツ医養成講習会 (浅香康人)

2月22日に大阪市長居障がい者スポーツセンターで行われた日本パラスポーツ協会公認パラスポーツ医養成講習会に参加してきました。秋田はモサモサと雪が降っており、往路復路ともに飛行機が無事に飛ぶかという懸念がありましたが、無事に行って帰ってくることができました。

今回秋田県からは私と富永先生の2名が参加し、これで秋田県の認定パラスポーツ医は合計7名になります。2021年の東京オリンピック・パラリンピックを機に国内の様々なパラスポーツが盛り上がりを見せていますが、パラスポーツ選手にとってメディカルサポートというものが非常に重要であることを認識する必要があります。パラスポーツ選手が抱える障がいには様々な種類があり、四肢の不自由や視覚、聴覚など多種多様です。これらに関する医学的な知識をもった認定医がサポートを行うことで、選手の皆さんが安心して競技を楽しむことができる環境を築くことができます。

講習会では講義のほかに車椅子バスケットボールとボッチャの体験をさせていただきました。実際にやってみると特にバスケットボールでは車椅子を漕ぎながらドリブルをするのが本当に大変でした。しかも通常のバスケットボールと同じ高さにゴールがあるため、車椅子に座っている分ゴールが遠くなります。今までテレビでしか見たことがありませんでしたが、激しいぶつかり合いをしながらこんなに大変なことをやっている選手のすごさを実感しました。

また全国各地から様々な背景をお持ちの先生方が集まっており、交流をして新たな繋がりが生まれたことも非常に嬉しいことでした。こういった繋がりを大切にし、県内のみならずもっと大きな規模でもアスリートの皆様をサポートしていけたら幸いです。

第39回 東日本手外科研究会 (湯浅悠介)

2025年2月22日、第39回東日本手外科研究会が札幌で開催されました。本研究会の会長は、日頃からご指導いただいております札幌医大の射場浩介先生ということもあり、多くのAHGメンバーが参加しました。

千馬誠悦先生は特別企画「手から見た他分野の疾患」の座長をされ、白幡毅士先生は「長期間見過ごされた外傷性母指CM関節不安定症の1例」、佐藤貴洋先生は「橈骨遠位端骨折の発生に関する因子の検討」、小滝優平先生は「外傷手術後の母指IP関節伸展拘縮に対する創外固定器による関節授動術の有用性」、湯浅悠介は「橈骨遠位端骨折Fernandez分類Type 4に対して肘頭骨軟骨移植を行った1例」というタイトルで発表を行いました。

また、ランチョンセミナーでは宮腰尚久教授が座長をされ、帝京大学ちば総合医療センターの井上大輔教授が「日常診療に潜む低ホスファターゼ症~手外科の先生に知って頂きたい希少疾患~」というタイトルでご講演をしていただきました。低ホスファターゼ症は易骨折性であり、普段骨折を診療している整形外科医が、その違和感に気付き、ALPを測定することの必要性、重要性を学びました。

冬の北海道での開催でしたが、無事に飛行機も飛び、本研究会テーマ「次の一手 新しい知見を求めて」の通り、多くの新しい知識を勉強することができました。今後も積極的な学会参加はもちろん、学会発表も行い、そして様々な先生方とディスカッションすることで、医師として、手外科医として成長していきたいと思います。

第38回日本四肢再建・創外固定学会に参加して(野坂光司)

 第38回日本四肢再建・創外固定学会(2月7~8日,静岡県富士市 山崎修司会長)に参加し、四肢再建や創外固定に関する最新の知見や技術に触れることができました。快晴の富士山の麓で,新たな治療アプローチについて多くの学びを得る貴重な機会となりました。ホスピタリティーに溢れる素晴らしい会で,会長の山崎修司先生の情熱に感激いたしました。

 今回の学会では、イリザロフをはじめとした創外固定の多彩な応用について多くの発表がありました。特に、マイクロサージャリー,内固定と創外固定を組み合わせた治療法は印象的で、重度の四肢外傷や骨欠損に対して機能再建を目指した高度な技術が紹介されました。症例報告では、複雑な外傷や感染症例に対しても創外固定を活用した柔軟な治療戦略が有効であることを再認識しました。

 私はスポンサードセミナーとして「脆弱性骨折に対するlizarov創外固定の最前線と骨粗鬆症治療におけるPTH製剤の有用性」の講演をさせていただきました.尊敬する門司順一先生に座長をしていただき,大変嬉しく思います。

 第41回日本四肢再建・創外固定学会は宮腰尚久教授が会長をお務めになることが決まりました.同門みんなで盛り上げていきたいと思います。

第32回秋田県スポーツ医学研究会(富永健太)

2025年2月15日に第32回秋田県スポーツ医学研究会がWeb開催されました。

まずシンポジウム1として木村竜太先生より「肢体不自由者のスポーツ―登山編―」をご講演いただきました。

木村先生が取り組んでいる肢体不自由者のサポート活動をご紹介いただき、その多様性にとても驚かされました。ご講演の中で山岳ナースが秋田県内に1人だけというお話がありましたがパラスポーツ医も県内に5人だけでありメディカル面でのサポート体制は今後まだまだ伸びしろがある分野だと感じました。自分も現在パラスポーツ医講習を受講中であり今後何かお手伝いができればと思います。

シンポジウム2は筆者の研究内容を紹介させていただきました。今後論文化し、さらに研究として発展させていければと思います。

特別講演Ⅰとして東京慈恵会医科大学葛飾医療センター整形外科 教授 窪田誠先生に「足のスポーツ障害・外傷―Windlass Mechanismと足部の諸問題を中心に」というテーマでご講演いただきました。

足部疾患はなかなかマニアックな部分も多く難しい部分がありますがとてもわかりやすくご講演いただき知識を整理することができました。

なかでも強剛母趾やフライバーグ病と内側縦アーチの関連はこれまで意識したことがなかった部分であり今後目が離せない研究分野だと感じました。

特別講演Ⅱとして秋田大学大学院医学系研究科医学専攻 病態制御医学系 精神科学講座 教授 三島和夫先生に「運動、アスリート、そして睡眠の深い関係」というテーマでご講演いただきました。

アスリートにとって重要な“睡眠”について様々なトピックを交えてご紹介いただきましたが、怪我との関連やムズムズ脚症候群、女性アスリート特有の問題などどれもとても興味深い内容でした。特にNBA選手を対象とした研究で夜間にSNS投稿をすると翌日のパフォーマンスが低下するというものはアスリートに睡眠の大切さを伝えるのにとてもよいものだと感じました。

整形外科医だけではなく内科の先生方もご参加いただけるこの会はとても貴重な交流の機会だと思います。

今後さらに発展させていけるように自分も尽力できればと思います。 共催いただいた秋田県医師会・久光製薬株式会社様、ご後援いただいた秋田県スポーツ協会の皆様にもこの場を借りて深謝いたします。