投稿者「akita-u-seikei」のアーカイブ

第35回日本骨代謝学会(赤川学)

2017年7月27〜29日、福岡で開催された第35回日本骨代謝学会学術集会に参加しました。この学会は、整形外科はもちろんですが、基礎、内科、放射線科、歯科など多分野から参加者が集まる学会です。

秋田大学からもA-BONEメンバーから、宮腰准教授、粕川講師、土江先生、尾野先生、佐藤千晶先生、自分が参加し、また大学外からも佐々木聡先生、木下先生が参加しました。

今回の学会では、宮腰准教授の論文「Healing of bisphosphonate-associated atypical femoral fractures in patients with osteoporosis: a comparison between treatment with and without teriparatide」がJBMM論文賞を受賞され、総会で表彰されました。本当におめでとうございます。

また宮腰准教授は、最終日のランチョンセミナーでも「骨折の危険性の高い骨粗鬆症と骨形成促進剤」のタイトルで御講演され、生命予後に影響を与える脊椎椎体骨折や大腿骨近位部骨折の予防について、骨形成促進剤であるテリパラチドの効果を基礎・臨床両方の側面から大変わかりやすく示していただきました。

一般口演には比較的基礎の内容が多いため、発表内容や質疑応答もメ カニズムや分子機構まで踏み込んだものが多く、非常に難しい内容も多くありましたが、普段行っている日常臨床での骨粗鬆症治療に、基礎的背景を持つことができた部分もあり、大変勉強になりました。自分の発表に対しても多くの質問をいただき、これを持ち帰ってさらに研究内容を深めたいと思います。

JBA 3×3 JAPAN TOUR in Akita 優勝報告(藤井 昌)

2017年7月8日(土)、日本バスケットボール協会公認の3×3の大会が開催されました。秋田大学整形外科が誇るバスケチーム・Akita Northern Bisonsは、学会等でフルメンバーが揃わない中、能代が生んだテロリスト・塚本泰朗、期待の新星・五十嵐駿、藤井の3名に加え、supervisorにレジェンド長谷川誠氏を迎え、かつてない異色のメンバーで参加してきました。会場は秋田イオンショッピングセンターのセントラルコートに特設の会場が設けられ、吹き抜け3階までの多くのギャラリー、ゲームを盛り上げるDJ、その上長谷川氏の登場で注目度は抜群でした。試合は合計8チームによるトーナメント戦で、負けたら終了という一発勝負の中、相手チームには若い選手が多く、全試合がクロスゲームとなる非常に厳しい展開となりました。その中で塚本選手の驚異のディフェンスやリバウンド、五十嵐選手の重要な場面でのミドルシュートなどで要所を締め、見事優勝することができました。大観衆の中、しびれる展開のゲームを勝ちきったことは、とても良い経験と自信になったと同時に、東日本整災での王座奪還に向け大きな弾みになりました。さらに今大会で、次世代エースの呼び声が高い五十嵐選手の正式加入が決まり、今後のさらなる躍進が期待されます。引き続きBisonsへのご支援、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

①多くのギャラリーに囲まれ試合開始

 

②優勝後、長谷川氏を交えて

 

③終了後、サイン攻めにあう五十嵐選手

バスケ選手としても、整形外科医としても、今後の活躍を期待しています!

第4回日本重度四肢外傷シンポジウム(野坂光司)

7月22~23日,東京で行われた第4回日本重度四肢外傷シンポジウム(JSETS)に講師として参加してまいりました.『重度四肢外傷の標準的治療(南江堂)』を執筆された土田芳彦先生が立ち上げられ,今回は札幌徳洲会病院外傷センター長 辻英樹先生会長のもと,盛大に行われました.同門からは外傷スペシャリストのみなさま(湯本聡先生,谷貴行先生,白幡毅士先生,湯浅悠介先生)が参加しました.私は『重度四肢外傷における最新のIlizarov治療戦略』というテーマで講演の機会をいただき,辻会長には心より御礼申し上げます.

 

今回もMicrosurgeryの重要性とIlizarov創外固定の生きる道を深く考えさせられる内容でした.また,土田芳彦先生,辻英樹先生らJSETSの方々の『日本の外傷学を立派なものにしていく』という強い信念に心打たれる内容が多かったです.

 

懇親会では,やはり島田教授の秋田県におけるリーダーシップの実際について,最上敦彦先生,土田芳彦先生ら多くの方々から話題にのぼり,非常に誇らしかったです.

 

島田洋一教授会長のもとで行われる日本創外固定・骨延長学会に向けて,秋田大学,関連病院でもIlizarov,重度四肢外傷のすそ野をもっともっと広げていかなければならないと感じました.

