未分類」カテゴリーアーカイブ

第10回秋田県小児整形外科研究会(飯田純平)

平成30616日、JA秋田ビルで秋田県小児整形外科研究会が開催されました。

一般演題では県内の若手の先生から秋田労災病院の奥山幸一郎先生まで、様々な領域での小児疾患・外傷についての演題が計8演題あり、とても勉強になるものでした。

今回は、現在研修しております秋田県立医療療育センターから出させていただいた、最近5年間の当県のDDH症例を検討した演題に優秀演題賞をいただきました、ありがとうございます。

 

小講義では、秋田県立医療療育センター整形外科科長で当県のDDH key personでいらっしゃる三澤晶子先生から「乳児健康診査における股関節脱臼二次健診の手引き」と題し、二次健診における一般的な小児身体所見の取り方・レントゲンの読影などについて、秋田県におけるDDHの疫学的傾向なども交えてお話いただきました。明日からの臨床にすぐに応用できる内容の濃い講義でした。

 

特別講義では、小児整形外科学会の東京都立小児総合医療センター整形外科部長の下村哲史先生から「子どもの運動器疾患のとらえかたとその対応~疼痛管理も含めて~」と題し、一般整形外科がどのような視点から小児を診察・診断し、どんな時に小児整形外科専門機関を紹介すべきか、またその際にどのような誤解や知識不足が問題となるか、様々な外傷から股関節・斜頸などについて実例を交えながらご講演いただきました。

 

会全体を通し、小児整形外科診療においては、基本的な知識に加えて、立位から歩行、全身の身体所見を丁寧に見ていくことでその診断に近づけていけるのだということを強く感じました。本研究会で得たものを、今後の診療に役立てたいと思います。

平成30年度阿仁健診(井上純一)

本年度は5月16日、17日、18日に北秋田市阿仁地域で運動器健診を行いました。

平均寿命が長くなってきている現在、今度は健康寿命をいかに伸ばしていくかが課題となっております。運動器症候群と訳されるロコモティブシンドローム(以下ロコモ)は、運動器の障害により要介護になるリスクの高い状態を指します。その原因としては運動器自体の疾患によるものと加齢による運動器機能不全によるものがあると言われております。

阿仁健診は毎年受診している方が多く、経年的に結果を知ることが出来るという特徴があります。今回の健診を通して、阿仁地域の方には自分の現時点での運動機能がどのくらい保たれているのかを知っていただき、その後対策することでロコモを未然に防ぐことができます。将来的に阿仁健診と同様の運動器検診が県内の他の地域でも実施出来れば、秋田全体で元気な高齢者が増えていけばと考えています。普段の診療の現場でもロコモ予防につながるように整形外科医として今後も貢献していきたいと思います。

第67回秋田県整形外科医会(湯浅悠介)

2018年5月19日、ビューホテルにて第67回秋田県整形外科医会が開かれました。

一般演題から7題、Young Doctors Sessionから10題の発表がありました。各発表に対して白熱した討論が繰り広げられました。最優秀演題賞は、一般演題からは能代厚生医療センター伊藤博紀先生が、Young Doctors Sessionからは町立羽後病院の益谷法光先生が受賞されました。本当におめでとうございます。

その後、教育研修講演1として、国際医療福祉大学医学部整形外科学主任教授石井賢先生より「脊椎脊髄疾患治療における合併症―出血・神経損傷・感染症の予防と対処法―」と題しご講演いただきました。椎骨動脈損傷や腸管損傷など、脊椎手術における合併症を実際の動画を用いてお示しいただき、そのピットフォールをご教示いただきました。また、脊椎手術にvirtual realityを導入した新しい技術についてもご紹介いただきました。今後より高度な手術がより安全に行えるように、医療と工学の連携が大切なのだと感じました。

教育研修講演2として、島根大学医学部整形外科学教室教授内尾祐司先生より「スポーツに伴う関節軟骨障害の病態と治療~疼痛管理と機能回復に向けて~」と題しご講演いただきました。関節軟骨障害としてOCD、骨軟骨骨折、軟骨損傷について、実際の症例を用いて具体的にお示しいただきながらご説明いただきました。また島根大学で行われている研究「自家骨から作成するScrew」についてご教示いただきました。新しいもの作成し、世に発信するためには、多くの基礎研究を行い、その一つ一つを論文化し証明していく必要があることを学びました。

本日勉強させていただいたことをしっかりと吸収し、明日からの臨床・研究に努めていきたいと思います。

留学報告㉑ 森岡先生(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回は脊損の基礎研究を行っているUCSF Ferguson Lab見学です.