Rehab week 2017(木村竜太)

7月17〜22日、英国ロンドンで開催されましたRehab Week 2017へ、当講座より島田洋一教授、松永俊樹准教授、工藤大輔先生、飯田純平先生、井上純一先生、畠山和利先生、渡邊基起先生、千田聡明先生、木村、当大学工学部より巖見武裕教授、秋田高専より小林義和准教授の計11名で参加してまいりました。International Neurorehabilitation Symposium (INRS)、IEEE International Conference on Rehabilitation Robotics (ICORR)、Annual Meeting of the International Functional Electrical Stimulation Society (IFESS)、British Society of Rehabilitation Medicine (BSRM)​​ Meetingの4学会が併催され、日本からも医学、工学両分野から多くの参加者がいらっしゃいました。レクチャーが主体でしたが、Poster発表では畠山先生、渡邊先生、千田先生、小林先生、木村がIFESSで、工藤先生がBSRMで発表を行いました。

 

本会はICORRというリハビリテーションロボットの学会も含まれているため、多くのリハビリテーションロボットの展示も行われていました。歩行訓練ロボットでは、日本に1台しかないLokomatのデモもあり、実際に体験しながら、現地のPT、エンジニアから詳細を聞くことができました。目標軌道追従型でありながら、麻痺の改善に応じてモーターサポートとは競合せず、ケーデンスに合わせた歩行速度の調整もできるなど、高い技術に感動するとともに、我々のロボットの利点というのも実感しました。

また手指ROM訓練ロボットや、外骨格系の歩行補助ロボットも様々な機構のものが開発されていました。個人的には、転倒予防訓練のために外乱を歩いている人に与えるという衝撃的なロボットもあり、リハビリ自体にリスクも感じましたが、今後もっと様々なリハビリテーションロボットがでてくると思われ、ワクワクさせられました。

今回得た経験、情報をもとに、より研究の発展へ邁進してまいります。

 

第50回日本整形外科学会骨軟部学術集会(土江博幸)

この度、7月13日~14日にかけて、京王プラザホテルで行われた第50回日整会骨・軟部腫瘍学術集会に参加してきました。

数少ない骨軟部腫瘍の大きな学会のため、この2日間はみっちりと勉強してやろうと、初日の朝に教育研修講演やらセミナーやらを申し込みまくり、自分が逃げられないように追い込んでみました。普段そこまで勉強をしているわけではないので、午後になるとかなり頭の疲労感がでてきましたが、幸いずっと1人で行動していたため、さぼって遊びに行きたいとう誘惑にとらわれる事も無く、会場に残る事が出来ました。おかげさまで、かなり自分の知識を整理する事が出来ました。

昨年の留学のおかげで人脈も少しずつ広がり、毎晩、他病院の骨軟部腫瘍の先生方と飲んで語る機会があり、とても充実した2日間を送る事が出来ました。同じ留学先で一緒に研修した奈良医大の塚本先生とは、同世代で語り合い、とても楽しい時間を送る事が出来ました。さらに、宿泊したカプセルホテルが一緒かつ同じフロアーという事がわかり(この学会に参加したDrがカプセルホテルをチョイスすること自体そうないだろうに…)、不思議な縁を感じました。

今回は留学から帰国後すぐの締切だったため、演題の準備が間に合わず1例報告のみでしたが、来年は最低3演題、できれば5演題は出せるように精進しようと思います。

※下の写真は、専門医試験の単位用の特別講習会を受講しに来た大学院生達と。ほぼ1人行動だったため、この時でないと自分と会場が写った写真を撮る事が出来ず…。

第43回日本骨折治療学会 (JSFR2017) 木島泰明    

2017年7月7-8日、福島県郡山市の「ビッグパレットふくしま」にて第43回日本骨折治療学会が開催されました。2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では、同施設内に福島県内最大の収容避難所が設けられ、一時は2,500人もの避難者が入所していたそうです。ここの駐車場は無料でしたので、私は秋田から車で会場入りしました。

本学会の主役の一人は何といっても我らが野坂光司先生でした。いきなり初日の第1会場のヌーンタイムレクチャー(ランチョンセミナー)を担当されており、一番広い会場にもかかわらず聴衆でいっぱいで、このブログ用の野坂先生の晴れ姿を写真に収めることができませんでした(申し訳ありません)。それ以外にも野坂先生は、イリザロフ創外固定と感染性偽関節、イリザロフ創外固定器とインプラント周辺骨折、イリザロフ創外固定器と足関節周辺骨折と立て続けに一般演題でもご発表され、秋田のイリザロフの応用範囲の広さを全国にしっかりアピールしてくださいました。