森岡和仁先生の御高配で,UCSF Ferguson Labを見学させいただきました.

森岡先生は,東京大学整形外科大学院を卒業後,国立障害者リハビリテーションセンター研究所で脊髄損傷の研究の立ち上げに携わられた後,2012年からUCSF Ferguson Lab で研究されている先生です.研究のコラボレーションが幅広く,私のお世話になっているOTIやUCサンディエゴ,Red BullやNASAに至るまで,幅広くコラボした研究をされています.

脊損に関して最先端で研究されている先生ですので,アメリカでの脊損研究の最近のトレンドについて大変造詣が深くいらっしゃいます.また,サンフランシスコ在住も長く,SNSを用いたUCSFおよびサンフランシスコベイエリアの日本人留学生のためコミュニティを構築されていて,私は非常に助けられました.先生の研究者としての軌跡は2018年発売の実験医学Vol.36 No3(2月号) p466-に詳しく記載されていますので御参照下さい.大変勉強になる内容です.

 

 

 

 

 

 

Wet labとDry labが混在した研究室.

 

 

 

 

 

 

Dry側.こちらで統計解析を行っているそうです.

 

 

 

 

 

 

 

 

左が森岡先生,右が筆者

このような機会を与えて頂いた森岡和仁先生にこの場を借りて御礼申し上げます.ありがとうございました.

 

留学報告⑯ 清水智弘先生とCHINABASIN(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はCHINA BASIN見学について

2017年9月1日から9月11日までセットアップのため渡米した際,北海道大学清水智弘先生にホームステイ,銀行口座開設,アパートの契約から野球観戦に至るまで,大変お世話になりました.その清水先生の御高配で,CHINA BASINという施設の見学させて頂きました.

清水先生はこれまで骨粗鬆症,RAと様々な分野に精通しておられる先生で,現在UCSFでは動作解析と画像機器を用いた研究をされております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CHINA BASINは自分のアパートから徒歩で行ける距離にある研究施設とオフィスの共同ビルで,UCSFのDepartmentはEpidemiology,Biostatistics Radiology,Biomedical Imagingが入っています.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1Fにはイメージセンターがあり,high-resolution peripheral quantitative computed tomography (HR-pQCT)が導入されており,研究も盛んです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フロアスペースは広大で整然としており,入り口ではタッチパネルの案内板が出迎えてくれました.

 

 

 

 

 

 

 

 

左が筆者,右が清水先生

 

このような機会を与えて頂いた北海道大学 清水智弘先生にこの場を借りて御礼申し上げます.ありがとうございました.

 

つづく

留学報告⑮  臨床研究について(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回は臨床研究について

私の留学の目的は米国リハビリテーションの臨床研修です.それとともに,臨床研究も行う必要があり,現在進行中であります.

研究の指導医は,Dr, Saam Morshedです.彼はUCSF整形外科の准教授で,外傷を専門としている先生です.統計学に造詣が深く,M.D(Doctor of Medicine),Ph.D(Doctor of Philosophy; 医学博士)のほか,M.P.H(Master of Public Health; 公衆衛生学修士)も取得されている数少ない医師です.そのため,研究内容は大規模多施設での臨床研究を得意とされています.現在も10以上の多施設共同研究を行っており,そのグラントの総額は数億円を超えているそうです….

Dr, Morshedの下,OTIのClinical research部門にお世話になり,臨床研究の立ち上げ,IRB; Institutional Review Board,日本で言う倫理委員会の承認を経て,臨床試験が始まっています.

実際には,OTIでPhysiatristとして勤務されているDr, Karina Rosario,長尾正人先生の助力を頂き,臨床研究を行っています.発表前ですので詳細はお知らせできませんが,アナログ機器とデジタル機器を使った臨床研究を行っております.

週1回の研究ミーティングでは,現在進行中の研究の進捗状況や学会発表のスライドなどを逐一チェックし情報を共有していきます.