中通総合病院の千馬誠悦先生も参加されており、PIP背側脱臼骨折の治療というタイトルでご発表されておりました。この千馬先生のご発表を含めて、本学会での秋田大学整形外科関連の発表は合計10演題あったのですが、そのうちの半数、5演題を占めたのは何と我ら股関節グループ(Akita Hip Research Group; AHRG)メンバーによる大腿骨近位部骨折(Hip Fracture)の演題でした。

ご存知の通り秋田県は世界有数の高齢化地域であり、高齢者に多く、生命予後にも直結する骨折が大腿骨近位部骨折です。何よりも予防が大切な骨折で、予防に関して秋田ではA-BONE(Akita Bone and Osteoporosis Network)メンバーがその先進的な研究に携わっておりますが、それでも起こってしまったこの骨折に対しては、どのように治療すればよりよく患者さんに生活に復帰して頂けるのかが大切になってきます。

そのために我々AHRGが考案し、世界に向けて発表しているものが、大腿骨近位部骨折のAkita分類(Area Classification of Hip fracture)です。このAkita分類に関する演題を長幡樹先生、谷貴行先生、久保田均先生、木島が発表してきましたが、私の発表に対して聴衆の方が質問して下さったときに、この分類は非常にわかりやすく有用だと思っていますとお話ししてくださいました。まだAkita分類に関する英語論文は2つ(下記参考文献)のみですが、少しずつ国内外で地道にアピールしていくことで、世界的に使われる分類にしていくことがAHRGの目標の1つです。ぜひこのブログを読んで下さった整形外科医の皆さんにも利用して頂きたいと思います。

参考文献1→http://dx.doi.org/10.1155/2014/359689

参考文献2→http://springerplus.springeropen.com/articles/10.1186/s40064-016-3206-1

第7回秋田県運動器疼痛セミナー(飯田純平)

一般演題では,大学の木村先生が日常診療にすぐに役立つ,超音波を用いた低侵襲かつ効果的な腰痛治療について最新の知見を,まだ市立横手病院の大内先生が腱板断裂に対する保存治療や手術治療の効果について詳しくお話いただきました.

特別講演では,新潟大学医歯学総合病院整形外科 講師でいらっしゃる渡邊 慶先生に「高齢者の脊柱変形に対する取り組み 保存治療から矯正手術まで」という内容でご講演をいただきました.脊柱アライメントやバランスの概念の基本から,Hip-Spineを通じた全体のアライメントやCoronalアライメントの重要性について,また,重度脊柱変形に対するPSOの適応やその注意点についても、大変貴重なご経験をお話いただきました. また,成人脊柱変形に対する早期診断と適切な介入の必要性とその方法といった,日常外来診療にもすぐに役立つような知識も得ることができ,大変勉強になるご講演でした.

今後とも渡邊 慶先生の御活躍をお祈りしております.この度は本当にありがとうございました.

第10回秋田県手外科研究会(湯浅悠介)

7月1日第10回秋田県手外科研究会が開催されました。

昨年に引き続き冨岡立先生から「腋窩ブロックを成功させるポイント」と題してレクチャーをいただいた後に、最新の超音波を用いながら、腋窩神経の描出を行いました。数年前から当研究会で、このハンズオンが行われており、現在超音波ガイド下神経ブロックは秋田大学整形外科若手医師の必須手技となるに至っております。超音波による描出を行いながら、日常診療での疑問などもざっくばらんに話せる、とても有意義な時間となりました。

一般演題は、6演題の発表があり、最優秀演題賞は「両側橈骨若木骨折に対し3Dプリンター装置を用いた1例」で北秋田市民病院の加賀望先生が受賞されました。骨折に対して、装具を3Dプリンターで作成するという、数年前までは想像もつかなかったことが医工連携により現実となってきている事実を知ることができました。知識のアップデートを怠らず、医療の新たな形にも順応していくことが求められていると感じました。その他の5演題もすべて勉強になるものばかりで、明日からの診療に生かしていきたいと思いました。

その後、白幡毅士先生から「日常診療で遭遇する手外科疾患の治療」と題してミニレクチャーをいただきました。普段よく遭遇する疾患を中心に、その症状や治療方法などをわかりやすくご講義いただきました。以前は保存療法が主流であったものが、手術療法が主流となっていたり、逆に手術をしないと治らない疾患であったものが注射などによる保存療法で高い治療効果が期待できるようになったりと、自分の古い知識が一掃される内容となっておりました。今回のミニレクチャーで勉強させていただいた内容をもとに、今後はより詳細に治療方針を説明し、積極的な治療介入をしていこうと思います。

特別講演は奈良県立医科大学手の外科講座の面川庄平教授から「手関節尺側痛の診断と治療-スポーツ外傷から変性疾患まで-」と題してご講演いただきました。手関節尺側痛というblack boxを系統立てて、わかりやすくご説明いただきました。TFCC損傷やECU腱鞘炎はもちろん、手根中央不安定症やLT関節不安定症といった稀な疾患も鑑別に挙げ、それに対しての圧痛点、誘発テスト、治療方法などをご教示いただき、非常に勉強になりました。外来では、いかにその訴えが何に由来するのかを導き出す診断力が求められるため、圧痛点や誘発テストの知識は極めて重要なものであることは明らかだと思います。今回学んだ知識を生かし、今後は一つ一つの理学所見から詰将棋のように診断を付け、適切な治療を行えるように精進していきたいと思います。面川教授、ご講演いただき誠にありがとうございました。

タイ キャダバーコースに参加して(長幡 樹)

6月27日、28日の2日間に渡ってタイで行われたキャダバーコースに参加してきました。単大学での海外キャダバーコースとしては国内での初の試みでした。

タイは日本と比べ気温も高く、湿気がかなり高くまとわりつくような暑さでした。気温だけであれば、自分の地元の群馬も同じくらい上がることもありますが、年間を通して似たような気温のようで、常に汗がにじみ出るような状態でした。その中で食べたトムヤムクンなど現地の料理は日本で体感しないような辛さと香草の香りが漂い、汗が流れ落ちるような状態でした。日本向けのお店は手加減をしているということに初めて気付きました。

今回のキャダバーコースには脊椎グループ、肩関節グループ、股関節グループ、膝関節グループに総勢20名で参加しました。各分野の若手3〜4名に対して指導者が秋田大学の各分野のエキスパート、脊椎からは宮腰尚久准教授、粕川雄司先生、肩関節からは畠山雄二先生、膝関節では斎藤英知先生、股関節では木島泰明先生がつき、基礎的な部分から代表的な手技、また解剖に至るまで、余すところなく指導していただき、勉強してきました。

自分は股関節グループとして参加し、人工関節置換術(DAA)と股関節鏡の手技を学びました。どちらもまだやったことのない手技であったこと、また股関節鏡については実際にやっているところも見たことがなかったため、とても有意義なプログラムでした。今回のキャダバーコースに臨むに当たり、参加前にドライモデルの模型で数回股関節鏡の手技を練習してから参加しましたが、実際の御遺体を使用すると関節包を貫く感触や、実際の見え方など全く違っていて細かい注意点など本当に学ぶことが多く、すぐ近くに指導してくれる先生がいるという状況は悩むことなく疑問を解決できるため、とても楽しく勉強をできたと思います。

2日間のキャダバーコースを終えて、なかなか実践の機会で試すことはないですが、今までよりも一層深い知識を得られたと思います。今回のキャダバーコースで指導してくださった先生がた、また参加を了承してくださった島田教授、留守の間病院で勤務してくださった先生がたに感謝します。今回の勉強を糧にこれからみんなで秋田の整形外科を盛り上げていきましょう!

第37回日本骨形態計測学会に参加して (尾野 祐一)

2017年6月22日〜24日に大阪で開催された日本骨形態計測学会に参加しました。大学院で行っている基礎研究から、赤川学先生が「糖尿病モデルラットにおける低強度有酸素運動と活性型ビタミンD製剤の血糖と骨密度に対する効果」を、私が「アジュバント関節炎ラットの骨密度と関節炎に対するエルデカルシトールとイバンドロネートの効果」を発表し、臨床からは長幡樹先生が「組織学的診断により骨軟化症と診断された脆弱性骨盤骨折の1例」を発表しました。

“医歯薬工連携による骨形態計測学の新たな展開”というテーマで、演題にはHigh Resolution peripheral Quantitative CT(HR-pQCT)や定量的超音波法(QUS)、Trabecular Bone Score(TBS)といった評価方法を用いた演題が多くみられました。秋田に導入するのはまだまだ難しいのですが、DXA法による骨密度測定だけでは評価しきれない骨粗鬆症を治療していく上で、こういった新しい評価方法が今後は普及していくのだろう、と感じました。また、生活習慣病と関連した骨粗鬆症についての発表も多数あり、慢性腎臓病や糖尿病に伴う骨粗鬆症は、それぞれ病態が異なり、使用すべき薬剤や評価方法もそれぞれ異なることを学びました。自分たちは、整形外科医ではありますが。骨粗鬆症診療をするにあたっては内科疾患についての理解も深めておくことが必須であることを感じました。本会で得た知識を日々の診療や自分の実験に活かし、また、後輩の基礎研究のテーマの参考にしていければと思います。

最後に、赤川先生の演題が本会の若手研究者賞を受賞されました。日々、ラットへの薬剤経口投与やトレッドミルなど、苦しい実験を共に経験した大学院A-BONEメンバーにとっても、この賞は大変うれしいものでした。赤川先生、おめでとうございます!!