研究構想から研究チームの立ち上げまでのスピードがとてつもなく速く,データの管理方法や収集方法まで非常にシステマティックで統制されており,勉強になっています.日本との研究体制の違いも多々あり,うらやましかったり勉強になったりしています.

 

 

 

 

 

 

 

 

リサーチミーティング 左奥がDr,Saam Morshed,左手前がUCバークレーの学生.優秀です.

 

 

 

 

 

 

 

 

左からTgist(研究助手さん),筆者,Poul(ポーランドからのフェロー),Eleni(研究助手さん).いつもお世話になっています.

 

 

 

 

 

 

奥がDr, Karina Rosario,被験者が長尾正人先生 いつもお世話になっております.

 

つづく

留学報告⑭ スポーツ外来 Anthony Luke先生(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はスポーツ外来見学 その1

いつもお世話になっている長尾正人先生に,UCSFでスポーツドクターとして勤務されているAnthony Luke先生を御紹介頂き,UCSFのスポーツ外来を見学してきました.

Anthony Luke先生はバンクーバー冬季オリンピックにも帯同された先生で,UCSF Orthopedics Instituteのスポーツ外来で診療されています.Luke先生は家庭医をバックグラウンドとしているため手術はされませんが,筋骨格系疾患全体を幅広く診療されて,時には脳振盪の患者も診療されます.

午前中は12人ほどの診療で,神経根性の腰痛,骨頭すべり後の若年性OA,半月板損傷,Hamタイトネス,こむらがえり,凍結肩,腓骨筋腱脱臼,痛脳振盪など部位も年齢も背景も人種も多様で,幅広い知識と気配りが必要となるようです.スポーツ外来ということもあり,患者さんの知識も相当なもので,文献レビューを行ってくる家族もいます.治療についても,他の治療法,どれくらいの効果があって,何%の人が良くなるのかまで細かく聞かれます.Luke先生は1人1人丁寧に診察し,病状・原因・治療について分かりやすい説明を行っていました.

午後は10人ほどの診療で,主にエコーを使った診療で,エコー下の関節内注射や診断目的の注射,膝蓋腱障害に対するPRP治療などを行っていました.HA注射の多用はなく(保険とガイドラインの関係かもしれません),ステロイドを最低3ヶ月以上間隔あけて注射することが多いようです.

診察スタイルはSFGHと同じで,医師が部屋に出向く形をとっており,Luke先生は3-4部屋を行ったり来たりする形です.ここにはSFGHほど多くのレジデントはおらず,レジデントが予診を行ったりはしていませんでした.

また,診療補助を行ってくれる看護師さんもおらず,担当のAthletic Trainerが患者の入れ替えや部屋の整理などを行っている状況で,人件費はできるだけかけないようにしている印象を持ちました.

目新しいこととして,Luke先生はGoogleグラスを用いた診療アシストのTrialを行っているようで,Googleグラスをつけた状態で診療されていました.アシストの内容は,カルテ記述のディクテーションの補助,電話,メモなどです.Luke先生曰く,ペーパーワーク業務の約20%の負担軽減になっている感じがするとのことでした.見た目はそれなりに目立ってしまうものなので,患者さんには診療前に必ず説明を行い,簡単に同意を得ていました.今後,もしかしたらこのような技術がだんだんと流入してくるのかもしれません.

動作解析の部屋を見学させて頂いたり,オリンピック帯同時の裏話などを教えて頂いたりもして,大変興味深く,勉強になる外来見学でした.

Orthopedics Institute ビル1個,全部整形外科用です.

Googleグラスを着用したAnthony Luke先生と

Human Performance Center

留学報告⑬ 小林祥先生とパルナサスキャンパス(斉藤公男)

秋田大学医学部附属病院 リハビリテーション科/整形外科の斉藤公男です.2017年9月から島田洋一教授の御高配によりアメリカサンフランシスコ UCSFに留学させて頂いております.現在お世話になっているのはZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)のOrthopedics Trauma Instituteです.

 

今回はUCSF Medical Center @Parnassusについて

UCSFには4つの中核関連施設があります.私の所属しているZuckerberg San Francisco General Hospital(ZSFGH)の他に,UCSF Medical Center @Parnassus,@Mt. Zion,@Mission Bayがあり,それぞれ日本の大学附属病院のような教育病院的な役割を果たしています.それぞれの病院に特色があります.

正面玄関

 

浜松医科大学整形外科で脊椎がご専門の小林祥先生の御高配の下,UCSF Medical Center @Parnassusを見学しました.小林先生はUCSF Medical Center @Parnassus でDr. Vedat Devirenに従事され,研修,臨床研究をされています.データベースの作成などに携わっておられ,既に論文も投稿されているそうです.

UCSF Medical Center @Parnassusには多数の施設があり,規模が大きく,素晴らしい眺望で,図書館の蔵書も豊富です.病院は,手術室と基礎研究の教室が同じ棟にある,研究に有利な構造をしていました.

外来からの風景 天気が良ければゴールデンゲートブリッジも見えます

 

小高い丘の上に建てられた外来棟からはゴールデンゲートブリッジを望むことができます. ちなみに,ここの外来診療はアメリカでよくある,ジーンズなどのラフな格好は禁止されているそうです.

また,脊椎外科は脳外科と整形外科の医師合わせて24人で,手術も一緒に組むことも多いそうです.これはアメリカでもよくあることではなく,珍しいそうです.

このような機会を与えて頂いた浜松医科大学 小林祥先生にこの場を借りて御礼申し上げます.ありがとうございました.

筆者と小林先生

 

つづく

障がい者スポーツ医養成講習会(木村竜太)

本講習会は障がい者スポーツの発展のため、年1回、埼玉県所沢市にある国立障害者リハビリテーションセンターで行われています。

今回は2月23日〜25日に行われ、秋田県からつつみ整形外科の堤祥浩先生と木村の2名が参加しました。

 

障がい者スポーツといえば、メディアで取り扱われる肢体不自由(脊髄損傷や肢体切断)のイメージが強いですが、他にも視覚障がい・聴覚障がい・内部障がい(心機能・呼吸機能・腎機能障がいなど)、知的障がい、精神障がいがあります。

本講習会ではパラリンピックのような競技スポーツだけでなく、病院内で行われるリハビリテーションスポーツ、在宅・施設内で行われる生涯スポーツについても学ぶことができました。

 

知的障がいのある人たちの大会を、スペシャルオリンピックスと呼びますが、知的障がいのマラソン世界記録保持者は日本人だとご存知でしょうか?時間は2時間23分09秒と素晴らしく、世界選手権ではこのような選手が、サインを求められているそうです。日本もいつかそんな雰囲気になって欲しいです。

 

実技では車椅子バスケとゴールボールを体験しました。ゴールボールでは、ロンロンパラ金メダリストの女子選手など、ナショナルチーム選手から直接指導頂きながら行いました。アイシェイドという、光も一切通さないマスクをつけ、何も見えない中で行うスポーツの経験は貴重でした。車椅子バスケは、下肢を使えない難しさがありますが、障がい者の方と同じ目線で一緒に楽しむことができるスポーツだと思います。初めてのブザービートも経験でき大満足でした。

パラスポーツはまだまだ知られていないだけで、オリンピックスポーツと同じくらい楽しめます。ぜひ盛り上がっている平昌でも、パラスポーツも注目してみてください!今年はNHKでも初の実況つきです。

 

懇親会では他県の整形外科の先生と、切断術の是非について議論できました。重度四肢外傷において、四肢を温存することが理想と考えていますが、機能としては切断し義肢や車椅子などを使うことで世界で活躍するアスリートになれる可能性もあります。このようなパラアスリートの活躍が、今後の治療方針にも大きく影響してくるかもしれないと考えさせられました。

 

今回の講習会を終えた69名を合わせ、全国で計524名が障がい者スポーツ医として登録されます。年々講習会の人気は上がっており、倍率は1.5倍ほど、受講資格を得るのも大変になってきたようです。ご興味のある方はお早めに!

 

秋田県内の障がい者スポーツ医は当科の藤井昌先生を含め、4名になりました。IPC(国際パラリンピック委員会)のmottoである「To enable Para athletes to achieve sporting excellence and inspire and excite the world」のように、秋田でも障がい者がスポーツを楽しむことができる環境、活躍できる環境を作り、さらにそれが健常者のスポーツ環境改善、意欲向上につながることを信じ、サポートしていきたいと思います。